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タグ:Tetsuya Komuro ( 143 ) タグの人気記事
TMN EXPO/CLASSIX PLAYLIST
TM NETWORKがTMNという名義で活動していた時期のアルバムから12曲をピックアップし、プレイリストをつくって聴いています。1991年には『EXPO』、1993年には『CLASSIX 1』と『CLASSIX 2』の2枚がリリースされました。『EXPO』はハウス・ミュージックを中心に、ロック、フォーク、ラテン・ミュージック、プログレなどを含む雑食性の高いアルバムです。『CLASSIX』は当時のテクノ・サウンドでリミックスした曲を多く収録したリミックス・アルバムです。
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この時期のTM NETWORKの音はロックからハウス・ミュージックへ移り、そしてテクノ・スタイルへの傾倒を見せます。先述のアルバムには、こうしたジャンル以外の曲も入っていますが、ロック、ハウス、テクノを標榜した音で括ってみます。深く考えずに曲を選んでプレイリストに加えていくと、各ジャンルの曲数が4曲になっていました。直感で選んだ割には意外とバランスがいい。

ハウス系は「WE LOVE THE EARTH」、「JUST LIKE PARADISE」、「RHYTHM RED BEAT BLACK」、「あの夏を忘れない」。ロック系は「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」、「69/99」、「TOMORROW MADE NEW」、「JUST ONE VICTORY」。そしてテクノ系は「DIVE INTO YOUR BODY」、「U.K. PASSENGER」、「WILD HEAVEN」、「HUMAN SYSTEM」です。

TMN EXPO/CLASSIX PLAYLIST

WE LOVE THE EARTH -Ooh, Ah, Ah, Mix-
JUST LIKE PARADISE -expo overdub mix-
RHYTHM RED BEAT BLACK -house sample foods mix-
DIVE INTO YOUR BODY -extended 12' version mix-
THE POINT OF LOVERS’ NIGHT -rhythm red version-
69/99 -rhythm red version-
U.K. PASSENGER -u.k. lap techno mix-
WILD HEAVEN -extended hard core mix-
TOMORROW MADE NEW
あの夏を忘れない
HUMAN SYSTEM -café de paris mix-
JUST ONE VICTORY -single 7' version-

「WE LOVE THE EARTH」はシングルとアルバムで雰囲気が大きく変わります。ここで選んだのはアルバム・ミックスです。というかこのミックスを起点にして、この時期の音でまとめられそうな曲を組み合わせてこのプレイリストを作成しました。次にピックアップしたのが「RHYTHM RED BEAT BLACK」です。もともとトーキング・モジュレーターやスクラッチを盛り込んだハウス系トラックでしたが、このリミックスで派手な音が加わって、より熱く、クールな曲になりました。この2曲をつなぐのが「JUST LIKE PARADISE」のリミックスです。最初はオリジナル・ミックスを置いてみたものの、この2曲をつなぐためには音に厚みのあるリミックスの方がフィットしました。

「DIVE INTO YOUR BODY」のリミックスは『CLASSIX 1』におけるテクノ化を象徴する曲です。固い感じのシーケンサーと、今でいうならボーカロイドのようなサンプリング・ボイスを短く刻んで重ねているのが特徴的ですね。オリジナルと同時期に制作された「DIVE INTO YOUR BODY -12'' Club Mix-」(ベースの印象を強くしたり間奏を長くしたりしたリミックス)を下敷きにしつつ、1993年の音を被せています。

「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」「69/99」は『CLASSIX』に収録されたバージョンですが、これらはリミックスではなく、オリジナル・アルバム『RHYTHM RED』に収録されたものの音圧を上げた感じです。プレイリストをハウスとテクノでまとめると単調になったので、ロックの要素を注入したら、ぎゅっと締まりました。同じアルバムに収録されていいるもののタイプの異なる2曲を、こうして並べてみるとTMロック・スタイルの振れ幅を楽しむことができます。ちなみに「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」は、まっちゃん(松本孝弘)が好きと言っていた曲です。彼がサポートを続けていて、この曲でも弾いていたらどのような雰囲気になったのか興味があります。
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「U.K. PASSENGER」はオリジナルのアウトロでカットされていた部分をフィーチャーして、分厚いベースとテクノ系のシーケンサーを重ねたものです。ファンクを感じるホーン・サウンドとエレクトロニック・サウンドが混ざり合います。ラップを入れているのは後にmassive attackを結成するメンバーです。オリジナルが録音されたのは1986年ですが、スタッフが六本木で会って意気投合した彼らをレコーディングに呼んだそうですが、当時らしいというべきか、とんでもないエピソードです。

「WILD HEAVEN」のリミックスでは『CLASSIX 2』で最もテクノに寄った音を聴くことができます。もっといえば、『CLASSIX』という企画においてテクノの要素が最も強く反映されています。その最大の特徴は、8分半のうち3分半に及ぶアウトロですね。別のインストゥルメンタルをつなげているようなものです。この部分に、小室さんがやりたかったテクノを感じます。ここで聴けるシンセサイザーのリフは、この後もよく耳にした気がします。

「TOMORROW MADE NEW」と「あの夏を忘れない」はアルバム『EXPO』の曲です。「TOMORROW MADE NEW」は、ハード・ロックを標榜した前作のツアーで披露され、アレンジを変えて『EXPO』で録音されました。オルガンの響きが1970年代ロックの匂いを漂わせます。「あの夏を忘れない」には『CLASSIX』に収録されたリミックスもありますが、リズムを抜いたり音数を減らしたりしているので、バランスとしてオリジナルの方が合うと思いました。オリジナルの厚すぎないハウス・サウンドや哀愁漂うギターが、ロックとテクノをつなぐこの位置にフィットするのです。

ミディアム・テンポの「HUMAN SYSTEM」は、オリジナルにはバンド演奏ならではの柔らかさがありました。リミックスで差し替えられたリズムは分厚い、とても分厚い。音の厚みとメロディの柔らかさが対照的ですね。スポットライトを浴びたサックスのソロも叙情的に響きます。このリズムの雰囲気はそれから20年後のコンサート(2013年の「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」)でも踏襲されました。キックの音が太く厚いほど、そこに乗るボーカルやシンセサイザーのメロディが胸に沁みます。

プレイリストを締め括るのは「JUST ONE VICTORY」の1993年バージョンです。アルバムからシングル・カットされた1989年バージョンを下敷きにしており、音の密度がさらに大きく感じられるのが特徴です。スネアが身体に響いてきて、ロックの熱を感じます。アウトロがフェイド・アウトしない点が、この位置に配置した理由です。もともと組曲の最後を飾っていた曲なので締め括りとしては最適なのですが、こうして音だけで構成したプレイリストでも最後をぎゅっと締めてくれますね。ステージが光に包まれて、幕が下ろされるイメージが浮かびます。
2018.06.27
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by mura-bito | 2018-06-27 22:50 | Music | Comments(0)
PANDORA – Be The One [feat. Beverly] -Let’s start experiment!! MIX-
始まりがあれば終わりがあるのは当然ですが、そこには何かしらの必然性が欲しい。どのような事情があったとしても、ストーリーがあってこそ終わりの瞬間が輝きます。歌でたとえるならイントロが流れて1番が終わった瞬間にカット・アウトしてしまったような感じといいましょうか。PANDORA小室哲哉/浅倉大介)のアルバム『Blueprint』が2月にリリースされてから、余韻も何もない、もどかしさだけが残っていました。
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そんな中、突如としてPANDORAの音が届けられました。2017年9月に先行して一部が配信され、2018年1月にフルサイズがリリースされた「Be The One」のリミックスです。ボーカルとして参加したBeverlyがリリースする予定のオリジナル・アルバムに、ボーナス・トラックとして収録されるようです。



PANDORA – Be The One [feat. Beverly] -Let’s start experiment!! MIX-

手がけたのは大ちゃんですが、小室さんとも話をしたそうな。序盤は音の素材を試すかのような薄い構成です。音を複雑に重ね合わせるというよりは、ミニマルな感じで音の原型をさらしています。しばらくすると音が加わって厚みを増し、その後さらにダイナミックになってEDMらしいサウンドが展開されます。『Blueprint』ではイギリスのエンジニアDave Fordがリミックスした「Be The One」を聴くことができますが、この新しいリミックスでは別の表情を見せてくれます。
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『Blueprint』に付属していた映像には、PANDORAの2人が音を作ったりフレーズを練ったりする様子が収められていました。断片に過ぎなかった音やフレーズが少しずつ形になっていく。それは曲として成立するプロセスのほんの一部、映画なら数カットですが、PANDORAの創作スタイルを目の当たりにし、僕は音の実験室という印象を強く受けました。実験室での試行錯誤が似合う2人です。

リミックスに付けられた名前は “Let’s start experiment!!”。“start” という言葉が入っているのが嬉しいですよね。あんなことやこんなことを期待してしまいますが、もちろんすべてが叶うとは思いません。それでも、僕らの目に触れないところで2人の「実験」は進んでいるような気がします。そしてその結果は、断片的に予告なく公開されるのかもしれない…そんなことを思います。
2018.05.29
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by mura-bito | 2018-05-29 22:03 | Music | Comments(0)
[PART1] PANDORA – Blueprint
ひと言では語れない音、音、音。PANDORA小室哲哉/浅倉大介)が4曲入りのアルバム『Blueprint』をリリースしました。シングルとしてリリースされた「Be The One [feat. Beverly]」と「proud of you [feat. KAMEN RIDER GIRLS]」のリミックスに加え、イベントで披露された曲「Shining Star」と「Aerodynamics」が収録されています。トータル4曲ながら30分ほどのボリュームがあります。また、初回盤には2人のインタビューを収めた冊子も同梱されています。
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「Be The One」と「proud of you」のリミキサーであるDave Fordは、これまでにも小室さんが関わる曲のミックスやリミックスを数多く手がけてきました。例えばTM NETWORKでは、2004年の『NETWORK -Easy Listening-』や2014年の『DRESS2』と『QUIT30』に参加しました。この2曲でもDave Fordらしいサウンドを聴くことができます。彼の音はクリーンなものが多いという印象を僕は持っています。それは今回のリミックスでも同様であり、ダブステップなどのEDMというよりは、トランスに寄っている感じですね。



「Be The One」のリミックスで好きなところは、インタールードで見せる音の抜き方です。音の浮き立たせ方と言うこともできますが、どの音を聴かせたいかということが明確です。フィーチャーされた音がダイレクトに聴き手に向かってきます。また、ボーカルの処理についてもオリジナルとは変化していて、歌が立体的に聞こえてきます。Beverlyの歌声は素敵だと改めて思わせてくれるし、サビのメロディが心地好いということを実感するリミックスです。

「この曲で始めたい、終わりたい」と思わせるような1曲、1フレーズがあったほうがもしかしたら今の時代には存在意義があるかもしれないですよね。

小室哲哉
『Blueprint』PANDORA INTERVIEW

一方、「proud of you」では、オリジナルに感じた重さは緩められ、比較的ポップで聴きやすくなっていると感じます。こちらがシングルに収録され、シングルに収録されていた方がリミックスとして発表されたとしても違和感がありません。また、アウトロの雰囲気はオリジナルから変化していて、気に入っているポイントです。オリジナルと同じ音を使っても印象が変わるのが不思議です。

リミックスでは、基本的にオリジナルの素材を使用するわけですが、それでも印象が変わるのは熟練のエンジニアだからこそでしょうか。オリジナルの良さや雰囲気を残しつつ、異なる印象を与えるというのは難度の高いことだと思います。言うなれば「光の当たる角度や聴き手の視点を変える」といったアプローチであり、曲は新たな表情を見せてくれます。オリジナルとリミックス、オリジナルとカバーなど、違いを楽しむというのも音楽の魅力のひとつですよね。
2018.02.20
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by mura-bito | 2018-02-20 21:45 | Music | Comments(0)
PANDORA – proud of you [feat. KAMEN RIDER GIRLS]
2018年1月24日に、PANDORA小室哲哉/浅倉大介)のシングル「Be The One」がリリースされました。2人がPANDORAとして最初に制作した曲は「Be The One」ですが、その次に作ったのが「proud of you」という曲です。シングルの2曲目に収録されており、ダウンロードやストリーミングでも聴くことができます。
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『Sound & Recording Magazine 2018 MARCH』に掲載されたインタビューによると、軽井沢のホテルでPANDORAの撮影を行なったときに、小室さんが作った音から「proud of you」が生まれたとされます。小室さんは「自分の仕事の大部分は音作り」と語りますが、このときはreFX社のソフト・シンセ「Nexus2」で音を作ったとのことです。Nexus2はソフト・シンセを導入した頃から使い続けていますね。なお、小室さんはソフト・シンセのベスト3としてTONE2社「Electra2」、Reveal Sound社「Spire」、IK Multimedia社「SampleTank」を挙げました。

ソフト・シンセの音は一定間隔で追加され、アップデートされていきます。小室さんは増え続ける音からそのときに必要な音を選んでから、自分のイメージに近づけるために時間をかけて調整を重ねます。メロディや詞よりも音作りに時間を割く姿は、音作りの職人です。従来の作曲家、作詞家、キーボード・プレーヤー、プロデューサーという面ももちろん持ち合わせていますが、ソフト・シンセを導入してからは音作りへの探究心が高まっているようです。先述のインタビューでも、音作りの可能性に言及していました。なお、最初に作った音は「平歌」(イントロの後からサビの前まで)で聴ける、と大ちゃんは語ります。

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「proud of you」の音の特徴は「重さ」と「歪み」です。「Be The One」と比べると重く、歪んでいます。重心が低いというべきか、ずしりとした重みを感じます。厚い雲に覆われたようなイメージが浮かび、光よりは陰を感じます。音は途中で厚みを増したかと思うと一転して雰囲気を変え、さらに歪み、それまでとは異なる光景が見えます。白昼夢のような異世界に放り込まれ、やがて渦を思わせる音の歪みの中から歌声が聞こえてくると、元の世界に戻ってくる感覚を覚えます。そしてアウトロでは、雲の隙間から一筋の光が差し込んできます。

ボーカルとして参加しているのは「KAMEN RIDER GIRLS」と名乗る4人(井坂仁美/秋田知里/鷲見友美ジェナ/黒田絢子)です。仮面ライダーの放送開始40周年を記念して結成されたグループであり、歌によって「仮面ライダーの世界観を広める」とのことです。「proud of you」の曲調やテンポは、歌い手にとってけっこう難しかったのではないかと思います。勢いでは歌えないというべきか。彼女たちの歌を何度か聴いているうちに、「渦の中に沈んでいくような音の中で光を捜し求めるような歌声」というイメージが浮かびました。
2018.02.01
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by mura-bito | 2018-02-01 21:01 | Music | Comments(0)
[PART2] PANDORA「Be The One [feat. Beverly]」:音をつないでトップスピードで駆け抜けるフルサイズ・バージョン
PANDORA小室哲哉/浅倉大介)が最初の曲「Be The One」を配信したのは2017年9月です。オープニング・テーマとして使われている「仮面ライダービルド」の開始に合わせてのことでしたが、配信されたのは番組で使用するサイズ(約80秒)でした。その先を聴きたいと思い続けて数ヶ月が経ち、やがて2018年が始まると、ついにフルサイズ・バージョンが公開されました。ダウンロードあるいはストリーミングで聴くことができます。
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フルサイズ・バージョンでは新しい音とメロディが加わり、Beverlyが歌う部分も増えて曲の厚みが増しました。オーソドックスな意味での緩急をつけていない構成だと思います。ドラムを抜いたりボーカルを強調させたりするような「緩い」部分がないのにもかかわらず、単調ではありません。厚みを維持したまま、雰囲気の異なる音を差し込んで前後をつないだり、前の音を引き継ぎながら体感速度を上げたりするというアプローチが、「落差によるものではないダイナミックな展開」を生み出しています。

イントロからAメロに入り、ダブステップ系の音を挟んでサビへつなげ、間奏ではサビの音を引き継ぎながら別の音を重ねて駆け抜けて、2番のAメロに突入します。2番のサビ以降は、サビから間奏、そしてヴォコーダー処理された音声(“3, 2, 1” と聞こえる)を瞬間的に挟んで突入する最後のサビまで、下がることなく上がった(勢いを維持した)まま突き進みます。音とともに、聴き手の気持ちもまた高揚し続けます。



PANDORA – Be The One [feat. Beverly]

イントロから生産・蓄積されてきたその勢いに拍車をかけるのが、最後のサビに乗って聴き手に畳みかけてくる英語のフレーズです。リズミカルに流れる英語の響きがメロディや音、そして歌声と組み合わさり、曲はスピードを落とすことなくエンディングを迎えます。アウトロはないため、歌とともに曲が終わります。空気を震わせる音や声の余韻から、僕は「目の前に真っ白な光が広がる」というイメージを抱きました。

新たに加わった部分で心に引っかかったのは ♪未来へつなごう 過去をいたわろう♪ という歌詞です。「過去を労わる」という言葉は独特で、小室さんが書いたものと思われますが、思い出すのはTM NETWORKが2014年に発表した「Always be there」という曲です。この曲に ♪思い出をうやまう♪ という歌詞が出てきます。過ぎ去った時間に向けた優しい眼差しとでもいうべき言葉です。昔を懐かしむというより、肯定してその延長線上に今が、そしてこの先があることを示す言葉だと思います。
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今後は「Be The One」のCDが発売され(「proud of you」という曲も収録されます)、インストゥルメンタルを含む数曲を収録したアルバムもリリースされるそうです。PANDORAという名の「どこに行くか分からない小室さんとバランスを取りつつ悪ノリしそうな大ちゃんとのコラボレーション」がさらに楽しめることを嬉しく思います。期待は膨らむばかりですね。
2018.01.18

◆追記
「“3, 2, 1” と聞こえる」と思っていた箇所は、“Be The One“ です。一度 “3, 2, 1” だと思い込むと、そうとしか聞こえなくなりますね。まあ、“One” は合っていたということで、どうかひとつ…

2018.01.28
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by mura-bito | 2018-01-18 18:08 | Music | Comments(0)
[PART1] PANDORA「Be The One [feat. Beverly]」:デュオというスタイルから生まれるTKDAエレクトロニック・ミュージック
PANDORA小室哲哉/浅倉大介)というプロジェクトが立ち上げられたのは、小室さんがThe Chemical Brothersのステージを観たことがきっかけです(『Keyboard magazine 2017 AUTUMN No. 398』より)。「曲を制作して、ステージでミキサーを操作しながらパフォーマンスする」という手法は新しいものではありませんが、それを「デュオ」という形式で行なうことが重要だったようです。そのイメージを実現するにあたり、自分と同じメロディ・メーカーでありキーボード・プレーヤーでありDJ/プロデューサーであり、そして気心も知れた人物ということで、大ちゃんとのコラボレーションがベストだと考えたのでしょう。
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AVICIIとNicky Romeroなど挙げたらきりがありませんが、エレクトロニック・ミュージックのプロデューサーどうしが組むという活動スタイルは世界的に馴染みのある光景です。また、Axwell Λ Ingrosso、Dimitri Vegas & Like Mike、Grey(Kyle Trewartha/Michael Trewartha)、KUURO(Jordin Post/Luke Shipstad)など、デュオとして活動するケースもありますし、David GuettaとAfrojackのような師弟コラボレーションもあります。PANDORAもまたハイレベルな師弟デュオのひとつと言うことができるかもしれません。

「DJ/プロデューサーのデュオ」というスタイルに至ったのは、小室さんにとって自然な流れです。というのも、TM NETWORKの原点は木根さんとの「作曲デュオ」とでもいうべきスタイルだからです。木根さんの回想によれば、「2人で曲を書いて、シンセサイザーで音を作るグループ」というのが小室さんの構想だったようです。



PANDORA – Be The One [feat. Beverly]

当時、小室さんは「3人組が音楽を制作する最小単位だ」と考え、3人という構成を重視していました。音楽的にもビジュアル的にもボーカリストは不可欠だったと思いますが、そもそもボーカリストのいないグループという発想が生まれる余地があったのかどうか。最初は海外出身のボーカリストを据えようとしましたが、諸事情あってウツに声をかけたという話はよく知られています。メロディとシンセサイザー(あるいは打ち込み)と歌は自分たちで担当して、他の音は他のミュージシャンに任せていました。

けれども、当時から「フィーチャリング」という手法が存在していれば、TM NETWORKはボーカリストのいない2人組になっていたとも考えられます。まあ、そこには「木根さんがコンピューターやシンセサイザーに詳しい」という条件が付くのですが。そのため、その条件を満たす大ちゃんがいたからこそPANDORAは誕生しました。もしかしたら存在していたかもしれない過去を35年後の未来で実現したのがPANDORA、などという想像をしてみるのも楽しい。
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制作環境やリスニング手段の変化、EDMムーブメントによるエレクトロニック・ミュージックの再興など、いくつかの要因が絡み合ってPANDORAのような活動スタイルが無理なく成立するようになりました。まだまだ増えていくものと思われます。エレクトロニック・ミュージックにとって今は、ブームとは少し違った「層が厚みを増す」プロセスなのかもしれません。
2018.01.16

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by mura-bito | 2018-01-16 21:56 | Music | Comments(0)
[PART3] TM NETWORK「MAJOR TURN-ROUND」:32分21秒の音楽体験、過去と現在と未来の交錯、刷新される音の記憶
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FIRST IMPRESSIONの音がカット・アウトすると、間を置かずにSECOND IMPRESSIONのドアが開き、そこから響いてくるメロトロンの音が聴き手を招き入れます。緩やかなテンポで「MAJOR TURN-ROUND」の中で最も重厚なバンド演奏が繰り広げられます。音の塊はやがて小さくなっていき、荒れた水面から波がすっと引くような、静かな雰囲気の音になります。小室さんが弾くピアノが静謐な響きを紡ぎ、木根さんが爪弾くアコースティック・ギターは過去の記憶を探して彷徨います。そしてバンドの音が戻り、「MAJOR TURN-ROUND」の中で最もスリリングな演奏が始まります。途中まではピアノとベースとドラムのトリオ演奏です。それぞれのスタイルを存分に見せつけながら音が展開していき、やがてギターの音が重なります。

「MAJOR TURN-ROUND」のリズムを構築するのは、Simon PhillipsとCarmine Rojasです。Simon Phillipsのドラムは、CDとは思えないほどの迫力を感じさせます。僕は彼のプレイを上原ひろみのコンサートで聴いたことがありますが、実際に生で体験できる喜びと、期待を遥かに上回る格好良さに震えたのを覚えています。一方、Carmine Rojasは、David Bowieのツアーでバンドを統率したこともあるベーシストです。「MAJOR TURN-ROUND」は多くの音が交錯する曲ですが、ベースの音が全体を包み込んでいるのではないかと思うほど、ずしりと重く、厚い音で存在感を示しています。

ドラムとベースに支えられ、小室さんのピアノが走ります。このソロはKeith Jarrettを意識したと、後に小室さんは語りました。小室さんとプログレを結びつける人物として最初に挙がるのはKeith Emersonでしょうが、実はジャズ・ピアニストのKeith Jarrettをイメージしたという話には驚きました。その後も、自身のソロ作品でもKeith Jarrettについて言及する場面がありました。とはいえ、特にピアノの演奏スタイルについては、むしろRick Wakemanの影響の方が大きいのではないかと思います。Rick Wakemanが参加したYesの大作「Close to the Edge」やソロ・アルバム『The Six Wives of Henry VIII』を聴いていると、そう感じます。
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最後のパートであるTHIRD IMPRESSIONが始まると、音は少し明るめに響き、ポップな色に染まります。THIRD IMPRESSIONの前半で聴ける音は、ハウスというべきか、あるいは小室さんが傾倒していたトランスというべきか、プログレでは使われないであろうダンス・ミュージックのループ・サウンドです。そうした音が呼び込んだのかもしれませんが、歌詞はこれまでのパートより前向きなものになります。FIRST IMPRESSIONを現在、SECOND IMPRESSIONを過去とするなら、THIRD IMPRESSIONは未来に向かっていく音や言葉を発しています。

音は目まぐるしく、ダイナミックに展開します。地を這うようなベースとキックが鳴り終わると、曲はがらりと雰囲気を変えます。葛城哲哉が弾くギターの音は哀愁の色を帯び、音が紡がれるたびにその色は濃くなります。他のパートでも印象的なギターを披露していますが、THIRD IMPRESSIONでは心をぐっとつかむ音を鳴らしています。バンドの演奏を背にして、ウツの歌もエモーショナルに曲を彩ります。

メロトロンが鳴り響き、終着点に向かう曲を導きます。過去に吹き込まれた音が時間を越えて呼び戻され、空気を震わせます。録音されたものを聴く限りでは、他の音とのバランスを取っているのか、メロトロンは後ろの方に位置しています。ライブでは、小室さんが弾くメロトロンはストリングスとコーラスを鳴らし、前に前に出てきて、ベースやドラム、ギターを率いて壮大な雰囲気を醸しながらクライマックスを迎えます。32分という長大な曲の幕が閉じると、記憶のあちこちに音が残っているのが分かります。その欠片を拾い集めようとして最初から「MAJOR TURN-ROUND」を聴くと、音の記憶は刷新されていくのです。
2017.12.07
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by mura-bito | 2017-12-07 21:02 | Music | Comments(0)
[PART2] TM NETWORK「MAJOR TURN-ROUND」:重なる三つの「印象」を通り抜けながら体験する音の世界と記憶の揺らぎ
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「MAJOR TURN-ROUND」の収録時間は32分を超えます。いわゆる組曲の形式ですが、全体は3つのパートに分かれており、それぞれFIRST IMPRESSION、SECOND IMPRESSION、THIRD IMPRESSIONと名付けられています。この構成と命名は、Emerson, Lake & Palmerのアルバム『Brain Salad Surgery』に収録された「Karn Evil 9」の構成(1st Impression~3rd Impression)に沿っている…というより、そのままですね。

「Karn Evil 9」での意味合いは分かりませんが、「MAJOR TURN-ROUND」で各パートの名称にIMPRESSIONという言葉を採用したのは、この曲がテーマとして持っている要素のひとつが「記憶」だからだと思います(あるいはIMPRESSIONから「記憶」というテーマが生まれたのかもしれませんが)。impressionという語は印象・感銘という意味ですが、これは「心に残る痕跡」とでもいうべき現象です。心に刻み込まれて残り続けるもの、それは記憶と呼ぶこともできるのではないでしょうか。例えば、FIRST IMPRESSIONは「第一印象」というより、無数に存在して眠っている記憶の中で最初にアクセスする記憶のことなのではないか。

音を変えて多くの言葉を散りばめることで、「MAJOR TURN-ROUND」は「記憶とは何か?」というテーマにアプローチします。小室さんがこの曲について「最後の方になると、最初の部分がどのようなものだったのか記憶は曖昧になる」と語ったように、人間の記憶はそこまで強固なものではなく、時間とともに薄れていくものです。メディアに記録された音は揺るがないものですが、それを聴く人間の記憶はファジーであり、揺るがないはずの音は記憶の中で揺らぎます。記憶の揺らぎをひとつの曲の中で体験することで、誰もが知っている「記憶は揺らぐもの」という事実が身体的に刻み込まれます。
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「MAJOR TURN-ROUND」の開幕を告げるのは、壊れた換気扇が鳴らす乾いた音です。水面に落ちた墨がじわりと広がっていくようにベースとドラムが音の世界の輪郭をゆっくりと描き、シンセサイザーの音が聴き手をFIRST IMPRESSIONの中に取り込んでいきます。僕らの意識は音もなく音の中に沈んでいきます。さまざまな音が重なり、交錯します。チューブラー・ベルズの乾いた金属音が響き、ギターがテーマ・メロディを運んできます。音の世界は、ウツの歌声によって立体的に立ち上がり、小室みつ子さんの書いた歌詞によって陰影が生まれます。

曲は表情を次々と変えます。FIRST IMPRESSIONの中でもパート分けができるくらいに、浮き沈みの激しいダイナミックな展開を見せます。展開が徐々に切り替わるのではなく、急上昇や急転直下で音がいきなり変わるのが特徴です。途中で「オペラ座の怪人」を彷彿とさせるメロディが顔を覗かせ、不穏な雰囲気を醸しますが、その前の演奏が力強いために闇は一層濃く目に映ります。音の変わりようから、太陽が月に呑み込まれる日蝕のイメージが浮かびました。メロトロンに記録されたストリングスの音がメランコリックに空気を震わせます。

FIRST IMPRESSIONの終盤になると、それまで溜め込んだエネルギーを発散しながら、音が音を巻き込み、曲は勢いを増していきます。アスファルトにタイヤを切りつけながら走る車のように、ぐいぐいとスピードを上げて駆け抜けていく。スネアやハイハットの音が鋭く大きく力強く響き、他の楽器を煽ります。また、ライブで顕著だったのですが、この部分ではハモンドの音が強烈な存在感を示しており、荒々しいロック・オルガンが曲を強靭なものにしています。音が交差して主張し合う中で、ウツのボーカルはノイズと混ざり合いながら、異なる空間からのメッセージのように響きます。
2017.12.06
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by mura-bito | 2017-12-06 21:31 | Music | Comments(0)
[PART1] TM NETWORK「MAJOR TURN-ROUND」:プログレに新しい生命を吹き込み、21世紀の扉を開いたキーボード・サウンド
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TM NETWORKのオリジナル・アルバム『Major Turn-Round』がリリースされたのは、世紀が変わる直前の2000年12月です。アルバムはプログレッシヴ・ロック(プログレ)という音楽ジャンルで制作されており、その特徴を決定づけているのが表題曲の「MAJOR TURN-ROUND」です。アルバムに収録された「WORLDPROOF」、「IGNITION, SEQUENCE, START」、「PALE SHELTER」、「CUBE」などの曲も異なる角度からプログレらしさを見せますが、やはりアルバム収録時間のほぼ半分を占める「MAJOR TURN-ROUND」が中心となっています。

プログレが隆盛を誇った1970年代前半、中高生だったTM NETWORKの3人はその音楽をリアルタイムに体験しています。特に小室さんはプログレのバンドを組んでいたこともあり、少なからず影響を受けたと思われます。プログレは1984年のデビュー以降は活動の中心にはならなかったものの、「VAMPIRE HUNTER D」や「THINK OF EARTH」といった小室さんのソロの要素が強い曲、ライブでのキーボード・ソロではプログレが意識されていました。プログレの作品と言えそうなのはアルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』でしょうか。当初は30~40分の曲をメインに据えるプログレのアルバムを構想していたものの、最終的には複数の曲に分割され、そして物語を軸にした音楽とライブは演劇やロック・ミュージカルに近かったと言う方が適しています。

こうしたプログレへのアプローチが散見される中で、徹底的にプログレに取り組んだのが『Major Turn-Round』です。メジャー・レーベルから撤退して、自らのインディー・レーベル「ROJAM Entertainment」からリリースされました。アルバムの中でも特に「MAJOR TURN-ROUND」のテーマやサウンドには、YesやEmerson, Lake & Palmer、Pink Floydなどの影響が色濃く見えます。後に小室さんが語った言葉を借りれば「遊びの極致」。アマチュア時代を思い出すことでそういう言葉が出てきたのでしょうが、実にミュージシャン的で良いと思います。なお、2014年にはソフト・シンセの音を多用した「QUIT30」というプログレの曲を作り、先端的な4Kの映像とともにライブで披露しました。
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「MAJOR TURN-ROUND」の特徴は、かつて隆盛を誇ったプログレ・サウンドに再び生命を吹き込むキーボードの音です。オールド・シンセサイザーの名器であるミニ・モーグ・シンセサイザーやメロトロン、オーバーハイムに加え、ロック・オルガンの代名詞であるハモンド、ジャズやフュージョンで使われるローズ・ピアノなど、プログレらしいキーボードの共演が実現しました。絡み合うキーボードの音は、僕にとってすべてを聞き分けることは難しいのですが、それでも「音の重なりや交差」や「ひとつの楽器の音が屹立する瞬間」を楽しむことができます。

特筆すべきはメロトロンです。メロトロンはいうなればテープレコーダーであり、音が記録されたテープが内蔵されていて、鍵盤ひとつひとつに連動しています。各テープにはコーラスやストリングス、フルート、ブラスなどが録音されています。和音の種類や音の消滅(音の出る時間が約8秒と、テープの長さに依存している)の組み合わせで、ある程度バリエーションのある表現が可能な楽器です。サンプラーやソフト・シンセが発達した今では化石にも等しい存在ですが、当時の音を知っているミュージシャンにとって本物を弾けるのは特別な体験のようです。

1996年にtk-trapというプロジェクトのライブで小室さんが「CAROL」組曲を披露したとき、キーボードの配置はYesのキーボード・プレーヤーであるRick Wakemanを参考にしたといいます。このときに、できればメロトロンも使いたいと語ったそうですが、実現しませんでした。ほとんど生産されておらず、中古でもなかなか手に入らない代物だったそうで。しかし、2000年に「MAJOR TURN-ROUND」を録音したときは中古のメロトロンを手に入れ、ライブではさらに新品を加えて2台のメロトロンを弾きました。「遊びの極致」とは言いながらも、「MAJOR TURN-ROUND」の制作は「ミュージシャンとしての本領発揮」といえることは間違いないでしょう。
2017.12.05
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by mura-bito | 2017-12-05 21:51 | Music | Comments(0)
[PART2] TM NETWORK『EXPO』:夜空に螺旋を描くエレクトロニック・サウンド
ハウス系TMサウンドに焦点を当てたとき、アルバム『EXPO』の中でも重要なポジションを占める曲が「JUST LIKE PARADISE」です。身体を揺らすのに最適なテンポで、心地好いエレクトロニック・サウンドが流れます。その音は「夜の陰に紛れている」とでもいうような、境界線の曖昧な感じがします。クールであり、シニカルな部分も見え隠れする。表には見えない、隠された色気のような魅力がある曲です。

歌詞はすべて英語で書かれており、ループするサウンドに絡ませた言葉のインスタレーションが目の前に広がります。歌とラップとポエトリー・リーディングが入り混じり、言葉を散りばめ、交差させ、重ねます。それは愛の囁きにも聞こえるし、地球を俯瞰したメッセージにも聞こえます。地上で交わす言葉、宇宙から届く言葉。視点はダイナミックに移ろいます。

ライブでは、オリジナルの音をもとにしながら発展させたアレンジが特徴的でした。ライブでのアレンジは、1991年にかけて1992年に行なわれたホール・ツアーと、アリーナクラスの会場で実施したアリーナ・ツアーで、部分的に音が異なっています。ホール・ツアーでは、サビでアクセントとしてループしていた音を前面に押し出し、一方でアリーナ・ツアーでは曲の終盤で小室さんがソロを弾いて、会場を盛り上げました。切なさを呼び起こすメロディを繰り返しながら音の高さを上げていくことで、どんどん高揚していく、強烈なリフレインです。
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ハウス系の曲として忘れてはならないのが「あの夏を忘れない」ですね。起伏の少ない展開で単調とさえいえるのですが、中毒性はかなり高い。キラキラとした光をイメージさせるシンセサイザーの音が淡々とループを続け、ベースやギターの音と絡み合います。ゆるりとしたテンポに包まれて、指先で肌をなでるようなメロディに、情熱的な言葉が重なります。言葉の奔流が止まると、淡々とした音が再び聴き手を抱きすくめる。

音は円を描きながら、イメージの中で螺旋を描きます。それも上昇するのではなく、下降するスパイラル。同じところをぐるぐる回っていたようで、いつの間にか下に下に落ちていた。僕が曲名や歌詞からイメージするのは、太陽の下で過ごした眩しい記憶を真夜中の片隅でぼんやり思い返している人間の姿です。止まった時の中に留まり続けるメランコリックな一夜は、ただの眠れない夜ではなく、何も見えない闇の中を彷徨い歩く時間です。

1993年のリミックス・アルバム『CLASSIX 1』では、大胆に音を削ぎ落とした「あの夏を忘れない」を聴くことができます。リズム・セクションを抜き、シンセサイザーの音も前に出さないリミックスであり、ボーカルの存在感が一層強まっている。分厚い音を重ねていくダンス・ミュージックの概念はひっくり返され、静謐な空気の中でエレクトロニック・サウンドの「粒」を感じさせます。ここまでサウンドをスリムにされると、オリジナルでも使われていた音が異なる響きを持ち、より深みのある哀愁が漂います。

2017.10.11
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by mura-bito | 2017-10-11 21:45 | Music | Comments(0)

fujiokashinya (mura-bito)
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