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音楽と物語に関する文章を書いています。
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[PART2] TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30
TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30
2014-12-9&10 at Tokyo International Forum Hall A


Seven Days War | QUIT30: Birth | Wild Heaven | Time To Count Down
QUIT30: The Beginning Of The End | QUIT30: Mist | Alive
君がいてよかった~月はピアノに誘われて/Looking At You~Session~君がいてよかった
Always be there | Still Love Her | QUIT30: Glow | I am | Get Wild
QUIT30: Loop Of The Life | QUIT30: Entrance Of The Earth | The Point Of Lovers’ Night
Self Control | LOUD | QUIT30: The Beginning Of The End II | QUIT30: The Beginning Of The End III
[PART2] TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30_b0078188_22511445.jpg
ステージでは組曲の続きが披露されます。曲は「Glow」。組曲を軸にして、演奏だけでなく、いくつかのパフォーマンスをはさみながらライブは進みます。

鋭角的なエレクトロニック・サウンドが会場をじわじわと覆い、呑み込みます。光が明滅します。密度の大きいキックがスピーカーを揺らし、EDMフェスのように響きます。スネアの音とともに「I am」が始まります。この曲はライブの度に音が進化していきます。あまりEDMという文脈では語られませんが、ボーカルが入るまではEDMと言ってもいいと思います。エレクトロニック・サウンドの乱舞。

小室さんにライトが集まります。ハードディスクから音を流し、ソフト・シンセの音を重ね、外し、また重ねる。用意していた音を、そのときの直感に従って呼び出し、重ねていきます。ソフト・シンセを導入してからはストックする音が増え、どのようなサウンドを構築するか、予測できません。音はカラフルに重なり、厚みを増していく。新たなフレーズが飛び出し、前回のツアーで使ったフレーズと混ざり合うと、アグレッシブな音となってステージを飛び出します。Ultra Music FestivalなどのEDMフェスやDJのライブの盛り上がりに匹敵する興奮が生まれます。そしてお馴染みのフレーズが響き、「Get Wild」が始まります。

「Get Wild」では、アウトロがイントロよりも激しくなります。小室さんのリミッターが外れのか、どんどん音が流れ出し、強烈になっていく。この曲はTM NETWORKの曲の中で最も有名ですし、テレビ番組で使われる場合はイントロやサビが流れます。けれども、この曲の進化はアウトロに色濃く見られるのです。原曲の雰囲気を微かに残しながらも、完全にEDMになっている。イントロで盛り上がり、歌で盛り上がり、そしてアウトロで興奮は頂点に達します。EDMスタイルにアレンジされたのは2013年からですが、ライブの度に激しくなっているのが分かります。ライブ・ツアーの最初と最後でも異なっています。この曲こそTM NETWORKの進化を体現する、と僕が常に言う理由がここにあります。

物語は後半に入り、終盤に向けて加速していきます。組曲から披露されるのは「Loop Of The Life」、そして「Entrance Of The Earth」。ハウス系エレクトロの音を響かせます。

青や紫の光がステージを染めます。シンセサイザーとギターが絡み合い、光と混ざり合います。曲は「The Point Of Lovers' Night」です。アルバム『RHYTHM RED』の最後に収録され、TM NETWORKがロック・スタイルに移行することを示してみせた曲です。ウツのボーカリストとしての色気が滲み出ます。アレンジの変化に合わせて明滅するライティングも気持ちを盛り上げてくれます。

四つ打ちのリズムが走り始めます。リプロダクション・アルバム『DRESS2』に収録されている、2014年版の「Self Control」です。そして、『DRESS2』と同時にリリースされたシングル曲「LOUD」が披露されます。2014年の活動の幕を開けた曲ですが、さわやかさを感じさせつつも、包み込むような壮大さを兼ね備えます。新曲であってもまるで何年も前からライブで聴いているかのようなフィット感がありますね。歌って、踊って、心の底から楽しめる。



QUIT30 Trailer PART2

物語は終盤を迎えます。車のシートに腰を下ろす女性は、三人の潜伏者について言葉を連ねます。「あなたたちはすでにわかっていると思うけれど…」と含みを持たせて、TM NETWORKの未来を暗示する言葉を残します。

組曲「QUIT30」も最終段階に入ります。ボーカルの入る「The Beginning Of The End II」が終わると、バンナさんとRuyが中心になって「The Beginning Of The End III」を演奏します。TM NETWORKの三人は、三枚のパネルの向こう側に消えます。パネルには三人の姿が映し出されます。ギター・ケースを肩にかけて歩き去るウツ。車を停めてノートPCに表示されたメッセージを見る木根さん。アジアのある国の都市の一角を歩いていく小室さん。音が吸い込まれるように、消え去ります。

ツアーは東京国際フォーラムでの公演が千秋楽となる予定でしたが、追加公演が決まりました。年が明けるとツアーが再開され、福島県での公演がホール・ツアーの最後を飾ります。『CAROLの意味』を読んでいると、ツアーが横須賀から始まったこと、福島県でライブを行なうことの意味が見えてきます。小室さんは明確に語ることはありません。明示されたいくつかのピースを合わせ、ときに自らピースを想像してはめこんでいく。福島県で行なうライブはただのホール・ツアー最終日ではないのかもしれない。そして、一ヶ月後に開催するアリーナ規模のライブでは、ツアーを通して描き、積み重ねた物語の仕上げにかかるのかもしれません。

2012年から綴り始めた物語は過去と未来を巻き込み、当時は想像もしていなかったところに着地する気がします。描く本人にも想像していなかったもの。三人の潜伏者は宇宙と地球を行き来します。イデオロギーを示すわけではない。調査して報告する。その報告書を通して地球のことを知る。誰が知るのでしょうか。報告書を受け取り、内容にアクセスしているのは、一体誰なのか。何なのか。目の前で動く三枚のパネルは、以前のライブにも登場したモノリスなのでしょうか。モノリスを見ている潜伏者たち、それを見ている僕ら。

スクリーンにはライブに関わった人々の名前が映し出されます。映画のエンドロールのように、次から次へと名前が現われ、消えていく。エンドロールを眺めていると、多くの人間が関わり、ライブを作り上げていることを実感します。会場には「Alive」のリミックスが流れています。これだけ大きな会場のスピーカーでTM NETWORKの音を聴く機会もそう多くはないため、じっくりと堪能してきました。
2014.12.28

by mura-bito | 2014-12-28 14:37 | Music
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