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音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
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カテゴリ:Music( 974 )
Dua Lipa and BLACKPINK「Kiss And Make Up」:世界を彩り、世界を魅了する歌声のコラボレーション
イギリス出身のシンガー・ソングライターDua Lipa、世界的に人気を博しているK-POPグループのひとつBLACKPINK(블랙핑크)。両者のコラボレーションによって「Kiss And Make Up」という曲が生まれました。Dua Lipaのデビュー・アルバム『Dua Lipa』はApple MusicでDeluxeとComplete Editionの2種類が配信されており、「Kiss And Make Up」は後者に収録されています。
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Dua LipaとBLACKPINKそれぞれの歌声が持つ魅力が光る曲です。歌声はリズミカルな音に乗せて交錯します。ポップス的なボーカルを主軸にしながら、ラップのように流れるところもある。歌声のコラボレーションは淀みのない流れの中で鮮やかな模様を描きます。この曲をきっかけにBLACKPINKの曲を聴いていますが、それらとは異なる、共作ならではのインパクトがあります。

歌声が切り換わる瞬間、ドアを開けて隣の部屋に移るようなイメージが浮かびました。その部屋にもまたドアがあり、別の部屋につながっている。次々とドアを開けて、そのたびに出会う歌声に魅了されるのです。



Dua Lipa and BLACKPINK – Kiss And Make Up

最初にDua Lipaを知り、それからこの曲でBLACKPINKの歌声を知る。BLACKPINKの歌声の良さを体験すると、彼女たちのオリジナル曲を聴きたくなって探してみる。こうして音楽への興味は連鎖します。BTSからK-POPに入ってBLACKPINKの名前を把握し、Dua Lipaを知ったことで次はSilk City(DiploとMark Ronsonのデュオ)とのコラボレーションに興味が向かいます。点は線になり、線と線は三次元的に結びつく……音楽はネットワークであることを改めて思います。
2019.01.15
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by mura-bito | 2019-01-15 21:49 | Music | Comments(0)
[EN] Steve Aoki – Waste It On Me Remixes [feat. BTS]
The song Waste It On Me, originally performed by Steve Aoki and BTS (방탄소년단), has been remixed by the following DJ/producers: Slushii, Cheat Codes, and W&W. In addition, Steve Aoki has remixed it himself.
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The original version of Waste It On Me, released on October 2018, entered the Billboard charts at No. 39. This is the third time that BTS is ranked among the Billboard’s top 40. By the way, the name of Steve Aoki also appeared on the charts for the third time in this song. Refer to the Billboard article: BTS Earns Third Pop Songs Chart Hit With Steve Aoki Collab ’Waste It on Me.’
When December 2018 came, three remixes for Waste It On Me were released every Friday one by one. Slushii Remix appeared for the first time among this remixes. I thought that the remix was very impressive when listening to it partially on the Twitter pages of Steve Aoki and Slushii before it was released.

You may feel how thin or light the sound is when listening to this remix, however, the track increases depth and in thickness after the sounds of rhythm section are added. The vocal is put on mute and the sound like a brass horn is heightened in chorus. I love the lyrical, emotional, and sentimental sound.



Steve Aoki – Waste It On Me [feat. BTS] -Slushii Remix-

Cheat Codes Remix was put out one week after Slushii Remix was released. Cheat Codes is a DJ/producer team consisting of Matthew Russell, Trevor Dahl, and Kevin Ford.

Cheat Codes constructs the remix with BTS’ singing voice at the core. The trio pushes the attractiveness of BTS as a singer and rapper forward in this remix. Their electronic sound supports the singing voice from the back, however, the sound is not undistinguished. The sound of bass drum is amplified to become heavier than the original mix. Is the genre of this remix pop or EDM? I think that it is located between pop and EDM.



Steve Aoki – Waste It On Me [feat. BTS] -Cheat Codes Remix-

The duo named W&W consists of two DJ/producers from the Netherlands: Willem van Hanegem and Ward van der Harst. W&W Remix, which reforms this song as EDM, followed Cheat Codes Remix. I has been moved by their aggressive, dynamic sound.

You can watch the music video for the remix on their YouTube page. The shows they made around the world are recorded in this video. Their DJ playing music makes the audience excited. This remix will be added to a set list for their future shows, and boost the mood for a show.



Steve Aoki – Waste It On Me [feat. BTS] -W&W Remix-

In the end of a project for the Waste It On Me remix, Steve Aoki The Bold Tender Sneeze Remix has arrived. The combination of various clear-cut electronic sounds shows that this remix is his very EDM. His EDM sound always bring a lot of excitement to many EDM lovers.

Steve Aoki dissolves the original mix, and combines the new sounds outside his first arrangement to bring the song much closer to his individual EDM expression in this remix. You can enjoy a wide range of his approaches when listening to the original and remix produced by him.
2019.01.11

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by mura-bito | 2019-01-11 21:38 | Music | Comments(0)
Dua Lipa「New Rules」:クールな歌声がエレクトロニック・サウンドの中で淡々と言葉を連ねる
2018年のBillboard年間チャートTOP100で、Dua Lipaというシンガー・ソングライターの「New Rules」という曲を知りました。ヒップ・ホップの要素を含んだポップスというところでしょうか。サウンドからはエレクトロの雰囲気も感じられます。
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比較的シンプルな音に乗せて、ハスキーな歌声が響きます。その歌い方からはクールな雰囲気が漂い、目の前に淡々と言葉が並べられていきます。契約書に書かれたテキストを読み上げている…そんなイメージが浮かびました。

ミュージック・ビデオでは、屋内の狭い空間でDua Lipaを軸にしたパフォーマンスが披露されます。何人もの演者が動き、カメラも部屋を移動しますが、動線が計算されていて、各々が流れるように動いて交差する様子が印象に残りました。それぞれの軌跡を線で可視化すると何かしらの幾何学模様が浮かび上がるのかもしれません。



Dua Lipa – New Rules

Billboardチャートはラジオのエアプレイを中心に、曲やビデオのストリーミングを含めて作成されています。初めて耳にする曲も多く、このチャートで知ってからApple MusicやYouTubeで本格的に聴くケースを幾度も経験しました。ヒップ・ホップが多かったりカントリーがランクインしていたりと少々癖があるとは思いますが、琴線に触れる音楽に出会えるチャンネルのひとつとして僕は関心を寄せています。

そうした出会いを起点として、さらに新しい出会いが生まれる…すなわち見知らぬ音楽に触れる機会が得られます。すでにDua Lipaはさまざまなコラボレーションを実現させており、そのリストにはCalvin HarrisやMartin GarrixといったDJ/producerや、ミュージック・ビデオの再生回数が軒並み数億を記録しているBLACKPINKなどが含まれます。これまで「音楽チャートなんてほとんど無意味だ」と思うこともありましたが、自分の世界を拡張する手助けをしてくれると考えれば悪くないツールだよなと思うようにもなりました。

2019.01.10
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by mura-bito | 2019-01-10 21:12 | Music | Comments(0)
ORESAMA「ワンダーランドへようこそ/秘密」:二人の音楽世界に導くカラフルなポップス、行き場のない言葉を切々と連ねるバラード
2018年が終わって2019年が訪れると、ORESAMAぽん/小島英也)の新曲「ワンダーランドへようこそ」「秘密」がリリースされました。ORESAMAは2018年4月にアルバム『Hi-Fi POPS』、8月にシングル「ホトハシル」を発表しましたが、それに続く新曲のリリースです。ともにダウンロードで購入でき、ディスクの販売およびストリーミング配信は今のところありません。
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曲名になっている「ワンダーランドへようこそ」とは、ORESAMAが開催するワンマンライブのタイトルに使われている言葉です。ライブのオープニングでは、強烈なエレクトロニック・サウンドに乗せて ♪ワンダーランドへようこそ♪ というフレーズが繰り返されます。もともと存在していた曲なのか、あるいはそのフレーズを膨らませて一曲に仕上げたのか。いずれにしても「ワンダーランドへようこそ」はORESAMAのライブを想起させる曲であり、今後はシンボルのような存在になっていくのかもしれません。

イントロから ♪ワンダーランドへようこそ♪ のフレーズが響き、聴く人をORESAMAの音楽世界にいざないます。その声に導かれて、そして手を引かれて、向こう側に足を踏み入れる。そこはまるで穴に落ちたアリスが見たワンダーランドのよう。ポップでカラフルな歌と音が舞います。特にエレクトロニック・サウンドとベースが絡み合う間奏が好きですね。ベースを弾くのは、ORESAMAのライブをサポートしている三浦光義(PARADEというバンドのベーシスト)です。



ORESAMA – ワンダーランドへようこそ/秘密 (SPOT)

「秘密」は、切なげに響くピアノの音から始まるバラードです。その音はとてもリリカルで、どこか扇情的でもある。リズムは薄くシンプルですが、途中から厚みを増します。一旦リズムが消えてピアノだけになり、そして音はぐっと厚く濃くなります。ストリングスが加わって熱を帯び、ピアノは感情を吐露するようにダイナミックに響き渡る。曲が進むにつれて音の密度は変わり、それに伴なって変化する空気の違いが印象に残ります。

歌声は、ぽつぽつと言葉を落とすように聞こえます。語りかけるというよりは独白ですが、内に収まることなく、自分の周りに落ちます。自らに向けることも外に向けて発することもできず、自分の周囲に落とすことしかできない言葉。行き場のない言葉が足元に転がります。

終盤には、音に背中を押されたのか歌声もまた力強く、エモーショナルに響きます。抑えていた気持ちが殻を破って飛び出すような、あるいは伸ばせなかった手を思いっきり差し出すような。転がった言葉を集めて胸に仕舞いながら、ドラマチックに展開する歌を聴きます。
2019.01.08
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by mura-bito | 2019-01-08 20:52 | Music | Comments(0)
Steve Aoki「Waste It On Me [feat. BTS]」Remixes:歌声の魅力を多角的に照らし出すリミックス、多様なエレクトロニック・サウンドが光る
2018年12月、Steve AokiBTS(방탄소년단)がコラボレーションした「Waste It On Me」のリミックスが毎週金曜日に公開されました。リミキサーはSlushii、Cheat Codes、W&Wという、いずれも人気のDJ/Producerです。そしてSteve Aoki自身もリミックスを手掛け、年末休暇の時期に配信が始まりました。

リミックスを聴く醍醐味はオリジナルとの違いを感じることです。オリジナルの要素を残しながら、どのような価値を新たに加えるか。オリジナルから逸脱するのであれば、それに代わる魅力を提供できるかどうか。リミキサーが見せるアプローチは、もちろんすべてを好きになることは不可能ですが、ぴたりとフィットしたときの心地好さは格別です。オリジナルもリミックスも存分に楽しめたら、それは深くて広い音楽体験として記憶に残り続けます。
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一連のリミックスで最初に公開されたのはSlushii Remixです。Steve AokiとSlushiiのツイートに貼られた十数秒の音を聴いて、これはおもしろくなると確信しました。オリジナルはBTSの歌声の美しさを存分に楽しめるアレンジですが、リミックスではその歌声を素材としてSlushiiのサウンドで料理します。

イントロの段階では、サウンドは薄くて軽いように思えます。けれども、ベースが入ると途端にサウンドは深みを増し、やがてドラムなどが加わって厚くなります。Chorus部分ではボーカルをミュートして、オリジナルで鳴っていたブラスのような音を強調している。この音が実に叙情的で、歌声とは異なる哀愁を漂わせます。



Steve Aoki – Waste It On Me [feat. BTS] -Slushii Remix-

Slushii Remixを聴いて期待が高まる中、一週間後にCheat Codes Remixが配信されました。このリミックスではBTSの歌声を軸にしており、そこにはオリジナルの輪郭が見え隠れします。オリジナルのイメージを残しつつ、キックの音を強めて重ねるアプローチです。

全体的にエレクトロニック・サウンドがボーカルやラップの裏で鳴っていて、サポートの役割を果たします。オリジナルよりもポップというべきか、オリジナルの繊細な部分を、密度の大きいキックの音で上書きして太くしています。僕はオリジナルに対してR&Bのような印象を抱きましたが、Cheat CodesのリミックスはEDMとポップスの中間に位置すると思いました。



Steve Aoki – Waste It On Me [feat. BTS] -Cheat Codes Remix-

三番目に登場したのはW&W Remixです。このリミックスは上述のアプローチと異なって、ストレートにEDMへの作り変えを試みており、印象が大きく変わります。EDMらしさを全開にして展開するサウンドは原型を留めずに、ある意味では曲の形を破壊している。それがまたおもしろいのも事実であり、このパンキッシュな改造に熱くなります。

W&WのYouTubeページでは、二人のワールド・ツアーの様子を収めた映像に、W&W Remixの音を重ねたビデオが公開されています。煽るWillem van HanegemとWard van der Harst、ヒートアップする観客。この光景を生み出す音に、これからW&W Remixが加わっていくのでしょう。クラブやスタジアムを大いに盛り上げることは必至です。



Steve Aoki – Waste It On Me [feat. BTS] -W&W Remix-

最後に登場したのはSteve Aoki The Bold Tender Sneeze Remixです。Steve Aokiが自ら作り上げた「Waste It On Me」を解体して、再構築しています。オリジナルの時点でEDMからは離れたアレンジだったこともあり、リミックスでは大きくEDMに寄せた印象を受けました。オリジナルの制作者がリミックスすると、同一の感性から生まれる振れ幅を楽しむことができますね。

こうして多種多様なエレクトロニック・サウンドでのリミックスを聴くと、BTSの歌声が活きる音はヒップホップやポップスに留まらないと思えてきます。EDMとの相性が良いことは、The ChainsmokersやSteve Aokiとのコラボレーションなどを通してすでに証明されています。今回のリミックス企画で実現したように、EDMアーティストたちが彼らの歌声を求める場面は今後もっと増えるのかもしれません。

2018.12.28
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by mura-bito | 2018-12-28 20:45 | Music | Comments(0)
[EN] BTS – MIC Drop -Steve Aoki Remix-
The famous septet from Korea BTS (방탄소년단) has released the song MIC Drop in their album Love Yourself 承 Her. After the release, the song was remixed by the electronic music DJ/producer Steve Aoki.
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It is not just BTS fans and K-POP lovers that were moved by the song. Many music lovers have been impressed by the vocal, sound, and dance in this song. It is Billboard’s article to show that: BTS Recognized by RIAA for First Platinum Single & First Gold Album. Read this article if you want to know the record set by MIC Drop in the U.S. music scene.
The version of the remix including the additional rap by Desiigner has been released as a single, and the remix without his rap is included in their album Love Yourself 結 Answer. I have fallen completely in love with this impressive remix.

Watch the video based on the remix of MIC Drop on YouTube if you don’t watch it. You will be fascinated by the sharp and dynamic dance which seven members weave in the electronic sounds created by Steve Aoki.

Characteristic dance performed by many K-POP groups including BTS is called “칼군무” in Hangeul. It means dancing in a group with sharp movement like a sword. The dynamism of their movements is absolutely expressed on this video by the technique of shooting and edit.



BTS – MIC Drop -Steve Aoki Remix-

BTS always sings only with native language, or with mixing English. The first BTS song which only written in English is Waste It On Me, the song they performed with Steve Aoki in his latest album.

Unfortunately I cannot understand Korean language, but I feel that the language resonates well in MIC Drop. The song in Korean is different from the song in other languages such as Chinese, Japanese, or English.

Music shows different expressions and gives us a new experience if a language used for lyrics changes. I could get the new way of enjoying music I have never known by a meeting with BTS’ song.

2018.12.27
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by mura-bito | 2018-12-27 21:04 | Music | Comments(0)
TM NETWORK「STILL LOVE HER」:歌はロンドンの記憶を切り取り、メロディは人々の記憶に残る
TM NETWORKのアルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL’S LIFE 1991-』がリリースされたのが1988年12月。アルバムの最後を飾る「STILL LOVE HER ~失われた風景~」もまた、30周年を迎えました。

ベースから始まり、シンセサイザーが重なるイントロがとても温かい。小室さんが弾くピアノと、木根さんのアコースティック・ギター。ウツのボーカルを中心として重なり合う三人の歌声。メロディは優しく漂い、歌声はモノローグのようでもあり、語りかけるようでもあります。音と歌から滲み出る柔らかい雰囲気が心を和ませます。
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TM NETWORKの曲において、「STILL LOVE HER」は「GET WILD」に続く知名度を誇ると思います。ともに「シティーハンター」のエンディング・テーマとして使われたためです。曲名を耳にして、あるいはイントロやサビのメロディを聴いて「あの曲か」と思う人は、他のTM NETWORKの曲より多いのではないでしょうか。

多くのファン、そしてこの曲だけは知っているという人々の中でも「STILL LOVE HER」に抱くイメージはほとんど同じだと思います。優しい、穏やか、柔らかい。ライブの度にアレンジが変わるのがTM NETWORKの特徴ですが、オリジナルのアレンジを踏襲し続けている曲もあり、そのうちの一曲が「STILL LOVE HER」です。リミックスされてもいません。オリジナルの世界を今に伝え続ける曲です。

そうした曲であるためか、2000~2001年の〈TM NETWORK Tour Major Turn-Round Supported by ROJAM.COM〉では、「穏やかな日常」の空気を作り出す役割を担い、その後に演奏される30分超の大作「MAJOR TURN-ROUND」との落差を印象づけました。観客の意識に刻まれた「STILL LOVE HER」のイメージを利用し、表層から深層に潜り込むような「MAJOR TURN-ROUND」の世界に導きました。



TM NETWORK – STILL LOVE HER (Live from TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA)

「STILL LOVE HER」は2015年のライブ〈TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA〉でも演奏されました。このライブでは『CAROL -A DAY IN A GIRL’S LIFE 1991-』の曲を抜粋してリメイクした組曲「CAROL2014」を中心に据えた構成だったこともあり、「STILL LOVE HER」もうまくハマりました。12弦アコースティック・ギターを弾いて、ハーモニカを吹き、コーラスを重ねる木根さんの姿を観ることができます。

「STILL LOVE HER」に欠かせない音といえば、やはり木根さんが吹くハーモニカでしょう。間奏で響くハーモニカの音は、冬の冷たい空気の中でも心地好い温かさを届けてくれます。ライブでは、間奏に入るとウツが木根さんを示し、流れるように木根さんがハーモニカを披露します。木根さんを照らすスポットライト、会場を包み込む柔らかい音色。
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歌詞には、アルバムを制作していたロンドンで目にしたであろう風景が登場します。もちろんただ風景を描写しているのではなく、その風景を眺める姿を通して「別れた恋人のことを思い出す」というテーマをもとに、ロンドンの風景を織り込みます。心ここにあらずの彼の横を「二階建てのバス」が通り過ぎたり、夜空に浮かぶ「12月の星座」から昔交わした会話を思い出したり。主人公の心とロンドンの街並みが交差する歌詞です。小室さんは「フィクションでもありノンフィクションでもあり」と語っています(『Keyboard magazine』1989年1月号)。

「GET WILD」をはじめとして変わり続けてきたTM NETWORKの一方で、「STILL LOVE HER」のように同じ姿を保ち続けてきたTM NETWORKが存在する。変わり続けることが宿命のようなグループですが、こうして変わらない要素に改めて触れると、変わらないことにもまた大きな価値があると思えました。30年前に吹き込まれた曲を聴きながら、「変わる」と「変わらない」のバランスについて考えています。

2018.12.19
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by mura-bito | 2018-12-19 22:03 | Music | Comments(0)
藍井エイル – Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN
会場に響く ♪あの日交わした 約束を守りにいく この歌を届けにいく♪ という言葉。こう歌う「約束」からライブが始まりました。藍井エイルが再び歌を届けるためにやってきた場所、それが〈Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN〉のステージです。

2018年8月16日に開催されたライブのBlu-ray/DVDがリリースされました。ライブで披露された20曲とMCを余すところなく収録しており、「再会」の感動がまるごとパッケージされています。観客席で刻んだ歌と音と光の記憶は、ディスクに記録された映像によって刷新されます。
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ステージに登場して「約束」を歌う藍井エイルは、真っ白な衣装に身を包んでいました。その姿は、活動休止前の〈Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 “Last Blue” at NIPPON BUDOKAN〉で着た白い衣装に重なります。けれども、Last Blueで色を消すかのように見えた白は、「約束」の音色が響くRE BLUEではリスタートを象徴するように思えました。

「約束」が終わるとステージが暗転します。再び光を得ると、青い衣装で「IGNITE」を歌い始めます。♪迷わずに今♪ のサビで始まる、藍井エイルの代表曲です。最初のサビを歌い終わると、彼女は「ただいまーー!」と叫びます。曲名のとおりライブに火が点き、体感速度がぐんと上がります。ヒートアップする会場の空気は、空白の期間を一気に埋め尽くすかのようでした。

ライブは2時間にわたり、定番のシングル曲を中心に、活動再開後の新曲「約束」、「流星」、「ヒトカケラの勇気」を交えたセット・リストが組まれました。「AURORA」、「ラピスラズリ」、「シンシアの光」、「INNOCENCE」など、お馴染みの曲は活動休止前と変わらない魅力を存分に伝えます。

また、新たな試みも披露され、複数の角度から楽しめたステージでもあります。「KASUMI」では、ギター・プレイを披露しました。「アクセンティア」、「レイニーデイ」、「GENESIS」、そしてアンコールの「シリウス」ではパフォーマーを加えて、ステージを彩りました。演出に厚みを持たせたことで、エンタテインメントとして大きく膨らんだのではないでしょうか。変わらない魅力と、変わることで生まれる新しい魅力。藍井エイルは停止していたのではなく、旅をして帰ってきたのだと思います。



藍井エイル – Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN (Trailer)

「アカツキ」は活動休止直前に発表され、Last Blueで初めて披露された曲のひとつです。エモーショナルな歌声、ピアノとギターとストリングスが絡み合って生み出すドラマチックな音に心を奪われます。映像では、他の曲とは色の質感が少し変わり、少しくすんで彩度が下がった印象を受けました。歌詞やサウンドから浮かぶ、夜と朝の境界線を彷徨うイメージがより強まります。曲を聴くだけでもメロディの美しさに心が震え、ライブ映像が加わるとその震えは一層強まります。

多くの曲ではステージを広く使っていたのですが、「アカツキ」では中央からほとんど動きませんでした。その場で勢いよくターンしたり、崩れ落ちるように両膝をついたりする動きが印象に残りました。映像で表情を含めて確認してみると、これらの動きが曲の叙情性を高めているように思えました。

「GENESIS」の終盤では藍井エイルが姿を消し、プログレにも思えるインストをバンドが奏でる中で、黒い衣装をまとった6人のパフォーマーが踊ります。パフォーマーが姿を消すと、バンドの演奏はさらに熱を帯び、それはやがて「シューゲイザー」のイントロにつながりました。ギターの音が会場をヒートアップさせ、それをDJが煽ります。再び姿を見せた彼女の衣装は、黒を基調にして赤いラインを入れたものに変わりました。

「シューゲイザー」の映像を観ていると、表情の変化が印象に残ります。マイクを離して顔を横に向ける時の表情、赤いライトに染まる表情。青や白の光に包まれているときとは違うものを感じます。感情を吐き出すように歌うエモーショナルなボーカル・スタイルと相まって、強さと艶のある表情に惹きつけられます。
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本編ラストに披露された曲は「虹の音」です。曲の最後に届けられる「ありがとう」の言葉が強く印象に残ります。この曲はLast Blueのオーラスでも歌われました。「虹の音」を本編ラストに配した理由は、Blu-rayに収録されたドキュメント映像を観ると推察できます。「虹の音」を最後に歌うことに強い気持ちを持っていたことが分かります。

Last Blueで残された「ありがとう」と、RE BLUEで届けられた「ありがとう」は同じ言葉でも意味は大きく異なります。「今までありがとう」と「待っていてくれてありがとう」。感謝の気持ちを表わす点では同じでも、終わりを前提にするか、始まり(再開)を前提にするかで、違う言葉といえるほどに意味が変わり、受け止めた側の心にも別々の印象が刻まれます。再び時を動かしてくれたからこそ、こうした違いについて思いを巡らせることができ、そのためRE BLUEの「ありがとう」に深く感動できたのだと思います。

2018年2月8日に「約束」のミュージック・ビデオが公開され、その後も約2ヶ月おきに新曲の配信やシングルのリリースが続き、このライブはその最終地点ともいえます。再始動プロジェクトを締め括るマイルストーン。ここから次のステップに向けての歩みが始まります。アンコール前にはシングルのリリースが予告され、時間は未来に向けて動き出しました。

2018年8月16日は、過去と現在をつなぎ、そして現在と未来をつなぐ結節点でした。この日に予告された未来のひとつ目はすでに実現しており、今はさらにその先に向かって歩き出しています。「約束」で ♪新しい景色を また見つけよう♪ と歌われているように、新たに延びる道を歩きながら新しい景色を見ている、今はそんな感じです。

2018.12.13
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by mura-bito | 2018-12-13 22:08 | Music | Comments(0)
BTS「MIC Drop -Steve Aoki Remix-」:声の魅力を最大限に引き出すリミックス、七つの身体が見せる圧倒的なパフォーマンスの密度
「Waste It On Me」をきっかけにBTS(방탄소년단)の音楽を聴く機会が増えています。Apple MusicやYouTubeで曲を聴いてみたところ、Steve Aokiがリミックスした「MIC Drop」に出会い、第一印象で気に入りました。それからオリジナルの「MIC Drop」に遡ってみると、こちらもまた良い。音が違えばラップやボーカルも印象が変わり、複数の角度から曲を楽しむことができます。
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2018年11月、「MIC Drop」のダウンロード数およびストリーミング回数が100万ユニットに達し、プラチナ・ディスクに認定されたことが、RIAA(Recording Industry Association of America、アメリカレコード協会)によって発表されました。なお、2017年の9月にリリースされた後、2018年2月に50万ユニットを達成してゴールド・ディスクに認定されていました。

「MIC Drop」にはオリジナルの他、ラッパーのDesiignerをフィーチャーしたSteve Aoki Remix、さらにDesiignerのラップをBTSのラップに戻したFull Length Versionがあります。Billboardの記事によると、100万ユニットとは、これらのダウンロード数と曲やビデオのストリーミング回数を合わせた数字とのことです。BTSはソーシャル・メディアを活用して人気を集めてきた(『K-POP ――新感覚のメディア』より)とされますが、彼ららしい記録の樹立なのではないでしょうか。
BTSの曲では韓国語のラップや歌に英語が混ざります(全編英語詞の曲を歌ったのは「Waste It On Me」が初めてだそうな)。ハングルは読みも意味も分からないので音だけの印象なのですが、「MIC Drop」を聴いていると韓国語が持つ独特な響きを感じます。Mandarinなどのチャイニーズや日本語のポップスとも違うし、英語の歌に近いわけでもない。言語が違えば歌の雰囲気も変わることを改めて実感します。

アジアの中でも東南アジアの雰囲気を感じた…というのが最初の印象です。ただ、聴いていくとヒップ・ホップの色も強まり、それでいてボーカルは美しく響くため、僕の中では聴いたことのないカオスが広がりました。Steve Aokiの音が吹き荒れる中で、韓国語と英語が入り乱れ、そうなるともう地域がどこなのかそんなことはどうでもよく、イメージの断片が交錯して見たことのない世界を描き出します。



BTS – MIC Drop -Steve Aoki Remix-

BTSを含むK-POPグループの特徴のひとつに「칼군무(カルグンム、刀群舞)」が挙げられます。華麗に刀を振り回すかの如く鋭い動きが乱れなく合わさるパフォーマンスです。特にYouTubeを通じた映像配信において、K-POPムーブメントの広がりに拍車をかけてきた要素といえます。

「MIC Drop -Steve Aoki Remix-」のミュージック・ビデオでは、彼らが披露するカルグンムの鋭さを存分に味わうことができます。圧倒的なパフォーマンスの密度。カメラワークと編集によって彼らのパフォーマンスの勢いが余すところなく表現されています。

BTSの音楽は、ブラックミュージックに基づいている。それは、サウンドやビートだけではなく、態度や表現方式までを含む。その音楽には、BTSというチームやメンバーそれぞれの経験や社会に対するさまざまなメッセージが、彼らのアイデンティティとして表現される。

しかしそれは、アメリカのラップ・ヒップホップを一方的に受け入れているという意味ではない。(中略)つまりBTSの音楽が基づいているブラックミュージックとは、K-POPとアメリカのもの両方を意味するといえよう。

金 成玟(Kim Sungmin)
『K-POP ――新感覚のメディア』

『K-POP ――新感覚のメディア』では韓国のポップ・ミュージックの歴史が概観され、その最前線であるK-POPがいかにして成立、そして拡張していったのかということが論じられています。著者はもちろんBTSにも言及しており、「BTSの音楽が基づいているブラックミュージックとは、K-POPとアメリカのもの両方を意味する」と指摘します。自国のアイデンティティを押し出すのでもなく、受動的にアメリカン・カルチャーをコピーするのでもない。ハイブリッドに組み合わせて新しい表現を生み出していくのがBTSのスタイルです。

Steve Aokiのサウンドを得たことで、「MIC Drop」はふたつの地域の融合だけではない、多彩な拡張を見せるようになりました。「MIC Drop -Steve Aoki Remix-」は「1+1=2」の向こう側に到達したというべきコラボレーションなのではないでしょうか。前に進み続け、拡張を続ける音楽を知り、聴いて、心を動かされるというのは、なんと素晴らしいことか。またひとつ、価値ある音楽体験を得ることができました。
2018.12.06
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by mura-bito | 2018-12-06 22:15 | Music | Comments(0)
Steve Aoki and Lauren Jauregui「All Night」:美しくタフな歌声が夜を駆け巡る
Steve Aokiのアルバム『Neon Future III』を聴くと、コラボレーションの多さに驚き、そして新たな歌声との出会いを楽しむことができます。「Be Somebody」や「Waste It On Me」に続き、僕が気になった曲が「All Night」です。この曲はシンガーLauren Jaureguiとの連名で、シングルとしてリリースされました。その後、いくつかのリミックスも発表されています。
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Lauren Jaureguiの歌声は聴き手に美しい響きを届け、それでいて厚みもあり、特にエモーショナルに響くところではとても聞き応えがあります(どこかAriana Grandeを思わせる)。カラフルというほどに変化に富むわけではありませんが、強さだけを押し出すような歌声ではないというか、わずかに印象が変わるポイントがあって、その度に気持ちは引き寄せられます。



Steve Aoki and Lauren Jauregui – All Night

RemixesにはSteve Aoki Remixが収録されています。オリジナルはポップスのマーケットに照準を合わせたアレンジですが、このリミックスではEDMに振り切っている。彼らしい音というか、僕が抱いていたイメージに合致するサウンドですね。Wobble Bassとキックの音が前に押し出され、ボーカルや他の音を喰らい尽くすほどのインパクトがあります。



Steve Aoki and Lauren Jauregui – All Night -Steve Aoki Remix-

かつてはSteve Aokiのこうしたアプローチがバランスの悪さに感じられて敬遠していたものですが、その音楽の多彩さを知ってからはむしろ最大の特徴であり、大きな魅力なのだと思えるようになりました。心と身体を揺さぶる素晴らしいサウンド・パフォーマンスです。
2018.12.03
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by mura-bito | 2018-12-03 21:44 | Music | Comments(0)

fujiokashinya (mura-bito)
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