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音楽と物語に関する文章を書いています。
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小林ユミヲ – にがくてあまい
にがくてあまい

にがくてあまい 9

小林ユミヲ


このところ、小林ユミヲの『にがくてあまい』という漫画をよく読んでいます。各回のタイトルには料理名が使われており、ポイントは野菜を使った料理だということです。ストーリーも野菜をモチーフにしています。食材や料理法が、象徴的な小道具として登場人物の気持ちを表現することもあれば、あくまでも助演として人々をそっと見守る存在にもなる。ラブコメと言えばラブコメなのですが、本人が言う「ハートフル&インチキラブコメ」という表現が合う物語ですね。ゆるやかに交わる人々の暮らし、生き様が描かれています。

現在は、マッグガーデン・コミックオンラインで第60話「れんこんと干し椎茸の塩きんぴら」が公開されています。ひとつひとつの表情に訴えてくるものがありますね。シリアスな顔、コミカルな顔、考え込む顔、照れ隠しの顔、高い空を見上げる顔。自分の思いに向き合う顔、気遣いに感謝する顔、遠い未来に思いを託す顔、優しくたしなめ、受け入れる顔。ふたりの主人公をはじめとした登場人物の思いが滲み出て、混ざり合い、分かれ、再び重なります。最終ページに描かれたマキの表情がとても好きですね。

http://comic.mag-garden.co.jp/eden/58.html

物語はいくつかの軸を持って進んできました。主人公たちの関係性に加え、それぞれの家族との交流が立体的な関係を生みます。それぞれの過去への固執、変化、そして未来。ふたりを取り巻く人々の人生も丁寧に描かれ、世界は閉ざされることなく、むしろ広がり、新たな姿を見せてくれます。みんなはこの世界に存在していて、今もあの長屋で生活している気がします。「リアル」という表現は的を得ていません。北千住あたりの路地に入り込み、そこを抜けると目の前に広がっているかもしれない。つながっていないけれど、何かの拍子につながるかもしれない世界。

物語に感化されたのか、それとも自然と湧き上がってきたのか。野菜を食べるとき、ほんの少し、野菜のことを考えるようになりました。「野菜を食べている」という実感があるのです。言葉を知るとその言葉を耳にする機会が増えるように、アンテナの感度が上がりました。考える機会が増え、触れる機会が増える。それはすなわち楽しみが増えることを意味します。とは言え、苦さを甘さに変えるには、まだまだ未熟ですが、それもまた生きる楽しみのひとつですね。熟成は少しずつ進む。

2014.12.13
by mura-bito | 2014-12-13 22:23 | Visualart
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