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カーソン・マッカラーズ – 結婚式のメンバー

結婚式のメンバー

カーソン・マッカラーズ


カーソン・マッカラーズの『結婚式のメンバー』は、「村上柴田翻訳堂」シリーズの第一弾として刊行された小説です。このシリーズでは、村上春樹と柴田元幸が中心となって、再び読まれるべき小説を選んで翻訳や再発を行ないます。本書は村上春樹が新たに翻訳したものです。

主人公は、アメリカ南部に住むひとりの少女。彼女が繰り広げる会話や行動のあちこちに、「狂気」と呼べる思考が見え隠れします。物語が進むにつれ、子供時代に特有の夢想として処理され、通過儀礼的に昇華していくのだろうと思いながら、ページを繰りました。しかし、むしろ狂気は培養されて、彼女がそれにどんどん呑み込まれていく様子が描かれています。

本書で描かれた狂気は、あり得るか否か。本書は、リアリティを感じる描写こそが大事だと力説する読者、小説はとことんフィクショナルであるべきと主張する読者、どちらにとっても受容され得るのではないかと思います。この混沌こそリアリティと評することもできるし、ぶっとんだ内容がいかにもフィクションらしいと判断するすることもできる。個人的には、どちらとも断言しがたい、言わば「境界線を漂う」物語だと感じています。

ひとりの少女のナチュラルな姿を、真正面から捉え、物語に刻み付ける。カーソンが綴る文章は、何かに取り憑かれたように筆を動かす画家を思わせます。しかもそれは凪のように見える静かな言葉の中に住み着いています。章が移るごとに変化する「名前」は、主人公の成長を暗示するように見えて、実はずっと変わることなく主人公を支配する狂気の「影」を意味するのかもしれません。

2016.10.06
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by mura-bito | 2016-10-06 21:56 | Book | Comments(3)
Commented by milafill at 2017-10-09 15:43 x
はじめまして、みらです。
結婚式のメンバーの何人かの書評を読みましたが、
狂気に触れてらしたのはあなたが初めてです。

特に女性タレントや女性作家の感想によると自分も子供のころその通りに感じていたとそれが通過儀礼ででもあるかのように受け取っているのが私には頷けませんでした。

一生を通じてそいうった感覚的なずれから逃れられなかったからこそカーソンマッカラーズは苦しみ、しかしその気持ちを見据えてこうして身を削るように作品に吐き出してきたのですよね。そうだろうと思いました。
Commented by mura-bito at 2017-10-10 22:25
コメントありがとうございます。

狂気を自分の中に飼っている様子は、一過性の出来事だとは思えませんでしたね。日々膨らむ狂気とともに生きる人間の姿を見せつけられた気がしました。
Commented by milafill at 2018-01-09 19:37 x
お返事ありがとうございます。
お返事に気づかないでごめんなさい。
そうですね、だからマッカラーズは焦燥にかられ結婚、離婚、同じ人との再婚と繰り返したのでしょう。
でもほんとにベレニスみたいな愛情あふれる理解者も傍に居た(時期もあった)のかなと思いました。
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