inthecube
音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
OUR WORLD IS EXPRESSED BY IMPRESSIVE WORDS
井浦新と崇徳院
エッセイ集『井浦新の日曜美術館』* では、井浦新さんが「日曜美術館」で司会を務める中で感じたことを綴っています。本作には短いコラムがいくつか掲載されており、「日曜美術館」に直結しない話題も含まれています。
コラムのひとつに、井浦さんが大河ドラマ『平清盛』で演じた崇徳院の話が登場します。悲運の人生を送った崇徳院の最期を描いたシーンは、脚本、台詞回し、衣装、メイク、所作のいずれもが力がこもっていました。清盛たちが平家納経を作り、奉納するために厳島神社へ向かっている頃、讃岐では崇徳院が血を吐き、呪詛の呻きをあげ、風貌が変わって人間ではなくなっていきました。
「ひとつの神事を、芝居をもってみんなで行った、そんな気持ちでした」と井浦さんは語ります。歌川国芳の浮世絵に描かれた怨霊を真っ向から演じることで、「想いを乗せすぎるくらいの気持ち」を込めました。エッセイを読みながら、強烈な印象を残した『平清盛』の映像を思い起こします。
高松放送局の特設サイトには、井浦さんのインタビューが掲載され、この回のことを語っています。井浦さんは崇徳院を演じ、その人生を共有することで、「崇徳院が怨霊になって後々の世にまでたたったということは、絶対にない」と思うようになりました。「極端な怒りや悲しみだけになってしまった『生き霊』としての崇徳院」を表現するために、極端なかたちで演出したそうです。容姿だけではなく、身体、思考、そして心までもが壊れるような状態を、全身全霊で演じた。それを彼は「突き抜ける」と表現します。中途半端にしないで突き抜けることで、それまで積み重ねてきた点を結び、線に変えた、と。
また、Twitterの番組公式アカウントを借りて、「怨念の世界で生きていた崇徳が解放されて、鳥のさえずりや子供の声が朝の光とともにようやく感じることができた。人間として崩御していく様を表現しました」と書き残しました。強烈なビジュアルと、戦慄すら感じる動きと呻きが物語を揺さぶり、息を呑んで見守る視聴者を揺さぶります。嵐が去り、最後の場面では穏やかな朝が訪れます。太陽の光を見つめる彼の表情はとても安らかです。伸び放題の髪と髭の中に埋もれた顔には、鬼の形相も血の涙もなく、安らかな寝顔だけが浮かんでいました。
* inthecube: 井浦 新 – 井浦新の日曜美術館
2015.04.20
コラムのひとつに、井浦さんが大河ドラマ『平清盛』で演じた崇徳院の話が登場します。悲運の人生を送った崇徳院の最期を描いたシーンは、脚本、台詞回し、衣装、メイク、所作のいずれもが力がこもっていました。清盛たちが平家納経を作り、奉納するために厳島神社へ向かっている頃、讃岐では崇徳院が血を吐き、呪詛の呻きをあげ、風貌が変わって人間ではなくなっていきました。
「ひとつの神事を、芝居をもってみんなで行った、そんな気持ちでした」と井浦さんは語ります。歌川国芳の浮世絵に描かれた怨霊を真っ向から演じることで、「想いを乗せすぎるくらいの気持ち」を込めました。エッセイを読みながら、強烈な印象を残した『平清盛』の映像を思い起こします。
高松放送局の特設サイトには、井浦さんのインタビューが掲載され、この回のことを語っています。井浦さんは崇徳院を演じ、その人生を共有することで、「崇徳院が怨霊になって後々の世にまでたたったということは、絶対にない」と思うようになりました。「極端な怒りや悲しみだけになってしまった『生き霊』としての崇徳院」を表現するために、極端なかたちで演出したそうです。容姿だけではなく、身体、思考、そして心までもが壊れるような状態を、全身全霊で演じた。それを彼は「突き抜ける」と表現します。中途半端にしないで突き抜けることで、それまで積み重ねてきた点を結び、線に変えた、と。
また、Twitterの番組公式アカウントを借りて、「怨念の世界で生きていた崇徳が解放されて、鳥のさえずりや子供の声が朝の光とともにようやく感じることができた。人間として崩御していく様を表現しました」と書き残しました。強烈なビジュアルと、戦慄すら感じる動きと呻きが物語を揺さぶり、息を呑んで見守る視聴者を揺さぶります。嵐が去り、最後の場面では穏やかな朝が訪れます。太陽の光を見つめる彼の表情はとても安らかです。伸び放題の髪と髭の中に埋もれた顔には、鬼の形相も血の涙もなく、安らかな寝顔だけが浮かんでいました。
* inthecube: 井浦 新 – 井浦新の日曜美術館
2015.04.20
by mura-bito
| 2015-04-20 22:38
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