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01. QUIT30 PART1: Birth
TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

TM NETWORK


「SEVEN DAYS WAR」のメロディが会場に響き渡り、物語の幕開けを告げます。巨大なLEDパネルで組み上げられたスクリーンには、どこかの港が映ります。黒いスーツを着た女性がゆっくりと歩を進めます。映像は移り変わり、どこかの家の窓辺、明かりの漏れる夜の窓、車が行き交う道路が映ります。映像はぱっと明るくなり、草木の生い茂る池が映し出されます。都市を少し離れればどこにでもあるであろう、長閑な風景。

やがて煉瓦造りの建物が映し出され、男性が歩いてきて、手にした袋からバトンを取り出します。彼は潜伏者でしょうか。手にしたバトンを放り投げます。そしてウツ(の姿をした潜伏者)がやってきて、そのバトンを拾い上げます。バトンを手にして、しばし眺め、何かを考えているような表情を見せたあと、彼は歩き去ります。

シンセサイザーが奏でるメロディは穏やかで、それを支えるベースの音は、静かに観客を包み込みます。サウンドは2014年の音に作り変えられており、これをTM NETWORKではリプロダクションと呼びます。過去の曲はリプロダクションによって新たな印象を観客に与えます。「SEVEN DAYS WAR」のメロディは目の前で始まろうとしている物語のプロローグを綴ります。

女性の声が聞こえます。彼女は「キャロル・ミュー・ダグラス」と名乗ります。そして、この物語のガイドを務める、と言います。スクリーンが映すのは「TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end」のワンシーン。「キャロル」の衣装を着た少女が軽やかにステップを踏み、ふわりと踊ります。それは三人の潜伏者がマザーシップで生成していた、少女の姿をした生命体ですが、バトンとともにどこかに消えました。

ひとつの仮説を立ててみます。「TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end」のキャロルと、「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30」のキャロルは、別の存在である。さらに言えば、1988年の「CAROL」に登場するキャロルもまた別のキャラクターです。TM NETWORKの作品に出てきたキャロルはすべて、「キャロル」という役割を与えられた別個の存在だと言えます。

「キャロル」という役割は、物語によって変わります。物語の主人公になったり、過去の記憶を想起する助演を務めたり、物語のテーマを内包する舞台装置になったりと、仮面を変えるように役割をシフトしていきます。そして「QUIT30」を軸にしたこの物語では、キャロルは観客を導く案内役です。情報があふれ返るライブの中で、彼女の存在が物語と観客をつなげる旗印となります。

爆発音がして、スモークが立ちこめます。スモークが薄れ、光がステージ後方から差し込み、ふたつのシルエットが浮かび上がります。そこにはいたのは小室さんと木根さんです。小室さんは観客席から見て左、木根さんは右側に歩き、それぞれの位置に立ちます。水が流れるような音が会場を包み、スクリーンには幾何学模様で描いた地球が映し出されます。

スネアを小刻みに叩く音がして、ピアノの旋律が流れ出します。気づくと、ステージ後方の中央にある階段にウツが腰かけており、組曲「QUIT30」の序曲である「Birth」を歌い始めます。音も歌も抑制され、暗雲が垂れ込めるようにして世界が閉じていきますが、それは同時に音楽的なエネルギーを充満させます。そして、小室さんがいくつもの白鍵を一気に弾いてシンセサイザーの音を合図に、あらゆる音が一気に弾け飛ぶ。殻を割るように、雲が切れて光が差し込むように、音が開放されます。

経済的発展を続ける、アジアのある都市。そこに生きる人々の姿が切り取られ、スクリーンに浮かび上がります。この中にも潜伏者はいるのでしょうか。幾何学模様の地球が回ります。発展と貧困が混在したカオスの中で生きる人々は何を思うのか。そうした都市をビジネスの市場として見て、その価値を見極めんとしている人々は何を思うのか。潜伏者は都市の中に潜み、人々の中に潜みます。けれども、視点はずっとずっと上にあり、人々の営みを俯瞰します。「Birth」のテーマ、そして組曲「QUIT30」のメイン・テーマは「俯瞰」です。

01. QUIT30 PART1: Birth
02. WILD HEAVEN/TIME TO COUNT DOWN
03. QUIT30 PART2: The Beginning Of The End/Mist
04. Alive/君がいてよかった
05. Always be there/STILL LOVE HER
06. QUIT30 PART3: Glow
07. I am/GET WILD
08. QUIT30 PART4: Loop Of The Life/Entrance Of The Earth
09. THE POINT OF LOVERS' NIGHT/SELF CONTROL/LOUD
10. QUIT30 PART5: The Beginning Of The End II/III

2015.08.01
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by mura-bito | 2015-08-01 09:25 | Music | Comments(0)
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