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音楽と物語に関する文章を書いています。
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2018年 05月 31日 ( 1 )
梨木香歩 – 村田エフェンディ滞土録
梨木香歩の小説『村田エフェンディ滞土録』は、『家守綺譚』シリーズに連なる物語です。単行本を借りて読んだのはいつの日だったか。もう一度読んでみようと思い立ち、いくつも書店を巡って文庫本を買い求め、再読しました。本作の主人公が『家守綺譚』の主人公の友人であることだけは覚えていましたが、登場人物も展開もすっかり忘れていたので、物語との再会は再会にあらず、それは新たな出会いとなりました。はじめまして。

主人公の名前は「村田」といい、物語は彼の視点で進みます。時代は19世紀末、舞台はオスマン帝国が支配するトルコです。なお、「エフェンディ」とは彼の地における学者への敬称です。当時のオスマン帝国は弱体化しており、その雰囲気も物語に描き込まれています。考古学を究めんとする村田は、異国の風景に溶け込みながら、冷静に見たこと聞いたことを言葉にしていきます。
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最初、小説というよりは架空の人物が綴るエッセイのようであり、ほのぼのとしていてコミカルな空気が漂います。奇怪な出来事に遭遇したり、同居人どうしのいざこざに巻き込まれたりと、いろいろなものに翻弄される様子は彼の友人と似ています。ただ、最後まで日常が語られるのかと思いきや、雰囲気は次第に変質し、印象的な結末を迎えます。そのダイナミックな展開に呑み込まれました。

物語は「ディスケ・ガウデーレ(Disce gaudere.)」というラテン語の一文が登場します。意味は「楽しむことを学べ」です。ローマ帝国のセネカの著作に登場する言葉だそうな。村田は、軽いとは言いがたい雰囲気の中で、この言葉を噛み締めます。一時とはいえ同じ場所で同じ時間を過ごした友人たちの運命を思い、その重みを全身で受け止め、そして耐える。そんな彼の耳に「ディスケ・ガウデーレ」が響きます。

2018.05.31
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by mura-bito | 2018-05-31 21:34 | Book | Comments(0)

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