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音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
OUR WORLD IS EXPRESSED BY IMPRESSIVE WORDS
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TM NETWORK「RHYTHM RED BEAT BLACK」:交差する赤と黒の世界、交錯するロックとハウス
トーキング・モジュレーターで歪ませたギターが響くTM NETWORKの曲と言えば「RHYTHM RED BEAT BLACK」です。1990年にTMNとして最初にリリースしたアルバム『RHYTHM RED』に収録され、のちにシングル・カットされました。トーキング・モジュレーターとはキーボードやギターの音を「口で反響」させて変化を加えるエフェクターの一種です。
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「RHYTHM RED BEAT BLACK」の特徴は、メインのフレーズを繰り返すシンセサイザーとギターです。このループがとても気持ち良くて、ロックでありながら、ハウスでもある。そこにトーキング・モジュレーターを通した音やスクラッチ・ノイズを織り交ぜ、キックやベースが色気を醸します。音と音が艶っぽく絡み合い、ロックとハウスが交錯する。

1991年には、ボーカルとバックトラックを一新したリミックス “Version 2.0” を発表しました。歌詞はすべて英語になり、サウンドからはギターをなくし、オリジナルよりハウスの色を強めたアプローチといえます。さらに、1993年のリミックス・アルバム『CLASSIX 1』には “house sample foods mix” という名称のリミックスが収録されました。オリジナルのボーカルとサウンドを土台として、ラップのようなコーラス、金属的なシーケンサーの音を重ねて厚みを持たせています。



TM NETWORK – RHYTHM RED BEAT BLACK
(Live at Yokohama Arena in 2015)

基本的なカラーは共通するものの、ライブのたびに「RHYTHM RED BEAT BLACK」のアレンジは変化しました。YouTubeには、2015年のライブ〈TM NETWORK 30th FINAL〉の映像がアップロードされています。小室さんは三方に配置したソフト・シンセをリアルタイムでコントロールしながら、背後にセッティングしたRoland社のJD-XAを弾き、太くて厚い音を響かせます。サビ前のブリッジやアウトロで登場するJD-XAの音は、ギターと火花を散らしながら音の宴を彩ります。

ギターをメインで弾くのは「葛G」こと葛城哲哉ですが、「RHYTHM RED BEAT BLACK」といえば葛Gというくらい密接な関係にあります。この曲が演奏されたすべてのライブに参加し、トーキング・モジュレーターを駆使した演奏を披露しました。ノイジーな音で空気を震わせるそのパフォーマンスは、赤と黒が交わる世界に観客を引きずり込みます。

歌詞を書いたのは、1990年代のドラマを象徴する脚本家、坂元裕二です。装飾的な歌詞は現実感を歪ませて、フィクショナルな世界を描きます。『RHYTHM RED』を貫くテーマのひとつにデカダンス(退廃的)がありましたが、その要素を「RHYTHM RED BEAT BLACK」に強く感じます。煌びやかな言葉の連なりは音と絡み合って、聴き手を惑わせます。「光と闇が揺れる隙間」に潜り込み、終わらない夜の中で終わりに向けて進み続ける。どこにもたどり着かない閉塞感が漂います。華美な言葉を積み上げた先に待っているのは崩落か、夢見た世界か。

2018.10.16
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# by mura-bito | 2018-10-16 22:37 | Music | Comments(0)
Zedd and Elley Duhé Happy Now Remixes/Acoustic:高まる音のプレゼンス、際立つ歌声のプレゼンス
ZeddElley Duhéが組んで発表した「Happy Now」のRemixesとアコースティック・バージョンがストリーミングで配信されています。いずれもYouTubeで聴くことができ、アコースティックの方は演奏している映像が収められています。
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オリジナルを制作したとき、Zeddは「Happy Now」について “the most organic sounding song I’ve made in a long time” と述べています。この “organic” という表現をどのように捉えるか。Zeddの特徴であるエレクトロニック・サウンドから距離をとったアレンジだと僕は解釈しました。穏やかな空気を漂わせ、リラックスした状態で耳を傾けたいポップスだと思います。では、リミックスやアコースティックでは、どのような変化を見せたのでしょうか。



Zedd and Elley Duhé – Happy Now -BEAUZ Remix-

配信されたRemixesの中では、BEAUZという兄弟DJ/Producerデュオによるリミックスが好きです。オリジナルのorganicな雰囲気は感じられるものの、肉食っぽい音の印象がかなり強く残ります。ワブル・ベースを含むエレクトロニック・サウンドの響きは、ネコの舌のようにざらざらした感触。粘り気があって聴き手にまとわりつく感じが、音のプレゼンスを高めています。
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アコースティック・バージョンの「Happy Now」は、ボーカルとアコースティック・ギターで構成されています。ギターを弾くのはZeddの兄であるArkadiです。もともと穏やかだった曲に、柔らかさ、優しさといった印象が加わります。



Zedd, Elley Duhé and Arkadi – Happy Now -Acoustic-

オリジナルの時点でさえElleyの歌声が際立つアレンジだと思いましたが、それ以上にアコースティック・ギターの響きは歌声の輪郭を浮かび上がらせます。歌声のプレゼンスが高まると、メロディに含まれた切なさがぐっと引き立ちますね。素敵な歌声は空気を震わせるだけではなく、聴き手の心をも震わせるのでしょう。
2018.10.04
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# by mura-bito | 2018-10-04 21:09 | Music | Comments(0)
Shawn Mendes and Zedd「Lost In Japan -Remix-」:鋭く鮮やかなエレクトロニック・サウンドが甘い歌声を彩るリミックス
Zeddの新しい音が届きました。カナダ出身のシンガー・ソングライターShawn Mendesが歌う「Lost In Japan」のリミックスです。Remixes内の1曲ということではなく、二人の連名でシングルとして新曲のようにリリースされました。
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Shawn Mendesの歌とZeddのエレクトロニック・サウンドが調和した素晴らしいアレンジです。Shawnの歌声は甘く、色気に満ちていますね。リズミカルなビートとシャープなシンセサイザーの音が歌声に絡みつき、それをヘビーなベースとキックが包み込みます。心と身体を優しく刺激する音のスパイラル。シンセサイザーに誘われて身体を動かしていると、ふとした瞬間に、語りかけるようなボーカルに聞き惚れます。3分半に満たない時間の中で感じる心地好さは筆舌に尽くしがたく、この音が延々と続いてほしいと願うばかりです。



Shawn Mendes and Zedd – Lost In Japan -Remix- (Lyric Video)

Zeddが奏でる音は、背後から光を当ててシルエットを浮かび上がらせるように、歌声を引き立たせます。正面から当たる光と異なり、後方から照らす光は表情を隠しますが、輪郭が強調され、わずかな動きが目立ち、そこに心の震えすら投影されている気もする。そういったイメージが浮かびました。このリミックスでは歌も音も主役です。それぞれに異なるアプローチで曲の世界を描き出します。
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曲名に含まれる “Japan” とは何を意味しているのか気になるところです。この場合の “Japan” は「遠いところ」を示す言葉なのかなと思います。遠くに行ってしまった相手に向けて語りかけ、それを強調するために選んだ言葉。東の果ての国は今やそれほどエキゾチックでもミステリアスでもないのでしょうが、メタファーとして機能するには充分に離れた地域だということでしょうか。



Shawn Mendes – Lost In Japan (Audio)

「Lost In Japan」のオリジナルは、自らの名前を冠したアルバム『Shawn Mendes』に収録されています。ピアノの静謐な音から始まり、歌が入るとR&Bの雰囲気を漂わせます。コーラスと絡むところはファンクの要素も感じますね。先述の比喩のようにZeddリミックスがシルエットを描くとすれば、オリジナルはステージの正面からスポットライトを当てて、その表情の変化をしっかり見せるアプローチです。音を従えてさまざまな表情を見せる歌を堪能でき、とても素晴らしい歌声であることが伝わってきます。

2018.10.02
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# by mura-bito | 2018-10-02 21:30 | Music | Comments(0)
小林ユミヲ『星くずのプリンス 1』:“灯をともすローソク” は自らを照らし、やがて世界を照らす
2017年8月から小林ユミヲの漫画「星くずのプリンス」が『月刊モーニングtwo』で連載されています。サブタイトルは「THE WORLD IS WAITING FOR US.」。2018年2月には単行本の第一巻が刊行されました。現在、第一話をモーニングのサイトで読むことができます。
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舞台は1970年代後半の芸能界。新人アイドル「白鳥かける」が、事務所の社長「浪越マリアンヌ」と二人三脚でスターを目指して奮闘します。かけるはアイドルとしての振る舞いと素顔との間のギャップに苦しんでトラブルを起こし、同世代の人気アイドル「黒崎るい」とも犬猿の仲になりますが、それでも少しずつ知名度を高め、テレビの世界に食い込んでいきます。

雑誌を買ってすぐに初回を読み終えると、僕は「陰と陽がうまい具合にミックスされた物語」とツイートしました。物語は1970年代の表と裏を描きます。明るく華やかな光が当たる部分と、明るいからこそ生まれる陰の部分。相反するふたつの要素が交錯して、ひとつの世界を織り上げています。
「星くずのプリンス」で描かれる東京の街は薄汚れて雑然としていますが(汚い街や部屋を描かせたら小林ユミヲ&アシスタントの右に出るものはない)、1970年代の東京とは、どのような空気を漂わせていたのでしょうか。あとがきで小林さんは「70年代という時代はぼんやりとした記憶の中で明るさはあまりなく、夜はどこまでも深く、冬は底なしに暗いイメージです」と書いています。今の渋谷や新宿も雑然としていますが、暗いイメージはなく、それほど汚いわけではない。40年以上も前の東京の夜は今より暗くて、その隙間に存在する闇も多かったのかもしれないと思いますが、生まれてもいない時代の空気を想像するのは難しい。

小林さんは先の文章に「そこに灯をともすローソクの芯のような若いアイドル達を描いてみたいと思ったのでした」と続けます。かけるは義母から受けたトラウマなどの闇を抱えながらも、マリアンヌと会ってアイドルの仕事をすることで、彼自身が「灯をともすローソク」となっていきます。小さな光はかける自身を照らし、そしてマリアンヌも照らすのです。それはやがてテレビの前にいる人々をも照らす大きな光になるのか、否か。

「にがくてあまい」が終わって1年半ほどのインターバルを経て始まった「星くずのプリンス」。「にがくてあまい」とはまた違った、小林さんの新しい世界が広がります。清濁併せ呑むのが当たり前のエンターテインメントの世界、その真っ只中でもがいて這って生きるアイドルたちの姿を、ときに重く、ときに軽妙に描く筆致に心をつかまれます。

2018.09.28
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# by mura-bito | 2018-09-28 22:10 | Visualart | Comments(0)
TM NETWORK「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」:“存在感のある音” を追究するTMNスタイル、その始まりを告げたロック・パフォーマンス
1984年にデビューしたTM NETWORKは、1990年に名称をTMNと改めます。この改称を彼らは「リニューアル」と呼びました。グループ名を変えただけではなく、それまでに構築したTM NETWORKの音楽スタイルを解体し、新しいスタイルを立ち上げるという意思が込められています。リニューアルの少し前に、TM NETWORKの名義でリリースされたシングルが「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」です。
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1988年から1989年にかけて、TM NETWORKはプログレとミュージカルの要素を掛け合わせたシアトリカルなステージを展開しながら、同時にユーロビートへのシフトを見せました。これらの活動に区切りがつくと、TM NETWORKは最初の休眠期に入ります。1990年になって「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」をリリースしてTM NETWORKは覚醒し、TMNへのリニューアルを宣言すると、ハード・ロックに振り切ったシングル「TIME TO COUNT DOWN」とアルバム『RHYTHM RED』を発表しました。

「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」のアレンジはギターの音が際立つロック・スタイル。シンセサイザーの音も太くて厚みを増し、そして荒々しさを感じます。アルバム『RHYTHM RED』に収録されたバージョンでは雰囲気が変わり、ベースの音が際立ちます。アルバムの音は粘り気があって、絡みつく感じでしょうか。シングルの音からは「上昇する」イメージを抱き、一方でアルバムを聴くと「沈んでいく」イメージが浮かびます。ライブではアルバム・バージョンを基にしたアレンジで演奏されてきました。



TM NETWORK – THE POINT OF LOVERS’ NIGHT
(Live at Tokyo International Forum Hall A in 2014)

小室さんにとって「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」はどのような位置づけだったのか。それは1993年に刊行されたエッセイ集『告白は踊る』(角川書店)の250ページに記されています。「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」から「TMNの音は始まっている」と小室さんは語りました。シングルの名義はTM NETWORKでしたが、実質的にTMNのファースト・シングルであり、この後にリリースされた曲のサウンドを予告する役割を担います。続けて「その時点からTM NETWORKとは多少なりとも違った独自性を持ったと意識している」と述べており、この曲はターニング・ポイントともいうべき重要な意味を持ちました。

1989年までのTM NETWORKの活動で追究してきたシンセサイザー・ミュージックやファンタジックでシアトリカルなステージ演出から離れ、TMNはよりリアルなイメージの表出、バンドの音を表現するようになりました。TMNとしてリリースしたアルバム『RHYTHM RED』はロック、『EXPO』はハウスといったようにジャンルは異なりますが、体温の高い、生々しいサウンドやステージ演出が共通しています。『告白は踊る』のページを再び繰ると、「(前略)“存在感のある音” を強く意識し始めた。それはある種の重さであり、意義でもある」という一節が目に留まります。その意識が形になった最初の曲が「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」なのです。
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節目に生まれた曲だからか、その後の10周年、20周年という節目のライブのセット・リストに名を連ねます。そして2014年に敢行されたライブ・ツアー「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30」でも披露されました。久しぶりに「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」を生で聴きましたが、音も歌も色気に満ちて、ぐっと深みを増していると感じました。リズムが身体に染み込んでくる感じが心地好くて、ずっと聴いていたいと思わせるパフォーマンスでした。YouTubeにアップロードされている公式の映像はこのライブだけです。スリルでマッドな音を体験するにイントロからアウトロまでフルで観てほしいと思いますが、公開されている範囲だけでも曲の魅力を味わうには充分でしょう。その世界に絡め取られて、沈んでいきます。

2018.09.26
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# by mura-bito | 2018-09-26 21:57 | Music | Comments(0)
ORESAMA ワンダーランドへようこそ ~in AKASAKA BLITZ~
ORESAMA ワンダーランドへようこそ ~in AKASAKA BLITZ~
2018-09-13 at Akasaka BLITZ

ワンダードライブ/Waiting for.../cute cute/ようこそパーティータウン/Listen to my heart/Dreamin’ Pops
モニ子 DJプレイ:迷子のババロア, KARAKURI, etc./ホトハシル [with MARU, YU of ELEVENPLAY]
Trip Trip Trip/耳もとでつかまえて/「ねぇ、神様?」/オオカミハート/銀河
Hi-Fi TRAIN [with MARU, YU of ELEVENPLAY]/流星ダンスフロア [with MARU, YU of ELEVENPLAY]
Shadow and Truth [with Foggy-D of ONE III NOTES]/乙女シック

ステージに立つ影。音に乗せてレーザー光線を操り、観客を違う世界に導きます。光は色を変え、折れ曲がり、広がってワンダーランドへの架け橋となります。やがてレーザー光線を操っていた影がステージを去ると、ORESAMA(ボーカル:ぽん、ギター:小島英也)とサポートメンバー(DJ:モニ子、ベース:三浦光義)が姿を見せます。ぽんが中央に立つと、彼女の合図でステージが光に包まれます。

2018年としては三本目となるワンマンライブ「ワンダーランドへようこそ~in AKASAKA BLITZ~」は、「ワンダードライブ」から始まりました。最新シングルの「ホトハシル」やその収録曲「ようこそパーティータウン」、ライブの定番となっている「Listen to my heart」、「オオカミハート」、「銀河」などが披露されます。「Waiting for...」では会場をEDMサウンドで満たし、「cute cute」でサックスの音と軽快なステップで会場をダンスフロアに変えます。
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ライブが中盤に差し掛かると、ORESAMAのライブではお馴染みとなっているモニ子のDJプレイが披露されます。DJブースがいつものライブより高い場所にセッティングされていたため、そこで音を操り、観客を煽るモニ子のプレイは、EDMのライブさながらのインパクトがありました。音もヘビーで厚く、強烈な四つ打ちとシンセサイザーの音で会場をヒートアップさせます。

DJの最中にスタッフがステージ中央の足場を片付け、マイクのスタンドを置きます。ステージを広くしているのだろうか? 動ける範囲を広げるとすれば、導かれる結論はひとつ。——その答えはすぐに出ました。ぽんがステージにぽんが戻ってマイクスタンドの前に立つと、彼女の後方、左右に一人ずつ人影が立ちます。ミュージック・ビデオにも使われた映像と光とともに始まる新曲「ホトハシル」。左右の二人がパフォーマンスを披露し、ぽんは歌いながら部分的に振り付けを合わせます。2017年からずっと抱いていた願いのひとつ、「ORESAMAのライブでELEVENPLAYとの共演を観たい」が実現しました。


ELEVENPLAYは演出振付家MIKIKOが主宰するパフォーマー/コリオグラファー集団です。ORESAMAとの仕事は「ワンダードライブ」のミュージック・ビデオの振り付けから始まり、次のシングル「Trip Trip Trip」からはミュージック・ビデオにメンバーのMARUとYUが出演しています(振り付けは同じくメンバーのNON)。「ホトハシル」のミュージック・ビデオでは振り付けのNONだけの参加でしたが、このライブでMARUとYUが踊る姿を観ることができました。二人は「ホトハシル」が終わると一度退場し、終盤の「Hi-Fi TRAIN」と「流星ダンスフロア」にも参加して、曲を視覚的に盛り上げる役割を担いました。


アリーナ規模のライブとは異なりBLITZのステージはコンパクトです。けれども、そうした空間でもMARUとYUはダイナミックな動きを見せてくれました。フロアから見えたのは上半身だけですが、腕や指先の動きは曲線・直線を立体的に描き出します。「Hi-Fi TRAIN」の途中で左右の位置を入れ替え、「流星ダンスフロア」では前に出るタイミングもありましたが、移動という点ではこのくらいだったと記憶しています。観る側の視点移動が少ないと、動きのダイナミックさをより深く感じ取れるのかもしれません。また、移動が制限されることで、パフォーマーは身体表現にリソースを費やせるという面もあるかなと思います。


ミュージック・ビデオを観たときは二人のパフォーマンスに柔らかい印象を抱きましたが、目の当たりにするとその力強さが印象に残りました。全身をコントロールするタフなパフォーマンスは、これまで抱いていた「ステージを華やかにするダンス」というイメージを打ち砕き、リアルタイムで刷新していきます。ファンキーなサウンドの中、美しく鋭く力強く描かれる曲線と直線。「パワフルな流線型」とでもいうべき動きに圧倒され、そのパフォーマンスから目が離せません。音が身体を動かし、身体が音を煽るコラボレーション。これは凄い…と嘆息するばかりでした。
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ライブの本編は「流星ダンスフロア」で終わります。アンコールに応えてメンバーが登場すると、バリトン・サックスの音が繰り返し鳴り響きます。奏でるメロディはONE III NOTESの「Shadow and Truth」。何度聴いても心を熱くさせてくれるフレーズが、会場を満たしていきます。ライブの本編が終わって一度クールダウンした会場を温めていきます。

ORESAMAとELEVENPLAYの共演の他に、僕が願っていたことがあります。それは、ぽんがボーカルで参加したONE III NOTESの曲をORESAMAのライブで聴くことです。その機会がついに訪れます。ライブの前にゲストの名前が公開されたとき、ついに叶う…と拳を握りしめました。ライブ中はELEVENPLAYの衝撃ですっかり忘れていましたが、「Shadow and Truth」のフレーズが鳴り響いた瞬間にぱっと思い出しました。2つの願いが同じステージで叶うことなんて、そうありません。
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ぽんがゲストの名前を呼ぶと、ラッパーのFoggy-Dが勢いよく登場しました。光を浴びた瞬間からトップギアで観客を煽る煽る、ここぞとばかりに煽る。イントロで彼がシャープな英語詞ラップを披露すると、バトンを受け取ったぽんの歌が始まります。Foggy-Dはラップの合間に曲の随所で観客をアジテートしており、ORESAMAの二人とは違う雰囲気のアグレッシブさが新鮮でした。ぽんの歌もまたORESAMAの曲とは少し異なり、鋭さを含んだ歌声を聴かせてくれます。Foggy-DをフィーチャリングしたORESAMAの曲もいつか聴いてみたいと思いました。

そして「ワンダーランドへようこそ~in AKASAKA BLITZ~」は、これまた定番の「乙女シック」で幕を下ろしました。ORESAMAのライブは回を重ねるたびに会場が大きくなり、ステージ演出も進化しています。セットリストには初期から演奏し続ける曲が並ぶ一方で、新たなアプローチを見せる新曲も顔を連ねます。新旧が交錯しながら「ORESAMAの最前線」を作り出す。現在進行形で広がり続けるその縁に僕らは立ち、素晴らしい音楽体験を得ているのです。
2018.09.20
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# by mura-bito | 2018-09-20 21:54 | Music | Comments(0)
Afrojack – Bringin It Back
オランダ出身のDJ/Producer、Afrojackがリリースした新作EP『Press Play』の1曲目に、「Bringin It Back」という格好良い曲が収録されています。シンセサイザーの荒ぶる音が特徴的で、実にAfrojackらしい曲です。
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個人的にAfrojackのイメージを決定づけた曲は「Rock The House」なのですが、その要素を「Bringin It Back」にも感じます。共通するのは、ロックに通じるEDMのワイルドな部分がむき出しになっている点です。「Rock The House」であれ「Bringin It Back」であれ、そのワイルドさを体験することで、ロックとEDMがとても近いところにあることを実感できるのではないかと思います。



Afrojack – Bringin It Back (Audio)

荒々しく本能的に響くシンセサイザーの音は、冷静に聴くと理知的にコントロールされているようにも思えますが、そんなフラットな思考は打ち砕かれ、興奮の渦に呑み込まれていきます。シンセサイザーは多彩な音を作り出して、曲に色を添えます。無造作に色を塗っているように見えながらも、鮮やかにひとつの絵に仕上がる。まるでライブ・ペインティングです。

ソフトウェアで作りこまれる音は、ある意味で無限の可能性を持ちます。シンセサイザー・ミュージックは多少なりと長く聴いてきたと思っていましたが、まだ足りない。今もなお、心が惹かれる音に出会えます。
2018.09.12
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# by mura-bito | 2018-09-12 22:36 | Music | Comments(0)

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