人気ブログランキング | 話題のタグを見る
inthecube
音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
OUR WORLD IS EXPRESSED BY IMPRESSIVE WORDS
ブログトップ
植田正治・金子隆一 – 植田正治 私の写真作法
植田正治 私の写真作法

植田正治 私の写真作法

植田正治・金子隆一


2013年12月、Eテレの「日曜美術館」では、植田正治という写真家が特集されました。彼のモノクロ写真は無駄な要素を排してミニマルになりつつ、徹底的に演出され、作為的なものが堂々と埋め込まれています。写実的に見えて、作り込まれた世界を感じさせる演出的作品です。代表的なシリーズ「砂丘モード」は、白い砂の上で人間の姿が黒く浮かび上がり、絵筆で描いた世界のように見えます。司会の井浦新さんも鳥取砂丘に赴き、「砂丘モード」の一枚を再現しました。『井浦新の日曜美術館』* では、そのことも書かれています。

放送をきっかけにして、「生誕100年!植田正治のつくりかた」展を観るため、東京駅の東京ステーションギャラリーに足を運びました。本展では彼の作品が数多く飾られ、そのモノクロームの表現にくぎ付けになったものです。中でも、子供が狐の面をかぶり、ひょいと飛び跳ねた瞬間をとらえた「小狐登場」という作品に引きつけられました。小狐の背後に広がるのは怪しげな暗雲。それでいながら小狐の様子はコミカルで、おどろおどろしいというよりは、間違って飛び出したかのようです。誰かを脅かそうとして待ち伏せていたら、物音か何かに驚いて思わず飛び上がったのかもしれません。

展覧会では『植田正治 私の写真作法』という本を買い求めました。植田正治が雑誌に寄稿していたエッセイを、金子隆一という写真史家が編集してまとめた本です。写真やカメラに対する植田正治の思い、考えを知ることができます。彼の為人をすべて知ることはできないかもしれませんが、それこそ写真を撮るように、彼の一部を切り取り、その世界を深く知ることができるでしょう。

ファインダーを覗いて被写体と向き合う行為について、彼は以下のように書きました。

「裸眼レンズから目をはずすまでは、私だけの世界で、話ができるなんて、写真する幸せみたいなものがファインダーの中に棲みこんでいるということを、いまさらのように実感として感じるようになりました」

彼の作品は芸術性も大衆性も備えていますが、カメラを構えてファインダーを覗くときは、ごく個人的な幸せに満ちているのですね。ファインダーの中にある「写真する幸せ」は、すべての写真愛好家に共通するものなのかもしれません。そう思うのは、僕も一眼レフカメラを使い始めたからなのでしょう。一眼レフカメラを構えると、コンパクトデジカメでは得られない昂りが湧き上がる。ファインダーを覗くと、世界はぎゅっと絞られ、被写体との対話が始まるのです。

* inthecube: 井浦 新 – 井浦新の日曜美術館

2015.04.17
by mura-bito | 2015-04-17 21:52 | Visualart
<< Steve Aoki – Da... Paramore – Bric... >>

fujiokashinya (mura-bito)
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
最新の記事
LINKIN PARK「Hy..
at 2020-12-31 15:20
ORESAMA「耳もとでつか..
at 2020-12-30 15:24
米津玄師「感電」:巧みなアレ..
at 2020-12-29 21:04
Gacharic Spin「..
at 2020-12-22 19:29
Reol「激白」:近づいては..
at 2020-12-16 21:20
ORESAMA「あたまからモ..
at 2020-12-09 22:30
TM NETWORK『SPE..
at 2020-12-05 14:55
以前の記事
記事ランキング
カテゴリ
タグ
ライフログ
TM NETWORK

























TETSUYA KOMURO



quasimode


Linkin Park


Paramore

Immigrant'sBossaBand

Ryu Miho

AVICII


Krewella

Zedd


藍井エイル





ORESAMA




Gacharic Spin


梨木香歩

村上春樹



京極夏彦



小林ユミヲ



Book





Comic








Music


その他のジャンル
ブログジャンル