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AAA – Joy to the love (#globe20th -SPECIAL COVER BEST-)


AAA – Joy to the love

カバー・アルバム『#globe20th SPECIAL COVER BEST』に、AAAも参加しています。カバーしているのは「Joy to the love」。デビュー盤『globe』に収録された、実に陽気な曲です。歌詞は微妙に倦怠感が漂い、メロディのポップさとのミスマッチがおもしろい。深刻な問題ではないけれど、日常の中で引っかかる閉塞感のようなものを感じます。そうした閉塞感を抱えたまま10代、20代を過ごしていく人々を描いたのでしょうか。

こうしてAAAがKEIKOの代わりにglobeを歌うのも、浅からぬ縁のような気がします。というのも、globeのデビュー20周年はKEIKOが歌えない状況で迎えました。『ミュージックポートレイト』(浦沢直樹さんとの対談を中心にしたEテレの番組)によると、KEIKOが入院していたときに小室さんは病院で曲を書かねばならなかったそうです。そのときに生まれたのがAAAの「SAILING」です。小室さんとAAAは、作家とシンガーという関係を越えたつながりを感じずにはいられません。

AAAの魅力のひとつは7人の声が交錯し、混ざり合うところでしょう。「WOW WAR TONIGHT」* をカバーしたときは男性陣の声を中心に構築されましたが、「Joy to the love」では女性陣が大きなウェイトを占めます。表を女性が歌い、男性は裏に回る。女性2人の歌が最も強く印象に残るのは確かですが、裏で歌う男性陣の歌声も心地好いと思いますね。

SKY-HIこと日高光啓のラップが活きる曲です。ラップはAAAの強みでもありますよね。僕は日本語ラップの中では彼のラップが一番好きです。小室さんのソロ・アルバム『Digitalian is eating breakfast 2』でゲスト・ラッパーとして参加した曲「Every」を聴いて、「これはいい」と思いました。彼のラップは、メロディや音を潰すことなくうまく乗る、馴染むのだと思います。「Joy to the love」ではマーク・パンサーのコピーではなく新たにリリックを書いて録音していますが、彼独特の声の重ね方がぴたりとはまり、曲を盛り上げています。

* inthecube: AAA – WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント~

2015.01.09
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by mura-bito | 2016-01-09 16:55 | Music | Comments(0)
HYDE – DEPARTURES (#globe20th -SPECIAL COVER BEST-)


HYDE – DEPARTURES

カバー・アルバム『#globe20th SPECIAL COVER BEST』に収録される曲のいくつかがYouTubeにアップされています。そのうち、最も多くのビューを獲得したのが、L'Arc-en-CielのHYDEがカバーした「DEPARTURES」です。アレンジは小室さんが手掛けました。最初はアレンジをすべて行なう予定ではなかったとのことですが、その予定が大きく変わったのは、やはりHYDEの歌声に触発されたからでしょうか。

小室哲哉とHYDE。実に意外な組み合わせですよね。1998年あたりに行なったマーケティング調査で、globeと競合していたのがL'Arc-en-Cielだったことを、どこかのインタビューで小室さんが明かしていました。CDのマーケットが最大規模だった頃の話ですが、いわゆる「小室ファミリー」といわゆる「ビジュアル系」というカテゴリーが市場を作っていた証でしょうか。両者が互いに意識していたかは定かではありませんが、ともに時代のアイコンとして存在していたことは確実に言えます。そんなふたつの音楽的才能がクロスするなんて、1990年代はおろか最近まで想像すらできなかった。カバーという形で実現した両者のコラボレーション、その素晴らしさに嘆息するばかりです。

HYDEの歌声はとても叙情的で、気持ちをえぐるような強さ、アグレッシブな魅力があります。傷つけるという意味ではなく、「持っていかれる」感じですね。歌声ひとつで、唯一無二の世界が生まれる。それを象徴するのが、♪あなたが私を 選んでくれたから♪という部分でしょう。ここの歌い方がとても好きですね。KEIKOが歌っているオリジナルでもこのメロディ、歌詞に心をつかまれたものですが、男性ボーカルで聴くとまた新たな魅力が湧き上がってきます。

2015.12.27
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by mura-bito | 2015-12-27 17:52 | Music | Comments(0)
hitomi – Anytime smokin' cigarette (#globe20th -SPECIAL COVER BEST-)


hitomi – Anytime smokin' cigarette

hitomiが「Anytime smokin' cigarette」をカバーしました。この音源はカバー・アルバム『#globe20th SPECIAL COVER BEST』(globeのデビュー20周年企画アルバムの第2弾)に収録されており、YouTubeにもアップロードされています。日本版ローリングストーン誌が小室さんの特集を組んだときに、彼女のインタビューも掲載されたのですが、小室さんの曲のうち好きな3曲を挙げるというコーナーでは、この「Anytime smokin' cigarette」を挙げていました。

20周年企画の第1弾『Remode』* をきっかけにして、僕は「Anytime smokin' cigarette」が好きになりました。オリジナルは2枚目のアルバム『FACES PLACES』** に収録されています。心地好く身体を揺らせる、揺らしたくなるリズム。聴くほどに、音を感じるほどに、その世界の奥に奥に入っていきたくなります。オリジナルはファンクやソウルの雰囲気がありますし、Remodeではシンセサイザーのリフがとても心地好い。

hitomiはいわゆる「小室ファミリー」の一員でしたよね。小室さんのプロデュースから離れた後も実績を残しています。僕は「Candy Girl」や「by myself」くらいしから知らなかったのですが、きちんと聴いたのはcuneの「SAMURAI DRIVE」をカバーしたときです。彼女の歌声とロック・サウンドが思いのほかマッチしていて、それまで僕が抱いていたイメージを破壊してくれました。

さて、「Anytime smokin' cigarette」のカバーについて。YouTubeにアップされているのは音源の一部ですが、彼女がアプローチする方向や、彼女の歌声の魅力が伝わってきますね。ポップスにおけるボーカルの役割を過不足なく果たしている、という感じがします。

KEIKOの歌い方は波形が急激に尖るように振れ幅の大きなものですが、hitomiは丁寧に言葉をつないでいる印象があります。先述のインタビューでは、オリジナルの歌い方について「静けさから始まり、けだるいパートからいきなりハイトーンになる持ち込み方がすごい」と語っていました。そこを真似るのではなく、彼女らしい歌い方でこの曲を表現しているのだと思います。hitomiの歌は、メロディの良さやアレンジの方向性がストレートに伝わってくるんですよね。この曲を初めて聴く人にはむしろhitomiのバージョンの方がいいのではないかとさえ思います。

* inthecube: globe – Anytime smokin' cigarette (Remode)
** inthecube: [PART1] globe – FACES PLACES

2015.12.26
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by mura-bito | 2015-12-26 17:34 | Music | Comments(0)
globe – Anytime smokin' cigarette (Remode)


globe – Remode 1 (DISC2)

『FACES PLACES』* を聴いてからというもの、「Anytime smokin' cigarette」を気に入って、ヘビー・ローテーションに組み込まれています。そうなると次にやってくるのは新たな音、すなわちリミックスを探す旅です。シングルに収録されていたBLACK LUNG MIXに続き、『Remode 1』** で再構築された音に触れて、その魅力に取り憑かれています。YouTubeにアップロードされている『Remode 1』のサンプラー音源では、3分55秒から4分20秒にかけて、Remodeされた「Anytime smokin' cigarette」を聴くことができます。

Remodeによって新たに追加された、オリジナルにはない音やフレーズがとても心地好い。頭から鳴り続けるリズミカルなループ・サウンドは、パーカッションと絡んで聴き手の記憶に刻まれます。音はぐるぐる回って、記憶に傷跡を残します。歌が♪I don't know...♪に入ると、ボーカルの裏でシンセサイザーが印象的なフレーズを奏でます。美しくて、どこか切なくて、胸を打つ音です。ぐしゃぐしゃにかき乱される。心乱れる。単純な音の組み合わせなのに、どうしてこうも揺さぶられるのか。

オリジナルでは淀んだ夜の空気に満ちた部屋をイメージしましたが、Remodeの音を聴くとまた変わります。あてもなく夜の街を歩く誰か。街灯から街灯をつないで線を引くように、ただ歩く。何かから逃げるように、どこかに向かうように、でもどこにもたどり着けないことも分かっている。歩くしかない状況で、さまざまな記憶が渦巻いて、影が現われては消え、現われては夜の中に消える。最後は夜を抜けて朝の光の裾をつかんだかのようです。そこはどこなのか。

* inthecube: [PART1] globe – FACES PLACES
** inthecube: [PART2] globe – Remode 1

2015.11.17
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by mura-bito | 2015-11-17 22:16 | Music | Comments(0)
globe – Can't Stop Fallin' in Love (Music Video)


globe – Can't Stop Fallin' in Love

「Can't Stop Fallin' in Love」は『FACES PLACES』* に収録されているシングル曲ですが、説明するまでもないくらい有名ですよね。少なくともサビを聴けば、多くの人は聞き覚えがあると思うのではないでしょうか。globeを聴く余裕がなかった僕でも、この曲のメロディや音の雰囲気は強く印象に残っています。改めて聴いてみると、記憶にない音が鳴っているのが分かり、とても新鮮な気持ちで向き合うことができます。身体や記憶に刻まれた音は、いつかどこかで別の体験と結びつくことがあるのですね。

シングルとアルバムではミックスが異なっており、聴き比べてみると、シングルの方が音がゴージャスであり、アルバムでは音の数を絞ってスリムになっているかなと思います。シングル・ミックスの特徴は何と言ってもイントロではないでしょうか。最初の一音から引き込まれ、それまで目に映っていた世界が一変します。Aメロやサビメロもとても美しくて胸を打つのですが、イントロの美しさもまたこの曲の魅力を形成する重要な要素でしょう。

物憂げに爪弾くアコースティック・ギター、イルミネーションのようにきらびやかなシンセサイザー、密度の大きいキックが混ざり合ってひとつのサウンドを形成しています。♪そろそろ季節もきつくなる♪とはMarcのラップの一節ですが、音で冬を感じさせますよね。コンガの音が控えめながらもリズミカルに響き、音の印象を柔らかいものにしています。

冬の寂しげなイメージは冷たく吹きつける風や足元から忍び寄る寒さ、あるいはちらほらと舞う雪から形成されます。その一方で、暖かくすることで、あたたかみを感じることで、ほっと落ち着いたり安らいだりするイメージもあります。ひとつの曲の中で、肌が感じる温度が変わっていくような、そんな感じがします。冷たさ、あたたかさ、痛み、やわらかさ。それが2015年に聴いた「Can't Stop Fallin' in Love」の印象です。

* inthecube: [PART1] globe – FACES PLACES

2015.11.15
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by mura-bito | 2015-11-15 21:33 | Music | Comments(0)
[PART2] globe – FACES PLACES
FACES PLACES

FACES PLACES

globe


[PART1] globe – FACES PLACES

『FACES PLACES』では、やはり歌詞にフォーカスを当てるべきでしょう。日本版ローリングストーン誌のインタビューで、小室さんは当時の歌詞について語っています。globeに限りませんが、小室さんは対象を女性に設定し、それぞれが抱える孤独を言葉に置き換えます。この瞬間の少し先に待っている孤独、もうすぐやってくる孤独。後姿を捉えたときに湧き上がる気持ちを描きます。

小室さんが作る音楽は、歌詞と音が組み合わさるとどのような化学反応が起きるのか? 改めて考えます。聴き手に特定のイメージを与える、ぶつけるのではなく、多彩な解釈ができる余白を提供しているのでしょう。もともとはTM NETWORKの音楽(たとえば2012年にリリースされたシングル「I am」)から感じたことですが、こうしてglobeをきちんと聴いてみると同じことを思います。

本人が描いていたイメージや原点となったモチーフはあるにしても、音と歌詞と歌が組み合わさって曲となって世に出ると、聴き手の中でそれぞれの世界が広がります。その世界は聴いた人の数だけあり、さらに聴いたシチュエーションや気持ちのパターンによっても変化する。これはTM NETWORKやglobeという、自身がワン・オブ・ゼムになれるグループだからこそなのかもしれません。プロデューサーやトラックメーカーとして参加する曲よりも、音も言葉も生っぽくなってるのかなと思います。その生っぽさが(たとえば歌謡曲のような)生々しさにならず、聴く人の中でいかようにも変化するのが特徴なのではないか。

女子高生、専門学校生、OLさん……そういう人たちもみんなで楽しく遊んだり食事したり飲んだりしても、最後の最後ひとりになった時に「何やってるんだろう、私?」みたいな気持をどこにぶつけたらいいのかっていうのは、ロックの60年代後半~70年代に入るあたりと変わらないんじゃないの?って。

小室哲哉
1万字インタヴュー 小室哲哉 – Rolling Stone Japan Edition Vol. 101

『FACES PLACES』において音と言葉の組み合わせが印象的な曲は、「FACE」と「FACES PLACES」ですね。改めて聴くと、この二曲は本当にすごいし、素晴らしい。何よりも、圧倒的に強烈な吸引力を持った曲だと思います。

FACE」の歌詞からはエッジ感と言うべきか、触れたら指先に傷がつくような、ある種の境界を感じます。一歩踏み出せば取り返しのつかない世界に行く、ポイント・オブ・ノー・リターンに立っている。そんな歌詞をロック・スタイルに満ちた音に乗せる、その姿勢そのものがロックと言えるのかもしれません。

シングルとアルバムではアレンジが異なります。シングルは歌から始まり、アルバムはギターが鳴る中で歌が始まります。シングルではアコースティック・ギターとエレクトリック・ギターの共演がメリハリを生み、曲をドラマチックに仕上げています。アルバムでは鋭い刃が反射するような危うさが漂います。後ろで鳴り続けるピアノのメランコリックな音が印象に残ります。普段は忘れているのに、何かの瞬間にふと鎌首をもたげる過去の記憶のような。静かに流れる不穏な空気を感じさせます。

♪顔と顔寄せ合い なぐさめあったらそれぞれ 玄関のドアを ひとりで開けよう♪という歌詞が生み出す世界は、とても奥行きがあって深くコミットしたくなるし、それでいて無音の世界で殴られたかのように、静かに衝撃を受けました。とてもビビッドな言葉の組み合わせです。蝋燭の火をそっと吹き消すような別れ方が描かれています。火が消える直前までは互いにすぐ近くにいるのに、火を吹き消した瞬間に、すべてがゼロになる。

表題曲の「FACES PLACES」は、そっとなでるようにささやくような歌から始まり、ぐんぐんと高度を上げてシャウトを超えて曲が崩壊する寸前まで到達する。そのダイナミックな展開に驚かされます。上下動の幅がとてつもなく大きい。一気に熱くなって、また一気に冷たく凍る。繰り返されるサビメロからは狂気すら漂います。

♪One more drink 何か飲ませて 明日につながるように うまく酔わせて♪という一節に漂う退廃的な色合いは、どこか遠くの国の出来事のように見えつつ、日本のどこかから染み出した声にも聞こえます。1997年といえば…と言うのは評論家気取りでしょうか。ただ、「世相を反映した歌詞」と評するのは少し違う気がします。

さまざまな顔、さまざまな場所。「FACES PLACES」の歌詞は、小室さんのアンテナが感じ取ったものを言語化して、音に乗せて、声に混ぜた結果です。顔と場所を入れ換えれば、あらゆる人に、あらゆる時代に当てはまる言葉なのではないでしょうか。20年近く経った今、これらの言葉から僕らは何を感じるのか。昔の自分を重ねるのか、あるいは今の自分を重ねるのか。1997年に刻まれた言葉は、今もなお、聴き手の記憶をかき乱すように絡み付いてきます。

inthecube: [PART1] Rolling Stone Japan Edition Vol. 101 小室哲哉インタビュー
inthecube: [PART2] Rolling Stone Japan Edition Vol. 101 小室哲哉インタビュー

2015.11.11
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by mura-bito | 2015-11-11 21:07 | Music | Comments(0)
[PART1] globe – FACES PLACES
FACES PLACES

FACES PLACES

globe


globeの『FACES PLACES』は自身が制作した音楽の中で最もロックだと小室さんは語りました。音が最大級にロックなのか、それとも精神の面でロックなのか。それを確かめるべく、20年のタイムラグを飛び越えて、一枚のアルバムに込められたエネルギーを感じ取ってみましょう。

今の僕にとって『FACES PLACES』は新作のような存在ですね。リリースされた頃は何となく敬遠しており、シングル曲の「FACE」と「FACES PLACES」の違いすら認識していなかったほどです。そんな感じでしたから、こうして今改めて聴くと、初対面のような気持ちで向き合うことができます。20年越しのファースト・インプレッションをここに刻みます。

この3人ならTMでもできない、もっと露骨なロック感を出すものができるのかなって。象徴的なのがセカンドアルバム『FACES PLACES』(97年)で、僕の歴史のなかで一番のロックアルバムです。

小室哲哉
1万字インタヴュー 小室哲哉 – Rolling Stone Japan Edition Vol. 101

『FACES PLACES』のサウンドは、エレクトリック・ギターとスネアの音が大きな特徴です。随所でパーカッションの音が響き、身体に突き刺さるサウンドを構成するパーツとして、的確に機能しています。例えば、僕は「Because I LOVE the NIGHT」や「Anytime smokin' cigarette」のアレンジに惹かれました。

Because I LOVE the NIGHT」は、とても生っぽいと言うか、荒削りな質感のあるアレンジですよね。1970年代ロックへの敬意と憧憬が入り混じってぶつかり合って生まれた曲のような気がします。イントロから鳴り続けるギターのリフはその歪み具合がむしろ心地好く、サビメロのシンプルなリフレインはぐるぐると回る狂気の言葉のサークルを描きます。

パーカッションのプレゼンスが大きい曲です。攻めるパーカッションと言うべきか。コンガの硬い音が曲を貫き、ギターに絡みついて、曲に漂うスリリングな空気を一際濃くします。そして、最後のサビのリフレインでは、ブルースハープがボーカルやコーラスに絡みつきます。この音がまたいい味を出しており、高揚感をキープしたまま最高のエンディングを迎えます。

艶っぽい、色気のある音で独特の空気を生み出しているのは「Anytime smokin' cigarette」です。リズムの魅力を存分に味わえます。ひとつひとつの音からは夜のワンシーンが浮かびます。夜の隙間、夜の灯り、窓から差し込む夜の光。どこにでも行けそうな、しかしどこにも行けなさそうな光がカーテンの隙間から差し込み、部屋を断ち切る。二人を断ち切る。夜を断ち切る。

この曲からも1970年代カルチャーの空気というか、洗練される前の泥臭さを感じます。とてもクールなんですが、滲むような汗を感じる。ギターとスネアがメインの印象を作り出し、少し後ろに下がった位置でパーカッションやブルースハープの音が響いて、聴き手を曲の世界に吸い込みます。エンディングは音がシンプルになり、まるで夜明けを迎えたかのようなイメージが浮かびます。灰皿に残る吸い殻が、夜を記憶する唯一の存在です。

inthecube: [PART1] Rolling Stone Japan Edition Vol. 101 小室哲哉インタビュー
inthecube: [PART2] Rolling Stone Japan Edition Vol. 101 小室哲哉インタビュー

[PART2] globe – FACES PLACES

2015.11.10
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by mura-bito | 2015-11-10 21:42 | Music | Comments(0)
globe – still growin' up (Music Video)


globe – still growin' up

globeの「still growin' up」は1999年にリリースされましたが、僕は『Remode 1』* で初めて聴きました。このアルバムはglobeの曲を小室さん自身が2015年の音でリミックスしたものです。「still growin' up」は終始トップスピードで疾走するエレクトロになっています。

ふとしたきっかけで、デビューした頃のglobeをApple Musicで聴いていくうちに、「still growin' up」のオリジナルにも出合いました。『Remode 1』でのリミックスの印象がとても強かったため、オリジナルもハウスやテクノの尖った音や隙間のない四つ打ちで構築されていると想像しましたが、そうではなく、むしろシンプルでした。音としては軽くてシンプルなのですが、構成がJ-POP(あるいは歌謡曲)らしくなく、いわゆる洋楽のつくりをしています。Aメロ、Bメロ、サビという区分けではなくて、VerseとChorusで構成されています。

曲はポエトリー・リーディングとラップの境界に位置するような、KEIKOとMarcの掛け合いから始まります。言葉が交差することで、曲のスピードが増しているのがおもしろい。もともとテンポも速めですが、二人の掛け合いが体感速度を高めています。ぐんぐんとスピードを上げて駆け抜ける中、ふっと足元が抜けたかのように宙に浮いて、サビに相当するメインのフレーズが飛び出します。

音のシンプルさがボーカルのアプローチを際立たせています。Marcとの言葉の応酬はKEIKOならではの雰囲気が出て、それがこの曲のオリジナリティになっています。また、♪We are still growin' up♪と繰り返す部分は聴くほどに好きになりますね。かなりの高音なのでシンガロングするのは難しそうですが、♪Ah Ah♪に合わせてハンドクラップで参加したい。(・∀・ノノ☆☆

* inthecube: [PART2] globe – Remode 1

2015.10.28
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by mura-bito | 2015-10-28 21:23 | Music | Comments(0)
[PART1] Rolling Stone Japan Edition Vol. 101 小室哲哉インタビュー
Rolling Stone JAPAN EDITION VOL. 101

ローリングストーン日本版 2015年9月号

セブン&アイ出版


日本版『Rolling Stone』の2015年9月号の表紙を小室さんが飾っています。ネイビーに光るサテンのシャツを着て、RolandのシンセサイザーJD-XAとともに写っています。衝撃の恰好良さです。特集は1万字と銘打ったインタビューに加え、globeのマークやKEIKOの言葉も載せた、ボリュームのある企画です。あっ、木根さんが小室さんのことを愛を込めて語ったインタビューも掲載されていますよ。
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表参道の改札口に貼られた広告

小室さんのインタビューでは、globeのリミックス・アルバム『Remode 1』に絡めつつ、音楽に対する今の姿勢が明らかにされます。TM NETWORKの活動は区切りがついたので、globeを中心とした話が展開されます。KEIKOの状態が音楽活動をするには困難なので無理はできないと理解しつつも、その一方で彼女の声に乗せて今の言葉を届けたいという音楽家としての表現欲求を滲ませます。身体的な病気であれば時間がある程度は解決してくれますし、ライブは無理でもレコーディングならできる可能性はあります。しかし、本人に歌う意思がなかったり、歌い方の記憶を失くしていたりするそうです。夫として、音楽家として、さまざまな思いが錯綜していることが行間から読み取れます。思いの深さを外野から測ることはできませんが、決して浅くはないだろうということは容易に想像できます。

それまでの歌謡曲の大作家の先生の詞は、文芸から見たら素晴らしいけれど、演歌も含めて男目線というか、女性があまりにも可哀想だなという歌詞で、僕は納得していなくて。

小室哲哉
1万字インタヴュー 小室哲哉 – Rolling Stone Japan Edition Vol. 101

話は1990年代の音楽ブーム(CDブームであり、大規模コンサートの隆盛期)に及び、とりわけ小室さんが書いた詞にフォーカスします。読んでいて思い浮かんだのは「小室さんが歌を届けたかった人たちは、どのように受け取っていたのだろうか」ということです。みんなで盛り上がっていても、ひとりになると、ふと寂しさがやってくる。楽しいことは楽しいのだけど、その余韻は長く続かず、気づけば小さな孤独が目の前にぽつんと立っている。そんな気持ちを曲に乗せて届けていました。曲を聴き、歌詞の世界にダイレクトに触れていた方たちは、何を感じていたのでしょうか。層ではなく、個人として、何を思っていたのか、そして今は何を思うのか。

でも僕が書いてきたのは長い期間の孤独ではなく、"ここを出た後どうしよう" という切迫した孤独がテーマだったから。

小室哲哉
1万字インタヴュー 小室哲哉 – Rolling Stone Japan Edition Vol. 101

このロング・インタビューを読んだ後、ふと思い立って再生したのは『Remode 1』に収録されている「FACE」です。心に響くメロディだなあと思いながら、当時はほとんど意識していなかった歌詞に注目します。♪顔と顔を寄せ合い 慰め合ったらそれぞれ/玄関のドアを ひとりで開けよう♪という歌詞が心に残ります。見えない孤独とは、こういうことを言うのでしょうか。深いところにあるというより、すぐそこにあるのに捕らえきれない気持ち。小室さんが書いた詞の役割は、孤独を救うのではなく、孤独を「掬う」ことだったのかもしれません。

[PART2] Rolling Stone Japan Edition Vol. 101 小室哲哉インタビュー

2015.08.16
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by mura-bito | 2015-08-16 22:18 | Music | Comments(0)
[PART2] globe – Remode 1


globe – Remode 1 (DISC2)

『Remode 1』はDISC1とDISC2に分かれています。今回はDISC2に収録されている曲から3曲をピックアップして、音の印象を書き残すことにします。エレクトロ系のアプローチは、幅広いようでいて、意外と定型的であり、けれども分かったようなことを言っていると意外な角度から切り込まれます。その驚きと感動を、今回挙げた3曲に感じました。こうした体験を繰り返すと、いつまで経っても音楽的好奇心が尽きないんですよね。

SHIFT
シンセサイザーの音で繰り返されるサビメロがとても気持ちいい。この曲はRemodeされることで、印象が180度と言ってもいいくらいに、がらりと変わりました。プログレッシヴ・ロックを思わせるダイナミックな展開、そしてそれと交錯するEDM的なアプローチがとても印象的です。しっかりと重心をキープしながらも、鮮やかに姿を変えてみせます。

garden
DUBSTEPの要素を含む、エッジの効いた音で始まります。もともとトランスで作られたからでしょうか、今の音を埋め込まれてもダンス・ミュージックとしての気持ち良さは変わらず、むしろ群を抜いています。ボーカルはほとんど楽器の一部として組み込まれ、機能しています。ウォータースライダーに乗っかるように、エレクトロニック・サウンドの流れに身を任せてみましょう。

still growin' up
縦横無尽に空を飛ぶ、そんなイメージがぴたりと合う音の組み合わせですね。曲を3種類のパーツに分けると、ボーカル、ラップ、インストとなるわけですが、互いを引き立てるように配置されています。四つ打ちを背景に流れていくサビメロのリフレインは、聴くほどに惹き込まれていきます。ポップスとは異なる、ダンス・ミュージックの楽しみ方ですね。印象的なフレーズが記憶もろとも身体に刻み込まれます。

[PART1] globe – Remode 1

2015.08.07
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by mura-bito | 2015-08-07 21:24 | Music | Comments(0)

fujiokashinya (mura-bito)
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