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音楽と物語に関する文章を書いています。
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「イエスタデイズ」と「蝉の証」
本多孝好の『FINE DAYS』と『MISSING』の2冊をまとめて読みました(本当は『ALONE TOGETHER』も読むつもりでしたが)。『真夜中の五分前』の感触がとてもよく、『MOMENT』もなかなかおもしろかったので、期待しながらページを開きました。



FINE DAYS本多孝好 『FINE DAYS

4つの話が収められた短編集。ファンタジー感覚たっぷりで読みやすい、という感想を持ちました。「イエスタデイズ」は爽やかで、後味すっきり、でした。他の短編は、飛び降りやら交通事故がグロテスクで、その部分は嫌な気分になりました。人間の死をドラマチックに装飾してある物語が好きではありません。日常の一部として組み込まれている、そんな感じで描写してもらいたいものですって書きながらそれはどんなものなのか検討もつきませんが。語り手のクールさは、文句なく好きです。10代のうちに読んでいたら確実に口調を真似していたと思います。
 本多孝好は、人間の心の奥底に淀む闇を描こうとしているのでしょうか。そのために語り手はクールでドライでなければならない。語り手は闇を照らす光のような役割を果たしているのでしょう。しかしながら、闇に光を当てることで何が見えるのか。心の闇は奥深くて、入り込む者を捕らえてしまいます。フィクションだと分かっていても、その闇は恐怖を煽ります。見たいような、見たくないような。

MISSING本多孝好 『MISSING

「蝉の証」という話が一番好きです。死に近づく人が最後に思うこと、というテーマは『MOMENT』に通じるものがあります。読み返してみると幾つも心に染みる部分があります。読んだ直後は他の作品と同様に退屈だなあと思ったのですが、いやはや早計なり。いつの間にやら第一印象で物語の好き嫌いを判断していたのですね。
こちらは心の闇がどうこうというよりも、もっとセンチメンタルなものが描かれています。先述のテーマに関する、とても印象的な記述があるので、それを引用します。

「だけど、ねえ、一年に一度でいい。一分でも、一秒だっていい。自分が死んだあと、生きていた日の自分を生きている誰かに思い出してほしいと願うのは、そんなに贅沢なことなのかい? 死んだ途端に、はい終わりじゃ、だって、あんまりにも寂しいじゃないか」

本多孝好「蝉の証」(『MISSING』収録)より引用

2007.01.28
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by mura-bito | 2007-01-28 17:04 | Book | Comments(0)
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