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タグ:TM NETWORK ( 299 ) タグの人気記事
TMN EXPO/CLASSIX PLAYLIST
TM NETWORKがTMNという名義で活動していた時期のアルバムから12曲をピックアップし、プレイリストをつくって聴いています。1991年には『EXPO』、1993年には『CLASSIX 1』と『CLASSIX 2』の2枚がリリースされました。『EXPO』はハウス・ミュージックを中心に、ロック、フォーク、ラテン・ミュージック、プログレなどを含む雑食性の高いアルバムです。『CLASSIX』は当時のテクノ・サウンドでリミックスした曲を多く収録したリミックス・アルバムです。
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この時期のTM NETWORKの音はロックからハウス・ミュージックへ移り、そしてテクノ・スタイルへの傾倒を見せます。先述のアルバムには、こうしたジャンル以外の曲も入っていますが、ロック、ハウス、テクノを標榜した音で括ってみます。深く考えずに曲を選んでプレイリストに加えていくと、各ジャンルの曲数が4曲になっていました。直感で選んだ割には意外とバランスがいい。

ハウス系は「WE LOVE THE EARTH」、「JUST LIKE PARADISE」、「RHYTHM RED BEAT BLACK」、「あの夏を忘れない」。ロック系は「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」、「69/99」、「TOMORROW MADE NEW」、「JUST ONE VICTORY」。そしてテクノ系は「DIVE INTO YOUR BODY」、「U.K. PASSENGER」、「WILD HEAVEN」、「HUMAN SYSTEM」です。

TMN EXPO/CLASSIX PLAYLIST

WE LOVE THE EARTH -Ooh, Ah, Ah, Mix-
JUST LIKE PARADISE -expo overdub mix-
RHYTHM RED BEAT BLACK -house sample foods mix-
DIVE INTO YOUR BODY -extended 12' version mix-
THE POINT OF LOVERS’ NIGHT -rhythm red version-
69/99 -rhythm red version-
U.K. PASSENGER -u.k. lap techno mix-
WILD HEAVEN -extended hard core mix-
TOMORROW MADE NEW
あの夏を忘れない
HUMAN SYSTEM -café de paris mix-
JUST ONE VICTORY -single 7' version-

「WE LOVE THE EARTH」はシングルとアルバムで雰囲気が大きく変わります。ここで選んだのはアルバム・ミックスです。というかこのミックスを起点にして、この時期の音でまとめられそうな曲を組み合わせてこのプレイリストを作成しました。次にピックアップしたのが「RHYTHM RED BEAT BLACK」です。もともとトーキング・モジュレーターやスクラッチを盛り込んだハウス系トラックでしたが、このリミックスで派手な音が加わって、より熱く、クールな曲になりました。この2曲をつなぐのが「JUST LIKE PARADISE」のリミックスです。最初はオリジナル・ミックスを置いてみたものの、この2曲をつなぐためには音に厚みのあるリミックスの方がフィットしました。

「DIVE INTO YOUR BODY」のリミックスは『CLASSIX 1』におけるテクノ化を象徴する曲です。固い感じのシーケンサーと、今でいうならボーカロイドのようなサンプリング・ボイスを短く刻んで重ねているのが特徴的ですね。オリジナルと同時期に制作された「DIVE INTO YOUR BODY -12'' Club Mix-」(ベースの印象を強くしたり間奏を長くしたりしたリミックス)を下敷きにしつつ、1993年の音を被せています。

「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」「69/99」は『CLASSIX』に収録されたバージョンですが、これらはリミックスではなく、オリジナル・アルバム『RHYTHM RED』に収録されたものの音圧を上げた感じです。プレイリストをハウスとテクノでまとめると単調になったので、ロックの要素を注入したら、ぎゅっと締まりました。同じアルバムに収録されていいるもののタイプの異なる2曲を、こうして並べてみるとTMロック・スタイルの振れ幅を楽しむことができます。ちなみに「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」は、まっちゃん(松本孝弘)が好きと言っていた曲です。彼がサポートを続けていて、この曲でも弾いていたらどのような雰囲気になったのか興味があります。
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「U.K. PASSENGER」はオリジナルのアウトロでカットされていた部分をフィーチャーして、分厚いベースとテクノ系のシーケンサーを重ねたものです。ファンクを感じるホーン・サウンドとエレクトロニック・サウンドが混ざり合います。ラップを入れているのは後にmassive attackを結成するメンバーです。オリジナルが録音されたのは1986年ですが、スタッフが六本木で会って意気投合した彼らをレコーディングに呼んだそうですが、当時らしいというべきか、とんでもないエピソードです。

「WILD HEAVEN」のリミックスでは『CLASSIX 2』で最もテクノに寄った音を聴くことができます。もっといえば、『CLASSIX』という企画においてテクノの要素が最も強く反映されています。その最大の特徴は、8分半のうち3分半に及ぶアウトロですね。別のインストゥルメンタルをつなげているようなものです。この部分に、小室さんがやりたかったテクノを感じます。ここで聴けるシンセサイザーのリフは、この後もよく耳にした気がします。

「TOMORROW MADE NEW」と「あの夏を忘れない」はアルバム『EXPO』の曲です。「TOMORROW MADE NEW」は、ハード・ロックを標榜した前作のツアーで披露され、アレンジを変えて『EXPO』で録音されました。オルガンの響きが1970年代ロックの匂いを漂わせます。「あの夏を忘れない」には『CLASSIX』に収録されたリミックスもありますが、リズムを抜いたり音数を減らしたりしているので、バランスとしてオリジナルの方が合うと思いました。オリジナルの厚すぎないハウス・サウンドや哀愁漂うギターが、ロックとテクノをつなぐこの位置にフィットするのです。

ミディアム・テンポの「HUMAN SYSTEM」は、オリジナルにはバンド演奏ならではの柔らかさがありました。リミックスで差し替えられたリズムは分厚い、とても分厚い。音の厚みとメロディの柔らかさが対照的ですね。スポットライトを浴びたサックスのソロも叙情的に響きます。このリズムの雰囲気はそれから20年後のコンサート(2013年の「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」)でも踏襲されました。キックの音が太く厚いほど、そこに乗るボーカルやシンセサイザーのメロディが胸に沁みます。

プレイリストを締め括るのは「JUST ONE VICTORY」の1993年バージョンです。アルバムからシングル・カットされた1989年バージョンを下敷きにしており、音の密度がさらに大きく感じられるのが特徴です。スネアが身体に響いてきて、ロックの熱を感じます。アウトロがフェイド・アウトしない点が、この位置に配置した理由です。もともと組曲の最後を飾っていた曲なので締め括りとしては最適なのですが、こうして音だけで構成したプレイリストでも最後をぎゅっと締めてくれますね。ステージが光に包まれて、幕が下ろされるイメージが浮かびます。
2018.06.27
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by mura-bito | 2018-06-27 22:50 | Music | Comments(0)
T.UTU with The BAND「GET WILD PANDEMIC」:ロック・スターが放つ色気、バンドが生み出すヘビーなアンサンブル
T.UTU with The BANDが演奏する「GET WILD PANDEMIC」は、2017年10月25日から配信されています。先日、YouTubeでミュージック・ビデオの一部が公開され始めました。T.UTU with The BANDによるライブ(というか開演前にステージを使って撮影されたであろう映像)をもとに、“pandemic” を表現する要素(ウイルスが増殖する感じ)が加えられています。
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スタンドマイクを操って歌うウツの姿は、紛れもなくロック・スターです。25年前にソロ活動を始めた頃のコンセプトは「1970年代ロック」であり、ジャケットや映像で漂わせる色気は相当なものがありました(きっと大勢のファンが悶絶した)。「GET WILD PANDEMIC」で放つ色気は、当時に勝るとも劣りません。かつてウツの憧れの対象はRod Stewartだったと思いますが、こうして年齢を重ね、音楽を続けてきたことで、本当に近づいている気がします。



T.UTU with The BAND – GET WILD PANDEMIC

TM NETWORKでは、「GET WILD」は代表曲でありながら(代表曲だからこそ)素材として扱われることが多く、ライブやリミックスで新たな姿を見せてきました。解体と再構築が運命づけられた曲ですね。TM NETWORKでもロックに寄ることがありましたが、ウツと小室さんとでは、解釈のベクトルあるいは次元が違っているのがおもしろいですね。ここまでブルージーな演奏で表現できるのは、やはりウツならではであり、このバンドだからこそと言えるでしょう。

バンドのメンバーは土橋安騎夫(Keyboards)、山田亘(Drums)、葛城哲哉(Guitar)、是永巧一(Guitar)、種子田健(Bass)です。歴戦のロック・ミュージシャンが演奏する「GET WILD PANDEMIC」を聴いたとき、とにかく音が太くて格好良いと思いました。しみじみと「ロックにおける音の太さ・厚みというのはこういうことだよな」と思います。ツイン・ギターを筆頭にしたヘビーな音の塊が中毒症状をもたらします。
2018.03.13
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by mura-bito | 2018-03-13 19:53 | Music | Comments(0)
[PART3] TM NETWORK「MAJOR TURN-ROUND」:32分21秒の音楽体験、過去と現在と未来の交錯、刷新される音の記憶
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FIRST IMPRESSIONの音がカット・アウトすると、間を置かずにSECOND IMPRESSIONのドアが開き、そこから響いてくるメロトロンの音が聴き手を招き入れます。緩やかなテンポで「MAJOR TURN-ROUND」の中で最も重厚なバンド演奏が繰り広げられます。音の塊はやがて小さくなっていき、荒れた水面から波がすっと引くような、静かな雰囲気の音になります。小室さんが弾くピアノが静謐な響きを紡ぎ、木根さんが爪弾くアコースティック・ギターは過去の記憶を探して彷徨います。そしてバンドの音が戻り、「MAJOR TURN-ROUND」の中で最もスリリングな演奏が始まります。途中まではピアノとベースとドラムのトリオ演奏です。それぞれのスタイルを存分に見せつけながら音が展開していき、やがてギターの音が重なります。

「MAJOR TURN-ROUND」のリズムを構築するのは、Simon PhillipsとCarmine Rojasです。Simon Phillipsのドラムは、CDとは思えないほどの迫力を感じさせます。僕は彼のプレイを上原ひろみのコンサートで聴いたことがありますが、実際に生で体験できる喜びと、期待を遥かに上回る格好良さに震えたのを覚えています。一方、Carmine Rojasは、David Bowieのツアーでバンドを統率したこともあるベーシストです。「MAJOR TURN-ROUND」は多くの音が交錯する曲ですが、ベースの音が全体を包み込んでいるのではないかと思うほど、ずしりと重く、厚い音で存在感を示しています。

ドラムとベースに支えられ、小室さんのピアノが走ります。このソロはKeith Jarrettを意識したと、後に小室さんは語りました。小室さんとプログレを結びつける人物として最初に挙がるのはKeith Emersonでしょうが、実はジャズ・ピアニストのKeith Jarrettをイメージしたという話には驚きました。その後も、自身のソロ作品でもKeith Jarrettについて言及する場面がありました。とはいえ、特にピアノの演奏スタイルについては、むしろRick Wakemanの影響の方が大きいのではないかと思います。Rick Wakemanが参加したYesの大作「Close to the Edge」やソロ・アルバム『The Six Wives of Henry VIII』を聴いていると、そう感じます。
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最後のパートであるTHIRD IMPRESSIONが始まると、音は少し明るめに響き、ポップな色に染まります。THIRD IMPRESSIONの前半で聴ける音は、ハウスというべきか、あるいは小室さんが傾倒していたトランスというべきか、プログレでは使われないであろうダンス・ミュージックのループ・サウンドです。そうした音が呼び込んだのかもしれませんが、歌詞はこれまでのパートより前向きなものになります。FIRST IMPRESSIONを現在、SECOND IMPRESSIONを過去とするなら、THIRD IMPRESSIONは未来に向かっていく音や言葉を発しています。

音は目まぐるしく、ダイナミックに展開します。地を這うようなベースとキックが鳴り終わると、曲はがらりと雰囲気を変えます。葛城哲哉が弾くギターの音は哀愁の色を帯び、音が紡がれるたびにその色は濃くなります。他のパートでも印象的なギターを披露していますが、THIRD IMPRESSIONでは心をぐっとつかむ音を鳴らしています。バンドの演奏を背にして、ウツの歌もエモーショナルに曲を彩ります。

メロトロンが鳴り響き、終着点に向かう曲を導きます。過去に吹き込まれた音が時間を越えて呼び戻され、空気を震わせます。録音されたものを聴く限りでは、他の音とのバランスを取っているのか、メロトロンは後ろの方に位置しています。ライブでは、小室さんが弾くメロトロンはストリングスとコーラスを鳴らし、前に前に出てきて、ベースやドラム、ギターを率いて壮大な雰囲気を醸しながらクライマックスを迎えます。32分という長大な曲の幕が閉じると、記憶のあちこちに音が残っているのが分かります。その欠片を拾い集めようとして最初から「MAJOR TURN-ROUND」を聴くと、音の記憶は刷新されていくのです。
2017.12.07
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by mura-bito | 2017-12-07 21:02 | Music | Comments(0)
[PART2] TM NETWORK「MAJOR TURN-ROUND」:重なる三つの「印象」を通り抜けながら体験する音の世界と記憶の揺らぎ
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「MAJOR TURN-ROUND」の収録時間は32分を超えます。いわゆる組曲の形式ですが、全体は3つのパートに分かれており、それぞれFIRST IMPRESSION、SECOND IMPRESSION、THIRD IMPRESSIONと名付けられています。この構成と命名は、Emerson, Lake & Palmerのアルバム『Brain Salad Surgery』に収録された「Karn Evil 9」の構成(1st Impression~3rd Impression)に沿っている…というより、そのままですね。

「Karn Evil 9」での意味合いは分かりませんが、「MAJOR TURN-ROUND」で各パートの名称にIMPRESSIONという言葉を採用したのは、この曲がテーマとして持っている要素のひとつが「記憶」だからだと思います(あるいはIMPRESSIONから「記憶」というテーマが生まれたのかもしれませんが)。impressionという語は印象・感銘という意味ですが、これは「心に残る痕跡」とでもいうべき現象です。心に刻み込まれて残り続けるもの、それは記憶と呼ぶこともできるのではないでしょうか。例えば、FIRST IMPRESSIONは「第一印象」というより、無数に存在して眠っている記憶の中で最初にアクセスする記憶のことなのではないか。

音を変えて多くの言葉を散りばめることで、「MAJOR TURN-ROUND」は「記憶とは何か?」というテーマにアプローチします。小室さんがこの曲について「最後の方になると、最初の部分がどのようなものだったのか記憶は曖昧になる」と語ったように、人間の記憶はそこまで強固なものではなく、時間とともに薄れていくものです。メディアに記録された音は揺るがないものですが、それを聴く人間の記憶はファジーであり、揺るがないはずの音は記憶の中で揺らぎます。記憶の揺らぎをひとつの曲の中で体験することで、誰もが知っている「記憶は揺らぐもの」という事実が身体的に刻み込まれます。
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「MAJOR TURN-ROUND」の開幕を告げるのは、壊れた換気扇が鳴らす乾いた音です。水面に落ちた墨がじわりと広がっていくようにベースとドラムが音の世界の輪郭をゆっくりと描き、シンセサイザーの音が聴き手をFIRST IMPRESSIONの中に取り込んでいきます。僕らの意識は音もなく音の中に沈んでいきます。さまざまな音が重なり、交錯します。チューブラー・ベルズの乾いた金属音が響き、ギターがテーマ・メロディを運んできます。音の世界は、ウツの歌声によって立体的に立ち上がり、小室みつ子さんの書いた歌詞によって陰影が生まれます。

曲は表情を次々と変えます。FIRST IMPRESSIONの中でもパート分けができるくらいに、浮き沈みの激しいダイナミックな展開を見せます。展開が徐々に切り替わるのではなく、急上昇や急転直下で音がいきなり変わるのが特徴です。途中で「オペラ座の怪人」を彷彿とさせるメロディが顔を覗かせ、不穏な雰囲気を醸しますが、その前の演奏が力強いために闇は一層濃く目に映ります。音の変わりようから、太陽が月に呑み込まれる日蝕のイメージが浮かびました。メロトロンに記録されたストリングスの音がメランコリックに空気を震わせます。

FIRST IMPRESSIONの終盤になると、それまで溜め込んだエネルギーを発散しながら、音が音を巻き込み、曲は勢いを増していきます。アスファルトにタイヤを切りつけながら走る車のように、ぐいぐいとスピードを上げて駆け抜けていく。スネアやハイハットの音が鋭く大きく力強く響き、他の楽器を煽ります。また、ライブで顕著だったのですが、この部分ではハモンドの音が強烈な存在感を示しており、荒々しいロック・オルガンが曲を強靭なものにしています。音が交差して主張し合う中で、ウツのボーカルはノイズと混ざり合いながら、異なる空間からのメッセージのように響きます。
2017.12.06
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by mura-bito | 2017-12-06 21:31 | Music | Comments(0)
[PART1] TM NETWORK「MAJOR TURN-ROUND」:プログレに新しい生命を吹き込み、21世紀の扉を開いたキーボード・サウンド
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TM NETWORKのオリジナル・アルバム『Major Turn-Round』がリリースされたのは、世紀が変わる直前の2000年12月です。アルバムはプログレッシヴ・ロック(プログレ)という音楽ジャンルで制作されており、その特徴を決定づけているのが表題曲の「MAJOR TURN-ROUND」です。アルバムに収録された「WORLDPROOF」、「IGNITION, SEQUENCE, START」、「PALE SHELTER」、「CUBE」などの曲も異なる角度からプログレらしさを見せますが、やはりアルバム収録時間のほぼ半分を占める「MAJOR TURN-ROUND」が中心となっています。

プログレが隆盛を誇った1970年代前半、中高生だったTM NETWORKの3人はその音楽をリアルタイムに体験しています。特に小室さんはプログレのバンドを組んでいたこともあり、少なからず影響を受けたと思われます。プログレは1984年のデビュー以降は活動の中心にはならなかったものの、「VAMPIRE HUNTER D」や「THINK OF EARTH」といった小室さんのソロの要素が強い曲、ライブでのキーボード・ソロではプログレが意識されていました。プログレの作品と言えそうなのはアルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE-』でしょうか。当初は30~40分の曲をメインに据えるプログレのアルバムを構想していたものの、最終的には複数の曲に分割され、そして物語を軸にした音楽とライブは演劇やロック・ミュージカルに近かったと言う方が適しています。

こうしたプログレへのアプローチが散見される中で、徹底的にプログレに取り組んだのが『Major Turn-Round』です。メジャー・レーベルから撤退して、自らのインディー・レーベル「ROJAM Entertainment」からリリースされました。アルバムの中でも特に「MAJOR TURN-ROUND」のテーマやサウンドには、YesやEmerson, Lake & Palmer、Pink Floydなどの影響が色濃く見えます。後に小室さんが語った言葉を借りれば「遊びの極致」。アマチュア時代を思い出すことでそういう言葉が出てきたのでしょうが、実にミュージシャン的で良いと思います。なお、2014年にはソフト・シンセの音を多用した「QUIT30」というプログレの曲を作り、先端的な4Kの映像とともにライブで披露しました。
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「MAJOR TURN-ROUND」の特徴は、かつて隆盛を誇ったプログレ・サウンドに再び生命を吹き込むキーボードの音です。オールド・シンセサイザーの名器であるミニ・モーグ・シンセサイザーやメロトロン、オーバーハイムに加え、ロック・オルガンの代名詞であるハモンド、ジャズやフュージョンで使われるローズ・ピアノなど、プログレらしいキーボードの共演が実現しました。絡み合うキーボードの音は、僕にとってすべてを聞き分けることは難しいのですが、それでも「音の重なりや交差」や「ひとつの楽器の音が屹立する瞬間」を楽しむことができます。

特筆すべきはメロトロンです。メロトロンはいうなればテープレコーダーであり、音が記録されたテープが内蔵されていて、鍵盤ひとつひとつに連動しています。各テープにはコーラスやストリングス、フルート、ブラスなどが録音されています。和音の種類や音の消滅(音の出る時間が約8秒と、テープの長さに依存している)の組み合わせで、ある程度バリエーションのある表現が可能な楽器です。サンプラーやソフト・シンセが発達した今では化石にも等しい存在ですが、当時の音を知っているミュージシャンにとって本物を弾けるのは特別な体験のようです。

1996年にtk-trapというプロジェクトのライブで小室さんが「CAROL」組曲を披露したとき、キーボードの配置はYesのキーボード・プレーヤーであるRick Wakemanを参考にしたといいます。このときに、できればメロトロンも使いたいと語ったそうですが、実現しませんでした。ほとんど生産されておらず、中古でもなかなか手に入らない代物だったそうで。しかし、2000年に「MAJOR TURN-ROUND」を録音したときは中古のメロトロンを手に入れ、ライブではさらに新品を加えて2台のメロトロンを弾きました。「遊びの極致」とは言いながらも、「MAJOR TURN-ROUND」の制作は「ミュージシャンとしての本領発揮」といえることは間違いないでしょう。
2017.12.05
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by mura-bito | 2017-12-05 21:51 | Music | Comments(0)
T.UTU with The BAND – GET WILD PANDEMIC
「GET WILD」がリリースされてから30年目の2017年、TM NETWORKによるリミックスやライブ・テイクを中心とし、他のアーティストのカバーやリミックスを含むコンピレーション・アルバムがリリースされました。その中には、小室さんが新たに制作したリミックスも収録されていました。そうしたGet Wild Anniversaryの流れを意識したのかどうか、ウツが自分のサウンドで録音した「GET WILD」を発表しました。タイトルは「GET WILD PANDEMIC」。演奏しているのは、ウツの活動のひとつ「T.UTU with The BAND」です。T.UTUは「ティー・ウツ」と読みます(木根さん「チュチュかと思った」)。

BANDを構成するメンバーは土橋安騎夫(Key)、山田亘(Dr)、葛城哲哉(G)、是永巧一(G)、種子田健(Ba)です。いずれも歴戦のロック・ミュージシャンということもあり、「GET WILD PANDEMIC」は徹頭徹尾、紛うことなきロックです。それも、ブルージーな匂いを漂わせる、ロックの源流を感じるサウンドですね。ツイン・ギターのアンサンブルを存分に楽しむことができます。
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ウツの声はTM NETWORKとソロで異なる響きを見せます。ずっと感じていたことなのですが、これまでは「曲が違うから印象が違うのも当然」と思っていました。こうして同じ曲、「GET WILD」で比べてみるとその違いが際立つし、何かしらの意図があるのかもしれないと思えます。TM NETWORKにおけるウツの歌い方はドライな雰囲気があり、ソロの場合は甘さを感じます。その違いは、どこにあるのでしょうか。

Bメロの最後の ♪何も怖くはない♪ や ♪きっと強くなれる♪ というフレーズを見てみましょう。特に「怖く」と「強く」の部分が、例えば「GET WILD 2015 -HUGE DATA-」では「こわーく」「つよーく」なのに対して、「GET WILD PANDEMIC」では「こわぁく」「つよぉく」と聞こえます。後者は、それほど強めではありませんが、鼻にかかるような音に聞こえます。テンポが遅いことも関係しているとは思いますが、意図的に歌い方を変えている可能性が高い。
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山田亘/葛城哲哉/土橋安騎夫/是永巧一/宇都宮隆

T.UTUはウツが1992年にソロとして初めて活動したときの名義であり、1992~1994年のライブでは「T.UTU with The Band」という名義を使っていました。T.UTU with The Bandの最初の全国ツアーでは、3人の女性がコーラスとベースで参加していました(Suzi Quatroをイメージしていたらしい)。次のツアーではベースが交代し、コーラスがいなくなります。そして20年以上のブランクを経て、2016年から「T.UTU with The BAND」の名義が(少し変わって)復活し、ベースとして種子田健が加わります。このメンバーで、今年もツアーを行なっています。

特にここ数年はシンセサイザーの音を重ねて構築した「GET WILD」をよく聴いていたため、ギターを前面に押し出したアレンジは新鮮に響きますね。また、ダンス・ミュージックのビートに慣れていた耳には、生ドラムの響きも熱を帯びて届きます。バンドにはバンドの良さがある、などとわざわざ言葉にする必要もないのですが、それでも言いたくなる心地好さなのです。定点観測のように「GET WILD」を聴いていると、アプローチの違いやそれぞれの良さを改めて感じることができます。

2017.10.31
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by mura-bito | 2017-10-31 22:00 | Music | Comments(0)
[PART2] TM NETWORK『EXPO』:夜空に螺旋を描くエレクトロニック・サウンド
ハウス系TMサウンドに焦点を当てたとき、アルバム『EXPO』の中でも重要なポジションを占める曲が「JUST LIKE PARADISE」です。身体を揺らすのに最適なテンポで、心地好いエレクトロニック・サウンドが流れます。その音は「夜の陰に紛れている」とでもいうような、境界線の曖昧な感じがします。クールであり、シニカルな部分も見え隠れする。表には見えない、隠された色気のような魅力がある曲です。

歌詞はすべて英語で書かれており、ループするサウンドに絡ませた言葉のインスタレーションが目の前に広がります。歌とラップとポエトリー・リーディングが入り混じり、言葉を散りばめ、交差させ、重ねます。それは愛の囁きにも聞こえるし、地球を俯瞰したメッセージにも聞こえます。地上で交わす言葉、宇宙から届く言葉。視点はダイナミックに移ろいます。

ライブでは、オリジナルの音をもとにしながら発展させたアレンジが特徴的でした。ライブでのアレンジは、1991年にかけて1992年に行なわれたホール・ツアーと、アリーナクラスの会場で実施したアリーナ・ツアーで、部分的に音が異なっています。ホール・ツアーでは、サビでアクセントとしてループしていた音を前面に押し出し、一方でアリーナ・ツアーでは曲の終盤で小室さんがソロを弾いて、会場を盛り上げました。切なさを呼び起こすメロディを繰り返しながら音の高さを上げていくことで、どんどん高揚していく、強烈なリフレインです。
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ハウス系の曲として忘れてはならないのが「あの夏を忘れない」ですね。起伏の少ない展開で単調とさえいえるのですが、中毒性はかなり高い。キラキラとした光をイメージさせるシンセサイザーの音が淡々とループを続け、ベースやギターの音と絡み合います。ゆるりとしたテンポに包まれて、指先で肌をなでるようなメロディに、情熱的な言葉が重なります。言葉の奔流が止まると、淡々とした音が再び聴き手を抱きすくめる。

音は円を描きながら、イメージの中で螺旋を描きます。それも上昇するのではなく、下降するスパイラル。同じところをぐるぐる回っていたようで、いつの間にか下に下に落ちていた。僕が曲名や歌詞からイメージするのは、太陽の下で過ごした眩しい記憶を真夜中の片隅でぼんやり思い返している人間の姿です。止まった時の中に留まり続けるメランコリックな一夜は、ただの眠れない夜ではなく、何も見えない闇の中を彷徨い歩く時間です。

1993年のリミックス・アルバム『CLASSIX 1』では、大胆に音を削ぎ落とした「あの夏を忘れない」を聴くことができます。リズム・セクションを抜き、シンセサイザーの音も前に出さないリミックスであり、ボーカルの存在感が一層強まっている。分厚い音を重ねていくダンス・ミュージックの概念はひっくり返され、静謐な空気の中でエレクトロニック・サウンドの「粒」を感じさせます。ここまでサウンドをスリムにされると、オリジナルでも使われていた音が異なる響きを持ち、より深みのある哀愁が漂います。

2017.10.11
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by mura-bito | 2017-10-11 21:45 | Music | Comments(0)
[PART1] TM NETWORK『EXPO』:季節の移ろいに溶け込むエレクトロニック・サウンド
秋に聴きたくなるアルバムを挙げるとすれば、TM NETWORKの『EXPO』を選びます。アルバムに収録されているいくつかの曲が、夏が終わり始めてから秋らしくなってグラデーションのように変わっていく空気に溶け込むような気がするからです。それも、太陽が沈んで夜になって空気がさらに冷たくなるあの感じがよく似合う。

『EXPO』はハウス・ミュージックを中心として、ロックやフォーク、ラテン・ミュージックの要素も含む、雑食性の高いアルバムですが、音、メロディ、歌詞が、それぞれに哀愁を漂わせる要素を含んでいます。秋といえば哀愁や切なさを強く感じる季節なので、そうした気持ちを『EXPO』の曲が呼び起こし、間接的に秋を感じるのだろうと思います。もちろん、聴く人によって何をイメージするか、どのような気持ちを呼び起こされるかは異なります。

とはいえ、『EXPO』の曲が哀愁を感じさせるという点は多くの聴き手に共通することなのではないかと思います。そして、それは音に依るところが大きい。アルバムにおける大きな音楽的テーマはハウス・ミュージックです。ループするエレクトロニック・サウンドを使って中毒的な快感を呼び起こす、ダンス・ミュージックの一種ですが、『EXPO』ではTM NETWORKの感性と混ざって独特のサウンドを作り上げました。そんなハウス系TMサウンドで構築された曲を3つ挙げて、三角形をつくってみましょう。
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ひとつ目は「WE LOVE THE EARTH -Ooh, Ah, Ah, Mix-」です。シングルとは異なる音でリミックスされたバージョンです。シングルでは春や初夏のようなキラキラした華やかさを感じますが、このリミックスで感じるのは秋の風が運んでくる濃密な哀愁です。それでも寂しさやメランコリックな雰囲気ではなく、涼しげな空気が漂います。キックやベースの音は色気に満ちていて心地好く、さらに曲をぐいぐい引っ張るパワーがあります。加えて、高く抜けていくスネアの音が重なり、曲の印象を立体的にしています。

キックの響きは、2010年代のEDMとは異なった感じで存在感を示します。EDMでは主役と呼べるほどに存在感を放つことが多く、身体にぶつかってくるようなタフさがあります(TM NETWORKで例示すれば「金曜日のライオン 2014」)。「WE LOVE THE EARTH -Ooh, Ah, Ah, Mix-」のようなハウス・ミュージックでのキックは「身体に浸み込む」感じがありますね。音に反応する快感のセンサーもいろいろあり、EDMにおけるキックとハウスにおけるキックは違ったタイプの刺激を与えるのだと思います。どちらも心地好い。

Ooh, Ah, Ah, Mixという名称もいいですよね。意味深というか、生々しいというか。TMN時代の曲やライブは、わりと色気を感じさせる、あるいはセクシュアルな要素を前に押し出すのが特徴でした。RHYTHM REDツアーの「KISS YOU」や『EXPO』での「CRAZY FOR YOU」の演出は分かりやすくセクシュアルです。『EXPO』を軸にしたツアーでもこのリミックスをもとに「WE LOVE THE EARTH」が披露されましたが、イントロに散りばめられたサンプリング・ボイスの一部で “Ooh, Ah, Ah” という声が繰り返し響きます。…まあ、そういうことです。

2017.10.10
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by mura-bito | 2017-10-10 21:40 | Music | Comments(0)
GET WILD Takkyu Ishino Remixes
2017年、「GET WILD」のリリースから30周年を記念する企画のひとつとして、石野卓球によるリミックスが実現しました。これまでに3種類のバージョンが発表されており、“Takkyu Ishino Latino Acid Remix”、“Takkyu Ishino Latino Remix”、“Takkyu Ishino Full Acid Remix” と名づけられています。
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「石野卓球が『GET WILD』をリミックスする」というテキストを目にしたときは、「何ですと!?」と驚かされたものですが、冷静になってみると期待が大きく膨らみました。すると次は、デビュー前の電気グルーヴがリミックス(?)した「RHYTHM RED BEAT BLACK」を思い浮かべて、不安の塊が脳を支配したものの、やはり冷静に考えればバックトラックは格好良かったので、やはり期待していいはずと思いなおしました。まあ、石野卓球や電気グルーヴの評価は推して知るべしというか、わざわざ言葉を尽くす必要もないのですが。

Latino Acid Remix

一連のリミックスの中で最初に発表されたのがLatino Acid Remixです。リズムは軽快な雰囲気があり、随所でホーンやパーカッションの音も聴くことができます。ループする音の中で、サビのボーカルがひたすらリフレインします。EDMのように起伏で聴き手を揺さぶる展開ではなく、中毒性の高いループに巻き込みます。

Latino Acid Remixは、CDおよび配信でリリースされた『GET WILD SONG MAFIA』に収録されています。SICK INDIVIDUALSによるダブステップ的なアプローチのリミックスとともに、「GET WILD」の新たな進化の可能性を感じたものです。小室さんとは異なる感性、アプローチによって開拓される「GET WILD」の可能性。

Latino Remix

2番目に公開されたのはLatino Remixです。このバージョンは、小室さんがリミックスした「GET WILD 2017 TK REMIX」とともに、6月にアナログ盤としてプレスされました。また、それに先立って5月に配信されたアルバム『GET WILD 30th Anniversary Collection - avex Edition』でも聴くことができます。

Latino Acid RemixからACIDの音が抜かれることで、ACIDの裏でメインのメロディ(イントロやサビの「ミ・レ・ド」)を奏でていたシンセサイザーが前に出てきました。「ラティーノ」という言葉からラテン・ミュージックをイメージしていましたが、そういうわけでもないようです。コンガやホーンの音は使われているものの、Latino Acid Remixと同様にアクセントの役割を担います。

Full Acid Remix

最終形態…かどうかは分かりませんが、Full Acid Remixと題した新しいリミックスが9月に発表されました。11月にはFull Acid Remixのアナログ盤がリリースされます。サウンドは、ミックス名のとおりACID(ローランド社のTR-303というシンセサイザーとのこと)を押し出しています。

最後の1分間に繰り広げられる展開がとても印象的です。一連のリミックスの嚆矢であるLatino Acid Remixを聴いた時から中毒症状に侵されていたものですが、それが極まった感があります。身体を侵食する音。爆音ロックやパーティー系EDMとは違う意味で攻撃的です。そして音が収束するとともに聴き手も消えるかのような、音との同化を感じました。

これまでのリミックスと同様にウツのボーカルをサンプリングで散りばめていますが、一方でインストゥルメンタルも配信されています。ボーカルがミュートされると、音が生み出す中毒性は一層高まります。


2017.10.03
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by mura-bito | 2017-10-03 21:21 | Comments(0)
TM NETWORK – GET WILD 30th Anniversary Collection - avex Edition
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2017年5月に『GET WILD 30th Anniversary Collection - avex Edition』が配信されました。4月にCD・配信でリリースされた『GET WILD SONG MAFIA』のうち2012年以降に録音されたライブ・テイクをまとめ、さらにavexが権利を管理するカバーやリミックスを加えたコンピレーション・アルバムです。

本作に収録された曲の中で特徴的だと思うのは、2011年のライブ配信「DOMMUNE」で披露された「GET WILD ’89」、2013年に配信された「GET WILD (2013 SUMMER)」、石野卓球によるリミックスの別バージョン「GET WILD -Takkyu Ishino Latino Remix-」です。

GET WILD ’89 (DOMMUNE #332 TETSUYA KOMURO Liveset)

2011年に小室さんはDOMMUNEに出演し、ソロやglobeのリミックス、1990年代にプロデュースした曲を披露しました。TM NETWORKの曲も含まれており、そのひとつが「GET WILD ’89」です。リアルタイムにシンセサイザーの音を重ねるパフォーマンスは、キャッチーな音や荒々しくノイジーな音を響かせながら、インターネットを介して多くの人のもとに拡散しました。

「GET WILD ’89」は1989年にリリースされました。1980年代のダンス・ミュージックの象徴であるユーロビートの音でリミックスされた曲です。制作を手掛けたのはPete Hammond(ユーロビートの代表格であるPWLというチーム)というプロデューサーです。1989年の音に2011年の音と感性を重ねたのがDOMMUNEでのプレイです。20年離れた時間が交錯する瞬間を味わうことができます。

GET WILD (2013 SUMMER)

2013年は小室さんがソフト・シンセを本格的に導入した時期であり、「EDM (Electronic Dance Music)」というキーワードを重視していました。globeやtrfなどの曲をEDMにリミックスした『DEBF EDM 2013 SUMMER』に、「GET WILD (2013 SUMMER)」も収録されています。ライブ「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」で使った音を整理しつつアップデートして、リズムやボーカルを加えています。

「GET WILD」がEDMの要素を取り入れた最初のバージョンであり、「いかにもソフト・シンセ」という音が聴けます。大きな特徴のひとつはイントロですが、本作に収録されたものではイントロの大部分がカットされています。そのため、『DEBF EDM 2013 SUMMER』を聴いた方が、よりEDMらしさを感じることができます。ダブステップの特徴であるワブル・ベースが使われているイントロやBメロを聴いて、「これまでの『GET WILD』とは違う」と思ったものです。

GET WILD -Takkyu Ishino Latino Remix-

「GET WILD -Takkyu Ishino Latino Remix-」は、『GET WILD SONG MAFIA』に収録された「GET WILD -Takkyu Ishino Latino Acid Remix-」を基にしたリミックスです。ループする音に、ボーカルのサビ部分をサンプリングして重ねます。

Latino Remixの特徴はLatino Acid Remixからアシッドの音が抜かれていること…と書くとなんだか間抜けですが、注意深く聴き比べると印象が異なります。アシッドの裏でメインの「ミ・レ・ド(=♪Get wild and tough♪)」を奏でていたシンセサイザーがよく聞こえるようになりました。天ぷらの衣をはがした感じ…という表現が適切かどうかは分かりませんが。僕の耳と知識では判別できるのはそのあたりですが、大きな違いはそれだとすれば、なかなかにマニアックな差です。




2017.09.19

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by mura-bito | 2017-09-19 21:53 | Music | Comments(0)

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