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タグ:Eir Aoi ( 40 ) タグの人気記事
藍井エイル「負けないで」「糸」「白日」:歌声はメロディの輪郭を際立たせ、夢の入口に導く
全国的にライブやイベントが延期・中止になる中、藍井エイルのツアー日程も変更され、各地を巡る予定だった5月がぽっかり空きました。そのなかで、ピアノの伴奏に乗せて歌うカバーがYouTubeで発表されました。年代もジャンルもばらばらな三曲が、彼女の歌声で新たな生命を吹き込まれます。ピアノを弾くのは、エイルバンドでキーボードを担当する重永亮介です。
藍井エイル「負けないで」「糸」「白日」:歌声はメロディの輪郭を際立たせ、夢の入口に導く_b0078188_21075626.jpg
カバー企画のテーマは、外出制限によって心身のリズムが崩れ、うまく眠れなくっている人々に向けた「子守唄」。少しでも気持ちが和らぎ、心地好く眠りについてもらいたい。心にすっと入ってくる穏やかなアレンジや歌い方で、今回のカバー曲は彩られています。



藍井エイル – 負けないで (Cover)

最初に公開されたのはZARD「負けないで」です。オリジナルは1993年にリリースされ、当時もその後もJ-POPを代表する曲のひとつとして、多くの場面で紹介されてきました。リアルタイムでなくとも、サビの一節を耳にしたことのある人は多いと思います。藍井エイルは語りかけるように歌います。ピアノのシンプルな音に乗ることで、歌声の輪郭がくっきりと見え、メロディの良さをストレートに伝えます。馴染みのある曲の新たな一面を見ました。



藍井エイル – 糸 (Cover)

次は中島みゆき「糸」。これも多くの人が知る曲であることは言わずもがなですが、この選曲は意外でした。これまでの藍井エイルのカバーでは、いわゆるJ-POPにカテゴライズされる曲が選ばれていたので、カラーの異なる「糸」を歌う姿に驚きました。そしてその驚きは、新鮮さを生み、新たな感動を呼びます。新しいパフォーマンスを見せてくれるたび、歌声の表情は豊かになって、新しい世界を見せてくれます。



藍井エイル – 白日 (Cover)

最後は、前の二曲から時代は一気に下り、最近の曲をカバーしました。King Gnu「白日」です。心に抱えたものを外に出さぬよう抑えているかのような歌。こうした歌い方は藍井エイルのオリジナル曲では少ないので、このカバーで、また新たな一面を見ることができて新鮮でした。音が増えて壮大になっていく部分を含めたフルレングスをエイルバンドで聴いてみたい。一曲の中で感情が揺れ動くドラマのようなダイナミックな展開は、聴き手の心を揺さぶり、虜にします。

2020.05.30
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by mura-bito | 2020-05-30 21:09 | Music | Comments(0)
藍井エイル「ゆらり」「JUMP!!!」「幻影」:エモーショナルなロック・ソングを通して、心に刺さる美しいメロディ
藍井エイル『D’AZUR』は、2015年にリリースされた3枚目のオリジナル・アルバムです。代表曲の「IGNITE」をはじめとして「ラピスラズリ」や「ツナガルオモイ」といった、近年のライブでも頻繁に演奏されるシングルが収録されています。
藍井エイル「ゆらり」「JUMP!!!」「幻影」:エモーショナルなロック・ソングを通して、心に刺さる美しいメロディ_b0078188_07535246.jpg
アルバムだけに収録された曲もシングル・カットされた曲に負けず劣らず素晴らしい。とりわけ僕は「ゆらり」「JUMP!!!」「幻影」が好きで、この3曲をプレイリストで並べて聴いています。いずれの曲も僕は、初めて参加したライブ〈Eir Aoi EXTRA LIVE 2016 “D’AZUR-EST” FINALE〉で一度聴いた限りですが、機会があればまたセット・リストに名を連ねてもらいたいものです。



藍井エイル – D’AZUR (Trailer)

ギターとオルガンが全体を引っ張るアレンジが格好良い「ゆらり」。分厚いロック・サウンドのなかで歌声がまっすぐに響き、メロディが聴き手に届きます。特にインパクトが大きいのは、サビ頭の ♪まだゆらり ゆらゆらら 揺れているよ♪ という部分です。このメロディには、サビの後半に向けた盛り上がりを後押しする力があります。そして間奏後のサビでは一段と強く、エモーショナルに響く。心にぐるぐると巻かれた鎖を断ち切るような開放感を抱きながら、曲の終わりを迎えます。

明るく爽やかな音がストレートに響き、その軽快さが心地好いポップ・ロック。「JUMP!!!」では、音に乗る歌声も伸びやかで、楽しそうにメロディを操っています。爽やかに吹き抜ける初夏の風という感じでしょうか。そのなかでも特に印象的なのが、Bメロで ♪もっと♪、♪きっと♪、♪ずっと♪ と歌う、ポップで跳ねた感じのメロディです。この部分があることで曲の流れが変わり、ぐっと引き込まれます。ささやかではありますが、僕にとっては大事なポイントであり、この曲を第一印象で好きになった理由でもあります。

オルタナティヴ・ロックの雰囲気を醸す「幻影」は、激しい音に揉まれながら、力強く言葉を吐き出すボーカル・スタイルが特徴的な曲です。曲はサビから始まり、最初から相当な声量と肺活量を要求され、力を振り絞り全力で声を出しています。エネルギッシュな歌声に乗ってメロディが聴き手に届きますが、届くという言葉では弱く、肩をつかまれて揺さぶられるようなインパクトがあります。赤い光に染まったステージで、叫ぶように歌う姿が記憶に残っています。
2020.05.26
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by mura-bito | 2020-05-26 07:56 | Music | Comments(0)
藍井エイル『Eir Aoi LIVE TOUR 2019 “Fragment oF” at Kanagawa Kenmin Hall』:歌声と音と笑顔のカケラを集め、作り上げたひとつのステージ
藍井エイルの映像作品『Eir Aoi LIVE TOUR 2019 “Fragment oF” at Kanagawa Kenmin Hall』がリリースされました。2019年5~7月に全国のホールを回ったツアー〈Eir Aoi LIVE TOUR 2019 “Fragment oF”〉、その最終公演を収録した作品です。仙台で観たライブの記憶がリワインドされ、感動が思い出されます。

〈Eir Aoi LIVE TOUR 2019 “Fragment oF”〉のセット・リストは、同年4月に発表されたオリジナル・アルバム『FRAGMENT』の全曲で固められました。その合間に組み込まれていたのが「INNOCENCE」、「シリウス」、「IGNITE」などの定番曲や、デビュー当時の曲「空を歩く」、発表されたばかりの新曲「月を追う真夜中」です。
藍井エイル『Eir Aoi LIVE TOUR 2019 “Fragment oF” at Kanagawa Kenmin Hall』:歌声と音と笑顔のカケラを集め、作り上げたひとつのステージ_b0078188_21243018.jpg
『FRAGMENT』の中で僕が最も好きな曲は、ライブの中盤で披露された「螺旋世界」です。たくましさとファンキーな色気を兼ね備えた、踊れるロック。イントロが鳴った瞬間の感動は今でも覚えていますが、その記憶は、映像に記録されることでより強固なものになりました。「螺旋世界」の最大の特徴は、曲の頭からギターが奏でるフレーズです。間奏やエンディングでも響くこのフレーズは、聴けば聴くほど心を奪われます。赤と青の光に染まるステージで、音は螺旋を描き、観客を呑み込み、その記憶を書き換える。このフレーズを爆音のギターで浴びると、アルバムで抱いた第一印象を上書きするインパクトがあり、さらに好きになりました。

〈Eir Aoi LIVE TOUR 2019 “Fragment oF”〉では、藍井エイルがギターを弾きながら歌う曲が増えました。そのうちの一曲が「SINGULARITY」です。分厚いロック・サウンドに自らのギターを重ね、それを背景に響くエモーショナルなボーカル。ふとした瞬間に心の柔らかい部分にそっと触れる、そんなイメージが浮かぶメロディを持った曲です。♪どれだけ傷ついても 生きたいと願ったのは君のせい♪ という部分の歌い方がとても好きです。ちなみに、終盤の「パズルテレパシー」でも楽しそうにギターを弾いており、そのときの写真がBD/DVDのジャケットを飾っています。



Eir Aoi LIVE TOUR 2019 “Fragment oF” at Kanagawa Kenmin Hall (Trailer)
(UNLIMITED, FROATIN’, INNOCENCE, MEMORIA, 空を歩く,
グローアップ, シリウス, 月を追う真夜中, フラグメント)

ライブの楽しみのひとつがアレンジの変化です。聴き慣れた曲であっても…否、聴き慣れた曲だからこそ、アレンジが変わることで印象は刷新され、その曲をもっと好きになります。それは、〈Eir Aoi LIVE TOUR 2019 “Fragment oF”〉でいうなら「約束」です。『FRAGMENT』の最初に収録されています。

「約束」のオリジナルはストリングスとベースの効いた重厚なバンド・サウンドでアレンジされていますが、今回のステージではボーカル、ピアノ、アコースティック・ギターというシンプルな構成で披露されました。アコースティック・セットで演奏されると、歌声の輪郭が浮かび上がり、より鮮明になります。歌声やメロディの良さ、言葉に込められた思い。それらの魅力にもう一度出会い、そして素晴らしい歌であることを改めて感じた時間です。

ライブ本編のラストには、『FRAGMENT』でも最後を飾る「フラグメント」が演奏されました。からっとした雰囲気で爽やかに駆け抜けるバンド・サウンドが心地好い。アルバムでもライブでも、やはり最後というポジションが似合う曲です。このままずっと演奏してもらいたいと思いながら聴いていたことを覚えています。

「フラグメント」の演奏中、ステージ奥のスクリーンにはライブやジャケット撮影のワンシーン、オフショットなどが映し出されます。その記録は藍井エイルがたどってきた記憶の断片であり、「フラグメント」の歌詞、『FRAGMENT』のコンセプト、そして〈Eir Aoi LIVE TOUR 2019 “Fragment oF”〉のテーマにつながります。さまざまなカケラが集まって作品が生まれ、そして会場のすべての要素が集まってステージが作り上げられる。「フラグメント」のパフォーマンスや演出を通して、藍井エイルの音楽が形作られる様を目の当たりにし、その機会を得たことをとても嬉しく思います。
2020.02.04

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by mura-bito | 2020-02-04 21:34 | Music | Comments(0)
Eir Aoi LIVE HOUSE TOUR 2019 ~星が降るユメ~
Eir Aoi LIVE HOUSE TOUR 2019 ~星が降るユメ~
2019-11-03 at Sendai PIT, 2019-11-07&08 at Zepp TOKYO
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2019年11月、藍井エイルのツアー〈Eir Aoi LIVE HOUSE TOUR 2019 ~星が降るユメ~〉が開催されました。11月3日の仙台公演から始まり、1週間に2~3公演を行なって11月中に終わるという短距離走のようなツアーでした。会場をライブハウスに限定したためか、「歌とバンドの演奏を届ける」というシンプルな演出が貫かれ、さらにMCの内容もくだけていて、距離感の近いライブだったと思います。

フロアに足を踏み入れたとき、開演前に流れている曲の雰囲気がライブハウスとは思えず、違和感を覚えました。ピアノやストリングスの音が物憂げで、冷たい雨に降られているような陰鬱さが漂います。アップテンポの曲で観客の気持ちを高めるのではなく、むしろ興奮を抑えるかのような選曲だったのが意外です。そして時は満ちる。フロアが暗転し、ステージを青い光が包むと、アグレッシブな音が響き渡り、バンドのメンバーが姿を見せます。



月を追う真夜中

ライブの始まりを告げるのは、8月にリリースされた「月を追う真夜中」です。イントロから勢いがあり、分厚いバンド・サウンドが観客のハートに火を点け、会場の熱気は一気にヒートアップしました。サビをはじめとしてリズムが心地好くて、その一方で歌メロは叙情的で胸を締めつける。それらの良さを全身で感じることができ、否応なくボルテージは上がります。

ライブの構成をおおまかにいうと、初期のアルバムに収録された曲を序盤に披露し、中盤から新曲や最近の曲、そして定番の曲を演奏します。シングルにだけ収録された曲は演奏される機会も少なく、セット・リストに入ると驚きます。僕は初めて「空蝉アルティメット」という、シングル「ラピスラズリ」に収録されている曲をライブで聴きましたが、ヘビーメタルというかパンクというか、ヘドバン必至のアグレッシブな感じが最近の曲とは雰囲気が少し違って新鮮でした。



voyage (Lyric Video)

「月を追う真夜中」のシングルに収録されている「voyage」も、ライブで映える曲だと思いました。meg rockが言葉をテーマに書いた詞は歌メロとの相性が良く、「どうか」を使った言葉遊びも交えつつ、音の間を軽やかに駆け抜けます。特にサビの ♪永遠に 永遠に♪ という部分がリズミカルで好きです。

作曲はTAMATE BOXです。音の間隔が伸びたり詰まったりして生まれる起伏が刺激的で、実際のテンポよりも体感速度のようなものは大きいのではないかと思います。TAMATE BOXは「星が降るユメ」も提供しており、アルバム『FRAGMENT』では「螺旋世界」の作詞曲にも加わっています。いずれも良いので、新しいコラボレーションを今後も聴いてみたい。



星が降るユメ

10月に配信が始まった「星が降るユメ」は、ツアーのタイトルにもなっているように、このライブの中心といえる曲です。叙情的でありながら分厚い音に支えられ、言葉が響きます。歌う前に音楽を続けてきた、その原動力のひとつには、これまで出会った人々、すなわちバンドのメンバーやスタッフ、そして観客がいるからだと語ります。

「ヒトリトヒトリ」というバラードも初めてライブで聴くことができました。先述の「voyage」とともに「月を追う真夜中」に収録された曲です。シングルで聴いて歌声の響きに胸を打たれたものですが、生のパフォーマンスを媒介すると、言葉に込められた気持ちが増幅して届く気がしました。切なさは、より切なく響き、歌の世界を彩ります。



INNOCENCE

〈Eir Aoi LIVE HOUSE TOUR 2019 ~星が降るユメ~〉をおおまかに二分すると、後半は「インサイド・デジタリィ」から始まります。シングル「星が降るユメ」に収録されていますが、ツアーの時点ではリリース前でした。エレクトロの要素を含んだ曲で、嵐のようなバンド・サウンドの中で響くシンセサイザーのフレーズが印象的でした。

そしてカラーの異なる曲が続けて演奏されます。特に「INNOCENCE」「AURORA」で僕が好きなのは、間奏で繰り広げられるバンドの演奏です。歌メロのポップさがまた、スリリングな音の展開を引き立てます。会場の空気は曲ごとに変わり、ときにゆっくりと、ときに加速しながら、ライブのエンディングに向けて突き進みます。



グローアップ

後半の盛り上がりポイントは「グローアップ」でしょう。アルバム『FRAGMENT』で録音された最近の曲ですが、これまでの曲とは雰囲気が異なり、遊び心に満ちています。思春期における親への反発を歌いながら、パンキッシュな音で会場を盛り上げます。

ライブの本編を締めくくるのは「シリウス」です。数々のライブで披露され、要所を締めてきました。一等星の輝きを放つ歌声が、ステージから観客席にストレートに届きます。詞を書いたのは、「voyage」と同じくmeg rock。ネガティブな言葉も前向きにカラーリングするリリック・スタイルは、開放的なバンド・サウンドにぴたりと合い、躍動感を生み出しています。星の名前を冠したこの曲で、〈Eir Aoi LIVE HOUSE TOUR 2019 ~星が降るユメ~〉の幕が下ります。



シリウス

アンコールで再びステージが明るくなると、「アヴァロン・ブルー」が披露されました(東京公演の1日目は「ツナガルオモイ」)。そして「IGNITE」がセット・リストの最後を飾ります。本人が語った「藍井エイルのライブはスポーツ」という言葉を体現するように、最後ながら「IGNITE」はライブの始まりを思わせる盛り上がりを見せました。

藍井エイルのライブをフロアで観たのは、このツアーが初めてです。これまでは2~3階席でしたが、今回はライブハウスということもあり、歌声もバンドの音も、よりダイレクトに届きました。発火点を超えていると思えるほどの熱気の中で、素晴らしいパフォーマンスを体験できました。

2019.12.04
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by mura-bito | 2019-12-04 20:33 | Music | Comments(0)
藍井エイル「星が降るユメ/インサイド・デジタリィ/Story」:三色のイメージが混ざり合う、夢の中の物語
藍井エイルのシングル「星が降るユメ」がリリースされました。表題曲に加え、エレクトロの要素を含んだ「インサイド・デジタリィ」という曲、「Story」のカバー、そして表題曲のインストゥルメンタルが収録されています。前作「月を追う真夜中」は異なる世界が一枚に共存するシングルでしたが、今作もまたカラーの違いが鮮明で、振れ幅の大きい構成となっています。
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「星が降るユメ」が先行配信されたのは2019年10月。その後、11月に開催されたツアー〈Eir Aoi LIVE HOUSE TOUR 2019 ~星が降るユメ~〉で演奏され、ツアー終了後にシングルとしてリリースされました。歌詞カードの最後には、シングルの制作を通して考えていたであろう思いが綴られています。シンガーとして活動する中で出会った人々を思い描き、その出会いこそが自分を前に進めてくれた、と。

優しく、そして温かい人たちに支えられて感じているこの幸せを、この音楽を聴いてくれるあなたとはんぶんこできたら良いなと思っています。

藍井エイル
シングル「星が降るユメ」より

「星が降るユメ」のメロディはセンチメンタルに響きます。そんなメロディが呼び寄せたのか、歌詞からは内省的な印象を受けました。眠りと覚醒を行き来しながら、自分の中に渦巻くものと対話する…という感じがします。中でも印象に残ったのは、終盤に出てくる ♪生きる事にしがみつくことを/誰も笑う事は出来ないでしょう♪ という言葉です。苦しみながら、もがきながら、何かを手放してでも生きようとする姿が浮かびます。

アレンジは初めて聴いたときから素晴らしいと思いました。改めてインストで聴いてみると、その雄大さがダイレクトに伝わってきます。アコースティック・ギターとストリングスとスネアが混ざり、絡み、聴き手を包み込む。イントロやエンディング、サビなどで登場するので、大胆さと繊細さを併せ持つこのアンサンブルを存分に味わってもらいたいと思います。



藍井エイル – 星が降るユメ

先般のツアーのセット・リストに、「インサイド・デジタリィ」も名を連ねました。歌詞のテーマは「引きこもりゲーマー」。デモの段階でエレクトロの雰囲気を感じ、そこから「内側」と「デジタル」を発想して歌詞を考えたとのことです。演奏前のMCで「7割くらい自分のことを書いた」と語っていましたが、リリース前日にはゲーム実況を配信していて、実に楽しそうでした。

ライブで聴いたとき、イントロや間奏、エンディングで響くシンセサイザーのフレーズが、耳に記憶に残りました。かなりキャッチーなフレーズであり、EDMとの親和性が高いと思います。EDMへの扉を開きそうなサウンドと、決して明るいとはいえない歌詞との、ミスマッチともいえるコラボレーションです。

藍井エイルが再始動後にカバー曲を発表したのは、今作に収録された「Story」が初めてです(これはピコというシンガーの曲)。思い返すと2015~2016年には、1990年代後半~2000年代前半の日本のポップスやロックをよくカバーして、シングルに収録していました。オリジナルの空気と自らの感性を絶妙な割合でブレンドしている点が素晴らしいと思ったことを覚えています。特に好きなのがDo As Infinityの「深い森」ですね(「翼」というシングルで聴けます)。

「Story」の第一印象は「サビのメロディがとても美しい」です。切なさに満ちていて、その美しさに心が強く揺さぶられました。メロディが美しいのか、歌声が美しいのか。きっと両方なのでしょう。また、それらを輝かせるバンド・サウンドも素晴らしい。アレンジとキーボードを重永亮介、ドラムを楠瀬タクヤが担当しており、どちらもエイルバンドでお馴染みのミュージシャンです。歌やメロディの魅力を最大限に伝える音を、歌と併せて楽しめるカバーだと思います。ああ素晴らしい。

2019.11.28
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by mura-bito | 2019-11-28 21:41 | Music | Comments(0)
藍井エイル「星が降るユメ」:叙情的な音に導かれ、歌声が記憶に降り積もるロック・ソング
歩き続ける、歌い続ける。藍井エイルの新曲「星が降るユメ」が配信されています。スリリングなピアノの演奏から始まり、色気のあるベースに導かれ、アコースティック・ギターとストリングスと力強いスネアのアンサンブルが響きます。この大胆なアンサンブルはサビや間奏、アウトロなどでも聴けるため、曲を貫く重要な要素です。
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メロディは藍井エイルの歌声によって照らされ、艶っぽく光り、そして記憶に絡みつきます。サビの前までは円を描くような、曲線的なメロディの流れですが、サビに入ると雰囲気が変わって直線的に響きます。Aメロに戻ると再びウェットな響きに包まれ、曲の最後まで、移り変わっていく歌の雰囲気を楽しめます。



藍井エイル – 星が降るユメ

青や黒で塗られたクールでシリアスな世界と、赤やオレンジ、黄色や緑といった明るい色が散りばめられた世界を移ろう。さまざまな色を映し出すミュージック・ビデオです。曲が持つ叙情的な雰囲気に合っており、歌や音の魅力を増幅する映像なのではないかと思います。

「星が降るユメ」の配信が始まった10月19日は、藍井エイルがデビューした日です。いろいろありながらも道は続いていて、こうして新しい曲を発表してくれるだけでも、聴き続けることに意味を感じられます。けれどもそれは惰性ではありません。曲を聴くたびに歌声や音に対する印象は刷新され、歌声が見せる新たな表情に驚きます。どのようなものに出会えるのか、わりと楽しげに想像しながら歩く道です。
2019.10.23
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by mura-bito | 2019-10-23 21:51 | Music | Comments(0)
藍井エイル「月を追う真夜中/voyage/ヒトリトヒトリ」:三つの曲が見せる世界は、聴き手を違う体験に導く
藍井エイルのシングル「月を追う真夜中」がリリースされました。先行して配信されていた表題曲の他に、「voyage」と「ヒトリトヒトリ」という新曲、そして通常盤CDおよびストリーミング・サービスでは「月を追う真夜中」のインストゥルメンタルが収録されています。どの曲も素晴らしい。インストでさえも新しい世界を見せてくれます。
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2ヶ月ほど前に「月を追う真夜中」の配信が始まったときに感じたことは「リズムにメロディがはまっている。リズムを感じながら聴くとメロディが自分の中に深く落ちていく」というものでした。リズミカルに展開するボーカルが心地好く、淀みなく身体に流れ込んでくる感覚があって、何度も聴きたくなります。

「月を追う真夜中」のインストを聴くと、ストリングスの重ね方が印象に残りました。ストリングス・カルテットが活躍するアップテンポの曲は良いですね。バンドの音とカルテットの音が交差して、互いの音を高め合っています。そして、再びボーカル入りを聴くと、歌声とストリングスが絡み合って、より膨らみのある、存在感の大きい曲だと感じられます。ぜひ、歌とインストを交互に聴いて、聴き手の中でひとつの世界を織り上げてみてもらいたいと思います。



藍井エイル – 月を追う真夜中

「voyage」の詞はmeg rock、曲はTAMATE BOXが担当しました。meg rockは、ライブの定番曲として馴染み深い「シリウス」の詞を書いたアーティストです(2枚目のアルバム『AUBE』に収録されています)。また、TAMATE BOXは、最新アルバム『FRAGMENT』に収録された「螺旋世界」という曲も提供しています。

藍井エイルのボーカルはさまざまな表情を持っており、メイクを変えるように、曲によって異なる顔を覗かせます。印象的なメロディと組み合わさることで、またひとつ、新しい世界のドアが開かれます。「voyage」の中で僕が気に入っているのは、サビメロの艶っぽさです。艶めいたボーカルは、扇情的なピアノの音をまといながら、複雑な模様を描きます。切ないようでいて、挑発的でもある。そうした雰囲気を感じる曲です。



藍井エイル – voyage (Lyric Video)

もうひとつの新曲「ヒトリトヒトリ」では、ストレートなバラードを聴かせてくれます。藍井エイルが歌うバラードの新曲は久しぶりなのではないでしょうか。『FRAGMENT』にバラードらしいバラードが収録されていないことを考えると、この曲はアルバムの候補曲のひとつだったのかもしれません。

言葉を搾り出すように歌う、その雰囲気に圧倒されます。届かない相手に向かって、届かないと知りながら、言葉を届けようとしている。それは行き場のない絶望にも見えますが、ある意味では滅びの美学のような、切なくつらいからこそ誰かの心を動かすものだとも思えます。ピアノの叙情的な音が言葉を照らし、その輪郭を際立たせています。

そして、最後に印象に残ったのは、歌詞カードに綴られた「たくさんの温かさを感じて 今日も私は歌えています」という言葉。とてもシンプルで、とても鮮やかで、胸にしみます。この言葉も含めて、一枚のシングルに詰め込まれたあらゆるものから、ただひたすらに「音楽」を感じます。それが嬉しい。
2019.09.04
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by mura-bito | 2019-09-04 21:19 | Music | Comments(0)
藍井エイル「月を追う真夜中」:メロディはリズムと重なり合い、歌声とともに心の奥底に落ちていく
シャープなスネアとクールなギター。最初の音から聴き手の心を奪いにかかる。藍井エイルの新曲「月を追う真夜中」が配信されています。全国ツアーの仙台公演の当日に配信が始まったので早速ダウンロードし、ライブ会場に向かう新幹線の中で繰り返し聴きました。
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サビのメロディがとても好きですね。その理由を分析すると、メロディ自体の良さに加え、リズムに感じる心地好さが影響しているのかなと思いました。リズムにメロディがはまっている。リズムを感じながら聴くとメロディが自分の中に深く落ちていく。そんなことを思います。ボトムがしっかりしていると、その上に重なるギターやストリングス、そして歌の魅力が数倍も膨れ上がります。

このメロディには藍井エイルの歌声以外は考えられない…そんなことを思うほどに、心が引き寄せられる歌です。じっくり聴いてみると、声の表情が微妙に移り変わるのが分かります。どこか切なくもあるし、背中を押す強さもある。YouTubeで公開されているミュージック・ビデオではその一端が体験できますが、できることならフルで聴いてもらいたいと思います。同じメロディも前半と後半、そして終盤で印象が変わるのではないでしょうか。



藍井エイル – 月を追う真夜中

ミュージック・ビデオでは、黒い衣装のためか、前から光が当たってもシルエットのように見えます。その表情は光の角度によって見え隠れしており、どのような感情か推し量ることが難しい。クールなロック・スタイルを全身で表現しつつ、何かの加減で崩れそうなアンバランスな空気に満ちていますね。

僕はリップシンクを中心にしたミュージック・ビデオを好みます。映画を意識したビデオも良いのですが、ミュージック・ビデオである以上、やはり音楽をダイレクトに感じられるシンプルな演出に惹かれます。「月を追う真夜中」では、バンドのパフォーマンスを含め、曲のダイナミックさが視覚的に伝わる映像だと思います。


言葉がメロディに乗って、聴き手のイマジネーションを刺激します。「大事な人との思い出」を「月」に、「つらく悲しいこと」を「真夜中」に見立て、歌詞が綴られています。最後のサビで歌われる ♪もう 真夜中は月を追いかけない♪ というフレーズが心に残ります。

〈LIVE TOUR 2019 “Fragment oF”〉でこの曲を披露したとき、彼女は「新月のように見えなくても月は存在している」ということをMCで話していました。月は夜の闇にも呑み込まれず、極限まで欠けても消えない。僕は小さい頃から「月に追われている」ような感覚があり、月に対してどこか恐怖を感じていたものです。けれども、「月を追う真夜中」を聴きながら夜空を見上げてみると、むしろ月が浮かんでいることに安らぎを感じるようになりました。

2019.07.30
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by mura-bito | 2019-07-30 21:02 | Music | Comments(0)
[PART2] Eir Aoi LIVE TOUR 2019 “Fragment oF”
Eir Aoi LIVE TOUR 2019 “Fragment oF”
2019-07-06 at TOHKnet Hall Sendai

〈LIVE TOUR 2019 “Fragment oF”〉のステージでは、藍井エイル自身がギターを弾く曲が増えたのも印象的でした。記憶にある限りでは「SINGULARITY」「FROATIN’」「流星」「パズルテレパシー」だったかと思います。どの曲も意外というか予想もしておらず、ギターを持って曲が始まるたびに「この曲でも弾くのか」と驚きました。ギターを弾く姿がどんどん馴染んでいると思います。

ちなみに、リハーサルで彼女にギターを教えているバンド・メンバーの土屋浩一は、「葛G」こと葛城哲哉の門下生とのこと。葛Gはglobeの録音やライブをサポートした期間が長く、その縁なのか、土屋浩一がプロとして弾く初めてのステージがglobeだったそうな。自分の聴いてきた音楽が予期せぬところでつながることに(ひとりで勝手に)感動しています。
[PART2] Eir Aoi LIVE TOUR 2019 “Fragment oF”_b0078188_21172991.jpg
本編のラストに演奏した曲は、アルバムでも最後を飾った「フラグメント」です。スクリーンにはライブやジャケット撮影のワンシーン、オフショットなどが映し出されます。それらは彼女がたどってきた記憶の断片(フラグメント)であり、この曲のテーマ、アルバムのテーマ、そしてライブのテーマにつながります。からっとした雰囲気で爽やかに駆け抜けるバンド・サウンドが心地好く、このままずっと演奏してもらいたいと思いながら曲のすべてを楽しみ尽しました。



藍井エイル – FRAGMENT (Album Trailer)

アンコールでは、ちょうどこの日から配信が始まった新曲「月を追う真夜中」が披露されました。バンドでキーボードを担当する重永亮介が書いており、彼が提供した「約束」や「SINGULARITY」にも通じる、美しいメロディが特徴的な曲です。「月を追う真夜中」のメロディには美しさに加えて、胸を締め付ける強烈な力を感じます。

フィナーレを「サンビカ」が飾り、2時間に渡り勢いよく駆け抜けたライブがゴールを迎えました。僕はアルバム『FRAGMENT』がとても好きで、どの曲も大事に聴いています。そのため、アルバムの曲をすべて組み込んだ今回のセット・リストは実に嬉しいギフトでした。Fragment oF Sendaiで受け取った歌や音は自分の音楽体験の一部となり、それはいくつもあるカケラのひとつかもしれないけれど、欠くことのできない大切な記憶にもなりました。
2019.07.18
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by mura-bito | 2019-07-18 21:24 | Music | Comments(0)
[PART1] Eir Aoi LIVE TOUR 2019 “Fragment oF”
Eir Aoi LIVE TOUR 2019 “Fragment oF”
2019-07-06 at TOHKnet Hall Sendai

藍井エイルのツアー〈LIVE TOUR 2019 “Fragment oF”〉が2019年5月から7月にかけて開催されました。幸運にも仙台公演のチケットが取れたので、緑と霧雨に包まれた定禅寺通りを歩いて会場に向かい、その歌声とバンドの音を目一杯浴びてきました。
[PART1] Eir Aoi LIVE TOUR 2019 “Fragment oF”_b0078188_21172991.jpg
オープニングのSEが観客のボルテージを上げ、それが途絶えると響く「UNLIMITED」のイントロ。スクリーンに映るクラシックな時計の映像を背にして、藍井エイルが姿を現わし、歌い始めます。4月にリリースしたアルバム『FRAGMENT』の全曲が披露されました。そのぶん定番の曲は厳選されましたが、「IGNITE」や「シリウス」、「INNOCENCE」や「ラピスラズリ」などがライブに安定感をもたらします。一方で、「空を歩く」のようにデビュー・アルバムの曲を披露する一幕もありました。



藍井エイル – FRAGMENT (Album Trailer)

このライブで最も強く印象に残った曲は「螺旋世界」です。この曲の最大の特徴は、ギターが奏でるメインのフレーズのループ。ライブでは新井弘毅のギターがこのフレーズを爆音で鳴らし、曲名のごとく観客を螺旋の中に巻き込みます。イントロ、間奏、エンディングで聴けるこのフレーズは、聴けば聴くほど心を奪われる。アルバムでも存在感の大きさに衝撃を受けましたが、ライブではもっと前に出てきて第一印象を上回るインパクトがありました。ライブで化けたというより、解き放たれたというべきでしょうか。最高でした。

聴き慣れた曲でもアレンジの変化によって印象が刷新されることは多々あります。アルバムの先頭に収録された「約束」は、藍井エイルのボーカル、重永亮介のピアノ、土屋浩一のアコースティック・ギターというシンプルな構成で披露されました。オリジナルのアレンジはストリングスとベースの効いた重厚なバンド・サウンドですが、こうしたアコースティック・セットで演奏されると、歌声の輪郭が浮かび上がり、より鮮明になります。その魅力にもう一度出会い、そして素晴らしい歌であることを改めて感じる時間でした。
2019.07.17
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by mura-bito | 2019-07-17 21:20 | Music | Comments(0)

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