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音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
OUR WORLD IS EXPRESSED BY IMPRESSIVE WORDS
ORESAMAが「カラクリ -Dressup cover-」をYouTubeで公開しています。過去にリリースした自身の曲をセルフ・カバーする「Dressup cover」シリーズの第3弾です。

「カラクリ」は、2015年に発表したオリジナル・アルバム『oresama』の最後に収録された曲です。「カラクリ」には、「KARAKURI」というバージョン違いの曲があり、同じアルバムの最初に収録されています。「KARAKURI」はライブのDJコーナーでもよく使われるEDMです。Dressup coverでは歌モノの「カラクリ」をモチーフにしていますが、「KARAKURI」の音を感じさせる部分もあります。
ORESAMA – カラクリ -Dressup cover-
オリジナルの「カラクリ」を聴いたときは歌も音もメランコリックに聞こえ、いうなればプログレの雰囲気を感じました。そんな空気を踏襲するようにDressup coverでも体温低めのサウンドが曲を支配します。
けれども曲は次第に熱を帯び、聴き手を興奮の渦に巻き込んでいきます。オルガンからピアノの音にシフトするキーボード・サウンドの競演が好きです。この鍵盤アプローチがロックにもエレクトロにも思えて心地好く、閉じ込められた気持ちが解放されます。サビで空気が変わるDressup coverの展開をライブで味わってみたい。カラクリ仕掛けのなかに迷い込み、操られて、期待は膨らみます。
2020.09.15

ORESAMA – カラクリ -Dressup cover-
オリジナルの「カラクリ」を聴いたときは歌も音もメランコリックに聞こえ、いうなればプログレの雰囲気を感じました。そんな空気を踏襲するようにDressup coverでも体温低めのサウンドが曲を支配します。
けれども曲は次第に熱を帯び、聴き手を興奮の渦に巻き込んでいきます。オルガンからピアノの音にシフトするキーボード・サウンドの競演が好きです。この鍵盤アプローチがロックにもエレクトロにも思えて心地好く、閉じ込められた気持ちが解放されます。サビで空気が変わるDressup coverの展開をライブで味わってみたい。カラクリ仕掛けのなかに迷い込み、操られて、期待は膨らみます。
2020.09.15
#
by mura-bito
| 2020-09-15 21:01
| Music

エイルが歌った曲は「IGNITE」。彼女のライブには欠かせない代表曲です。いつもはエイルバンドとともに披露しますが、今回はピアノだけで歌います。音のシンプルさとTHE FIRST TAKEならではの緊張感が混ざり合って、聴き慣れている「IGNITE」の新たな一面が見えました。
藍井エイル – IGNITE (THE FIRST TAKE)
「IGNITE」のようなアップ・テンポの曲を、シンプルなアレンジで聴くのは初めてでした。音の雰囲気が変わっても歌声の熱や勢いは変わりませんが、シンプルな音だからこそ本質的な部分が露わになって、いつもとは違う雰囲気を感じました。印象に残ったのが、時折見せる歌声の「鋭さ」です。歌声のエッジが際立ち、その鋭さが真っ白な空間に響きます。エイルの歌声の本質、その一端に触れられたのかもしれません。スリリングなパフォーマンスでありながら、魅力的な歌声によって緊張感が高揚感に変わります。
ピアノを弾いたのは、エイルバンドのバンマスを務める重永亮介です。普段は他の音と役割を分担していますが、THE FIRST TAKEでは、他の楽器の分まで「IGNITE」のアグレッシブさを表現しているように思えました。カメラのひとつが鍵盤にレンズを向けており、熱を帯びたテクニカルな演奏を視覚的にも堪能できます。歌声の鋭さを支えるピアノの鋭さを感じられるのではないでしょうか。
2020.09.09
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by mura-bito
| 2020-09-09 21:04
| Music

「HAPPINESS×3 LONELINESS×3」はTM NETWORKの他に、Julio Iglesias Jr.、Sheila E.、王力宏(Wang LeeHom)が歌ったバージョンが存在します。Julio Iglesias Jr.は英語、Sheila E.はスペイン語、そして王力宏は中国語。歌詞を翻訳しただけではなく、譜割も言語に合うように変えられたり、新たなフレーズが追加されたりしました。
各バージョンではアレンジも異なっていて、いずれもSheila E.のパーカッションが入っているものの、ほとんど別の曲であり、個性的な四つの世界を楽しめます。ミュージック・ビデオはこの四つの音や歌をつなげ、各アーティストが入れ替わりに登場します。部分的ではありますが、四種類のオリジナリティを体験できる貴重な映像です。
Music video by TM NETWORK, Julio Iglesias Jr., SheilaE., and Wang LeeHom performing HAPPINESS×3 LONELINESS×3
オリジナルであるTM NETWORKのバージョンは、TM NETWORKの曲としてはかつてないほどにパーカッションの存在が大きくなっています。これほどまでにパーカッションを押し出すのは珍しいものの、熱さよりも切なさを感じさせるアレンジがTM NETWORKらしさを表わしています。同じ曲でも、Sheila E.やJulio Iglesias Jr.のバージョンでは熱く聞こえるのですが、それらと対比して聴くとTM NETWORKらしい哀愁が際立ちます。
言葉の乗せ方を変えるとメロディは異なる雰囲気をまといますが、言語が変わればさらに変化が生まれます。ウツが歌う日本語のバージョンは言葉をしっかり区切りますが、Julio Iglesias Jr.は色気のある声と絡みつくような歌い方で、流れるように言葉を走らせます。音符を足場にして次々とジャンプしていくイメージ。全体的にノリがよくて、エンディングではトランペットも加わり、明るく楽しいラテンの雰囲気を前面に押し出しています。
ラテン・サウンドはSheila E.のホームです。当然ながら、本人の叩くパーカッションが前に前に出ています。どれだけの音が同時に鳴っているんだろうと思うくらい、多彩な音が飛び出します。10年ほど経ってジャズを通してパーカッションに興味を持ったときに、このバージョンを改めて聴くと、新しい音に次々と出会いました。リリース当時は聞き逃していた音が、どんどん身体に入ってきたことを覚えています。カラフルでパーカッシブな音の競演が聴き手の心を熱くします。
中国語の歌を主体的に聴いたのは、王力宏が歌う「HAPPINESS×3 LONELINESS×3」が初めてでした。リズムはオリジナルよりも重くなって、本人が弾くバイオリンが重なり、そうしたサウンドに合わせて言葉が滑らかに流れていく。日本語よりも英語に近い言葉の乗せ方、流れ方といえます。加えて特徴的なのがエンディングです。このバージョンだけの歌メロが聴け、それはまさしく「泣きのメロディ」といえます。このメロディの印象で曲が終わるのもまた、他のバージョンと違っていて印象に残ります。
言葉の違いは往々にして壁になるわけですが、視点を変えれば新たな体験の扉になり得ます。各々が自分の声や音を使って同じメロディを料理するというのは、音楽に特化したワールドワイドな競演です。しかしながら、今やK-POPがBillboardチャートの常連になるなど、言語を横断する曲が世界を駆け巡るのは珍しくありません。「HAPPINESS×3 LONELINESS×3」の企画も、今であればK-POPアーティストにも声をかけたに違いありません。
1999年とは比べ物にならないほどに2020年のネットワークは拡張し、世界を駆け巡る音楽を聴く機会が増えています。それを楽しめるのも、ひとつには「HAPPINESS×3 LONELINESS×3」のコラボレーションを体験したからだろうと思います。懐かしいという意味ではなく、今の音楽を楽しめる、その起点として記憶に残り続ける曲です。
2020.09.06
#
by mura-bito
| 2020-09-06 14:12
| Music

ファンキーな音を背にして、ポップで鮮やかなメロディを歌いこなす7人。舞うように響く7つの歌声のなか、最も印象に残るのが “Dy-na-na-na, na-na...” の部分です。キャッチーで記憶に残るのは、BTSの優れたボーカル表現に加え、メロディや言葉のはめ方が素晴らしいことの証でしょう。
BTS – Dynamite
シンプルに組み立てられた「Dynamite」のサウンドは、重ねて厚みを出すというよりは、それぞれの音が際立ったつくりになっています。ファンクを感じさせるギターやホーンの音、さらに重なるキーボードの音が特に好きです。ノスタルジックともいえる音に2020年の感性を注ぎ込むと、昔っぽくて今っぽいという不思議な質感を漂わせるサウンドになります。
BTS – Dynamite -Instrumental-
オリジナルと同時にインストゥルメンタルが配信されました。BTSの美声をさらに楽しむために、音を堪能することはとても重要です。インストでアレンジの良さを味わってから改めて歌を聴くと、曲の立体感や奥行きを感じられます。曲の別の側面が見られるため、歌モノのインストは貴重です。
BTS – Dynamite -Acoustic Remix-
そして、数日後に2種類のリミックスがドロップされました。Acoustic Remixのメインとなる音の種類(ギター、キーボード、ベース、ホーンなど)はオリジナルと大きく変わりませんが、キーボードやギターが聴き手の近くで鳴っている感じがあります。一方、EDM RemixではBPMを上げてエレクトロニック・サウンドを主体にしています。イメージとしてはZeddに近い感じでしょうか。オリジナルとは音の印象が大きく変わっており、その変化が楽しいリミックスです。
BTS – Dynamite -EDM Remix-
「Dynamite」のソングライティングを担当したのは、David StewartとJessica Agombarです。David StewartはEurythmics(ユーリズミックス)のギタリストであり、Eurythmicsといえば1980年代を語る際によく名前が挙がるグループです。
「Dynamite」では、1980年代のディスコ・ソングやポップ・ミュージックの良いところが抽出され、今の感性で新しい価値を生み出しています。BTSの曲は、複数のソングライター、ジャンル、時代の雰囲気などが混ざり合います。カラフルな要素がBTSという一点で交わる。その瞬間に立ち会えることは幸運であり、新しい曲を聴くことにとどまらない強烈な体験なのではないかと思います。
2020.09.01
#
by mura-bito
| 2020-09-01 21:45
| Music

LINKIN PARKのメール・マガジンで「She Couldn’t」が公開されたことを知り、すぐにアクセスして聴きました。淡々と響くベースやキック、爪弾くギターの音、低空飛行を続けるChester BenningtonのボーカルやMike Shinodaのラップがとても心地好い。しかし音はやがて熱を帯び、気づけば聴き手を侵食し、潜り込み、全身を駆け巡ります。
LINKIN PARK – She Couldn’t
「She Couldn’t」にはChesterならびにMikeの声だけではなく、The High and Mightyの「B-Boy Document 99 [feat. Mad Skillz and Mos Def]」から、ボーカルの一部が使われています。そのあたりの権利関係がお蔵入りになった理由のひとつのようですが、とうとうクリアになったということでしょうか。ブートレグではなくオフィシャルな形で聴けることに感謝します。
「She Couldn’t」はChesterが加入した頃のデモのひとつだそうな。『Hybrid Theory』のヘビー・ロックというアプローチとは異なり、エレクトロやヒップホップをメインにした「She Couldn’t」に、バンドの源流のひとつを見ました。黎明期に封印された曲が解禁されるのはコレクターズ・アイテムとして貴重ですが、個人的には、バンドについて語れる内容が増えることを嬉しく思います。
2020.08.27
#
by mura-bito
| 2020-08-27 20:33
| Music

fujiokashinya (mura-bito)
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