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音楽と物語に関する文章を書いています。
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10年後の再読、ノルウェイの森
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個人的なベストオブハルキを挙げろと言われたら、迷わず『ノルウェイの森』を選びます。初めて読んだのは高校生の時分ですが、そのときは文庫本を飽きることなく読み返していました。それこそこの物語の中で『グレート・ギャツビー』が何度も読み返されているように、僕も『ノルウェイの森』を数え切れないくらい開き、ページを繰りました。大学で心理学をやろうと思ったのも、ここに起因するのかもしれません。結果的に僕には井戸を掘り続ける勇気はなかったのですが。

『1Q84』は1984年が舞台になっていますが、『ノルウェイの森』は1969~1970年を中心に描かれています。最近また読み返してみて、想像もつかない時代のことを書いているんだなと改めて思いました。1984年すらわけがわからないのに、1969年なんてもはや歴史の教科書ですよ? 40年前。そこに漂っていた空気を知らない僕が読むと、その時代を生きた人とは違ったものをイメージしているはずです。僕のイメージには牧歌的な雰囲気すら漂っています。なんだか、ものすごいねじれを感じます。これを読んでいたころ(10年前)の新宿すら知らなかった高校生が、1969年の新宿なんてイメージできるはずがありません。僕の頭の中で出来上がっていた『ノルウェイの森』は、その後の時分の行動規範を形成するくらい大きな影響を及ぼしました。映画を観てもそれが崩れることはないと思いますが、いろいろ幻滅するのが怖い。目に見えないからこそ価値があるものがたくさん散りばめられている気がしていて、それを白日の下に晒してよいものだろうか?

手を伸ばしても、伸ばしても、ほんの少し先にあるのに、やはり届かない。そのもどかしさと悲しさ、そしてそれらを与える残酷さが、とても印象的です(蛍とか、窓越しの小さな光とか)。最後は電話ボックスで名前を呼び続ける。あれもこれも失われて離れて遠ざかる結末は、それでも美しいと思いました。好きも嫌いもなく、なるべく公正に眺めてみたとしても、やはり美しいという言葉しかないんだろうなと思います。

2009.06.24
by mura-bito | 2009-06-24 22:15 | Book
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