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井浦 新 – 井浦新の日曜美術館
井浦新の日曜美術館

井浦新の日曜美術館

井浦 新


2013年4月から、井浦新さんはEテレの「日曜美術館」の司会を務めています。それまでの司会者とは異なり、美術館で収録している場面をよく目にします。もちろんスタジオで座って話す方が多いのですが、作品に顔を近づけて見入っている印象が強い。司会を始める前の2012年には「日曜美術館」の特別版に出演して、佐賀県に住む葉山有樹という陶芸家を訪ねていました。そのときに映し出された、作品を鑑賞している表情は、司会を担当するようになって二年が経った今でも変わりませんね。

2014年の夏に、井浦さんは『井浦新の日曜美術館』を著しました。司会として番組に携わった軌跡をまとめた著作です。2013年に放送された回から十数本を取り上げ、番組に出演する中で感じたこと、それぞれの内容を振り返って改めて思うことを綴ります。作品のひとつひとつと丁寧に、そして作家のひとりひとりと真摯に向き合っていることが窺い知れます。

僕は写真家の植田正治を特集した回が印象に強く残っていますが、本作でも触れています。この回では、井浦さんが鳥取砂丘を訪れ、植田正治のシリーズ「砂丘モード」のひとつを再現する様子が流れました。写真の中の彼は、タキシードでびしっと決めていながら、顔にはコミカルな面をかぶっている。頭上にはシルクハットがぽつんと浮かんでいます。オリジナルと同じ格好、同じポーズ、そして同じ演出で撮影された一枚です。シャッターが切られた後、面を取った彼の目に飛び込んできたのは、釣竿から垂れた糸とその先につながっているシルクハット。宙に浮いたシルクハットは、上から吊るされていたのです。トリックを知って笑みを浮かべる井浦さんの姿をカメラはとらえました。意外と単純な仕掛けだったことに驚きを隠せず、その気持ちを本作に記しています。

「日曜美術館」の司会者は、美術愛好家のひとりとして、自分の言葉で作品の魅力を表現したり、自らの思いを説明したりします。井浦さんは時間を費やして言葉を選び、少しずつ積み上げます。美術の評論家や研究家の流暢な解説も歯切れがよくていいのですが、井浦さんのような語り口も魅力があります。作品から受け取ったエネルギーが大きいほど、感じたものを言葉にして表出することは、効率的にはできません。絞り出すように言葉を継ぐ姿に、作品に魅せられた人間のリアリティ、鑑賞者としての誠実さを見出だします。

2015.04.15
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by mura-bito | 2015-04-15 21:45 | Visualart | Comments(0)
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