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藍井エイル『Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN』:歌声と音の記録が照らし出すRE BLUEの意味
2018年12月にリリースされた藍井エイルの映像作品『Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN』から、ライブ音源が配信されています。Blu-ray/DVDやYouTubeで公開されていたライブの記録がストリーミングやダウンロードでも聴けるようになりました。藍井エイルのライブの魅力、すなわち安定した美声や手練れのミュージシャンによる演奏を堪能できるライブ・アルバムです。
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RE BLUEのセット・リストに名を連ねた約20曲のうち、9曲が配信されています。前半からは、藍井エイルの代名詞である「IGNITE」、デビュー曲の「MEMORIA」、ギターを弾きながら歌った「KASUMI」、ダンサーのフラッグ・パフォーマンスとともに披露した「アクセンティア」が選ばれました。

そしてセット・リストの後半からは、後半の口火を切ったハード・ロック「シューゲイザー」、ヘビーなリズムの中で高らかに歌い上げる「ラピスラズリ」、ブレスレスで矢のように言葉を放ち続ける「翼」、ストリングスの音が荒ぶる間奏が印象的な「INNOCENCE」、ライブ本編の最後を飾った穏やかな「虹の音」がピックアップされています。



藍井エイル – Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN (Trailer)

配信が始まったのは2019年2月8日です。2018年2月8日にアナウンスされた活動再開のメッセージ “BLUE IS BACK” と新曲「約束」のミュージック・ビデオの公開から1年が経ちました。それから2枚のシングルや映像作品のリリース、RE BLUEやファンクラブツアーの開催というように、新しい動きが定期的に見られる濃密な1年でした。少なくとも二ヶ月おきに動きがあり、ちょうどいいペースで活動が続いています。

藍井エイルはBLUE IS BACKで再び歩き始め、RE BLUEで再会を果たし、その後は「再」や “RE” といったテーマから離れて歩みを進めています。再会(RE BLUE)が過去と現在と未来をつなげて、ひとつの道が生まれる。先日、4月半ばにオリジナル・アルバムがリリースされることが発表されました。アルバムには、BLUE IS BACKから続いてきた一年間の歩みがぎゅっと詰め込まれることでしょう。一度止まった時計の針は再び動き出し、未来に向けて動いています。

2019.02.20
by mura-bito | 2019-02-20 21:17 | Music | Comments(0)
藍井エイル – Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN
会場に響く ♪あの日交わした 約束を守りにいく この歌を届けにいく♪ という言葉。こう歌う「約束」からライブが始まりました。藍井エイルが再び歌を届けるためにやってきた場所、それが〈Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN〉のステージです。

2018年8月16日に開催されたライブのBlu-ray/DVDがリリースされました。ライブで披露された20曲とMCを余すところなく収録しており、「再会」の感動がまるごとパッケージされています。観客席で刻んだ歌と音と光の記憶は、ディスクに記録された映像によって刷新されます。
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ステージに登場して「約束」を歌う藍井エイルは、真っ白な衣装に身を包んでいました。その姿は、活動休止前の〈Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 “Last Blue” at NIPPON BUDOKAN〉で着た白い衣装に重なります。けれども、Last Blueで色を消すかのように見えた白は、「約束」の音色が響くRE BLUEではリスタートを象徴するように思えました。

「約束」が終わるとステージが暗転します。再び光を得ると、青い衣装で「IGNITE」を歌い始めます。♪迷わずに今♪ のサビで始まる、藍井エイルの代表曲です。最初のサビを歌い終わると、彼女は「ただいまーー!」と叫びます。曲名のとおりライブに火が点き、体感速度がぐんと上がります。ヒートアップする会場の空気は、空白の期間を一気に埋め尽くすかのようでした。

ライブは2時間にわたり、定番のシングル曲を中心に、活動再開後の新曲「約束」、「流星」、「ヒトカケラの勇気」を交えたセット・リストが組まれました。「AURORA」、「ラピスラズリ」、「シンシアの光」、「INNOCENCE」など、お馴染みの曲は活動休止前と変わらない魅力を存分に伝えます。

また、新たな試みも披露され、複数の角度から楽しめたステージでもあります。「KASUMI」では、ギター・プレイを披露しました。「アクセンティア」、「レイニーデイ」、「GENESIS」、そしてアンコールの「シリウス」ではパフォーマーを加えて、ステージを彩りました。演出に厚みを持たせたことで、エンタテインメントとして大きく膨らんだのではないでしょうか。変わらない魅力と、変わることで生まれる新しい魅力。藍井エイルは停止していたのではなく、旅をして帰ってきたのだと思います。



藍井エイル – Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN (Trailer)

「アカツキ」は活動休止直前に発表され、Last Blueで初めて披露された曲のひとつです。エモーショナルな歌声、ピアノとギターとストリングスが絡み合って生み出すドラマチックな音に心を奪われます。映像では、他の曲とは色の質感が少し変わり、少しくすんで彩度が下がった印象を受けました。歌詞やサウンドから浮かぶ、夜と朝の境界線を彷徨うイメージがより強まります。曲を聴くだけでもメロディの美しさに心が震え、ライブ映像が加わるとその震えは一層強まります。

多くの曲ではステージを広く使っていたのですが、「アカツキ」では中央からほとんど動きませんでした。その場で勢いよくターンしたり、崩れ落ちるように両膝をついたりする動きが印象に残りました。映像で表情を含めて確認してみると、これらの動きが曲の叙情性を高めているように思えました。

「GENESIS」の終盤では藍井エイルが姿を消し、プログレにも思えるインストをバンドが奏でる中で、黒い衣装をまとった6人のパフォーマーが踊ります。パフォーマーが姿を消すと、バンドの演奏はさらに熱を帯び、それはやがて「シューゲイザー」のイントロにつながりました。ギターの音が会場をヒートアップさせ、それをDJが煽ります。再び姿を見せた彼女の衣装は、黒を基調にして赤いラインを入れたものに変わりました。

「シューゲイザー」の映像を観ていると、表情の変化が印象に残ります。マイクを離して顔を横に向ける時の表情、赤いライトに染まる表情。青や白の光に包まれているときとは違うものを感じます。感情を吐き出すように歌うエモーショナルなボーカル・スタイルと相まって、強さと艶のある表情に惹きつけられます。
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本編ラストに披露された曲は「虹の音」です。曲の最後に届けられる「ありがとう」の言葉が強く印象に残ります。この曲はLast Blueのオーラスでも歌われました。「虹の音」を本編ラストに配した理由は、Blu-rayに収録されたドキュメント映像を観ると推察できます。「虹の音」を最後に歌うことに強い気持ちを持っていたことが分かります。

Last Blueで残された「ありがとう」と、RE BLUEで届けられた「ありがとう」は同じ言葉でも意味は大きく異なります。「今までありがとう」と「待っていてくれてありがとう」。感謝の気持ちを表わす点では同じでも、終わりを前提にするか、始まり(再開)を前提にするかで、違う言葉といえるほどに意味が変わり、受け止めた側の心にも別々の印象が刻まれます。再び時を動かしてくれたからこそ、こうした違いについて思いを巡らせることができ、そのためRE BLUEの「ありがとう」に深く感動できたのだと思います。

2018年2月8日に「約束」のミュージック・ビデオが公開され、その後も約2ヶ月おきに新曲の配信やシングルのリリースが続き、このライブはその最終地点ともいえます。再始動プロジェクトを締め括るマイルストーン。ここから次のステップに向けての歩みが始まります。アンコール前にはシングルのリリースが予告され、時間は未来に向けて動き出しました。

2018年8月16日は、過去と現在をつなぎ、そして現在と未来をつなぐ結節点でした。この日に予告された未来のひとつ目はすでに実現しており、今はさらにその先に向かって歩き出しています。「約束」で ♪新しい景色を また見つけよう♪ と歌われているように、新たに延びる道を歩きながら新しい景色を見ている、今はそんな感じです。

2018.12.13
by mura-bito | 2018-12-13 22:08 | Music | Comments(0)
藍井エイル「アクセンティア」:メロディアスなギターを追い風にして颯爽と駆け抜ける歌声
藍井エイル「アクセンティア」は、ギターの音を軸にしたサウンドに爽やかな雰囲気のボーカルが乗る、明るいロック・ソングです。2016年にシングルとしてリリースされてから、ライブでは定番曲のポジションを確保し、いつも会場を沸かせています。
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歌を支えるサウンドは、最初の一音から軽快で楽しい雰囲気を作り出しています。その心地好さがさらに増すのはサビですね。メロディアスに流れるギター、その裏で鳴るピアノ。音は気持ちよさそうに舞いながら聴き手に届き、心に流れ込みます。身体の中が美麗な音で満ちる。特にインストを聴くと、音の流れや重なりがよく分かり、音の良さをさらに感じることができます。

ずっと僕は「アクセンティア」がそこまで好きではなかったのですが、あるときインストを再生して歩いていると、サビで鳴るギターにはっとなり、そして強く惹かれました。こんなに魅力的な音が歌声の裏に隠れていたなんて! もちろん自分が気づかなかっただけですが。それ以降、ボーカル入りを聴くたびに、サビを聴くのが楽しみになりました。裏で響くギターを感じながら歌を聴く。自分の中で曲が立体的になって、多彩な表情を見せてくれます。ふとした瞬間に印象が変わった曲です。



藍井エイル – アクセンティア

「アクセンティア」を聴いていると「風が吹き抜ける」というイメージが浮かびます。ジャケット写真では藍井エイルが旗を持っていますし、ミュージック・ビデオでは布が風を受けてはためく中で歌っています。2018年のライブ〈Eir Aoi Special Live “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN〉ではダンサーが登場し、フラッグ・パフォーマンスを披露しました。また、ギターの音が鳴り続けるサビは特に風を感じますね。そして曲の途中でギターの音が消えると、風が止んだような感覚に陥ります。

先述の旗の他、彼女はジャケット写真で拡声器を携えています。ミュージック・ビデオにも拡声器を持って歌うシーンが収められています。歌声が拡がり、もっともっと多くの人に届くように——というイメージでしょうか。大きくなって、風に乗って、その歌声は遠くへと旅をする。音楽を届ける旅は一度中断しましたが、再び始まりました。藍井エイルの歌声は再び響き渡り、拡がっていくのです。


2018.11.20
by mura-bito | 2018-11-20 21:46 | Music | Comments(0)
藍井エイル「アイリス」:音は色を呑み込み、色を失いかけた世界で歌声が咲く
2018年8月の〈Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN〉で発表されてから約2ヶ月。藍井エイルのシングル「アイリス」がリリースされました。10日ほど前、彼女はこの曲についてツイートします。アイリス(iris)とはアヤメの花であり、花言葉は「希望」だと綴った後、こう続けます。「とても大切な人が、いつも自分に希望をくれました。そんな大切で、尊敬するあなたへと、私からも希望を与えられたら良いなと思い綴った曲です」と。
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哀愁漂うピアノが曲の始まりを告げます。イントロを受けたAメロでは、その歌い方にいつもと違う印象を受けました。丸みを帯びたというか角の取れた感じの歌ですね。Bメロ以降はいつもの鋭さや伸びやかさを感じます。差異を感じたのはイントロのピアノやAメロのボーカルに限られるので、違う路線というほど既存のイメージを壊しているわけではありませんが、それでも新しい表情を見た気がします。

ミュージック・ビデオは全体的に彩度が落ちていて、くすんだ色が目に飛び込んできます。渇きのようなものを感じる色です。夢に出てくる映像はいつだって無色ですが、「アイリス」の映像は、夢と覚醒の狭間とでもいうべき時間を思わせます。色が呑み込まれ、色が失われ、そのまま意識は夢の中に連れていかれそうになる。スモーキーな質感の映像の中で、時として明るく色が映えるシーンが差し込まれ、その時間は現実の色に引き寄せられます。



藍井エイル – アイリス

作曲およびアレンジに名を連ねているのはArmySlick。AAAやE-girlsなどのアーティストに作曲家、アレンジャー、リミキサーとして協力することが多いようです。「アイリス」ではイントロのピアノや間奏のギターが憂いを帯びて響き、耳に記憶に残ります。ボーカルや歌メロに漂う哀愁はサウンドからも染み出して、空気を染め上げます。

ArmySlickは小室さんのソロ曲「Every [feat. SKY-HI and KCO]」をリミックスしたことがあります。このArmySlick Remixから、エレクトロの要素を効果的に使うイメージを持っていたので、「アイリス」のギター・ロック的なアレンジは意外でした。一方で、このリミックスではピアノの使い方がとても好きだったのですが、その雰囲気は「アイリス」でも感じることができます。随所で響くピアノの音に胸を締め付けられます。歌声とともに音をじっくり味わいたい新曲です。
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なお、シングルには「Daylight」と「Liar」という新曲も収録されています。「Daylight」のサウンドはギターとシンセサイザーの音が激しく絡み合っていて、スピード感とシャープさを兼ね備えています。藍井エイルの歌にもいつも以上の勢いを感じます。中盤ではシンセサイザーが前に出てきますが、EDM時代らしい音が格好良い。この路線はもっと聴いてみたいですね。「Liar」の特徴はエモ系で攻めるアレンジであり、ずしりと重く響くロック・サウンドが身体を刺激します。ボーカルも一層エモーショナルに響き、ヘビーな言葉を繰り返して重ねるサビが爪痕のように印象に残ります。「アイリス」を含め、3曲ともストリーミングで最初から最後まで聴いてみてほしいと思います。

2018.10.24
by mura-bito | 2018-10-24 21:09 | Music | Comments(0)
[PART2] Eir Aoi Special Live 2018 "RE BLUE" at NIPPON BUDOKAN
久しぶりのライブということで、そのパフォーマンスからはアーティスト藍井エイルの新しい姿を見せたいという気持ちが伝わってきました。そのひとつが、黒いエレクトリック・ギターを弾きながら歌った「KASUMI」です。ギターは活動休止中に練習していたそうな。また、ステージに6人のパフォーマーを迎えて、ロックの音にエンターテインメントの要素を加えます。「アクセンティア」では、パフォーマーがフラッグ・パフォーマンスを披露しました。続く「レイニーデイ」では、ステップを踏みながらハンドクラップで会場を盛り上げます。さらに「GENESIS」で大きくて長い布を広げたり上下に振ったりして、ダイナミックな演奏を視覚的にも表現しました。最後は、絡み合う布に呑み込まれるようにして彼女が奈落に姿を消しました。
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ステージではエイルバンドが「GENESIS」のアウトロを演奏します。ほとばしる音。プログレを思わせるテクニカルで重厚な演奏が会場を支配し、このライブのサウンドを支えるメンバーの凄さを改めて感じさせます。ダイナミックな演奏を存分に味わった後、間髪入れずに響くのは「シューゲイザー」のイントロです。肌をざらりとなで、心まで呑み込むような、暴力的とも思えるメロディが特徴的な曲です(書いたのはGLAYのHISASHI)。黒い衣装に着替えた彼女が登場します。ハイトーンで歌うサビは圧巻です。

Eir Aoi Special Live 2018 "RE BLUE"
2018-08-16 at NIPPON BUDOKAN

約束/IGNITE/AURORA/アヴァロン・ブルー/MEMORIA
アカツキ/KASUMI/アクセンティア/レイニーデイ/GENESIS
シューゲイザー/流星/ラピスラズリ/翼/シンシアの光/INNOCENCE
ツナガルオモイ/虹の音/シリウス/ヒトカケラの勇気
ライブの終盤は、最新シングルの「流星」を披露すると、「ラピスラズリ」「翼」「シンシアの光」「INNOCENCE」といったお馴染みの曲を続けて演奏します。「ツナガルオモイ」を聴いていると、「Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 "Last Blue" at NIPPON BUDOKAN」のときに、この曲の途中で彼女が歌えなくなったことを思い出しました。あのときと同じようにハンドクラップで盛り上がりながら、表情は大きく異なります。

「ツナガルオモイ」から「虹の音」へのつながりも、Last Blueを想起させました。この曲で歌われる「ありがとう」は、同じ言葉でもシチュエーションによって異なる意味を持ちます。「虹の音」は、Last Blueの最後に歌われた曲であり、「さようなら」を込めた「ありがとう」でした。けれどもRE BLUEでは「待っていてくれてありがとう」という意味を感じました。未来へ向かうパフォーマンスは、やはり心を熱くさせます。音楽家としてのキャリアを閉じる場面に次々と遭遇する中で、彼女の活動再開のニュースはとても嬉しかったし、その時の気持ちがライブを観ながら再び湧き上がってきました。

アンコールでは、「RE BLUE」とプリントされたTシャツを着た彼女が「シリウス」を歌います。パフォーマーも再び登場し、演奏に華を添えました。そして最後に披露された曲は「ヒトカケラの勇気」です。「流星」と「約束」とともに最新シングルに収録されている曲であり、どちらの曲ともタイプが異なり、明るく突き抜けるような雰囲気が気持ちを盛り上げます。駆け抜けてゴールテープを切るような、走りきった感じを与えてくれました。パフォーマー、バンドメンバーとともに挨拶した後、彼女はひとりステージに残ります。彼女のために青くデコレートされたマイクをスタンドに戻し、その肉声を観客に届けると、ステージから去りました。それは、次のステージに向けて歩み出す一歩でもあります。次のシングル「アイリス」を10月にリリースすることも発表されました。RE BLUEというひとつの始まりが終わり、同時に新しい道が目の前に開かれます。素晴らしいライブでした。
2018.08.21
by mura-bito | 2018-08-21 21:32 | Music | Comments(0)
[PART1] Eir Aoi Special Live 2018 "RE BLUE" at NIPPON BUDOKAN
予定されていた開演時間の5分前。鼓動を思わせる音が響き、その音に呼応して、ステージ奥の中央で青い光が点滅します。抜け殻のようだったステージに、生命が宿ったかのようです。光が膨らむと、その中に蝶を模した「EIR」のロゴ・マークが浮かびます。やがて会場の照明が消えます。点滅する青い光を映していたスクリーンには、これまで発表されてきたシングルのミュージック・ビデオが次々と映っては消えます。
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音と映像の奔流は予告なしに止まります。ピアノの音が流れ、「約束」のイントロが響くと、記憶は一気に2018年2月8日に遡ります。突如として発表された活動再開。ミュージック・ビデオが公開され、止まっていた時計の針が再び動き出したことを思い出します。この曲から、藍井エイルの1年9ヶ月ぶりのライブ「Eir Aoi Special Live 2018 "RE BLUE" at NIPPON BUDOKAN」が始まります。美しい旋律と力強いリズムに包まれたイントロが終わると同時に、奈落から藍井エイルが姿を現わしました。スポットライトを浴びて輝く白い衣装は、あの日――「最後のライブ」の続きを思わせます。1年9ヶ月の空白をゆっくりと埋めていくように、歌が響き渡ります。

Eir Aoi Special Live 2018 "RE BLUE"
2018-08-16 at NIPPON BUDOKAN

約束/IGNITE/AURORA/アヴァロン・ブルー/MEMORIA
アカツキ/KASUMI/アクセンティア/レイニーデイ/GENESIS
シューゲイザー/流星/ラピスラズリ/翼/シンシアの光/INNOCENCE
ツナガルオモイ/虹の音/シリウス/ヒトカケラの勇気
「約束」を歌う彼女の声には、力強さとともに穏やかさも感じられます。胸を打つメロディに乗って、その奥に言葉がすっと潜り込んでくる。初めて聴いたときから素晴らしい曲だと思っており、文字どおり何度も聴いています。RE BLUEではどのように響いたのか。この曲は「活動再開後の最初のライブの1曲目」という特別なシチュエーションにぴたりとはまりました。これは二度とない機会であり、二度とない体験だったと思います。演奏が終わって暗くなってもまだ夢でも見ているかのような感覚に捕らわれていました。

光が戻ると、藍井エイルの衣装は青いドレスに変わっていました。そしてお馴染みの力強いフレーズとともに始まった曲は「IGNITE」です。観客席の熱が一気に高まるのを、目と耳と肌で感じました。その後も、彼女のライブを支えてきた「AURORA」「アヴァロン・ブルー」「MEMORIA」といった曲が演奏されます。

僕は「アカツキ」を聴けたのが特に嬉しかった。「最後のライブ」すなわち「Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 "Last Blue" at NIPPON BUDOKAN」で初めて披露された曲です。Last Blueでは最初で最後だろうと思わざるを得なかったのですが、その悲観的な推測は覆され、再びライブで聴く機会に恵まれました。エモーショナルに響く歌声と、イマジネーションをかき立てる歌詞が組み合わさって、その世界に聴き手を手繰り寄せます。曲の途中で彼女は、崩れ落ちるようにステージ中央で座り込み、光と闇の隙間にいるような姿を見せたのが印象に残りました。
2018.08.20
by mura-bito | 2018-08-20 18:07 | Music | Comments(0)
藍井エイル「流星/約束/ヒトカケラの勇気」:異なる視点で「藍井エイル」を描き、リスタートというコンセプトを表現する
シンガー藍井エイルのリスタートは、ひとつずつギアを上げていくように、段階的に進みました。2018年2月8日に「約束」のミュージック・ビデオ(編集版)が公開され、4月22日に「流星」の配信が始まりました。そして6月13日、この2曲に新曲「ヒトカケラの勇気」と「流星」のインストゥルメンタルを加えたシングルがリリースされました。

ジャケットを見て感じた印象に残ったのは、暗めの青に包まれていることです。色の分類でいうと、おそらく藍色と呼べるのではないかと思います。アーティスト名に使われている、藍。これまで僕は藍色をもっと明るい色だと思っていましたが、実はこのくらいが藍色とされることを知りました。この色がシングルのジャケットのメイン・カラーとして使われていることは決して軽くなく、そして大きな意味があると思いました。
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「流星」は先行して公開されており、ダウンロードして聴いていました。音を重ねた上にスピード感を出す、パワフルなアレンジがとても印象的でした。配信開始から少し経って、ミュージック・ビデオがYouTubeで公開されました。映像を観たとき、藍井エイルはこれまでとは違うところにも目を向けようとしているのではないかと思いました。カメラは彩度の低い世界の中で闇に呑み込まれそうな少女を映し、そして彼女が走り出す姿をも捉えます。それは逃げているのか、立ち向かっているのか、あるいはまた別の意味を持っているのか。走り続け、坂を上り、階段を上ります。やがて行き着いた先に広がっていたのは大きな夜空と無数の星です。それを見上げた彼女は一筋の涙を流し、すぐに笑顔を見せます。エネルギッシュなサウンドの中で、さまざまな意味が浮かんでは消えていきます。



流星

初めて聴いたときから「約束」のメロディに心が締め付けられます。再始動のニュースとともに聴いたために、特に強く印象付けられたのでしょうか。こうして時間が経って改めて聴いてみても、やはり最初の出会いと同じレベルで揺さぶられます。これは、正真正銘、僕の好きなメロディであり、それを届けてくれた歌声に魅せられているということの証です。歌詞が異なれば違った印象を受けたのかもしれませんが、このメロディと歌詞は結ばれるべくして結ばれたのでしょう。その一期一会を祝いながら、心地好いメロディに心を預けます。

2月にアップロードされた曲および映像は2番をカットしたバージョンでした。一方、シングルに収録されたバージョンは2番を入れた完全版です。この部分が入ることで何が嬉しいかというと、違う言葉で美しいメロディを聴けるということ。同じメロディであっても言葉が変われば、感覚的なものではありますが、捉え方が変わると思います。日本語(というか母語)で綴られた歌詞なので、意味を噛み締めながら聴いているのでしょう。新しく聴いた中では、♪笑顔の朝も 涙の夜も 大切にしていけたら♪ という歌詞が印象に残りました。



約束

新曲「ヒトカケラの勇気」は、他の2曲とはまた違ったタイプの曲調であり、これもまた好きな曲です。明るくて気持ちいいロックというのが第一印象です。その明るさに触れると、心はじわりと温かくなり、やがて熱くなります。タイミングが異なればこの曲もシングルとしてリリースされていたのかなと思える雰囲気があります。まあ、3枚目のアルバム『D’AZUR』で僕が好きな3曲はすべてシングル・カットされていない曲なので、「ヒトカケラの勇気」も僕の個人的なアンテナに引っかかる曲なのかもしれません。

歌詞カードに書かれた彼女のメッセージによると、「流星」や「約束」が自分の過去や再始動に関する思いを込めたのに対して、それらから離れて純粋に前に進もうとしているのが「ヒトカケラの勇気」であることが窺えます。この3曲を並べて聴くと、リスタートというコンセプトを異なる視点で捉えることができるかなと思います。もちろん、別々に聴いて楽しんだっていい。点と点を結んでトライアングルを描くことで、ひとつの意味が浮かぶ、そういう受け止め方もできるのだろうと思いました。



流星/約束/ヒトカケラの勇気

8月には日本武道館でのライブが行なわれます。このライブをもってリスタートのプロジェクトが完結するといえるのかもしれません。2月に公開されたインタビューでは、何がしたいかと尋ねられると彼女はライブだと即答しました。そしてそれがついに実現します。しかも、別れを告げたときと同じ場所に姿を見せ、帰還を告げる。そう考えると、活動を休止していた空白の期間すらもドラマチックです。こうして空白に青が満ちていくプロセスに立ち会えるのは、何というかとてもワクワクしますね。
2018.06.13
by mura-bito | 2018-06-13 22:56 | Music | Comments(0)
藍井エイル「流星」:流れ流れる星をつかんで心を込める、思いを託す、橋を架ける
2018年2月に「約束」のミュージック・ビデオを公開して、リスタートを宣言した藍井エイル。春から本格的に再始動するとの言葉どおり、新曲「流星」の配信がスタートしました。スリリングなピアノのフレーズに導かれ、激しく咆哮するギターに背中を押される。言葉もまた勢いよく飛び出し、聴き手のハートに火を点けます。
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曲をダウンロードして初めて再生したときの第一印象は「とても藍井エイルらしい」です。メタル系やエモ系のロックで疾走する――少なくとも僕はそういうイメージを抱いてきましたが、それに合致するサウンドや歌を聴かせてくれます。もちろん、彼女はシンガーとして他の多くの魅力も持ち合わせており、異なるタイプの曲も歌いますが、広角的に見ると疾走系ロックを軸にしていると捉えています。


再始動の発表に合わせて公開されたインタビュー(『リスアニ!』Vol. 32)では、歌詞はともかく曲のタイプを変えるわけではないと語っていました。その言葉を、「流星」を聴きながら思い浮かべます。「流星」の雰囲気は、これまで築かれた藍井エイルのイメージから外れていないと僕は思いました。過去の曲に類似しているわけではありません。ファンの中に強く刻まれた像に最も近い音と表現すべきでしょう。

これまでの軌跡をリセットしようとしてはいないことが、「流星」から伝わってきます。少しの間の空白を埋め、橋を架ける。そしてその先には、これから進むべき道が見えている。道が見えているからこそ、進むために必要なものを選び取ることができるのだろうと思います。「流星」で表現されているものは、ファンに届けられた贈り物であるのと同時に、藍井エイル自身の背中を押す力になっているのかな、と。そんなことを思います。
2018.05.01
by mura-bito | 2018-05-01 22:30 | Music | Comments(0)
藍井エイル – 約束
2018年2月8日、突如としてアナウンスされた藍井エイルの活動再開。まさしく吉報です。そして、活動再開の “prelude”(前奏曲・序曲)と位置付けられた新曲「約束」がYouTubeにアップロードされました。2016年11月のライブから始まった「終わり」が終わって、ここから「始まり」が始まります。“Last Blue” から、“Blue Is Back”。色のなくなった世界が再び青に染まり始めます。
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「約束」は静謐な音から始まり、背中を押されるようにして、歌がぽつりぽつりと言葉を紡ぎ始めます。そのメロディは優しく、歌は丁寧に言葉をつないでいきます。曲は徐々に熱を帯びます。やがて歌は力強くなり、言葉に託された思いがあふれます。僕は ♪一人では描けないストーリー♪ という部分のメロディ・ラインがとても好きですね。このフレーズの中で見せる変化に、ぎゅっと胸が締め付けられます。



藍井エイル – 約束

歌詞には彼女の思いが反映されています。ストレートな言葉で気持ちを吐露しながら、最後は歩みを進める決意を語ります。その中で、僕は ♪失くした物を数えてたら 優しい誰かが抱えてた♪ という言葉に惹かれました。とても美しくて優しく、メロディと一体となった言葉からイメージが広がります。失ったと思っていたものは、失われていたわけではなかった。それは取り戻すのではなく、再び受け取りに行くもの。そうして受け取ることが、次に進むためのファースト・ステップとなるのです。

今の自分が伝えたいことを伝えられる限り新曲の「約束」に込めましたので、受け止めてくれたらうれしいと思います。

藍井エイル
リスアニ!2018 FEB. 藍井エイル インタビュー

ミュージック・ビデオでは、青空の下を歩く彼女のポートレートをつなぎます。ポートレートに歌詞が重ねられ、それらは風に吹かれるようにして次の言葉を運んでくる。ひとつひとつの言葉は発せられて消えるのではなく、音にとけていきます。「約束」という言葉はシンプルで日常的にあふれる言葉のひとつですが、こうして曲に気持ちをチューニングして聴いていると、その言葉に込められた気持ちや時間が心に染み込んできますね。もうすぐ、新しい季節が始まります。

2018.02.15
by mura-bito | 2018-02-15 21:06 | Music | Comments(0)
藍井エイル「シリウス」:一等星のように輝く歌、星空のように瞬く音
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最近、藍井エイルの「シリウス」を聴いています。明るく光る一等星の名前を冠した曲です。2013年にシングルとしてリリースされ、翌年の2枚目のアルバム『AUBE』に収録されました。躍動するボーカルと開放的なバンド・サウンドが組み合わさることで、聴きながら気持ちは高揚し、そして聴き終えた後に爽快感を残します。

メロディがきらきら光る、というイメージが浮かびます。思い出されるのは、「シリウス」がオープニングを飾ったライブ「Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 “Last Blue” at NIPPON BUDOKAN」(PART1/PART2)です。目の前が明るくてポジティブな気持ちで聴けたのは、単にステージを照らす光だけではなく、そのメロディに因るところもあったのかなと思います。



藍井エイル – シリウス

シングルには他の曲に加えて、「シリウス」のインストも収録されています。音だけで聴くと、ボーカルが入っているものとは異なる印象を受けます。例えばオルガンが鳴っていることに、インストを聴いて気づきました。そしてボーカル入りを聴きなおすと、オルガンが聞こえる。これまでも聞こえていたはずなのに、認識していなかったわけですね。歌に意識のリソースが多く割かれていたためでしょうか。

インストは歌というパーツを外した、部品の欠けた機械なのでしょうか。僕は、違う世界を描くキャンバスだと思います。そのシンガーのファンであれば「物足りない」と感じるのが当然なのかもしれません。ただ、これまで僕は、ボーカリスト自身が「歌も楽器の一部」と公言してはばからないグループの曲をたくさん聴いてきたせいか、インストはインストとしてボーカル入りとは別個の存在と捉える節があります。インストを聴いても歌がなくて物足りないと思うのではなく、「こういう音が入っていたのか」というような発見を楽しむことが多い。

そして、インストの魅力は「歌の存在を改めて感じられる」点にあります。音だけで聴いてみるからこそ、そこに「ないもの」の価値を感じるというか。インストを聴くことで、またボーカルが入った状態で聴きたくなる。歌声に魅せられているため、歌もインストも、それぞれの観点から楽しめるのだと思います。歌と音は互いの魅力を引き立てる関係ですね。この「シリウス」という曲も、音の魅力と歌の魅力が相互作用でクロスしていると僕は感じました。楽しい。

2017.06.04
by mura-bito | 2017-06-04 21:19 | Music | Comments(0)

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