人気ブログランキング | 話題のタグを見る
inthecube
音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
OUR WORLD IS EXPRESSED BY IMPRESSIVE WORDS
ブログトップ
04. Alive/君がいてよかった
TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

TM NETWORK


三つの三角形がくるくると回りながら互いに近づき、やがて重なり、遠ざかり、消えます。夜の高速道路を駆け抜け、遠くに見える街灯やテールライトは小さな光の粒としてきらめき、まるで夜空を埋める星々に見えます。

「Alive」はオリジナル・アルバム『QUIT30』の一曲目に収録されています。ツアーで使う映像を組み合わせたトレーラー映像のBGMとして使われた曲です。この映像では、ウツが「Alive」を歌うところが収められており、実質的なミュージック・ビデオと言えます。TM NETWORKのシングルとして充分に成立するであろうクールさとポップさを兼ね備えた曲です。

1980年代のTM NETWORK、1990年代のポップス(とりわけウツのソロ曲)を感じさせながらも、「Alive」の端々に光る音は2010年代のものです。小室さんはEDM系だけでなく、ポップスにもソフト・シンセの音を積極的に混ぜます。それだけその音に魅せられているということですが、多くの耳に届くジャンルでこそ多彩な音をプレゼンテーションしたいのでしょう。琴線に触れた音は早く世に出して、リアクションを見てみたくなる。TM NETWORKとして活動していた1980年代も、1990年代のトップランナー時代も、そしてトランスやEDMなどのエレクトロに傾倒する21世紀も、根の部分は変わりませんね。

ライブでは多彩なシンセサイザーの音を聴くことができます。ソフト・シンセの音を貫くように響くアナログ・シンセサイザーVirus Indigo 2 Redbackが強力なプレゼンスを見せます。ソフト・シンセがメインになるにつれて使われる機会は減りましたが、このツアーで面目躍如と言うべきか、あの太い音を押し出すシーンを観ることができました。必要なハード・シンセを絞り込む中で、そのうちの一台として揺るがぬポジションをキープしています。他のシンセサイザーでは出せない独自性を持った音だと言えますし、TM NETWORKの音には欠かせないと言うこともできます。

「Alive」の詞は、ばらばらになって離れて、それでもつながりをつくろうとする人々のことを綴ります。日常的な言葉によるメタファーでリアリスティックな世界を浮かび上がらせます。組曲「QUIT30」の外に位置する曲ですが、組曲のテーマでもあるHUGE DATA(大量の情報)に呑み込まれて翻弄されることを歌います。それは、続いて披露される「君がいてよかった」にも通じるものがあります。こちらでは人々を分断するものは、自然の力、天災です。その中でも生きる人々の姿を刻み込む。そうした文脈を念頭に置くと、シンプルな曲名も重みを感じます。足枷という意味の重みではなく、そこに立ち続けるための支え。

「君がいてよかった」はシングル「I am」、アルバム『QUIT30』に収録されています。シングルではシンセサイザーの音でぐいぐい引っ張っていて、一方でアルバムではギターの音が殊の外大きくミックスされていました。ライブでもエレクトリック・ギターの音が強調されています。加えて、小室さんの弾くピアノの音が印象に残ります。ロック系のピアノと言うか、音が硬くて跳ねて弾ける感じですね。タフだし、スピード感も増します。ギターの音と相俟って、ワイルドなロックの表情を見せるアレンジです。

曲はフルコーラスを演奏する前に収束し、ウツが、続いて小室さんがステージ袖に消えます。代わって、アコースティック・ギターを抱えた木根さんがステージ前方に歩み寄り、縁に腰掛けます。おもむろにギターを爪弾き、爽やかなメロディを奏でます。ひとしきり弾いた後、一呼吸おき、「LOOKING AT YOU」を弾き語りで披露します。木根さんが書き、TM NETWORKでは初めてリードボーカルをとった曲です。1990年のオリジナル・アルバム『RHYTHM RED』に収録されました。TM NETWORKにおいて、木根さんの大きな役割はバラードを書くことでしたが、「LOOKING AT YOU」も実に彼らしい、優しくて美しく、そして切なげな曲です。

ワンコーラスを歌うと木根さんはアコースティック・ギターをエレクトリック・ギターに持ち替え、ディストーション・ノイズを鳴らします。合図を送るとショルダーキーボードを下げた小室さんが入ってきて、セッションが始まります。木根さんが弾きます、いつもより多めに弾いています。アドリブで弾く。小室さんはギター音を選択して、ロック・ギタリストさながらのフレーズを鍵盤で奏でます。二人とも相手の音に対抗するように自らの音を鳴らし、途中で「GIRLFRIEND」のフレーズも飛び出します。やがてリズムが戻ってくると、ウツもステージに再び姿を見せ、「君がいてよかった」が再開され、エンディングまで演奏されます。

01. QUIT30 PART1: Birth
02. WILD HEAVEN/TIME TO COUNT DOWN
03. QUIT30 PART2: The Beginning Of The End/Mist
04. Alive/君がいてよかった
05. Always be there/STILL LOVE HER
06. QUIT30 PART3: Glow
07. I am/GET WILD
08. QUIT30 PART4: Loop Of The Life/Entrance Of The Earth
09. THE POINT OF LOVERS' NIGHT/SELF CONTROL/LOUD
10. QUIT30 PART5: The Beginning Of The End II/III

2015.08.08
by mura-bito | 2015-08-08 09:38 | Music
<< 05. Always be t... [PART2] globe –... >>

fujiokashinya (mura-bito)
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
最新の記事
LINKIN PARK「Hy..
at 2020-12-31 15:20
ORESAMA「耳もとでつか..
at 2020-12-30 15:24
米津玄師「感電」:巧みなアレ..
at 2020-12-29 21:04
Gacharic Spin「..
at 2020-12-22 19:29
Reol「激白」:近づいては..
at 2020-12-16 21:20
ORESAMA「あたまからモ..
at 2020-12-09 22:30
TM NETWORK『SPE..
at 2020-12-05 14:55
以前の記事
記事ランキング
カテゴリ
タグ
ライフログ
TM NETWORK

























TETSUYA KOMURO



quasimode


Linkin Park


Paramore

Immigrant'sBossaBand

Ryu Miho

AVICII


Krewella

Zedd


藍井エイル





ORESAMA




Gacharic Spin


梨木香歩

村上春樹



京極夏彦



小林ユミヲ



Book





Comic








Music


その他のジャンル
ブログジャンル