inthecube
音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
OUR WORLD IS EXPRESSED BY IMPRESSIVE WORDS
[PART3] 藍井エイル『FRAGMENT』:FROATIN’/アイリス/今/フラグメント
心に刺さるメロディを美しい歌声で届ける。エモ系ロックというスタイルは藍井エイルの魅力のひとつです。それはアルバム『FRAGMENT』でも存分に発揮されており、「FROATIN’」も一役買っています。そのメロディからは切なさがあふれ、空間と心を満たします。
空白を塗りつぶすかのような歌の入れ方です。音符が連鎖し、メロディが連鎖する。言葉に言葉をつなげ、そこに込めた想いを何とか届けようとする。言葉を継いでいくさまは勢いというよりは、焦燥感のようなものに追い立てられているイメージがあります。強さよりは弱さを露呈している曲なのではないでしょうか。
「アイリス」は2018年10月にシングル・カットされた曲です。ピアノが奏でる音から生まれるメランコリックな響き。この曲の記憶はミュージック・ビデオの雰囲気とリンクしています。彩度が落ち、くすんだ色合いの映像が脳裏によみがえり、音やメロディに絡みつきます。
シングルを聴いたとき、ボーカルの雰囲気が少し変わっている気がしました。特にAメロの歌い方が印象に残り、この変化は何を意味しているのか考えたものです。『FRAGMENT』では全体的に厚みの増した歌声を聴けますが、録音された順序は分からないものの、厚みを増すきっかけは「アイリス」にあったのかもしれません。
藍井エイル – FRAGMENT (Album Trailer)
「今」は王道ともいえるポップスですが、こうした曲調は藍井エイルとしては少ないため、新鮮な気持ちで聴けます。ボーカルはポップスのフォーマットにうまくはまっています。明るくて、柔らかい。Hysteric Blue「春~spring~」のカバーを聴いたときにも感じましたが、ポップなメロディを活かす歌い方もまた彼女の魅力ですね。
歌だけではなくサウンドも曲を柔らかなものにしており、メロディのポップかつソフトな部分を強調しています。特に印象に残るのはピアノやオルガンといった鍵盤の音です。ギターを中心にした曲が多いアルバムの中でも、少し雰囲気の異なるアレンジです。
「約束」で始まった『FRAGMENT』は、藍井エイル自身が書いた「フラグメント」が締め括ります。軽やかでありながら重心の低い音の中、歌声が伸びやかに響き渡る曲です。ライブで披露されるシーンが目に浮かびますね。特にフィナーレで演奏され、爽快な気分でライブが幕を下ろすところまで想像しました。
気持ちを明るく照らしてくれるサウンドです。スネアの音が追い風のごとく背中を押し、ギターとピアノはセッションをしているかのように縦横無尽に駆ける。歌が終わった後も、終幕を惜しむかのように音が鳴り続けます。このエンディングの演奏が魅力的だからこそ、またアルバムを聴きたくなるんですよね。それでも演奏は終わりますが、アルバムを聴きながら拾い集めたカケラを眺め、心地好い余韻に浸ります。
2019.05.17
空白を塗りつぶすかのような歌の入れ方です。音符が連鎖し、メロディが連鎖する。言葉に言葉をつなげ、そこに込めた想いを何とか届けようとする。言葉を継いでいくさまは勢いというよりは、焦燥感のようなものに追い立てられているイメージがあります。強さよりは弱さを露呈している曲なのではないでしょうか。
シングルを聴いたとき、ボーカルの雰囲気が少し変わっている気がしました。特にAメロの歌い方が印象に残り、この変化は何を意味しているのか考えたものです。『FRAGMENT』では全体的に厚みの増した歌声を聴けますが、録音された順序は分からないものの、厚みを増すきっかけは「アイリス」にあったのかもしれません。
藍井エイル – FRAGMENT (Album Trailer)
「今」は王道ともいえるポップスですが、こうした曲調は藍井エイルとしては少ないため、新鮮な気持ちで聴けます。ボーカルはポップスのフォーマットにうまくはまっています。明るくて、柔らかい。Hysteric Blue「春~spring~」のカバーを聴いたときにも感じましたが、ポップなメロディを活かす歌い方もまた彼女の魅力ですね。
歌だけではなくサウンドも曲を柔らかなものにしており、メロディのポップかつソフトな部分を強調しています。特に印象に残るのはピアノやオルガンといった鍵盤の音です。ギターを中心にした曲が多いアルバムの中でも、少し雰囲気の異なるアレンジです。
「約束」で始まった『FRAGMENT』は、藍井エイル自身が書いた「フラグメント」が締め括ります。軽やかでありながら重心の低い音の中、歌声が伸びやかに響き渡る曲です。ライブで披露されるシーンが目に浮かびますね。特にフィナーレで演奏され、爽快な気分でライブが幕を下ろすところまで想像しました。
気持ちを明るく照らしてくれるサウンドです。スネアの音が追い風のごとく背中を押し、ギターとピアノはセッションをしているかのように縦横無尽に駆ける。歌が終わった後も、終幕を惜しむかのように音が鳴り続けます。このエンディングの演奏が魅力的だからこそ、またアルバムを聴きたくなるんですよね。それでも演奏は終わりますが、アルバムを聴きながら拾い集めたカケラを眺め、心地好い余韻に浸ります。
2019.05.17
by mura-bito
| 2019-05-17 21:50
| Music
fujiokashinya (mura-bito)
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