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音楽と物語に関する文章を書いています。
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カテゴリ:Music( 960 )
Steve Aoki「Waste It On Me [feat. BTS]」:カラフルな歌声が描くグラデーション、歌声を引き立たせるエレクトロニック・サウンド
Steve Aokiがアルバム『Neon Future III』をリリースし、さまざまなアーティストとのコラボレーションを実現させています。そのうちの一曲、Nicky RomeroとKiiaraとの「Be Somebody」に惹かれましたが、もうひとつ気になるコラボレーションに出会いました。それがBTS(방탄소년단/防弾少年団)をボーカルに迎えた「Waste It On Me」です。韓国出身のグループBTSは、いうまでもなく今やワールドワイドで活躍しています。
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Steve AokiのツイートでBTSと写る画像を見て、コラボレーションしたことを知って調べると、これまでにもBTSのアルバムに参加したり、リミキサーとして協力したりしたことを知ります。そしてSteve Aokiの「Waste It On Me」にフィーチャリング・ボーカルとしてBTSが参加していたので、早速聴いてみました。こういうときにストリーミング・サービスは便利ですね。



Steve Aoki – Waste It On Me [feat. BTS] (Lyric Video)

「Waste It On Me」を聴いたとき、BTSの歌声が放つ「多彩さ」に驚きました。文字通りカラフルな歌声。サウンドがキャンバスに輪郭を描き、歌声は色を乗せていくイメージが浮かびます。七人もいれば必然的にボーカルに変化が生まれ、単色ではない色が見られるのは当然かもしれません。けれども僕はそこに「鮮やかなグラデーション」を感じました。色と色はときに混ざりながら、移り変わって、やがて一枚の絵が完成します。

Steve Aokiの生み出すサウンドがBTSの歌声を引き立たせます。BTSもさまざまなタイプの曲を歌っていますが、こうしたR&B系の曲とは特に相性が良さそうです。ラップも含めて全体的にきれいにまとめられた歌声を包むように、美しいエレクトロニック・サウンドが響きます。この音から浮かんだイメージは「穏やかに光る湖面」です。ときどき風が吹いて小さな波が立ち、光もまた揺れる。圧倒的な音の束を叩きつけるのではなく、ゆるやかに変化しながら聴き手に浸透していく音です。
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とはいえ、座って目を閉じて聴くよりは、身体を揺らしながら全身で味わいたい。穏やかであるものの、ダンス・ミュージックであることは間違いありません。エレクトロニック・ミュージックの最前線を形成する音楽のひとつ――Steve Aokiの音とBTSの歌声が交差する「Waste It On Me」を存分に楽しみましょう。

2018.11.19
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by mura-bito | 2018-11-19 21:38 | Music | Comments(0)
[EN] Martin Garrix and Pierce Fulton – Waiting For Tomorrow [feat. Mike Shinoda]
New collaboration, new creation. The new song Waiting For Tomorrow has been delivered by Martin Garrix, Pierce Fulton, and Mike Shinoda of LINKIN PARK. This song is a part of MG’s new E.P. BYLAW: Breach (Walk Alone), Yottabyte, Latency, Access, and Waiting For Tomorrow.
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I’ve been excited to enjoy the combination of MG sound and Mike’s singing voice. So happy to listen to his dynamic, tough vocal in EDM with colorful electronic sounds. The mixture is very impressive for me. This is not like LP, nor the vocal in his solo album.



Martin Garrix and Pierce Fulton – Waiting For Tomorrow [feat. Mike Shinoda]

Mike’s rap/vocal has much of presence in LP. In this collaboration, however, Mike’s vocal functions as a significant part of the song, and drives and amplifies the electronic sounds created by MG/Pierce. Just like a best supporting actor.

New collaboration, new experience. We can experience the new music world produced by the wonderful collaboration. Let’s enjoy the song Waiting For Tomorrow.

2018.11.13
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by mura-bito | 2018-11-13 22:04 | Music | Comments(0)
[EN] Steve Aoki and Nicky Romero – Be Somebody [feat. Kiiara]
Many songs are born around the world everyday. Like a thousand stars. We can not listen to all the new songs. The songs we can listen to are only the songs we could meet. Among them, there are not many songs we can love. After we cross over several walls and get to that song, we will be impressed by it. It is important to find your stars in starry night—the songs you can love in the music streaming services.
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I’ve found the song Be Somebody performed by two great electronic music DJ/producers Steve Aoki and Nicky Romero and the talented singer Kiiara. The big collaboration makes me excited. I can find a triangle made by three artists in this song.

Some retrospective elements are included in the sounds of Be Somebody, I think. So, I felt that there is an atmosphere of 1980s electronic music. But, it does not mean that the song is old-fashioned. I think that SA and NR build retrospective parts into EDM to explore an alternative EDM style. The future will be born by mixing the present and other materials.



Steve Aoki and Nicky Romero – Be Somebody [feat. Kiiara]

Kiiara’s singing voice is one of my favorite voices. The first time I listened to her vocal is when the song Heavy performed by LINKIN PARK was released. After that, I could have the opportunity to listen to her vocal again in the song Complicated produced by Dimitri Vegas & Like Mike and David Guetta.

Her voice is so gentle, at the same time, has an inner fortitude. Her vocal in Be Somebody makes me tender and gives me a charge. I am in love with her attractive singing voice.

Music makes us wonder. Music gives us power. We will be given more power by music we love. If you continue to actively explore the song you love, you will meet it. Find and love your stars.

2018.11.12
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by mura-bito | 2018-11-12 21:57 | Music | Comments(0)
Martin Garrix and Pierce Fulton「Waiting For Tomorrow [feat. Mike Shinoda]」:EDMに組み込まれたMike Shinodaの歌声
Martin GarrixのEP「BYLAW」に「Waiting For Tomorrow」という曲が収録されています。Pierce FultonというDJ/プロデューサーと共作しており、ボーカルとして参加しているのはLINKIN PARKのMike Shinodaです。まさかMikeがMGの曲に参加するとは思いもよらず、このコラボレーションを聴いたときには感動を覚えました。LINKIN PARKとしてSteve Aokiとコラボレーションしたことはありますが、EDMでMikeの声が響くケースは少なく、それだけにこうして聴けるのはとても新鮮であり、嬉しく思います。
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「Waiting For Tomorrow」はポップな要素を多く含みつつ、深みのある音の展開がとても魅力的な曲です。ポップ・ミュージックとして楽しく聴け、それと同時に、EDMらしく激しいエレクトロニック・サウンドにヒートアップします。Chorusで響くシンセサイザーのリフが心地好い。VerseやPre-ChorusにおけるMikeの抑え目な、それでいて厚みのある歌声は、シンセサイザーで引っ張るChorusに向けた助走となり、エネルギーを溜め込みます。Mikeの ♪Waiting for tomorrow♪ という声をトリガーにして一気に音が弾けるEDM的展開がもたらす快感。それはもう筆舌に尽くしがたい。



Martin Garrix and Pierce Fulton – Waiting For Tomorrow [feat. Mike Shinoda]

LPはヘビー・ロックのバンドですが、エレクトロニック・サウンドを取り入れることが多く、特に『REANIMATION』や『RECHARGED』などのリミックス・アルバムではエレクトロに積極的に接近していました。もともとエレクトロニック・サウンドとは親和性が高いんですよね。大胆にEDMに寄せた曲は先述のSteve Aokiとの「A LIGHT THAT NEVER COMES」ですが、これはLPらしさが見受けられます。Chester Benningtonのボーカルも入っているからでしょう。

「Waiting For Tomorrow」にLPの要素はもちろん見られず、それどころかMike自身の色すら薄めて、MG/Pierceのサウンドに溶け込んでいます。シンセサイザーを軸にしたEDM的な盛り上がりをサポートする歌声、EDMにおける重要なパーツとして機能する歌声。LPやソロとは異なる、Mikeの歌の新しい一面、新しい魅力を見ました。

2018.11.07
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by mura-bito | 2018-11-06 21:54 | Music | Comments(0)
Steve Aoki and Nicky Romero「Be Somebody [feat. Kiiara]」:光り輝く三つの点が結びついて生まれたエレクトロニック・ミュージック
強烈な個性を放つ二つの点が結びついて線が生まれ、その線は輝きを放つもうひとつの点を迎えて、トライアングルを形成する。ともに有名すぎるほど有名なEDMのDJ/プロデューサーであるSteve AokiNicky Romeroが組み、「Be Somebody」という曲を制作しました。ボーカルとして参加しているのはKiiaraです。
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「Be Somebody」に漂うのは浮遊感。1980年代後半を思わせるようなサウンドが心地好い浮遊感を演出していると思います。当時そのままというよりは、靄のかかった、記憶の中で鳴る音に共鳴している感じです。シンセサイザー・ミュージックを聴いてきた人にとっては「シンセってこういう音だよね」という共感を呼びやすい音ではないかと思います。そうでなくとも、どのように聴いたとしても、ひたすら心地好いエレクトロニック・サウンドとして身体に染み込むことでしょう。

今やシンセサイザーの音は進化して多岐に渡りますが、過去によく使われた音もデータとして取り込まれているはずです。ネットワークを通じて頻繁にアップデートされる音も、あるいは、例えば冨田勲が生み出した音もソフト・シンセに組み込まれ、渾然一体となっている。そのため、新しいだの古いだのと論じることは、あまり意味のないことなのかもしれません。1980年代らしい音とは、古いというよりは、特徴的な(キャラの立った)音のひとつというべきでしょうか。



Steve Aoki and Nicky Romero – Be Somebody [feat. Kiiara]

Kiiaraの歌は、ややハスキーな声を軸にしながら高低差をつける歌い方の中で、多彩な表情を見せてくれます。その歌声を僕はLINKIN PARKの「Heavy」で初めて聴き、David GuettaとDimitri Vegas & Like Mikeの「Complicated」でも耳にしました。ここ数年でいくつもの素敵な歌声に出会いましたが、その中でも特に好きな歌声のひとつです。

丸みを帯びた歌声からはソフトな雰囲気を感じますが、その優しさを支える、タフで強い芯を感じます。それゆえか、ビッグ・ネームが生み出す音とも共存する歌声です。サウンドを呑み込むのではなく、あるいは呑み込まれるのでもなく、そこには「音と並び立つことで輝く」オリジナリティがあります。

Kiiaraのオリジナル曲を含めてその歌を耳にする中で、彼女の歌声はエレクトロニック・サウンドの中で最も強い輝きを放つのではないかと思うようになりました。最大級の表現を使うのは言い過ぎなのかもしれませんが、そう強調したくなるくらい親和性が高い。エレクトロニック・ミュージックを駆動させるための重要なパーツといえます。音楽に息を吹き込む、画竜点睛ともいうべき存在感を放つ歌声です。

2018.11.01
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by mura-bito | 2018-11-01 21:12 | Music | Comments(0)
藍井エイル「アイリス」:音は色を呑み込み、色を失いかけた世界で歌声が咲く
2018年8月の〈Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN〉で発表されてから約2ヶ月。藍井エイルのシングル「アイリス」がリリースされました。10日ほど前、彼女はこの曲についてツイートします。アイリス(iris)とはアヤメの花であり、花言葉は「希望」だと綴った後、こう続けます。「とても大切な人が、いつも自分に希望をくれました。そんな大切で、尊敬するあなたへと、私からも希望を与えられたら良いなと思い綴った曲です」と。
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哀愁漂うピアノが曲の始まりを告げます。イントロを受けたAメロでは、その歌い方にいつもと違う印象を受けました。丸みを帯びたというか角の取れた感じの歌ですね。Bメロ以降はいつもの鋭さや伸びやかさを感じます。差異を感じたのはイントロのピアノやAメロのボーカルに限られるので、違う路線というほど既存のイメージを壊しているわけではありませんが、それでも新しい表情を見た気がします。

ミュージック・ビデオは全体的に彩度が落ちていて、くすんだ色が目に飛び込んできます。渇きのようなものを感じる色です。夢に出てくる映像はいつだって無色ですが、「アイリス」の映像は、夢と覚醒の狭間とでもいうべき時間を思わせます。色が呑み込まれ、色が失われ、そのまま意識は夢の中に連れていかれそうになる。スモーキーな質感の映像の中で、時として明るく色が映えるシーンが差し込まれ、その時間は現実の色に引き寄せられます。



藍井エイル – アイリス

作曲およびアレンジに名を連ねているのはArmySlick。AAAやE-girlsなどのアーティストに作曲家、アレンジャー、リミキサーとして協力することが多いようです。「アイリス」ではイントロのピアノや間奏のギターが憂いを帯びて響き、耳に記憶に残ります。ボーカルや歌メロに漂う哀愁はサウンドからも染み出して、空気を染め上げます。

ArmySlickは小室さんのソロ曲「Every [feat. SKY-HI and KCO]」をリミックスしたことがあります。このArmySlick Remixから、エレクトロの要素を効果的に使うイメージを持っていたので、「アイリス」のギター・ロック的なアレンジは意外でした。一方で、このリミックスではピアノの使い方がとても好きだったのですが、その雰囲気は「アイリス」でも感じることができます。随所で響くピアノの音に胸を締め付けられます。歌声とともに音をじっくり味わいたい新曲です。
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なお、シングルには「Daylight」と「Liar」という新曲も収録されています。「Daylight」のサウンドはギターとシンセサイザーの音が激しく絡み合っていて、スピード感とシャープさを兼ね備えています。藍井エイルの歌にもいつも以上の勢いを感じます。中盤ではシンセサイザーが前に出てきますが、EDM時代らしい音が格好良い。この路線はもっと聴いてみたいですね。「Liar」の特徴はエモ系で攻めるアレンジであり、ずしりと重く響くロック・サウンドが身体を刺激します。ボーカルも一層エモーショナルに響き、ヘビーな言葉を繰り返して重ねるサビが爪痕のように印象に残ります。「アイリス」を含め、3曲ともストリーミングで最初から最後まで聴いてみてほしいと思います。

2018.10.24
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by mura-bito | 2018-10-24 21:09 | Music | Comments(0)
TM NETWORK「RHYTHM RED BEAT BLACK」:交差する赤と黒の世界、交錯するロックとハウス
トーキング・モジュレーターで歪ませたギターが響くTM NETWORKの曲と言えば「RHYTHM RED BEAT BLACK」です。1990年にTMNとして最初にリリースしたアルバム『RHYTHM RED』に収録され、のちにシングル・カットされました。トーキング・モジュレーターとはキーボードやギターの音を「口で反響」させて変化を加えるエフェクターの一種です。
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「RHYTHM RED BEAT BLACK」の特徴は、メインのフレーズを繰り返すシンセサイザーとギターです。このループがとても気持ち良くて、ロックでありながら、ハウスでもある。そこにトーキング・モジュレーターを通した音やスクラッチ・ノイズを織り交ぜ、キックやベースが色気を醸します。音と音が艶っぽく絡み合い、ロックとハウスが交錯する。

1991年には、ボーカルとバックトラックを一新したリミックス “Version 2.0” を発表しました。歌詞はすべて英語になり、サウンドからはギターをなくし、オリジナルよりハウスの色を強めたアプローチといえます。さらに、1993年のリミックス・アルバム『CLASSIX 1』には “house sample foods mix” という名称のリミックスが収録されました。オリジナルのボーカルとサウンドを土台として、ラップのようなコーラス、金属的なシーケンサーの音を重ねて厚みを持たせています。



TM NETWORK – RHYTHM RED BEAT BLACK
(Live at Yokohama Arena in 2015)

基本的なカラーは共通するものの、ライブのたびに「RHYTHM RED BEAT BLACK」のアレンジは変化しました。YouTubeには、2015年のライブ〈TM NETWORK 30th FINAL〉の映像がアップロードされています。小室さんは三方に配置したソフト・シンセをリアルタイムでコントロールしながら、背後にセッティングしたRoland社のJD-XAを弾き、太くて厚い音を響かせます。サビ前のブリッジやアウトロで登場するJD-XAの音は、ギターと火花を散らしながら音の宴を彩ります。

ギターをメインで弾くのは「葛G」こと葛城哲哉ですが、「RHYTHM RED BEAT BLACK」といえば葛Gというくらい密接な関係にあります。この曲が演奏されたすべてのライブに参加し、トーキング・モジュレーターを駆使した演奏を披露しました。ノイジーな音で空気を震わせるそのパフォーマンスは、赤と黒が交わる世界に観客を引きずり込みます。

歌詞を書いたのは、1990年代のドラマを象徴する脚本家、坂元裕二です。装飾的な歌詞は現実感を歪ませて、フィクショナルな世界を描きます。『RHYTHM RED』を貫くテーマのひとつにデカダンス(退廃的)がありましたが、その要素を「RHYTHM RED BEAT BLACK」に強く感じます。煌びやかな言葉の連なりは音と絡み合って、聴き手を惑わせます。「光と闇が揺れる隙間」に潜り込み、終わらない夜の中で終わりに向けて進み続ける。どこにもたどり着かない閉塞感が漂います。華美な言葉を積み上げた先に待っているのは崩落か、夢見た世界か。

2018.10.16
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by mura-bito | 2018-10-16 22:37 | Music | Comments(0)
Zedd and Elley Duhé Happy Now Remixes/Acoustic:高まる音のプレゼンス、際立つ歌声のプレゼンス
ZeddElley Duhéが組んで発表した「Happy Now」のRemixesとアコースティック・バージョンがストリーミングで配信されています。いずれもYouTubeで聴くことができ、アコースティックの方は演奏している映像が収められています。
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オリジナルを制作したとき、Zeddは「Happy Now」について “the most organic sounding song I’ve made in a long time” と述べています。この “organic” という表現をどのように捉えるか。Zeddの特徴であるエレクトロニック・サウンドから距離をとったアレンジだと僕は解釈しました。穏やかな空気を漂わせ、リラックスした状態で耳を傾けたいポップスだと思います。では、リミックスやアコースティックでは、どのような変化を見せたのでしょうか。



Zedd and Elley Duhé – Happy Now -BEAUZ Remix-

配信されたRemixesの中では、BEAUZという兄弟DJ/Producerデュオによるリミックスが好きです。オリジナルのorganicな雰囲気は感じられるものの、肉食っぽい音の印象がかなり強く残ります。ワブル・ベースを含むエレクトロニック・サウンドの響きは、ネコの舌のようにざらざらした感触。粘り気があって聴き手にまとわりつく感じが、音のプレゼンスを高めています。
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アコースティック・バージョンの「Happy Now」は、ボーカルとアコースティック・ギターで構成されています。ギターを弾くのはZeddの兄であるArkadiです。もともと穏やかだった曲に、柔らかさ、優しさといった印象が加わります。



Zedd, Elley Duhé and Arkadi – Happy Now -Acoustic-

オリジナルの時点でさえElleyの歌声が際立つアレンジだと思いましたが、それ以上にアコースティック・ギターの響きは歌声の輪郭を浮かび上がらせます。歌声のプレゼンスが高まると、メロディに含まれた切なさがぐっと引き立ちますね。素敵な歌声は空気を震わせるだけではなく、聴き手の心をも震わせるのでしょう。
2018.10.04
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by mura-bito | 2018-10-04 21:09 | Music | Comments(0)
Shawn Mendes and Zedd「Lost In Japan -Remix-」:鋭く鮮やかなエレクトロニック・サウンドが甘い歌声を彩るリミックス
Zeddの新しい音が届きました。カナダ出身のシンガー・ソングライターShawn Mendesが歌う「Lost In Japan」のリミックスです。Remixes内の1曲ということではなく、二人の連名でシングルとして新曲のようにリリースされました。
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Shawn Mendesの歌とZeddのエレクトロニック・サウンドが調和した素晴らしいアレンジです。Shawnの歌声は甘く、色気に満ちていますね。リズミカルなビートとシャープなシンセサイザーの音が歌声に絡みつき、それをヘビーなベースとキックが包み込みます。心と身体を優しく刺激する音のスパイラル。シンセサイザーに誘われて身体を動かしていると、ふとした瞬間に、語りかけるようなボーカルに聞き惚れます。3分半に満たない時間の中で感じる心地好さは筆舌に尽くしがたく、この音が延々と続いてほしいと願うばかりです。



Shawn Mendes and Zedd – Lost In Japan -Remix- (Lyric Video)

Zeddが奏でる音は、背後から光を当ててシルエットを浮かび上がらせるように、歌声を引き立たせます。正面から当たる光と異なり、後方から照らす光は表情を隠しますが、輪郭が強調され、わずかな動きが目立ち、そこに心の震えすら投影されている気もする。そういったイメージが浮かびました。このリミックスでは歌も音も主役です。それぞれに異なるアプローチで曲の世界を描き出します。
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曲名に含まれる “Japan” とは何を意味しているのか気になるところです。この場合の “Japan” は「遠いところ」を示す言葉なのかなと思います。遠くに行ってしまった相手に向けて語りかけ、それを強調するために選んだ言葉。東の果ての国は今やそれほどエキゾチックでもミステリアスでもないのでしょうが、メタファーとして機能するには充分に離れた地域だということでしょうか。



Shawn Mendes – Lost In Japan (Audio)

「Lost In Japan」のオリジナルは、自らの名前を冠したアルバム『Shawn Mendes』に収録されています。ピアノの静謐な音から始まり、歌が入るとR&Bの雰囲気を漂わせます。コーラスと絡むところはファンクの要素も感じますね。先述の比喩のようにZeddリミックスがシルエットを描くとすれば、オリジナルはステージの正面からスポットライトを当てて、その表情の変化をしっかり見せるアプローチです。音を従えてさまざまな表情を見せる歌を堪能でき、とても素晴らしい歌声であることが伝わってきます。

2018.10.02
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by mura-bito | 2018-10-02 21:30 | Music | Comments(0)
TM NETWORK「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」:“存在感のある音” を追究するTMNスタイル、その始まりを告げたロック・パフォーマンス
1984年にデビューしたTM NETWORKは、1990年に名称をTMNと改めます。この改称を彼らは「リニューアル」と呼びました。グループ名を変えただけではなく、それまでに構築したTM NETWORKの音楽スタイルを解体し、新しいスタイルを立ち上げるという意思が込められています。リニューアルの少し前に、TM NETWORKの名義でリリースされたシングルが「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」です。
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1988年から1989年にかけて、TM NETWORKはプログレとミュージカルの要素を掛け合わせたシアトリカルなステージを展開しながら、同時にユーロビートへのシフトを見せました。これらの活動に区切りがつくと、TM NETWORKは最初の休眠期に入ります。1990年になって「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」をリリースしてTM NETWORKは覚醒し、TMNへのリニューアルを宣言すると、ハード・ロックに振り切ったシングル「TIME TO COUNT DOWN」とアルバム『RHYTHM RED』を発表しました。

「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」のアレンジはギターの音が際立つロック・スタイル。シンセサイザーの音も太くて厚みを増し、そして荒々しさを感じます。アルバム『RHYTHM RED』に収録されたバージョンでは雰囲気が変わり、ベースの音が際立ちます。アルバムの音は粘り気があって、絡みつく感じでしょうか。シングルの音からは「上昇する」イメージを抱き、一方でアルバムを聴くと「沈んでいく」イメージが浮かびます。ライブではアルバム・バージョンを基にしたアレンジで演奏されてきました。



TM NETWORK – THE POINT OF LOVERS’ NIGHT
(Live at Tokyo International Forum Hall A in 2014)

小室さんにとって「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」はどのような位置づけだったのか。それは1993年に刊行されたエッセイ集『告白は踊る』(角川書店)の250ページに記されています。「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」から「TMNの音は始まっている」と小室さんは語りました。シングルの名義はTM NETWORKでしたが、実質的にTMNのファースト・シングルであり、この後にリリースされた曲のサウンドを予告する役割を担います。続けて「その時点からTM NETWORKとは多少なりとも違った独自性を持ったと意識している」と述べており、この曲はターニング・ポイントともいうべき重要な意味を持ちました。

1989年までのTM NETWORKの活動で追究してきたシンセサイザー・ミュージックやファンタジックでシアトリカルなステージ演出から離れ、TMNはよりリアルなイメージの表出、バンドの音を表現するようになりました。TMNとしてリリースしたアルバム『RHYTHM RED』はロック、『EXPO』はハウスといったようにジャンルは異なりますが、体温の高い、生々しいサウンドやステージ演出が共通しています。『告白は踊る』のページを再び繰ると、「(前略)“存在感のある音” を強く意識し始めた。それはある種の重さであり、意義でもある」という一節が目に留まります。その意識が形になった最初の曲が「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」なのです。
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節目に生まれた曲だからか、その後の10周年、20周年という節目のライブのセット・リストに名を連ねます。そして2014年に敢行されたライブ・ツアー「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30」でも披露されました。久しぶりに「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」を生で聴きましたが、音も歌も色気に満ちて、ぐっと深みを増していると感じました。リズムが身体に染み込んでくる感じが心地好くて、ずっと聴いていたいと思わせるパフォーマンスでした。YouTubeにアップロードされている公式の映像はこのライブだけです。スリルでマッドな音を体験するにイントロからアウトロまでフルで観てほしいと思いますが、公開されている範囲だけでも曲の魅力を味わうには充分でしょう。その世界に絡め取られて、沈んでいきます。

2018.09.26
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by mura-bito | 2018-09-26 21:57 | Music | Comments(0)

fujiokashinya (mura-bito)
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