人気ブログランキング |
inthecube
音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
OUR WORLD IS EXPRESSED BY IMPRESSIVE WORDS
ブログトップ
<   2012年 09月 ( 28 )   > この月の画像一覧
JUST ONE VICTORY - Incubation Period
TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK


INVESTIGATION REPORT 16

2度目のMCを挟み、力強いドラミングとシンセサイザーの太い音で「JUST ONE VICTORY」が始まりました。この曲が収録されているのが、1988年のコンセプト・アルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』です。小室さんの考えたおおまかなストーリーをもとに楽曲をつくり、ライブ・ツアーでは大規模なセットを組んで、アルバムの曲をミュージカル仕立てで披露しました。アルバム制作およびツアーと並行して、木根さんが原案に肉付けして小説を書き上げ、ツアー中に出版されました。

『CAROL』という物語はイギリスの小さな街から始まります。あるとき、謎のグループとして知られた3人組がメッセージを音楽に込めて発信します。主人公のキャロルだけがそのメッセージを受け取り、導かれるままに異次元に迷い込みます。そこは音が盗まれた世界。キャロルは3人とともに戦い、盗まれた音を取り戻します。このような物語を音楽で綴り、その終幕を飾るのが「JUST ONE VICTORY」です。宇宙から来た3人は、時間、空間どころか次元の境界線を越えて、別の物語にも潜り込んでいたということでしょうか。

曲の終盤では、同じアルバム曲である「CHASE IN LABYRINTH」の音源を挟み込みます。それと入れ替わって「JUST ONE VICTORY」が戻ってくると、サウンドは一層パワフルになる。力強さを全面に押し出した音で一進一退のレースを表現します。物語における戦いを歌う曲でありながら、普遍的な言葉で組み上げられた歌詞は、聴く人それぞれの日常に当てはめることができます。Incubation Periodのステージで、人間は紛争や自然災害のような困難に直面するたびに勇気を持った、とウツ(の姿をした潜伏者)は言いました。そして、これから起きるであろう困難に勝利するために必要なのは自分たちを信じる心なのかもしれない、と続け、そしてそれを「たったひとつの心の勝利」と表現する。おそらく、この曲が生まれたときには込められていなかったであろう気持ちですが、それはすなわち、新しい命をそこに宿せるということです。メロディを変えずに新しい音でメロディを際立たせるように、Incubation Periodという新しいコンセプトで25年前の言葉をアップグレードする。そうした解釈もおもしろいかなと思います。

2012.09.30
INVESTIGATION REPORT 01 / INVESTIGATION REPORT 02 / INVESTIGATION REPORT 03
INVESTIGATION REPORT 04 / INVESTIGATION REPORT 05 / INVESTIGATION REPORT 06
INVESTIGATION REPORT 07 / INVESTIGATION REPORT 08 / INVESTIGATION REPORT 09
INVESTIGATION REPORT 10 / INVESTIGATION REPORT 11 / INVESTIGATION REPORT 12
INVESTIGATION REPORT 13 / INVESTIGATION REPORT 14 / INVESTIGATION REPORT 15

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

by mura-bito | 2012-09-30 06:22 | Music | Comments(0)
I am - Incubation Period
TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK


INVESTIGATION REPORT 15

ウツが「2012年、3人がここに立てて、そしてこんなにもたくさんの皆さんが来てくれて、幸せです」と言い、3人がそっと頭を下げました。「そしてこの曲が生まれたということは必然でしょう。あらゆる人の関わりを歌った曲です。みなさんも気に入ってくれると嬉しいです」と続けます。そんなMCを受けて演奏したのが、TM NETWORKの最新シングルである「I am」。ドラムのブレイクをきっかけに始まるイントロ、そして大きなミラーボールに反射する光が武道館を染めます。"Yes I am Yes I am Yes I am a human" のリフレインは音と言葉が混ざり合ってひとつのメッセージを形づくる。マイクに手を添えて自分の声が入るように、そして届くように、小室さんは歌います。

Incubation Periodを構成する要素は表側にも裏側にもいくつもあるかと思いますが、そのひとつに「3人でつくる音楽」というものがあります。言うまでもなくTM NETWORKはこの3人で始まりました。小室さんのキーボードとドラムマシン、ウツのボーカル、木根さんのギターときどきキーボード。3人の音楽はシンプルなトライアングルから始まり、それはもちろん2012年の今もなお続いています。このライブでは小室さんの構築する音に木根さんのエレクトリック・ピアノやギターが加わり、随所で木根さんの音が前に出ます。「I am」について言えば、音源で小室さんが鍵盤で鳴らしていたフレーズを、ライブでは木根さんがエレクトリック・ギターで弾いている。シンプルなフレーズながら、そのリフレインが曲のスピード感を支えています。

Incubation Periodの特別編集版がライブシネマ(ライブを映画館で観るスタイル)で上映されましたが、画面を2つや3つに分割し、それぞれに3人の姿を映しているカットがいくつもありました。「I am」ではウツが歌う姿と小室さんが歌う姿が同時にスクリーンに映し出され、まるでツインボーカルのバンドのようでした。小室さんはほとんどのボーカル・パートを歌います。本人も言っているように、確かにピッチは不安定かもしれません。それでもマイクをぐっと引き寄せ、声を大きくして歌うのは、伝えたい言葉があるからだと思います。曲の間、ずっとマイクに向かい続けた姿は、これまで見たどの姿よりも胸を張っていた気がします。

2012.09.29
INVESTIGATION REPORT 01 / INVESTIGATION REPORT 02 / INVESTIGATION REPORT 03
INVESTIGATION REPORT 04 / INVESTIGATION REPORT 05 / INVESTIGATION REPORT 06
INVESTIGATION REPORT 07 / INVESTIGATION REPORT 08 / INVESTIGATION REPORT 09
INVESTIGATION REPORT 10 / INVESTIGATION REPORT 11 / INVESTIGATION REPORT 12
INVESTIGATION REPORT 13 / INVESTIGATION REPORT 14

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

by mura-bito | 2012-09-29 06:49 | Music | Comments(0)
Ryu Miho - ガラスのHonesty (Music Video)
Ryu Mihoさんが歌うオリジナル曲のミュージック・ビデオ。今年2月にリリースしたアルバム『...and you will find me』のラストを飾るバラードです。



Ryu Miho - ガラスのHonesty

やわらかいけど芯のある歌声がとても魅力的です。そっと語りかける歌声は確かにやさしい雰囲気。弱くて消えそうなやさしさではなく、強くて揺るがないものを持っているやさしさ、と言うべきでしょうか。歌い手にもいろいろなタイプがあるかと思います。それは歌い手の数だけあるのかもしれません。何人もの歌い手の歌を聴いてきて、長く聴いていきたいと思う人はおのずと絞られてくるんですよね。そんな中、いろんな歌い手の歌を聴いてみたい時期と、特定の方の声に耳を傾けていたい時期が交互に来ます。今はその後者の時期。Ryu Mihoさんの歌は今年になって初めて聴く機会に恵まれましたが、なんとなくではありますが、これから長く聴くことになるんじゃないかなぁと思っています。

2012.09.28
by mura-bito | 2012-09-28 23:11 | Music | Comments(0)
BEYOND THE TIME - Incubation Period
TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK


INVESTIGATION REPORT 14

シンセサイザーに囲まれた小室さんの姿が暗闇の中に浮かび上がります。その手が鍵盤を叩くたびに音が生まれ、いくつも重なり、音のタワーをつくり出します。静謐な儀式を思わせる、透き通った音のタワーです。音に誘われて新たな光が降り注ぎ、白い円形のステージの上をなでるように動きます。そして音に導かれて光が集まり、次第に束になり、暗闇に屹立する光のタワーは空の向こうまで続いていくかのように見えます。これまで何度も見たキーボード・ソロですが、これまで以上に神秘的な空気を漂わせていました。小室さんの中の「静」の部分を強調したサウンド・インスタレーション。

木根さんがかき鳴らすアコースティック・ギターが合図となり、「BEYOND THE TIME」が始まります。次から次へと音を紡ぎ、縒り、織る。音のレイヤーが本当に美しい曲です。足し算ならぬ掛け算の美学です。ひとつの音に耳を傾けながら、その音の向こうにある音を感じる。聴くたびに新しい音が顔を出し、かつて耳にしていた音が一歩下がると、また違った音の位相が生まれるのです。注目する音が変われば、それが前に出てきて、音のポジションが変わる。たとえデータとして同じであっても、聴く人が、聴く時が異なれば、それはもう別個の存在と言ってもいい。音が多彩で厚いほどに、ささやかなものではありますが、音の「変化」を楽しめるんじゃないかなと思います。

「BEYOND THE TIME」と言えばやはり「逆襲のシャア」でしょうか。1988年に映画の主題歌となり、シングルのジャケットにもアムロとシャアのイラストが描かれていましたね。同年のアルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』にはアレンジを変えて収録されました。Incubation Periodではシングルのアレンジを元にして、ひとつひとつの音をつくり込んでいるようでした。曲が進むにつれて、演奏は熱を帯びていきます。音で気持ちを刺激し、高め、煽る。終盤、ブラックホールに吸い込まれるように音がカットアウトすると、3人の背後のモノリスが放つ光に照らされ、3つのシルエットが浮かび上がります。そして音が押し出されるように戻り、宇宙をゆっくり漂うように抑えた調べでメロディを奏でます。演奏はゆっくりとしたテンポながら、凝縮された熱を含み、青白く輝いています。その中で小室さんが弾くIndigoが強烈な存在感を放ち、その濃密な音とともに曲が終幕を迎えます。

2012.09.27
INVESTIGATION REPORT 01 / INVESTIGATION REPORT 02 / INVESTIGATION REPORT 03
INVESTIGATION REPORT 04 / INVESTIGATION REPORT 05 / INVESTIGATION REPORT 06
INVESTIGATION REPORT 07 / INVESTIGATION REPORT 08 / INVESTIGATION REPORT 09
INVESTIGATION REPORT 10 / INVESTIGATION REPORT 11 / INVESTIGATION REPORT 12
INVESTIGATION REPORT 13

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

by mura-bito | 2012-09-27 18:38 | Music | Comments(0)
1974 - Incubation Period
TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK


INVESTIGATION REPORT 13

何かを手にした木根さんが前に出てきます。SONYのテープレコーダーです。そのスイッチをカチッと押すと、音が出…ない? 木根さんは、おやっという表情でテレコを覗き込み、軽く叩いてみせると、音が出ました。「1974」のイントロです。得意気な表情の木根さんですが、テレコは再び沈黙します。驚く木根さん。と思ったらまた音が出る、止まる、音が出る。もういいやといった感じでテレコをその場に置きます。イントロは無事に流れ始め、武道館がキラキラしたエレクトリック・ポップの雰囲気に満たされます。木根さんがかき鳴らすアコースティック・ギターはキラキラした音にうまく溶け込みます。そのギターの音を合図にして、ウツが歌い始めます。

結成直後に書かれた、TM NETWORKの原点と言うべき曲です。デビューのきっかけになったのもこの曲です。1984年のデビュー・アルバム『RAINBOW RAINBOW』の中の1曲として世に出ました。後にシングルとしてもリリースされましたが、アルバムには、イントロにちょっとした会話が録音されたバージョンが収録されています。空に現われたUFOらしきものを見て、驚きの声を上げている少女?たち。この会話はIncubation Periodのオープニングに通じるものがあり、オープニングのパフォーマンスを観たほとんどの人が「1974」を思い浮かべたことでしょう。曲の中でも、宇宙から来た何者かを迎え、君とは一度会っているんだと歌っています。宇宙に魅せられ、ずっと望遠鏡を覗いて星を探していた16歳のとき、そのレンズの向こうに君を見た、と。宇宙人との邂逅を通して、宇宙への憧れを綴った物語です。

「1974」の中で主人公が出会ったのはTM NETWORKの3人だったのでしょうか。Incubation Periodでは、3人の潜伏者は16歳の少年に遭遇したのかもしれないし、あるいは、とある3人のミュージシャンたちの出発点を眺めているのかもしれません。SONYのテレコがぐるぐると巻き戻す記憶と記録。曲がエンディングを迎えると、小室さんが鳴らすシンセサイザーがぽつりぽつりと響く中、木根さんが前に出てきてテレコを拾い上げ、スイッチを切ります。小室さんが弾き終わらないので、木根さんは小室さんのスイッチもぽんと押してから、そのままステージを降りていきました。

2012.09.26
INVESTIGATION REPORT 01 / INVESTIGATION REPORT 02 / INVESTIGATION REPORT 03
INVESTIGATION REPORT 04 / INVESTIGATION REPORT 05 / INVESTIGATION REPORT 06
INVESTIGATION REPORT 07 / INVESTIGATION REPORT 08 / INVESTIGATION REPORT 09
INVESTIGATION REPORT 10 / INVESTIGATION REPORT 11 / INVESTIGATION REPORT 12

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

by mura-bito | 2012-09-26 20:30 | Music | Comments(0)
NERVOUS - Incubation Period
TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK


INVESTIGATION REPORT 12

分厚い光が乱舞し、分厚いギター・サウンドが武道館の熱気をオーバーヒート直前まで高めます。踊らずにはいられなくなるこの曲は「NERVOUS」。1986年のアルバム『GORILLA』の中核を担う重要な曲であり、どのライブでも確実に観客を踊らせてきたことと思います。このアルバムをリリースするあたりから、TM NETWORKは「踊れる音楽」を意識し始めました。FANKSというキーワードを掲げ、彼らなりのカラーを持ったダンス・ミュージックを追求していきます。結果として、「踊れる音楽」という路線はグループの軸となり、形を変えながら今もなお重要な要素として存在しています。

「NERVOUS」のイントロおよびインタールードは、レッド・ツェッペリンの「Heartbreaker」のイントロ部分をモチーフにしているとされます。ジミー・ペイジが弾いている有名なフレーズですね。楽器もテンポもオリジナルと異なり、細かい音符も足しているので、注意深く聴かないと「Heartbreaker」とはわからないでしょう。Aメロやサビをつなぐポジションにあるフレーズですが、前後をうまくつないで気持ちのいい流れをつくり、追い風のように勢いを与えてくれます。FANKSと言うとこの曲を思い出すのは、そのパンキッシュな力強さゆえでしょうか。ステージで小室さんが奏でるシンセサイザーからも、あふれ出しそうなエネルギーを感じ取ることができます。ロックに匹敵するパワーを持ったダンス・ミュージック。

この曲で踊ることができたのは実に嬉しい出来事です。初期のダンサブルな曲をライブで聴くことは難しいため、予想もしていなかったセット・リストに心は躍りっぱなしでした。TM NETWORKは頑なに過去を置き去りにしてきたけれども、過去であれ現在であれ、かっこいいものはかっこいい。踊りたくなる曲は、やはりいつ聴いても踊りたいと思う。たとえ30年近く前の音楽であっても、それを表現するのは2012年の音と2012年の声です。30年間の変化を経た上での表現です。長らく眠っていた曲が覚醒して僕らの前に姿を現わしたのも、機が熟したからと言えるかもしれません。ストーリー、サウンドがそろい、然るべき曲が選ばれる。ジクソーパズルのピースのようにピタリとはまる。そんな奇跡の瞬間に立ち会えたという事実がまた嬉しいのです。

2012.09.25
INVESTIGATION REPORT 01 / INVESTIGATION REPORT 02 / INVESTIGATION REPORT 03
INVESTIGATION REPORT 04 / INVESTIGATION REPORT 05 / INVESTIGATION REPORT 06
INVESTIGATION REPORT 07 / INVESTIGATION REPORT 08 / INVESTIGATION REPORT 09
INVESTIGATION REPORT 10 / INVESTIGATION REPORT 11

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

by mura-bito | 2012-09-25 19:09 | Music | Comments(0)
GIVE YOU A BEAT - Incubation Period
TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK


INVESTIGATION REPORT 11

25日には「COME ON EVERYBODY」の最後で音が消え、一度ライブが中断しました。この「トラブル」について、後に小室さんは「どれだけ機材が発達しようとも、ライブ中に故障することは起こり得ることを示したかった」と語りました。音楽機材のような専門的なものだけでなく、スマートフォンやPCでも、我々の身の周りにもこうしたトラブルは起こりますよね。スペックが上がっても、小型化が進んでも、それに応じたリスクを新たに抱え込む。世の中の変化は、ある面では良いものですし、別の面から見ればハードルなのかもしれない。進化を肯定した上で、それに付随するリスクとも一緒に向き合う覚悟が重要なのかなと、改めて思いました。

また、「ライブが中断した後で、もう一度観客のテンションを上げるには通常よりも大きな労力が必要。それをあえてやってみたかった」とも話しています。だからこそ、演出であることが明白だった25日も同じ仕掛けを実行したのです。演出であっても音が消えている時間があまり長いと、ライブの流れが断たれて盛り上がりに欠けてしまう、とは僕が24日に感じたことです。その危惧こそが小室さんの意図どおりだったようで、あえて流れを断ち切っても、ゼロに近いところまで落ちた興奮を再び引き上げるパフォーマンスを見せようとした、と。両日で「トラブル」前後の曲は異なり、それぞれに異なる方法でライブを再度ヒートアップさせました。

小室さんが戻ってきて鍵盤の前に立ちました。音の状態を確認するように、小室さんがシンセサイザーを鳴らし始めます。音と光が徐々に集まり、束になる。やがてインパクトのあるフレーズが飛び出し、それは「GIVE YOU A BEAT」のものだとわかります。ダンス・ミュージックを前面に押し出し始めたアルバム『GORILLA』のオープニングを飾る短い曲です。そしてハードディスクに記録されていたコーラス "Welcome to the FANKS" と "Give you a beat" がリフレインを始めます。FANKSとは、1986年当時の音楽コンセプトを表現するキーワード。ざくっと意訳するとライブ会場をダンス・フロアにしてしまおうというコンセプトであり、それ以降、FANKSはTM NETWORKのファンを表わす言葉にもなりました。コーラスが繰り返され、音が絡み合い、音も声もスピードを上げ、頂上を目指して上昇して昇り切ったところでカットアウトします。

2012.09.24
INVESTIGATION REPORT 01 / INVESTIGATION REPORT 02 / INVESTIGATION REPORT 03
INVESTIGATION REPORT 04 / INVESTIGATION REPORT 05 / INVESTIGATION REPORT 06
INVESTIGATION REPORT 07 / INVESTIGATION REPORT 08 / INVESTIGATION REPORT 09
INVESTIGATION REPORT 10

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

by mura-bito | 2012-09-24 20:35 | Music | Comments(0)
COME ON EVERYBODY + COME ON LET'S DANCE - Incubation Period
TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK


INVESTIGATION REPORT 10

ディストーションを効かせたギターとドラムスから始まるイントロは予期せぬブレイクを差し込み、観客のリズムを崩してみせます。最初の4拍で音を止め、音を戻したと思いきや再び数拍で音を止める。2度に渡るフェイントでリズムに乗るタイミングを見事に失い、予定調和が崩れて呆気にとられているところを直撃するように音が鳴り始めます。弾幕を浴びせるようにビートを鳴らす曲のタイトルは「COME ON EVERYBODY」。1988年のアルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』に収録され、リード・シングルとしてもリリースされました。踊るために最適化された曲と言っていいでしょう。

イントロの後はいつものように曲が演奏され、最後のリフレインが始まるかと思ったら、いきなり聴き慣れないパターンの音がカットインします。戸惑いと期待が一瞬にしてミックスされます。と、その瞬間に聞き覚えのあるフレーズ、「COME ON LET'S DANCE」のイントロが鳴りました。文字どおり踊れるサウンドを標榜した曲であり、TM NETWORKがダンス・ミュージックに傾倒していくきっかけとなりました。1986年のシングル、および同年のアルバム『GORILLA』に、それぞれミックスを変えて収録されています。リリースされて以降、ライブを盛り上げる曲として重要なポジションを占めてきました。

「COME ON LET'S DANCE」のイントロの後にAメロではなく、すぐにサビが来ました。そしてサビの後、時間を巻き戻すかのような短い間が空き、再び「COME ON EVERYBODY」が鳴り始める。音のトリック、音のトリップ。トリックがトリップを生みます。どれだけトリックを仕掛けて、どれだけ驚かせば気が済むのだろう! かつて「COME ON LET'S DANCE」のライブ演奏では、オリジナルにないフレーズを小室さんが弾いていたのですが、そのフレーズをモチーフにして生まれた曲が「COME ON EVERYBODY」、というエピソードがあります。Incubation Periodでは後発の曲が元の曲を挟み込み、呑み込んでいたと言えます。踊れる成分に満ちた、濃密なダンス・ミュージックです。両日ともに同じ構成で演奏されましたが、25日には最後のリフレインが続く中、音が落ちました。

2012.09.23
INVESTIGATION REPORT 01 / INVESTIGATION REPORT 02 / INVESTIGATION REPORT 03
INVESTIGATION REPORT 04 / INVESTIGATION REPORT 05 / INVESTIGATION REPORT 06
INVESTIGATION REPORT 07 / INVESTIGATION REPORT 08 / INVESTIGATION REPORT 09

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

by mura-bito | 2012-09-23 06:27 | Music | Comments(0)
GIRL - Incubation Period
TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK


INVESTIGATION REPORT 09

ステージ後方には大きな縦長のLEDパネルが3枚立っており、ピンク色のような紫色のような色を持った模様が映し出されます。小室さんのイメージによれば、このLEDのパネルはモノリス。『2001年宇宙の旅』に登場するモノリスですね。ライブの間、3人が演奏する姿や、曲に関連する映像を映し出します。舞台を覆う照明と並ぶ、Incubation Periodを彩る重要な演出です。滲み出てきた模様は、モノリスをじわりと浸食し、かすれるように消え、そしてまた現れる。形を変えて空を漂う雲のようにも、水に溶けて広がる絵の具のようにも見えます。ステージから流れるメロディは「GIRL」です。"Girl I love you" と歌う、ストレートなラブソング。「LOVE TRAIN」、「KISS YOU」とセットで演奏された、24日のみのラインナップです。

小室さんのソロ演奏で「GIRL」のテーマ・メロディがゆっくりと響き渡ります。シンセサイザーの音が吸い込まれるように消えると、小室さんの弾くシンセサイザーと木根さんの爪弾くギターでイントロが始まります。そしてウツの歌が入ると同時にキックが鳴り始めます。思わず目を丸くしてしまうくらいにヘビーなキック。"I love you" と甘く歌う曲には不釣り合いと言えるほどの強靱なリズムに思わずニヤリとしましたね。物語の起承転結のように、曲の中でリズムもミュートされることがあります。ミュートされても身体の中でリズムは鳴り続けるし、飢餓感にも似た期待が高まります。そしてリズムが戻ってきた瞬間に一気に高揚する。それがライブでのリズムの楽しみ方のひとつであり、もちろん、リズムが厚ければ厚いほど気持ちは上がります。

モノリスをキャンバスにして描かれる模様は、形と色と濃淡を変え続けます。ピンク色の模様が上から降りてきて、青い模様が下から昇っていく。それらは途中で巡り会い、重なり、すれ違う。いつの間にか輪郭を持ち、パーツが生まれ、ひとつの形に固まっていきます。何だろう? ピンク色に染まる顔と、青く彩られた髪……女性の横顔です。眼があり、鼻があり、唇がある。色を塗った切り絵のような横顔は表情をなくしてしまったのか、悲しいことがあって心を失ったのか。あるいは高まる気持ちを押し隠しながら誰かを待っている姿かもしれません。誰かの横顔を背に、ウツは最後のワンコーラスを歌います。

2012.09.22
INVESTIGATION REPORT 01 / INVESTIGATION REPORT 02 / INVESTIGATION REPORT 03
INVESTIGATION REPORT 04 / INVESTIGATION REPORT 05 / INVESTIGATION REPORT 06
INVESTIGATION REPORT 07 / INVESTIGATION REPORT 08

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

by mura-bito | 2012-09-22 07:58 | Music | Comments(0)
KISS YOU - Incubation Period
TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

TM NETWORK


INVESTIGATION REPORT 08

「LOVE TRAIN」のアウトロが突如途切れ、会場が明るくなり、3人の姿がステージから消える。そこには不思議な空白が漂います。やがて小室さんが戻ってくると、すぐに音も戻ってきました。小室さんはかすかに笑って親指を立ててみせ、ライブが再開します。聴いたことのないシーケンサーの音にノイジーな音声が潜り込み、唸るような音を立てる。スペース・シャトルとの交信を意識したであろうその音声は、「KISS YOU」のサンプリング・ボイスです。世界と宇宙をつなぐ交信に導かれて重厚なリズムが鳴り、イントロのメロディが高らかに響き渡ります。ライブの途中にぽっかり空いていた、シュールなエア・ポケットが熱い音に呑み込まれます。ギターもシンセサイザーもベースも唸り、吠えて、叫ぶ。

リズムはIncubation Periodでも随一の厚さを誇ります。特にベースの存在感が大きく、ずしりと身体に響いてきます。何度もライブで聴いて心を震わせてきた曲であり、聴くたびにリズムがアップグレードしているのではないかと思うほどです。さらにこの曲の魅力を増幅しているのが、リズムの上にオーバーラップして色鮮やかな層を形成するサウンドですね。小室さんがキーボード・ブースの中を絶え間なく移動して鍵盤を叩く。短い時間の中に数多くの音色が輝きます。また、音符を細かく刻み、言葉をあふれるくらいに詰め込むことで、聴く者の心を何度も何度も刺激します。メロディに乗せて流れ出す言葉の多さは聴いているだけでも快感ですし、身体を揺らして口ずさめばもっと熱くなれます。

この曲のオリジナルは1987年のシングルに収録され、アルバム『humansystem』にはアレンジを変えたバージョンが入っています。シングルの歌詞カードには、イントロとアウトロで流れるサンプリング・ボイスの内容が印刷されています。月面歩行が生んだ夢やチャレンジャー号の悲劇など、地上から見た宇宙の悲喜交々が綴られています。その中に潜り込む "We are on the earth." という言葉は、これらが地球から宇宙に向けたメッセージだということを示しているのでしょうか。一方、ウツは地球で起きた出来事をワールドワイドな視点で歌います。世界のことをクールに語りながらも、時として2人だけのサインを交わすように歌います。

2012.09.21
INVESTIGATION REPORT 01 / INVESTIGATION REPORT 02
INVESTIGATION REPORT 03 / INVESTIGATION REPORT 04
INVESTIGATION REPORT 05 / INVESTIGATION REPORT 06
INVESTIGATION REPORT 07

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-

by mura-bito | 2012-09-21 22:24 | Music | Comments(0)

fujiokashinya (mura-bito)
最新の記事
Mike Posner an..
at 2019-08-14 21:39
David Guetta a..
at 2019-08-08 21:15
藍井エイル「月を追う真夜中」..
at 2019-07-30 21:02
Zara Larsson「A..
at 2019-07-24 21:23
[PART2] Eir Ao..
at 2019-07-18 21:24
[PART1] Eir Ao..
at 2019-07-17 21:20
AVICII and Chr..
at 2019-07-09 19:23
以前の記事
記事ランキング
カテゴリ
タグ
ライフログ
TM NETWORK

























TETSUYA KOMURO



quasimode


Linkin Park


Paramore

Immigrant'sBossaBand

Ryu Miho

AVICII


Krewella

Zedd


藍井エイル





ORESAMA




Gacharic Spin


梨木香歩

村上春樹



京極夏彦



小林ユミヲ



Book





Comic








Music


ブログジャンル