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TM NETWORK 30th FINAL (INTRO)
TM NETWORK 30th FINAL

TM NETWORK 30th FINAL

TM NETWORK


2012年4月から三年という期間を区切った上で、TM NETWORKは新たな曲や物語を発表してきました。三年をかけて綴ってきた物語の最終ページをめくるライブが、2015年3月に横浜アリーナで開催されました。タイトルは「TM NETWORK 30th FINAL」。さらに視野を広げると、TM NETWORKは1984年のデビューから三十年を積み上げており、このライブはTM NETWORKの活動そのものを大きく区切るという意味も持ちます。三十年という節目に彼らが残したものを紐解いていきましょう。

このライブは、2015年2月のライブ「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA」のセット・リストの三割ほどを新たな曲に差し替えて再構成したものです。物語は「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA」で終幕を迎えましたが、それは本編の終了だったと捉えます。本編が終わった後にページをめくるとエピローグが始まる。本編の余韻を感じさせながら、本当の終わりに向かってゆるやかに語られる最後のエピソードが「TM NETWORK 30th FINAL」なのです。

ただ、それはボーナス・トラック的な添え物であることを意味しません。「TM NETWORK 30th FINAL」には大きな役割がひとつあり、そのためだけに存在したライブとも言えます。物語を畳むためのピリオド。人間と同様に、物語も終わり方が重要なのかもしれません。美しく終わる、笑って終わる、涙を流して終わる。さて、このライブの終わり、物語の終わりはどのように描かれたのでしょうか。



TM NETWORK 30th FINAL Trailer PART1

「TM NETWORK 30th FINAL」では、新たにセット・リストに加わった曲も、ここ数年でよく演奏された曲も、音の面でアップデートされていました。小室さんの徹底した音の追求、最新の音へのアクセスは止まりません。それを如実に表わすのが、小室さんのソロから「GET WILD 2015」へつながる20分以上に渡る音の連鎖、音の奔流です。イメージに近いキーワードはAVICIIか、Afrojackか、Zeddか。EDMのスターたちに引けを取らないサウンド、とりわけソフト・シンセらしいエッジのきいた音が会場に響き渡ります。

また、セット・リストに加わった曲はエレクトロやロックの香りを強めており、その変貌ぶりは、小室さんの徹底した、最新の音への追求姿勢を露わにします。特筆すべきは「JUST LIKE PARADISE 2015」、「RHYTHM RED BEAT BLACK」、「CHILDREN OF THE NEW CENTURY 2015」というようにつながる序盤の三曲でしょう。現在進行形でアップデートされていく音の、その最高の瞬間が刻まれています。いずれもオリジナルは二十五年近く前に発表されましたが、どこにも古めかしさは感じられません。2015年の巷にあふれる新曲よりも新曲らしい輝きを放ちます。

このライブで初めて世に出たのがRoland社のシンセサイザー、JD-XAです。このシンセサイザーで小室さんが作り込んだ音は、Access社のアナログ・シンセサイザーに近い、太くて分厚い音です。この音でソロを弾くと、ギタリストのソロのように、シンセサイザーの存在感が際立ちます。小室さんは魅せる鍵盤奏者の第一人者であり、バンドにおける鍵盤奏者の恰好良さを打ち立てました。キャリア三十年を超えてもなお、魅せ続ける鍵盤奏者です。



TM NETWORK 30th FINAL Trailer PART2

2012年のライブ「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」から始まった物語とは何か。物語を紐解くキーワードは「潜伏者」です。謎の生命体が宇宙のどこかから地球に送り込まれ、人々の社会に潜伏しながら「人間の営みを調査して報告する」というミッションを遂行します。この生命体のことを「潜伏者」と呼びます。

それらは人間と同じ姿をしており、一見しただけでは見分けがつきません。敏感な人であれば「なんかおかしいな」と思うかもしれませんが、帰国子女と意見がかみ合わないくらいの感じでしょうか。まさか宇宙から来たとは思わない。僕らにとってはあまりにも遠い昔から、潜伏者は地球のあちこちに降り立っていました。人間として社会に溶け込んでいたり、時としてエキセントリックな存在として人間たちの思考や行動に影響を与えたりしました。歴史上の偉人は潜伏者だった可能性もあるのです。

TM NETWORKも潜伏者の一員として地球に降り立ち、人間社会の中に溶け込みます。ある潜伏者はミュージシャンとして、ある潜伏者はごく普通のサラリーマンとして、ある潜伏者は何を生業としているか分からない者として。指令を受けたTM NETWORKは、最後のミッションを遂行するために集結します。それは終結のためのトライアングルです。ひとつのメッセージを伝えるのが、TM NETWORKに課せられた最後のミッションです。目撃者は何を見たのか、何を受け取ったのか。残された一本のバトンを拾い上げたとき、物語は終わるのではなく始まることを知るのです。

2015.12.10
by mura-bito | 2015-12-10 21:58 | Music | Comments(0)
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