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藍井エイル – Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN
会場に響く ♪あの日交わした 約束を守りにいく この歌を届けにいく♪ という言葉。こう歌う「約束」からライブが始まりました。藍井エイルが再び歌を届けるためにやってきた場所、それが〈Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN〉のステージです。

2018年8月16日に開催されたライブのBlu-ray/DVDがリリースされました。ライブで披露された20曲とMCを余すところなく収録しており、「再会」の感動がまるごとパッケージされています。観客席で刻んだ歌と音と光の記憶は、ディスクに記録された映像によって刷新されます。
藍井エイル – Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN_b0078188_21552403.jpg
ステージに登場して「約束」を歌う藍井エイルは、真っ白な衣装に身を包んでいました。その姿は、活動休止前の〈Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 “Last Blue” at NIPPON BUDOKAN〉で着た白い衣装に重なります。けれども、Last Blueで色を消すかのように見えた白は、「約束」の音色が響くRE BLUEではリスタートを象徴するように思えました。

「約束」が終わるとステージが暗転します。再び光を得ると、青い衣装で「IGNITE」を歌い始めます。♪迷わずに今♪ のサビで始まる、藍井エイルの代表曲です。最初のサビを歌い終わると、彼女は「ただいまーー!」と叫びます。曲名のとおりライブに火が点き、体感速度がぐんと上がります。ヒートアップする会場の空気は、空白の期間を一気に埋め尽くすかのようでした。

ライブは2時間にわたり、定番のシングル曲を中心に、活動再開後の新曲「約束」、「流星」、「ヒトカケラの勇気」を交えたセット・リストが組まれました。「AURORA」、「ラピスラズリ」、「シンシアの光」、「INNOCENCE」など、お馴染みの曲は活動休止前と変わらない魅力を存分に伝えます。

また、新たな試みも披露され、複数の角度から楽しめたステージでもあります。「KASUMI」では、ギター・プレイを披露しました。「アクセンティア」、「レイニーデイ」、「GENESIS」、そしてアンコールの「シリウス」ではパフォーマーを加えて、ステージを彩りました。演出に厚みを持たせたことで、エンタテインメントとして大きく膨らんだのではないでしょうか。変わらない魅力と、変わることで生まれる新しい魅力。藍井エイルは停止していたのではなく、旅をして帰ってきたのだと思います。



藍井エイル – Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN (Trailer)

「アカツキ」は活動休止直前に発表され、Last Blueで初めて披露された曲のひとつです。エモーショナルな歌声、ピアノとギターとストリングスが絡み合って生み出すドラマチックな音に心を奪われます。映像では、他の曲とは色の質感が少し変わり、少しくすんで彩度が下がった印象を受けました。歌詞やサウンドから浮かぶ、夜と朝の境界線を彷徨うイメージがより強まります。曲を聴くだけでもメロディの美しさに心が震え、ライブ映像が加わるとその震えは一層強まります。

多くの曲ではステージを広く使っていたのですが、「アカツキ」では中央からほとんど動きませんでした。その場で勢いよくターンしたり、崩れ落ちるように両膝をついたりする動きが印象に残りました。映像で表情を含めて確認してみると、これらの動きが曲の叙情性を高めているように思えました。

「GENESIS」の終盤では藍井エイルが姿を消し、プログレにも思えるインストをバンドが奏でる中で、黒い衣装をまとった6人のパフォーマーが踊ります。パフォーマーが姿を消すと、バンドの演奏はさらに熱を帯び、それはやがて「シューゲイザー」のイントロにつながりました。ギターの音が会場をヒートアップさせ、それをDJが煽ります。再び姿を見せた彼女の衣装は、黒を基調にして赤いラインを入れたものに変わりました。

「シューゲイザー」の映像を観ていると、表情の変化が印象に残ります。マイクを離して顔を横に向ける時の表情、赤いライトに染まる表情。青や白の光に包まれているときとは違うものを感じます。感情を吐き出すように歌うエモーショナルなボーカル・スタイルと相まって、強さと艶のある表情に惹きつけられます。
藍井エイル – Eir Aoi Special Live 2018 “RE BLUE” at NIPPON BUDOKAN_b0078188_21554604.jpg
本編ラストに披露された曲は「虹の音」です。曲の最後に届けられる「ありがとう」の言葉が強く印象に残ります。この曲はLast Blueのオーラスでも歌われました。「虹の音」を本編ラストに配した理由は、Blu-rayに収録されたドキュメント映像を観ると推察できます。「虹の音」を最後に歌うことに強い気持ちを持っていたことが分かります。

Last Blueで残された「ありがとう」と、RE BLUEで届けられた「ありがとう」は同じ言葉でも意味は大きく異なります。「今までありがとう」と「待っていてくれてありがとう」。感謝の気持ちを表わす点では同じでも、終わりを前提にするか、始まり(再開)を前提にするかで、違う言葉といえるほどに意味が変わり、受け止めた側の心にも別々の印象が刻まれます。再び時を動かしてくれたからこそ、こうした違いについて思いを巡らせることができ、そのためRE BLUEの「ありがとう」に深く感動できたのだと思います。

2018年2月8日に「約束」のミュージック・ビデオが公開され、その後も約2ヶ月おきに新曲の配信やシングルのリリースが続き、このライブはその最終地点ともいえます。再始動プロジェクトを締め括るマイルストーン。ここから次のステップに向けての歩みが始まります。アンコール前にはシングルのリリースが予告され、時間は未来に向けて動き出しました。

2018年8月16日は、過去と現在をつなぎ、そして現在と未来をつなぐ結節点でした。この日に予告された未来のひとつ目はすでに実現しており、今はさらにその先に向かって歩き出しています。「約束」で ♪新しい景色を また見つけよう♪ と歌われているように、新たに延びる道を歩きながら新しい景色を見ている、今はそんな感じです。

2018.12.13
by mura-bito | 2018-12-13 22:08 | Music
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