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音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
OUR WORLD IS EXPRESSED BY IMPRESSIVE WORDS
TM NETWORK「SCREEN OF LIFE」:積み重ねた記憶が巻き戻され、スクリーンは最後の場面を映す
2004年2月、TM NETWORKのシングル「NETWORK」がリリースされました。その1曲目に収録された曲が「SCREEN OF LIFE」です。その後、ミックスを変えてアルバム『NETWORK -Easy Listening-』に収録されました。サウンドは、小室さんが当時傾倒していたトランスの要素を含みます。ボーカルのメロディはポップスらしくなく、さりとてラップでもなく、強いて言えばポエトリー・リーディングに近い雰囲気を漂わせます。語りかけるような、それでいて独白のような雰囲気を醸す、ダイアローグとモノローグを行き交う歌です。
木根さんのエッセイによれば、もともと2004年の20周年企画(DOUBLE-DECADE)でリリースされるシングルには、「TAKE IT TO THE LUCKY」(デビュー曲「金曜日のライオン」のリメイク)と、木根さんが書いた「風のない十字路」が収録される予定でした。リリースが近づいた頃、小室さんがもう1曲入れたいと言い出し、録音されたのが「SCREEN OF LIFE」です。小室さんが詞を書きました。
「SCREEN OF LIFE」は一連のDOUBLE-DECADEコンサートで披露され、その後はウツが自身のコンサートで演奏しました。そして再びセット・リストに名を連ねたのは、2015年のコンサート〈TM NETWORK 30th FINAL〉です。2004年はアルバムの音で披露されましたが、2015年はシングルに近いアレンジで演奏されました。

Electronic sounds with sound of an acoustic guitar
〈TM NETWORK 30th FINAL〉での「SCREEN OF LIFE」は、木根さんが爪弾くアコースティック・ギターから始まりました。哀愁漂う音が穏やかに響きます。音のかけらを丁寧に集めるように爪弾き、やがて「SCREEN OF LIFE」のテーマ・メロディが形作られます。シングル・ミックスではエレクトリック・ギター、アルバム・ミックスではシンセサイザーが奏でていたメロディです。
ソロが終わると、シンセサイザーやエレクトリック・ギターとともに、再び木根さんがテンポを上げて、アコースティック・ギターでテーマ・メロディを弾きます。テーマ・メロディが一巡するとリズムが飛び出し、音が厚くなって「SCREEN OF LIFE」のイントロが始まります。
サビ前のブリッジでドラムが抜けると、木根さんのアコースティック・ギターが存在感を増します。そのカッティングはEDMアーティスト(例えばAVICII)のアプローチに似ています。エレクトロニック・サウンドとアコースティック・ギターの音は親和性が高いことを、この曲で体験することができます。アコースティック・ギターの音はバラードで鳴ると切ない響きを醸して歌を支えますが、エレクトロに組み込まれると鋭さを増してアクティブな印象を与えます。
Rewind all the memories to project a last scene on a screen
当時は小室さんが作詞で新たな表現を模索し始めた時期です。最初は「風のない十字路」の詞を小室さんが書こうとして、諸事情により見送ったそうな。それに代わる器として「SCREEN OF LIFE」を制作したのではないかと僕は考えています。
「SCREEN OF LIFE」には、小室さんが詞を書いたTM NETWORKの曲の中でも珍しく、「生きること」と「死ぬこと」が綴られました。2004年に聴いたとき、どこにも届かない、たどり着かない無力感が漂っていると思いました。虚空を漂う言葉の連なり。届かない言葉のフラグメント。自らの記憶に深く潜って内省し、自問自答を繰り返しているかのようでした。
リリースから十年以上が経過し、歌詞の捉え方も変わりました。2015年のコンサートで久々に聴くと、言葉の端々に漂う絶望・孤独・諦観は薄まり、ただひとりの人を思う惜別の言葉となったように思えました。かつては誰かを思うことで「自分」が救われたいというある種のエゴに満ちた気持ちだったのに対し、十年を費やすことで「自分たち」のラスト・シーンを描くようになった。そのようなことを思います。
2019.02.25
木根さんのエッセイによれば、もともと2004年の20周年企画(DOUBLE-DECADE)でリリースされるシングルには、「TAKE IT TO THE LUCKY」(デビュー曲「金曜日のライオン」のリメイク)と、木根さんが書いた「風のない十字路」が収録される予定でした。リリースが近づいた頃、小室さんがもう1曲入れたいと言い出し、録音されたのが「SCREEN OF LIFE」です。小室さんが詞を書きました。
「SCREEN OF LIFE」は一連のDOUBLE-DECADEコンサートで披露され、その後はウツが自身のコンサートで演奏しました。そして再びセット・リストに名を連ねたのは、2015年のコンサート〈TM NETWORK 30th FINAL〉です。2004年はアルバムの音で披露されましたが、2015年はシングルに近いアレンジで演奏されました。

〈TM NETWORK 30th FINAL〉での「SCREEN OF LIFE」は、木根さんが爪弾くアコースティック・ギターから始まりました。哀愁漂う音が穏やかに響きます。音のかけらを丁寧に集めるように爪弾き、やがて「SCREEN OF LIFE」のテーマ・メロディが形作られます。シングル・ミックスではエレクトリック・ギター、アルバム・ミックスではシンセサイザーが奏でていたメロディです。
ソロが終わると、シンセサイザーやエレクトリック・ギターとともに、再び木根さんがテンポを上げて、アコースティック・ギターでテーマ・メロディを弾きます。テーマ・メロディが一巡するとリズムが飛び出し、音が厚くなって「SCREEN OF LIFE」のイントロが始まります。
サビ前のブリッジでドラムが抜けると、木根さんのアコースティック・ギターが存在感を増します。そのカッティングはEDMアーティスト(例えばAVICII)のアプローチに似ています。エレクトロニック・サウンドとアコースティック・ギターの音は親和性が高いことを、この曲で体験することができます。アコースティック・ギターの音はバラードで鳴ると切ない響きを醸して歌を支えますが、エレクトロに組み込まれると鋭さを増してアクティブな印象を与えます。
当時は小室さんが作詞で新たな表現を模索し始めた時期です。最初は「風のない十字路」の詞を小室さんが書こうとして、諸事情により見送ったそうな。それに代わる器として「SCREEN OF LIFE」を制作したのではないかと僕は考えています。
「SCREEN OF LIFE」には、小室さんが詞を書いたTM NETWORKの曲の中でも珍しく、「生きること」と「死ぬこと」が綴られました。2004年に聴いたとき、どこにも届かない、たどり着かない無力感が漂っていると思いました。虚空を漂う言葉の連なり。届かない言葉のフラグメント。自らの記憶に深く潜って内省し、自問自答を繰り返しているかのようでした。
リリースから十年以上が経過し、歌詞の捉え方も変わりました。2015年のコンサートで久々に聴くと、言葉の端々に漂う絶望・孤独・諦観は薄まり、ただひとりの人を思う惜別の言葉となったように思えました。かつては誰かを思うことで「自分」が救われたいというある種のエゴに満ちた気持ちだったのに対し、十年を費やすことで「自分たち」のラスト・シーンを描くようになった。そのようなことを思います。
2019.02.25
by mura-bito
| 2019-02-25 21:50
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