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CAROL SUITE (PART 2) – TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK


INTRO
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CAROL SUITE (PART 1)


CAROL SUITE (PART 2)

「A DAY IN THE GIRL'S LIFE」の最後の音を引き継いで、「CAROL (CAROL'S THEME 1)」が始まります。物語を貫くテーマ・メロディと言える曲ですね。ステージでは幼いキャロルが駆け寄ってきて、無垢な目で物珍しそうに周囲の大人を見渡します。三つ編みをひとつつくり、それを含めてブロンドの髪をひとつにまとめています。見た目の年齢差をそのまま受け取るとすれば、キャロルが異世界を旅する5~6年前ほどでしょうか。自分が持つ力には、もちろん気づいていない。

やがてキャロルは椅子のひとつに座り込み、そっと目を閉じます。木根さん(の姿をした潜伏者)は、彼女に気づくと驚きを隠しきれず、その存在を確かめるように何度も見つめます。何かがその頭の中で駆け巡っている。物語の枠を飛び越えた、ティコとしての記憶か。それともロンドンに潜伏していたときに出会った少女と交わした言葉を思い出したのか。前触れもなくキャロルは目を開き、立ち上がって駆け出します。木根さんも立ち上がり、彼女の後を追いますが、その姿を捉えることはできません。キャロルはどこか別の場所にいます。彼女はメッセージを受け取ったのでしょうか。そして木根さんはGABALL SCREENのひとりとして、メッセージが届いたことを確信したのでしょうか。再び椅子に座り込み、一点を見つめています。キャロルはゆっくりと歩き、幼い微笑みを残すと、くるりと振り向いて去りました。

音が跳ねるように雰囲気を変え、曲は「IN THE FOREST」に切り替わります。異世界に潜り込んだキャロルが最初に見たのは、どこまでも続く深い森。森の中でまずはティコに出会い、そしてフラッシュと顔を合わせます。この世界の主であるマクスウェルに出会うのは敵の居城の中です。闇に閉ざされた森の中であっても、キャロルは希望を捨てません。前に進もうとしているティコたちと知り合い、ともに戦う決意をする場所でもあります。ステージでは表情豊かに、そしてジェスチャーもふんだんに盛り込まれ、活き活きしたパフォーマンスが繰り広げられています。

青く暗い光がステージを包み込み、曲が「IN THE FOREST」から滲むように「CAROL (CAROL'S THEME 2)」に変わります。戦うキャロルの姿を歌う曲を、美しいストリングスの音が飾ります。アルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』ではAnne Dudleyの指揮するストリングス・オーケストラが参加していて、この曲でもその美しい弦のアンサンブルを聴くことができます。そして、キャロルがスポットライトの中に現われ、軽やかに舞い、バレエのステップを踏みます。やがて彼女は立ち止まり、一点を見つめます。そこにはウツ(の姿をした潜伏者)が立っています。彼女はウツに駆け寄り、その手を取ると、ともに奥の方に歩いてゆきます。

静謐な雰囲気が切り裂かれ、ストリングスも激しく扇情的に音を奏でます。ステージでは小室さんがIndigo Redbackをノイジーに弾いて、まるで戦いを表現しているかのようです。ステージ後方のスクリーンには、数多くの写真が次々と映し出され、ウツ、木根さんを含めた人々はその写真に釘付けになります。写っているのはロンドンの景色。数え切れないほどのロンドンの姿が、追えないくらい早く目に飛び込んできます。

突如として音が途切れる。すべての音がミュートし、無音の空間が目の前に広がります。人々は困惑し、耳に手をやって、自分の耳が聞こえていることを確かめる。再び音が鳴る。人々も再びスクリーンに目を向けます。歪んだシンセサイザーの音がうねり、咆哮します。と、またも音が何かによってカットされる。スクリーンには、耳を塞いで苦悶の表情を浮かべる人々の写真が映し出されます。それは音を失って叫んでいるのか、不快な叫び声に耳を塞いでいるのか。音が失われた世界。それは心地よい音が奪われ、不快な雑音に苛まれる世界のことかもしれません。

やがて音が完全に戻り、荒れ狂う音の奔流が途絶え、やわらかなメロディが戻ってきます。ゆっくりと、そして音を慈しむように、「CAROL (CAROL'S THEME 2)」が終わります。すると、マーチを思わせるリズムの中、シンセサイザーが鳴り響きます。このライブのために準備された短いインストゥルメンタルはタイトルを「THE OTHER SIDE OF THE FUTURE」と言います。キャストのひとりが木根さんから黄色い旗を受け取り、ステージを端から端まで走り、目一杯旗を振ります。「CAROL」という物語の一部と捉えるなら、旗は悪魔たちとの戦いに勝った証です。

一方で、この旗は地球の人々が自らの手で争いを解決した、それを讃える勲章と考えることもできるでしょう。すれ違いや衝突は起こるものであり、それをいかに解決するか。TM NETWORKが調査する人々の営みとは、そういったものも含まれています。潜伏者であるTM NETWORKの役割は、あくまでもニュートラルに見守り、調査記録をつけることであり、直接手を出して介入することではない。とはいえ、この28年の潜伏期間の中で、人々に対する(地球の言葉で言うところの)感情が自然に生まれていたのかもしれません。人々の営みを観察してきたTM NETWORKによる、見えない、そして声に出さない賞賛を旗という形で表現した、とも考えられます。

わずかな響きが耳に残る中、キャロルとウツはじっと見つめ合います。スネアの音を合図にして、力強いリズムが鳴り響きます。キャロルは明るい表情で駆け出し、ウツの手を取ってステージの中央まで導きます。ステージからすべてのキャストが去り、TM NETWORKによる「JUST ONE VICTORY」の演奏が始まります。「CAROL」のエンディング・テーマであり、物語を締めくくるにふさわしい、ロック・スタイルをまとうアクティブな曲です。ステージには光が満ちあふれ、バンド・サウンドの分厚い音が駆け巡ります。ワイルドなリズムに支えられたIndigo RedbackとSledgeの音も、伸びやかに勢いよく響く。曲の勢いに煽られたのか、演奏風景をダイナミックにとらえるカメラ・ワークも魅力的です。特に、Sledgeを弾く小室さんを斜めにパンするシーンはかっこいいですね。最後のフレーズを歌い終わると同時に、ウツは手を振り上げ、人差し指を空に向けて突き出す。それに呼応して、観客も一斉に人差し指を掲げます。いくつもの「たったひとつの勝利」が集まり、そして輝いて、「JUST ONE VICTORY」が終わります。

2014.02.10
by mura-bito | 2014-02-10 22:40 | Music | Comments(0)
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