inthecube
音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
OUR WORLD IS EXPRESSED BY IMPRESSIVE WORDS
TM NETWORK - CHILDHOOD’S END
ふとしたきっかけで、自分の音楽ライブラリを見直すことがあります。きっかけはラックに詰め込まれたCDに目が留まったことだったり、iTunesに取り込んだデータをスクロールしていたことだったりします。相変わらず新しい音楽を聴くし、アルバム単位で聴くよりプレイリストで聴くことの方が多いのですが、時として過去の曲をアルバムで聴きたくなる。アルバムは、その時代の空気が詰め込まれたタイム・カプセルのようなものですね。プレイリストをつくることは、曲をアルバムから解放して、新しい文脈で編集すること。アルバムを聴くことは、プロフェッショナルに構築された世界に入り込み、身を委ねることです。
リリースされてから時間が経つほどに、アルバムの考古学的な役割は高まると思います。特にTM NETWORKは、若干のタイムラグはありつつも、その時代の洋楽のエッセンスを取り入れた音楽を発表してきました。ユーロビートを中心とした1980年代後半のサウンドは『DRESS』に、キックとベースが分厚く作り込まれたエレクトロは『EXPO』* に反映されています。それらは洋楽の翻訳とも言えますね。洋楽の影響がダイレクトに出ていなくても、自然と雰囲気が漂う作品はいくつもあります。そのうちのひとつ、『CHILDHOOD’S END』が自分の中でリバイバルしているので、雑感を少々。

『CHILDHOOD’S END』は1985年にリリースされた2枚目のアルバムです。1984年のデビュー・アルバムが振るわなかったため、軌道修正を行った時期の、過渡的な作品と言われています。デビュー盤ではシンセサイザーを前面に押し出し、ファンタジー色あふれる歌詞が特徴的でした。一部(札幌を中心とした北海道と言われている)では注目されましたが、全国的にはそうでもなかったようです。そうした結果を受けての2作目ということで、デビュー盤で見せたカラーが抑えられています。日常の風景を切り取ったような歌詞と、生楽器の比率が高まったサウンド。シンセサイザーを使っていますが、これってシンセっぽいよねというような早合点ができないくらい控えめですね。シンセサイザーと生楽器が同じ位置で鳴っているという印象を受けます。
アコースティック・ギターが奏でる音もさることながら、パーカッションの音が印象的ですね。アルバムの中盤から後半にかけて、ずっとパーカッションが鳴っています。にぎやかだけれど湿った時間を映像に収めたような「TIME」、サンバを意識しつつアマゾンを舞台にした「DRAGON THE FESTIVAL」、大人の熱っぽい夜が描かれている「さよならの準備」、一転してさわやかな風が吹く「INNOCENT BOY」、2人だけのひそやかな世界が広がる「FANTASTIC VISION」……という流れが好きです。パーカッショニスト高杉登さんが叩く音と、打ち込みで鳴らしているパーカッション音源が、交代で現われ、時として混ざり合う。日常の陰影を表現したサウンドにパーカッションの音がフィットして、雰囲気を盛り上げたり、そっと寄り添ってみたりと、ひとつひとつの物語を彩っています。曲に込められたリアリティが、ぐっと増す気さえします。
2013年に聴く『CHILDHOOD’S END』は、1985年と2013年の空気が混ざり合ったものです。2013年の感性で1985年の作品を体験することで、30年近く離れた時間がつながり、マーブル模様を描きます。初めて聴いたのは15年くらい前だと思いますが、そのときよりはるかに多くの、そして深い魅力を感じています。ある程度の数の音楽を聴いてきた今、『CHILDHOOD'S END』が新鮮な音として僕の中で鳴り響くんですよね。こういう音楽体験もおもしろい。
* inthecube: TMN - EXPO
2013.05.15
リリースされてから時間が経つほどに、アルバムの考古学的な役割は高まると思います。特にTM NETWORKは、若干のタイムラグはありつつも、その時代の洋楽のエッセンスを取り入れた音楽を発表してきました。ユーロビートを中心とした1980年代後半のサウンドは『DRESS』に、キックとベースが分厚く作り込まれたエレクトロは『EXPO』* に反映されています。それらは洋楽の翻訳とも言えますね。洋楽の影響がダイレクトに出ていなくても、自然と雰囲気が漂う作品はいくつもあります。そのうちのひとつ、『CHILDHOOD’S END』が自分の中でリバイバルしているので、雑感を少々。

アコースティック・ギターが奏でる音もさることながら、パーカッションの音が印象的ですね。アルバムの中盤から後半にかけて、ずっとパーカッションが鳴っています。にぎやかだけれど湿った時間を映像に収めたような「TIME」、サンバを意識しつつアマゾンを舞台にした「DRAGON THE FESTIVAL」、大人の熱っぽい夜が描かれている「さよならの準備」、一転してさわやかな風が吹く「INNOCENT BOY」、2人だけのひそやかな世界が広がる「FANTASTIC VISION」……という流れが好きです。パーカッショニスト高杉登さんが叩く音と、打ち込みで鳴らしているパーカッション音源が、交代で現われ、時として混ざり合う。日常の陰影を表現したサウンドにパーカッションの音がフィットして、雰囲気を盛り上げたり、そっと寄り添ってみたりと、ひとつひとつの物語を彩っています。曲に込められたリアリティが、ぐっと増す気さえします。
2013年に聴く『CHILDHOOD’S END』は、1985年と2013年の空気が混ざり合ったものです。2013年の感性で1985年の作品を体験することで、30年近く離れた時間がつながり、マーブル模様を描きます。初めて聴いたのは15年くらい前だと思いますが、そのときよりはるかに多くの、そして深い魅力を感じています。ある程度の数の音楽を聴いてきた今、『CHILDHOOD'S END』が新鮮な音として僕の中で鳴り響くんですよね。こういう音楽体験もおもしろい。
* inthecube: TMN - EXPO
2013.05.15
by mura-bito
| 2013-05-15 22:06
| Music

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