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TM NETWORK - I am
TM NETWORKの新曲、「I am」。新しいTM NETWORKの音楽を聴くことができたのは、4年半ぶりですね。永遠にも似たインターバルでしたが、こうして晴れて新しい音楽に触れられるのは本当に嬉しいことです。
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第一印象は「優しいメロディとクールな音がぴたりとはまって、言葉の輪郭が際立つ」です。そして3人の声が混ざり合ったり、屹立して響いたり、音楽的に素晴らしいと思います。アルバム『SPEEDWAY』のときから小室さんの声が前に出るようになりましたが、この新曲でもその傾向がありますね。自身の書いた言葉を少しでも多くの人に伝えようとしているのか、少しずつ、前に、前に。

小室さんが書いた詞とじっくり向き合います。虚空に向けたモノローグではなく、届けるべき人に向かってはっきりと言葉を投げかける、いわゆるダイアローグ(会話)ですね。それは自身の家族かもしれないし、僕らのようなファンかもしれないし、あるいはもっともっと多くの遠巻きに見ている群衆かもしれません。茫漠たるこの音楽の世界で屹立する言葉です。

ほんの少しだけの遅れは
急いですぐ戻ってくればいい
群れに集う その瞬間は
明日はともかく みな喜ぶ

人が人と向き合うこと
ひとりだけじゃやりきれない
だけど歩くスピードさえ
違う向きも夢も思いも

与えられたギフトさえも
お互いのため使い切れない
それでも君 思いを決める
汗もふけずに

TM NETWORK「I am」(作詞:小室哲哉)より
Uta-Net: I am - TM NETWORK

僕の好きなフレーズを引用しました。譜割はかなり細かくて、ほとんどラップのような言葉の詰め方です。あふれそうな音符にあふれそうな思いが詰め込まれ、それをウツが歌って、僕らは思いを受け取ります。僕らはひとりでは生きていけない、誰かと生きていくべきではあるけれど、それだってそんなに簡単なことじゃない。「与えられたギフトさえも/お互いのため使い切れない」というフレーズが胸に突き刺さりますね。得ようとして得たものではなく、恵まれて手に入れることができたものでも、時としてうまく使うことができない。不器用なんですよね。しかも、自分だけじゃなくて、相手も同じように不器用な日々を送る。けれどもそんな不器用さも含めて、それが生きるということなのでしょうか。



TM NETWORK - I am

2012.04.30

【追記】
「I am」でギターを弾いているのは、Limp Bizkitに所属していたこともあるマイク・スミスです。これまでのTM NETWORKにはない雰囲気を感じる音ですね。Limp Bizkitっぽいというにはそれほど知らないのですが、ヘビー・ロックの金字塔であることは間違いない。そのギター・サウンドは重くて、分厚くて、マグマのように熱くうごめいて唸る。そんな音がTM NETWORKの曲に入っているのです。ヘビー・ロックの荒々しさは抑えられていますが、重厚な音が響き続けています。ラジオで流れたラフ・ミックスではギターは入っていなかったようで、ハーモニカの音も聴くことができます。完成形ではハーモニカの部分がギター・ソロに差し替えられていますが、ハーモニカの印象を引き継いでいるのか、ポップスらしいきれいな音ですね。

曲の構成も、なんだか不思議です。ポップスなりロックなりそういうポピュラーな音楽に耳が慣れていると、ものすごく違和感を感じるだろうと思います。いわゆるAメロっぽさを持つ部分が途中で登場するし、どれがサビ?Bメロ?どこまでがサビ?というように、J-POPあるいは歌謡曲のようなポップ・ミュージックのフレームが当てはまらない。なんと言うか…分かりやすい音楽とは次元を異にする曲なのではないかと。否定しているってわけではなくて、次元が、世界が違う。ふと思ったのですが、テーマ・メロディとソロで構成されるジャズに近いかもしれません。ジャズに関して僕はあまり複雑な定義をつけてはいないのですが、次の展開が読めない熱い音楽、という点はジャズの大いなる魅力だと思っています。それと同じものをこの「I am」に感じるのです。

2012.05.16

【追記】
「I am」を何度も聴いて、その言葉を噛みしめて考えを巡らせています。やはり心の片隅に引っかかって気持ちを揺さぶられるのは、上記に引用した箇所ですね。その中で、今度は「ほんの少しだけの遅れは/急いですぐ戻ってくればいい」という歌詞が引っかかっています。「遅れ」なのに「戻る」というのはどういうことなのだろう。誰かのために踵を返す、ということなのでしょうか。「遅れ」という言葉に、僕らは何を込めるのか。小室さんが込めた意味というよりも、それを耳にした僕らの中で広がる世界が大事なのかもしれません。ひとつの言葉にイメージが刺激され、膨らみます。イメージがイメージを呼ぶ、小室さんの言葉です。

「群れに集う その瞬間は/明日はともかく みな喜ぶ」というフレーズもまた気になるのです。「明日はともかく」という冷めたような現実的な言葉が、明るい言葉の間にそっと潜り込む。「みな喜ぶ」って、それだけピックアップすれば掛け値なしにポジティブですよね。けれども「明日はともかく みな喜ぶ」という風につながると、単純な二元論では語れない思いが存在するような気がします。明日になったら何があるかわからないけれど、まずは目の前にある今日を大事にしたい、というささやかな願いなのかなと思いました。「考えさせない」と「考えさせる」の中間にある言葉の置き方ですね。とてもおもしろい言葉の使い方です。

2012.05.30

【追記】
「I am」のボーカル入りとインストゥルメントは、別物なのではないかと思います。もちろん、バック・トラックはまったく同じです。単純に声をバック・トラックに重ねていると言うよりは、言葉も楽器のひとつというか、まるで音をオーバーダビングしているかのよう。言葉の有無で印象やイメージが変わる曲、ということでしょうか。渋谷公会堂のスピーカーを通して「I am」を聴いてから、そんなことを感じます。

そういえば「I am」をどこかのジャンルに放り込むならば、どれだろうか。ロック?ポップス? iTunes Storeとしては「J-POP」ですが、これはもともと音楽のジャンルと呼ぶべきものではない。そんなことはまあともかく、J-POPだろうが何だろうが、何に括られても「I am」は「I am」なのだろうと思うのです。カテゴリーの違いによって音が、言葉が、すり減るわけでもない。なんとなく、5年前の『SPEEDWAY』あたりからそんな感じですよね。

2012.09.05

【追記】
「I am」のミュージック・ビデオは、YouTubeに公開されているものと、DVD/Blu-rayディスクに収録されたものには違いがあります。後者の方が長く、完全版と呼んでいいと思います。街中を走るひとりの女性が随所でフィーチャーされているのですが、YouTubeの方では、立ち止まって下を向いているところで映像が終わり、音がフェードアウトしていきます。DVD/Blu-rayディスクではそこから顔を上げ、微笑みます。ほんの少しだけの違いですが、このカットがあるのとないのとでは、全体の印象が大きく異なりますね。

明け方の街でしょうか、女性は呆然とした様子で歩いていますが、その足元はおぼつかない。まとめていた髪をほどいて、走り始める。誰もいない街の中を駆け抜け、駅のホームを走る。行き交う人の波をすり抜けるように走る。そしてふと立ち止まり、顔を上げ、笑顔を見せます。走る姿は何かから逃げていたようにも思えたのですが、最後に輝いた笑顔を見て、それは違うかなと思い直しました。映像に散らばっているメタファーを組み合わせてみると、誰もいない孤独な世界から多くの人が行き交う世界へ戻ってきた、という見方もできますね。これからも走り続けることを決意したような、そして覚悟を決めた笑顔なのかもしれません。

2012.10.21

【追記】
「I am」をカラオケで歌う機会がありました。軽く口ずさむだけでもそうですが、歌ってみるともっと気持ちが上がります。ラップのように流れる言葉もはっきり音にして、言葉の意味を感じながら歌うのがいいんじゃないでしょうか。そして、歌いながら画面に映し出された歌詞を眺めます。この曲で紡がれている言葉は独特のポジションにありますね。内省的なポエムでもなければ、説教じみた言葉でもない。そっと重ねられた手のひらの温かみのようにも、はるか遠くに揺らめく灯火のようにも感じます。

この曲のボーカルはパーカッションに似たものを感じるんですよね。2004年にデビュー曲をリメイクしたときにはウツ自身が同じことを述べていましたが、そのときは「歌も楽器のひとつ」というTM NETWORKの基本スタイルを強調する文脈だったと僕は思います。「I am」では、本当の意味でパーカッションに思えます。音をゆるやかに伸ばしたかと思えば、ぎゅっと凝縮して詰めてくる。流れるように変化する譜割が、音を抜き差ししたり細かく刻んだりするパーカッショニストをイメージさせるのです。

2012.12.09

【追記】
インストゥルメンタルを聴いていると、それまで気づかなかった音が聞こえることがあります。耳に入ってきてはいても、それを自分の知らない音だとは認識していなかった、ということなのですが。ボーカルやギター、他の音に紛れていた音が、ある瞬間にふと飛び出し、音の群れをすり抜けて耳に、心に飛び込んでくる。そうなると、それまで聴いていた音楽が少し変わります。別物になるとまでは言いませんが、ほんの少し立体的になり、そして輝きが増す。アクセサリーみたいなものでしょうか。存在は小さいけれども、それがあるのとないのとでは全体の雰囲気が異なる。

小室さんがGoogle+にポストした内容によれば、「I am」のトラックは、48チャンネルの音で構成されているそうです(もちろん、ミックスの過程で変わっている可能性はある)。ボーカルはもちろん、マイク・スミスのギターや目立つ音のシンセサイザーは耳に残りますし、それが曲の基本的なイメージを決めています。その向こう側にある、40種類を超える音はわずかに鳴っていたり、音同士が混ざり合っていてリスナーにはほとんど意識されないかもしれません。そんな中で、ふとした瞬間に出合う音は宝探しのようです。新しく発見することのできたこの音の役割は何だろう?と考えるのもまた、ひそかな楽しみです。「I am」は、緻密に重ねられた音のレイヤーを楽しめる曲でもあるのです。

2013.01.12

【追記】
小室さんのソロ・アルバム『DIGITALIAN IS EATING BREAKFAST 3』を聴きながら、そこに近年の傾向が詰まっていると感じています。音符が五線譜を上り続けて、途中で少し下がり、そしてまた上り始める。そのパターンを繰り返しつつ、曲の中で少しずつ変化させていきます。そのダイナミックな上下動がエネルギーとなって、BPMの上昇によらず、曲に勢いや高揚感を与えているのではないでしょうか。小室さんの曲と言えば転調やキーの高さが特徴とされていましたが、ここ数年は重心が異なるところに置かれている気がします。

「I am」では、いくつもの音がシンセサイザーで奏でられていますが、曲を構成するメインのフレーズが音の上下動を見せています。1小節の中で音は上に移動して(右上がり)、それが2回リフレインした後、4小節目では右下がりの移動を見せます。このパターンをしばらく繰り返してから、全体の音階が少し上がって、同じ上下動が起こります。音を上げていくパターンを聴かせてから下げるパターンで印象を残す。その後、繰り返しによって慣れたところで、音階を上げたパターンを提示することで耳が覚えていたパターンとの不整合を起こさせ、予定調和が崩壊します。二重の上下動を仕掛けておくことで、変化のあるサウンドになっているのです。通常、こうした不整合は記憶や学習の阻害になりやすいとされています。けれども、意表を突くことで聴き手の高揚感を煽る効果があるのではないでしょうか。「I am」の高揚感は、こうしたシンプルながらもダイナミックな音の上下動が一役買っているのだろうと思います。

2013.03.20

【追記】
次の物語に関するキーワードや気になるメッセージが配信されていますが、少し時間を巻き戻して、とても嬉しいニュースが飛び込んできました。2004年に "DOUBLE-DECADE" というテーマで開催されたライブ・ツアーの最終公演で、「GREEN DAYS」という曲が演奏されました。その後、リリースのアクションがなくてがっかりしていたところ、9年の歳月を経て、ついにCDとして発売されることが決まりました。スタジオ録音としてミックスも新たに施し、「Green days 2013」というタイトルでリリースされます。そして、そこに「I am」のバージョン違い、リミックスも収録されるとのこと。

ひとつは「I am 2013」。ラフミックス時のハーモニカが採用されるのか? いやいや、ラフミックスともオリジナル・ミックスとも異なるんじゃないか? この1年、オリジナルを何度も何度も聴き込みましたからね…。新しい音の予感に、期待は高まります。もうひとつは「I am -TK EDM Mix-」。1年前に、小室さんが「クラブ・ミックスをつくろうとしたけど時間がなかった」とtweetしていたのですが、今回のEDM (Electronic Dance Music) スタイルへの転化は当初の予定を実現することになります。しかも、昨今のダンス・ミュージックを代表するカテゴリーであるEDMですから、TM NETWORKとしては予想外のサウンドになるんじゃないか。そんなことを思います。わくわく…

2013.07.15

【追記】
現在、「I am」の音源は5種類あります。オリジナル・ミックス、インストゥルメンタル、2013ミックス、TK EDM MIX、そして「FINAL MISSION -START investigation-」のライブ音源。それぞれ音の存在、音の違いを存分に楽しむことができます。これまでの追記で散々書いてきたとおり、聴くたびに新しい音を感じたり、新しいイメージが浮かんだりします。インストはともかく、他のミックス違いについて言えば、ボーカルをそのまま使っているのが共通する特徴ですね。3人のハーモニーや綴られる言葉に重きを置いている、と解釈することができます。

ふと思いました。「ほんの少しだけの遅れは/急いですぐ戻ってくればいい」という部分を、ひとりの視点だけで捉えようとしたために、そこでイメージが立ち止まってしまったのではないか。映像が切り替わるように視点がシフトすると考えてみます。すなわち、ひとりが遅れても、みんなが戻ってきて、手を引いて一緒に進めばいい。視点が変わることで、孤独なモノローグではなくなるし、つながりが浮かび上がってきます。そして「群れに集う その瞬間は/明日はともかく みな喜ぶ」という言葉で、視点が俯瞰に変わります。相変わらず「明日はともかく」が強い印象を、そして謎を残しますが、これもまた視点の変化なのかもしれません。歌詞におけるダイナミックな視点の変化も、「I am」の音楽的魅力と言えるでしょう。

2014.01.07
by mura-bito | 2012-04-30 23:14 | Music | Comments(0)
TM NETWORK - Incubation Period 2012-04-25
TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-
2012-04-25 at NIPPON BUDOKAN


WE LOVE THE EARTH / ACTION / HUMAN SYSTEM / SEVEN DAYS WAR
COME ON EVERYBODY ~ COME ON LET'S DANCE ~ COME ON EVERYBODY
GIVE YOU A BEAT / NERVOUS / 1974 / BEYOND THE TIME / I am
JUST ONE VICTORY / GET WILD / WILD HEAVEN / BE TOGETHER
SELF CONTROL / ELECTRIC PROPHET / TIMEMACHINE

TM NETWORKは、音と光と物語に包まれたトライアングルです。

TM NETWORKにはインターネットあるいはソーシャルメディアが似合います。インターネットは日々進化しているようですが、人と人をつなげるネットワークであることに変わりはなく、それこそ初期~中期のTM NETWORKが標榜したテーマなんですよね。デジタル・レコーディングの手法をとったり、シンセサイザーの音を前面に押し出したりしても、そこかしこに人間っぽさはありました。ソーシャルメディアでいろんな人が結びついては離れて、そしてまた出会う。そういうネットワークにTM NETWORKの音楽が行き交う。とてもフィットすると思います。

「I am」をiPhoneで聴きながら渋谷の雑踏を歩いていたら、ここに流れるのはTM NETWORKじゃないな、と思いました。人から人へ拡散するように音楽が染み渡るのがTM NETWORKなのだろう、あるいはそうあってほしい、と思いますね。ライブのパンフレットにも書いてありますが、25年前の「HUMAN SYSTEM」という曲名は示唆に富んでいます。当時は名付けた本人ですら違和感があった言葉でも、2012年の今であればこのソーシャルメディアが張り巡らされた世界にフィットする。まるで、過去に遡り、未来の姿をその時代の人々に伝えようとしたかのような言葉ですよね。

DOMMUNEなどのシンセ・ライブで構築してきた小室さんの音が、このライブの核となっていました。アナログ・シンセの太い音は姿をひそめ、硬くて分厚いシンセの音が光を放つ。懐かしい曲を散りばめつつも、サウンドは完全に2012年でしたね。キーボードに囲まれたブースの中を、常に動いて音を生み出したり音を変化させたりする小室さんの姿をこの目に焼き付けました。宇宙からやってきた3人を描いた「1974」、未来で見てきたことを伝えようとするけれど伝えきれないもどかしさを込めた「TIMEMACHINE」は、3人とハードディスクから出る音で届けられました。次々と目の前に現われる、輝く三角形。じっと待ち続けていた光景が、何度も、何度も目に飛び込んでくる。前日に披露された曲と合わせて1つの物語が生まれ落ちました。音と言葉によるヒントを読み解き、そしてそれはその先へのイントロダクションとなるのです。

inthecube: TM NETWORK - Incubation Period 2012-04-24

2012.04.29

【追記】
「アナログ・シンセの太い音は姿をひそめ」ではなく「オールド・シンセの音は姿をひそめ」というのが、僕の意図「モーグやメロトロンは使われていなかった」を適切に反映した表現ですね。ライブではV-Synth、Fantom、Indigoの音が前面に出ていました。Indigoはドイツ製のアナログ・シンセサイザーでして、太くて勢いのある音が魅力的です。

2012.09.29
by mura-bito | 2012-04-29 09:55 | Music | Comments(0)
TM NETWORK - Incubation Period 2012-04-24
TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-
2012-04-24 at NIPPON BUDOKAN


FOOL ON THE PLANET / ACTION / 永遠のパスポート
COME ON EVERYBODY ~ COME ON LET'S DANCE ~ COME ON EVERYBODY
LOVE TRAIN / KISS YOU / GIRL / NERVOUS / I am
JUST ONE VICTORY / BEYOND THE TIME / GET WILD / WILD HEAVEN
BE TOGETHER / SELF CONTROL / ELECTRIC PROPHET

TM NETWORKは、音と光と物語のエンタテインメントです。

新しい音と言葉を携えて、TM NETWORKの3人が地球に、降り立ちます。2012年の音と光に包まれ、"Incubation Period" という物語を巡る2時間の旅。遠い遠い宇宙のどこかから来た3人組が地球に降り立ち、その「潜伏期間」で目にしたもの、感じたことをTM NETWORKの楽曲で表現しました。初期のTM NETWORKの曲を中心に構成され、初期に展開されたファンタジックな物語を彷彿とさせつつも、2012年の思いともつながるライブでした。

宇宙を駆け巡り、地球を見つめ、地球上を飛び、歩き、言葉を交わす。物語を紡ぐのは音と声と言葉です。明るい未来を願う曲と現実を俯瞰する曲が入り混じり、音楽を通じた3人の思いがそこには浮かんでいました。中でも、「GET WILD」のフレーズを分解して音を連打した小室さんのパフォーマンスは、会場を大きく揺るがしました。もちろん小室さんのサンプリング・プレイはお馴染みのパフォーマンスですが、この日のそれはいつもと違いました。赤と黒の映像に塗りつぶされるスクリーン、炎と煙を噴き上げる特効、そしていつも以上に激しく指を叩きつける鍵盤。あれは「破壊」を象徴していたのでしょうか。かつてのような「自らが破壊する」という意味ではなく、「破壊された状態」を表わしていたのかもしれません。



Tetsuya Komuro Keyboard Performance

「ACTION」と新曲の「I am」では、コーラスでも小室さんの声がひと際大きく響いていました。前者は2007年の曲、後者は今回の活動に合わせてつくられた曲ですが、どちらも小室さんの気持ちと言葉があふれるほどに詰め込まれています。「ACTION」は前に進むことを誓う独白であり、「I am」は周囲に向けていっしょに前に進もうよと気持ちを共有する言葉。TM NETWORKというインターフェースを通して、小室さんの中にある純度の高い言葉が心に響きました。

inthecube: TM NETWORK - Incubation Period 2012-04-25

2012.04.28
by mura-bito | 2012-04-28 23:47 | Music | Comments(0)
quasimode MUSICPP ‐音楽少年‐ スタジオ・ライブ
quasimodeのスタジオ・ライブの模様がUSTREAMで配信されました。ホーン・セクションのいない4人での演奏はとても新鮮でかっこよかった!カメラも手元を映してくれて、プレイがよく見えて4人のすごさがダイレクトに伝わってきました。「MUSICPP ‐音楽少年‐」というラジオ番組で流れるものだそうで、そのためか音が割れることなくクリアで聴いていて気持ち良かった。

Relight My Fire
Catch the Fact -Full Length-
Down in the village

確実に心も身体も熱くさせてくれる3曲です。「Relight My Fire」と「Down in the village」では、ピアノがホーンのフレーズやコーラス・ラインをなぞっていました。ピアノで聴くとまた違う角度から楽しめますね。美しいメロディなんだなと改めて思います。そして、ずっとずっと「Catch the Fact」の生演奏が聴きたくて、ライブで聴けることを願ってきましたが、今度の渋谷WWW公演の前に叶ってしまいました。渋谷WWWでは分厚いホーンの音も加わるでしょうし、もっともっと楽しめるでしょう!期待は限りなく膨らみます。

今週は正真正銘の音楽週間です…
月曜日から木曜日まで最高の音楽に浸りますよ…

2012.04.23
by mura-bito | 2012-04-23 22:41 | Music | Comments(0)
寺久保エレナ - NORTH BIRD
NORTH BIRD

NORTH BIRD

寺久保エレナ


アルト・サックス奏者にもいろいろいるんだなぁ…。そんな当たり前のことを改めて感じる一枚。寺久保エレナのデビュー・アルバム『NORTH BIRD』を聴いています。踊るように奔放に吹いたかと思えば、バラードではぎゅっと凝縮した音を聴かせてくれます。じっと耳を傾けていると、新も旧も老も若もフラットになっていくし、純然たる音楽がそこに存在しているだけなんですね。是非、ライブでその演奏を聴いてみたい。

ウェイン・ショーターの曲や、よく耳にする「Someday My Prince Will Come」、「Take The "A" Train」などが収められています。その中でもオリジナル曲である「Tim Tam Time」や「Like The Sunlight」が好きですね。みんなでパーティーをしているような楽しさを与えてくれますし、じっくり聴き入りたい美しいアルト・サックスの音色を前に出して届けてくれます。歴戦のミュージシャンと生み出すアンサンブルは、支え合うような、せめぎ合うような関係ですね。とりわけコントラバスの音が印象に残りました。「Tim Tam Time」では弓弾きのソロがすてきですし、「Like The Sunlight」は指で弾くソロで締められます。

2012.04.22
by mura-bito | 2012-04-22 10:10 | Music | Comments(0)
TRIANGLE, ACTIVATION, NETWORK
2012年4月21日。TM NETWORKがデビューしたのが1984年4月21日なので、今日から28年目のTMが始まります。まあもちろん区切ることにそれほど意味があるわけでもないんですが、二十四節気みたいなものです。ゆるやかにつながっているネットワーク、それをアクティベートするひとつの要素なんですよね。常に一緒にいるわけじゃないけれど、何かあるときは自然と集まってリンクする。そのトリガーになったのが3/20のALL THAT LOVEであり、この4/21であり、そして4/24・25のIncubation Periodです。



TM NETWORK - I am (TV CM)

避けていたわけではないけれどなんとなく聴く機会を逃してきた新曲「I am」。ここまできたら武道館公演までシャットアウトしようかなと思いましたが、やっぱり聴きたいものは聴きたい!ってことでYouTubeにアップされたCM映像にアクセスしました。かっこいいね!♪I am a human♪のメロディ・ラインがとても好きです。ぐっと心を掴まれました。スーツを着て並ぶ3人の姿も、本当にカッコイイです。この曲を掲げて臨む武道館公演「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」は、果たしてどのような内容なのでしょうか…期待とイメージは膨らむばかりです!

2012.04.21
by mura-bito | 2012-04-21 11:39 | Music | Comments(0)
Kenny Clarke - Bohemia After Dark
Bohemia After Dark

Bohemia After Dark

Kenny Clarke


ジャズを遡る旅は第5弾。ケニー・クラークというドラマーのリーダー・アルバム、『Bohemia After Dark』です。ブルーノートではないレーベルの作品ですが、レーベルのカラーを区別できるほど聴き込んではいないので、それはそれだという情報に留めるとして。アート・ブレイキーを知ったときにも思ったんですが、ドラマーの名前でアルバムを出すというのは、現代のポップスに慣れ親しんだ身には新鮮というか、違和感を感じました。ソロ・シンガーやギタリスト、ピアニストなら何の違和感もないし、ベーシストやドラマーってバンドに所属しているかサポートとして参加しているとしか思っていなかったんですね。そもそもポップスの世界にはリーダー・アルバムという概念がありません。けれども国内外のジャズに触れ、ジャズの雑誌や本を読むと、どのパートであってもリーダー・アルバムを出していることがわかる。こんな小さなことでも、知る喜びはあるものです。

タイトル曲の「Bohemia After Dark」がいいですね。すぐさま村上春樹の「アフターダーク」を思い浮かべましたが、まあ関係はないでしょう。分厚い音でメロディを奏でるトランペットが気持ちいいなぁと思ってクレジットを確認したら、なんとドナルド・バードでした。図書館で偶然見つけたアルバムですが、想像だにしなかったミッシング・リンクに驚いています。ライナーノートを読むと、評論家の間ではジュリアン・キャノンボール・アダレイが参加していることが重要らしいのですが、個人的にはドナルド・バードかなぁと思います。他のトランペッターとの違いを明確に述べることはまだできないんですが、不思議と自分に馴染むからかもしれません。

ちなみに、キャノンボール・アダレイは「ポスト・チャーリー・パーカー」とでも言うべき存在らしいのですが、そのパーカーは通称「バード」と呼ばれていました。雑誌やライナーノートでも断りなく書いてあるので、その度に僕はドナルド・バードのことだと勘違いしていました。ドナルド・バードは「Byrd」、チャーリー・パーカーの方は「Bird」なので、英語ならそんな勘違いは起きないんですけどね。まあそんなこともありましたねという蛇足。

2012.04.20
by mura-bito | 2012-04-20 22:46 | Music | Comments(0)
違法ダウンロード刑事罰化について地元の議員さんに意見しました
違法ダウンロードに刑事罰化が付けられようとしています。現在は一時見送りとなっていますが、風向きが変わればあっさり成立してしまいます。
そこで以下の内容を、地元の選挙区の国会議員(民主党)に伝えました。

----------------------
この度、著作権法改正案に「違法音楽ファイルのダウンロード行為に罰則を科す」という内容を盛り込むことを、民主・自民・公明が合意したとの報道がありました。川内博史議員、森ゆうこ議員、林久美子議員らの慎重意見により一時見送りとなったようですが、議員立法による改正法案の成立の可能性があります。

この法改正について、議論のプロセスが公開されていません。自公が提出した改正案の是非について、今一度民主党で議論を行ない、そのプロセスを公開していただけないでしょうか。
----------------------

音楽業界団体のロビー活動、著作権法違反による別件逮捕、罰則をつけても音楽が売れるわけじゃないなどなど、言っておくべきことはたくさんあります。でも散漫になるし、何より与党にとって問題となるのは「不透明な立法プロセス」だと僕は思ったので、そこに絞って再考してもらうようお願いしました。

当たり前ですが、罵倒したり揶揄したりするのは論外ですので。

この問題について関心があれば(願わくばなくても)、上記の文章を適当に使って議員さん(民主党)に意見を送ってください。


※同じ内容の文章をFacebookにも掲載しました。
http://www.facebook.com/note.php?note_id=367914346593230

2012.04.19
by mura-bito | 2012-04-19 19:27 | Music | Comments(0)
纐纈歩美 - Daybreak
Daybreak

Daybreak

纐纈歩美


あれやこれやいろんな時代のジャズを聴きまくっているこのごろですが、今日は纐纈歩美さんのアルバム『Daybreak』を聴いています。アルバムの幕開けを飾るタイトル曲「Daybreak」のテーマ・メロディがやわらかくて、耳にすっと馴染みます。纐纈さんの吹くアルト・サックスの音は、ざわざわした気持ちをほぐしてリラックスさせてくれます。バンドの音もサックスを支えるように、ぐっと引いて彼女を引き立てます。シダー・ウォルトンのようなクールさを見せてくれるピアノもいいですね(歴戦のジャズ・キャットはなんと言うだろう?)。

纐纈さんの音を初めて聴いたのは今年の2月22日にBLUE NOTE TOKYOですね。quasimodeがメインになって開かれたイベント「BLUE NOTE Plays BLUE NOTE」。そこではルー・ドナルドソンなどの曲を演奏していましたが、流線型のようなサウンドを聴かせてくれたのが印象的でした。直線や鋭角のような音ではなく、円や弧をさらさらと描いていくような、アルト・サックスの音色。

もちろん、タフな演奏も聴きどころです。BLUE NOTE Plays BLUE NOTEではアンコールで熱い「Afrodisia」を聴けましたし、このアルバムで聴けるセロニアス・モンクの「Evidence」では踊り出したくなります。「Evidence」に続く「After Dark」はピアノの納谷嘉彦さんが書いたオリジナル曲ですが、各パートのかっこよさがせめぎ合って、曲が進むにつれてかっこよさが増していく。きらりと光るクールな表情も、このアルバムの魅力です。

2012.04.17
by mura-bito | 2012-04-17 22:53 | Music | Comments(0)
山中千尋 - LACH DOCH MAL
LACH DOCH MAL

LACH DOCH MAL

山中千尋


山中千尋さんと言えば、聴く者を引きずり込むアグレッシブなソロ演奏が魅力のひとつだと思うのですが、『LACH DOCH MAL』では、躍動感あふれるリズムが強く印象に残ります。1曲目の「QUAND BIRON VOULUT DANSER」が流れ出したその瞬間から、リズミカルでパーカッシブな音が空気を震わせます。跳ねるようなリズムの上でピアノの音が鮮やかに舞います。

なんだろう、踊りたくなるというよりは、歩き出したくなるというか。晴れた日にさわやかな風を感じながら、歩いたことのない道をてくてく歩く。どこにたどり着くのかはわからないけれど、それもまた楽しい。リズムに歩調を合わせ、力強かったり美しかったり柔らかかったりするピアノの音に、そっと、時にはぐっと背中を押されるようです。

「LIEBESLEID」という曲がとてもいいですね。ピアノが奏でる美しくて色気のある旋律に心を奪われます。ピアノの裏ではハイハットと打楽器(おそらくはカウベルのようなもの)の音が鳴り続けています。パーカッシブな音の連鎖は途切れることなく続き、終盤になるとさまざまな音が混ざり合ります。ピアノも巻き込んだカラフルなリズムに、一気に心が熱くなります。

2012.04.16
by mura-bito | 2012-04-16 21:36 | Music | Comments(0)

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