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音楽と物語に関する文章を書いています。
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タグ:START investigation ( 25 ) タグの人気記事
IR2: Investigation Report 2 on BCCKS
http://bccks.jp/bcck/123189/info

2013年のライブ「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」について書いた文章を編集して、ひとつのデータにしました。ステージを観た記憶、ブルーレイ・ディスクの記録、そして自分のイメージをミックスしています。「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」は、2012年のライブ「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」から始まった物語を構成するピースのひとつです。
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「ブクログのパブー」で作成したもの(http://p.booklog.jp/book/83492)をベースにして、「BCCKS(ブックス)」でデータをつくりなおしてアップしました。ブクログのパブーでは横書き、BCCKSでは縦書きで読むことができます。

2014.06.22
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by mura-bito | 2014-06-22 10:13 | Music | Comments(0)
IR2: Investigation Report 2 on Puboo
http://p.booklog.jp/book/83492

2012年の「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」についてまとめた『Investigation Report』に続いて、2013年の「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」を題材にして書いた『IR2: Investigation Report 2』をEPUBデータにしました。こうして冊子の形式にすると、自分が書きたかったことが明確になりますね。書いていて楽しかったです。
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2014.04.10
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by mura-bito | 2014-04-10 22:13 | Music | Comments(0)
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation- (OUTRO)
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK


「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」は、2012年の「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」を引き継ぐ物語でした。組み立てられたプロットの隙間は、観察者である観客の想像が補います。少なくとも自分にとっては楽しい作業ですし、こうしてイメージにイメージを重ねることでこの物語に深くコミットできたことを嬉しく思います。ステージで展開される物語を文章に起こしたり、会場で響くEDMサウンドを文字で表現したりするのは実におもしろい。Blu-rayをBGMのように再生しながら文章を書いていると、ライブの時には分からなかったことがいくつも判明しますし、何度も観ることで新たな事実を発見します。素材を一度ばらして、新たな素材を加えて文章にまとめることは、評論でも情報拡散でもない、いわばリミックスに似た試みです。

セット・リストを追いながら、文章は右へ左へ、脱線とも言える寄り道をします。ライブで披露されたほとんどの曲にはオリジナル・バージョンがあり、それらが収録されているアルバムがあります。そのレコーディングに関するエピソードやクレジットを差し込んだわけですが、いくつかは小室さんのインタビューから得ました。『Keyboard magazine』に掲載されたインタビューを集めた電子書籍が2013年にリリースされており、やはりこういう記事はアーカイブとして重要だなぁとつくづく思います。後世の人間にとって価値があるかないかは、そのときになってみないとわからないものです。

『DRESS』に関する記述はアルバムのクレジットの情報をつなぎ合わせたものです。このアルバムを引き合いにしようと思ったきっかけは、現在のNile Rodgersの活躍ですね。彼とDaft Punkがコラボレイトした曲は、2014年のGrammy賞に選ばれました。AVICIIの曲でもあの特徴的なギターを披露しており、ダンス・ミュージックを語る上で外せないミュージシャンなのではないかと思い、自分の文章に組み込みました。現在と過去をつなぐために文章を書くのも、これまた魅力的な行為です。

フィクションとフィクションのつながり、重なり、交わり。木根さんがまとめた小説『CAROL』を再読したところ、プロローグの部分に強く惹かれました。ロンドンの街中を歩くキャロルの姿がビビッドに描写されており、駅の名前やサッカー選手の名前が物語を立体的に浮かび上がらせています。Blu-rayで目にしたいくつかの演出と、改めて読んだ『CAROL』の内容をミックスすることで、現実世界のロンドンにも「CAROL」という物語があったのかもしれないと思うようになりました。「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」におけるCAROLの部分は、1988~1989年の焼き直しではありません。ロンドンに潜伏したTM NETWORKはひとりのブロンドの少女に出会っていたのではないか。イメージは尽きません。

1950年代のアメリカの風俗に興味が生まれたのも収穫です。偶然ながら、これを書いている時期にレイモンド・チャンドラーの作品を立て続けに読んでおり、ある部分では意図的に自分の文章に反映しました。フィリップ・マーロウが活躍するシリーズはロス・アンジェルスが舞台になっています。「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」のような田舎町とはもちろん違いますが、「同じ時代に存在していた人間」は意識してもいいかなと思いました。オノ・ナツメの漫画『not simple』に出てくるダイナーも、少なからず意識の片隅にありました。ここで生活を営む人々の表情や会話を自分なりにイメージしながら、裏のレイヤーとして、物語に重ねていきます。

2014年を迎え、「TM NETWORK 30th FROM 1984」と題した活動が始まります。Season 1からSeason 3までが予定されており、Season 1はシングルとリプロダクション・アルバムのリリースから始まり、同じタイミングでライブ・ツアー「the beginning of the end」を行ないます。物語は更新され、新たな世界が我々の前に広がるでしょう。音に含まれた物語はネットワークに乗って拡散していきます。インターネット、ソーシャル・ネットワーク、そして人と人のリアルなつながり。どのような物語が提示されるのか、そしてどのような音楽を聴けるのか、ネットワークを通じて少しずつ公開される情報がイメージと期待を膨らませます。OUTROが次の曲のINTROを呼び、つながっていくのです。

INTRO
START INVESTIGATION (PART 1)
START INVESTIGATION (PART 2)
ON THE EARTH (PART 1)
ON THE EARTH (PART 2)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 1)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 2)
CAROL SUITE (PART 1)
CAROL SUITE (PART 2)
DINER (PART 1)
DINER (PART 2)
PROPHETS (PART 1)
PROPHETS (PART 2)


2014.03.02
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by mura-bito | 2014-03-02 18:38 | Music | Comments(0)
PROPHETS (PART 2) – TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK


INTRO
START INVESTIGATION (PART 1)
START INVESTIGATION (PART 2)
ON THE EARTH (PART 1)
ON THE EARTH (PART 2)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 1)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 2)
CAROL SUITE (PART 1)
CAROL SUITE (PART 2)
DINER (PART 1)
DINER (PART 2)
PROPHETS (PART 1)


PROPHETS (PART 2)

暗転。音も光も姿を消した数秒の空白が漂います。何が起きるのか皆目見当もつかない状況で、観客の視線と期待は暗闇に包まれたステージに注がれる。スネアの音が鳴り、ギターのリフが鋭く響き渡ると、白い光がステージ後方から放たれます。光は両手を掲げるウツのシルエットを描き出し、そして観客を照らします。青空から注ぐ太陽の光のように透き通り、そして力強く輝く光は、"Yes I am Yes I am Yes I am a human" と歌うフレーズのリフレインにぴたりと合う。

2012年の活動再開に合わせて制作された「I am」 は、2013年には新たなアレンジを施され、「Green days 2013」とともにシングルとして販売されました。「I am 2013」と題したこのバージョンは、四つ打ちのリズムの印象が強くなり、ダンス・ミュージックに寄ったと言えます。それでいてインパクトを残すのは分厚いギター・サウンドですね。いったいどれだけのギターが鳴っているのでしょう。オリジナルでは少し奥の方に立ち、シンセサイザーを支えていたギターが、2013年のバージョンでは前に出てきています。ボーカルとギターとシーケンサーが並列になっているミックスだからかもしれません。ギターで参加しているのがLimp Bizkitに所属していたMike Smithだからでしょうか、分厚いギターの音が鳴り続けるヘビー・ロックのようにも聞こえます。

ライブではTM NETWORKの3人が歌い、声によるトライアングルを形づくります。小室さんと木根さんが "Yes I am Yes I am Yes I am a human" のリフレインを歌い、ウツと小室さんがツイン・ボーカルのように歌い、そして3人が声を重ねる場面もありました。役割や楽器の担当を超えたところにある、3人の存在を強く感じる曲です。3人の声を結ぶトライアングルはTM NETWORKの原点であり、同時に現在を示す要素でもあります。

歌詞は聴く人のイメージによって形を変える言葉で構成されています。言葉の行間をじっと見つめ、浮き上がってくるものを捕らえてみましょう。一人ではなく、何人かがどこかを歩いている情景が思い浮かびます。誰かが遅れて足並みがそろわずとも、そのことを嘆いたり遅れた者に早く来るよう促すのはなく、そこまで戻って手を差し出し、もう一度歩き出せばいい。一緒に歩いていけばいい。人間は一人では歩いていけないけれど、とはいえみんなが同じ歩調で前に進めるわけでもない。もどかしさを抱えつつ、行きつ戻りつ、何とか目の前の道を歩いてゆく。「RESISTANCE」が個としての強さを歌う曲ならば、「I am」はつながりによって生まれる強さを歌います。

サイレンに似た音が会場をぐるりと回るように鳴り、ディレイしながら沈黙します。再び鳴り始め、再びフェイドアウト。それに合わせて、テクニカルに刻むギターの音が聞こえます。バンナさんが弾くフレーズは「LOVE TRAIN」です。ソフト・シンセが歪んだDUBSTEPサウンドを放ち、音が厚みを増してゆく中、TM NETWORKを乗せてきた電車が再び姿を現わします。ばらばらにされた音が集まり、輪郭が浮かび上がり、イントロが鮮明な像を結んで走り出します。

「LOVE TRAIN」は「GET WILD」と並ぶTM NETWORKの代表曲ですね。リリース当時の1991年はTMNという名称で活動していましたが、CDの売り上げも全国ツアーも規模の大きさが目立ちました。日本の音楽業界全体が伸び始めた時期でもあり、「LOVE TRAIN」はそうした時代の流れをキャッチアップすべく世に出たと言っても過言ではない。その一方で、小室さんはこの曲のリミックスを何度か制作しており、クラブというアンダーグラウンドなマーケットにも目を向けていました。ライブでの盛り上がりを約束するヒットソングでありながら、新たなリスナーを求め、新たな場所に向かって走る曲でもあるのかもしれません。

曲のエンディングからバトンを受け継ぎ、シンセサイザーのメロディが流れます。「FOOL ON THE PLANET」のイントロの一部が切り取られ、ループしています。乾いた音が延々と鳴り続ける中で、TM NETWORKの3人は互いに目を合わせ、意思の疎通を図ると、地球を去る準備を始めます。ウツ(の姿をした潜伏者)とキャロル(あるいは町に住む女の子)の目が合います。彼女は手を差し出すけれども、それを目にしたウツは、言葉を残すことなく歩き去ります。木根さん(の姿をした潜伏者)は、町の住人の顔を見渡します。そして、電車のドアが開くとまばゆいばかりの光があふれ出し、TM NETWORKの3人は光の中に向かいます。3人を呑み込んだ光は輝きを強め、シルエットも見えなくなっていく。ドアが閉じ、電車が走り出します。行く先は遠い宇宙の果てか、終わりの始まりを告げる場所か。「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」はTM NETWORKの帰還をもって、その幕を降ろしました。

2014.02.24
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by mura-bito | 2014-02-24 21:56 | Music | Comments(0)
PROPHETS (PART 1) – TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK


INTRO
START INVESTIGATION (PART 1)
START INVESTIGATION (PART 2)
ON THE EARTH (PART 1)
ON THE EARTH (PART 2)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 1)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 2)
CAROL SUITE (PART 1)
CAROL SUITE (PART 2)
DINER (PART 1)
DINER (PART 2)


PROPHETS (PART 1)

戦火を逃れて走る女の子は泣き叫ぶ。どうすることもできず、ただ怯えるばかりの老人。ウェイトレスの格好をした女性は足をとられたのか、それとも恐怖ゆえか、その場にしゃがみ込む。銃を構えた屈強な男性たちが汗を浮かべて駆け回り、引き金を引き、銃身で殴りつける。こんなはずではなかったのにと、IPたちは嘆きます。自らのコミュニティに入り込まれることを拒み続けた人々は、ついに銃を手に取り、相手に突きつけ、自らを守り、相手を追い出そうとします。彼らは心を閉ざし、自分たちのテリトリーに固執し、境界線を曖昧にぼかそうとする者を排除します。銃声が止んだとき、夜は終わろうとしていました。

鳴り響くメロディは「DAWN VALLEY」。シンセサイザーの音で、物憂げなメロディを奏でます。オリジナルでは小室さんのピアノが奏でる旋律にシンセサイザーの紗のような音が絡み、Jerry Heyというトランペッターのフリューゲル・ホーンがソロ・パートを演奏します。1987年の『humansystem』で吹き込まれたインストゥルメンタルです。録音がロス・アンジェルスで行われたことも影響しているのでしょうか、TM NETWORKには珍しいジャズへのアプローチが見られますね。

「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」ではシンセサイザーの悲しげな音がテーマ・メロディを奏でます。重なるソフト・シンセの音が沈む気持ちに拍車をかけます。小室さんがJUPITERでホーンをイメージした音を奏でると、夜明けに向かうというよりは、夜の闇が一層濃くなった気がします。うまくやれると信じていただけに、IPたちの失望はこの上なく大きく、表情がそれを物語る。どこでボタンを掛け違えたのか、それとも最初から歯車は噛み合っていなかったのか。

きっかけはIPだったのでしょうか。それとも、IPの訪れは時代の流れとシンクロしたに過ぎないのか。いずれにしてもIPの目の前に広がっていたのは、外の世界から来る人間を拒絶する人間の姿です。自分たちの生活を、考え方を変えられてしまうかもしれない。ある程度までは許容できるけれども、越えるべきではない境界線は確かに存在する。そのラインを踏み越えようとしたとき、冷たい銃口が突きつけられます。たとえその持ち主が内心は怯えているだけだとしても、一度火を吹けば、ものごとは決定的に、致命的に損なわれる。

光の当たる面があれば、陰になる部分が必ず生まれます。人と人が向き合ったとき、微笑み合うこともあれば、眉をひそめてにらみ合うこともある。IPの任務は地球の人々が何を考え、どのように生きているかを調査することです。光の面だけに目を向けることは、遂行すべき任務の半分に過ぎません。こうして、調査報告書に記載すべき項目が増えました。IPは何を思い、町に背を向けたのか。それを読み取るには、あたりに残る夜の闇はあまりにも濃く、銃声の残響をはらんでいました。

TM NETWORKが地球を去る時間が迫ってきました。最後に彼らはメッセージを残します。それはタイムマシンに乗って未来を見てきたゆえの警鐘であり、ループするリズムのように繰り返される人々の営みであることを綴っています。平和と争い、崩壊と再生は繰り返され、その中で人間はこれからも生きる。それはTM NETWORKの調査結果から導かれた法則であり、善でも悪でもない。過去の人間からすれば予言に見えますが、通奏低音のように地球を貫く人々の営みなのです。メッセージを携える曲は「RESISTANCE」と「I am」。

ソフト・シンセを軸にしてつくったと思われるエレクトロニック・サウンドのフレーズが、リズムを伴なってループを始めます。無機質なサウンドは、トランシーバーやテレビが発するノイズにも似た音を含みます。やがてシンセサイザーの音が並走し、さらにその後でしばらくしてからエレクトリック・ギターが重なることで曲の全体像が鮮明に描き出されます。「RESISTANCE」は1987年のアルバム『humansystem』に収録され、世に出ました。

自分を貫き、自分を押し潰そうとするものに抵抗することを歌います。不当な支配か、世間の圧力か、交流を避ける無気力か、抗う対象は聴く人がイメージします。物語の文脈に流し込んでこの曲のメッセージを考えてみましょう。これから訪れる未来には、幾多の困難が向かい風のように吹きつけ、前に進もうとする足を止めます。物語の登場人物のみならず、人間そのものの営みに組み込まれたプログラム。そのような状況の中でも一歩ずつ進まねばならないし、進む気持ちを抱き続ける必要がある。それは孤独な戦いを強いられることになるかもしれません。それでもなお、タフな心を持つことが求められる。

2014.02.23
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by mura-bito | 2014-02-23 17:51 | Music | Comments(0)
DINER (PART 2) – TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK


INTRO
START INVESTIGATION (PART 1)
START INVESTIGATION (PART 2)
ON THE EARTH (PART 1)
ON THE EARTH (PART 2)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 1)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 2)
CAROL SUITE (PART 1)
CAROL SUITE (PART 2)
DINER (PART 1)


DINER (PART 2)

ソフト・シンセの音が空間を引き裂き、強烈なビートが観客の身体を直撃します。曲は「COME ON EVERYBODY」。オリジナルは1988年の『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』に収められ、先行シングルにもなっていますが、物語とは直接関係のないダンス・ミュージックです。むしろ、その後にリリースされた『DRESS』に近く、このアルバムにはNile Rodgersがプロデュースとギターを担当したバージョンが収録されています。

「COME ON EVERYBODY」は2012年のライブ「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」でも披露され、途中で「COME ON LET'S DANCE」を含む構成も前年を踏襲していますが、今回はエレクトロニック・サウンドの印象が強まっています。1986年に発表された「COME ON LET'S DANCE」のオリジナルはファンクの要素を含んでおり、1989年にはやはりNile Rodgersの手でよりファンキーな音になりました。ダンス・ミュージックのDNAなるものがあるとすれば、それはこの2曲に埋め込まれているのかもしれません。その時代に息づくダンス・ミュージックのスタイルを身にまとい、常に観客をあおり、踊らせる。タフな曲です。

曲間に空白はありません。リズムがループする中、小室さんの両手はソフト・シンセとSledgeに置かれます。Sledgeはチェンバロにも似た音を奏で、少しずつエレクトロニック・サウンドの角を取って丸くしてゆく。重厚なベースがゆるやかに響き渡り、曲の輪郭を浮かび上がらせます。バンナさんのギターは同じフレーズを職人的に刻みます。バンナさんは1990年代後半に小室さんのプロデュース・ワークを支えたミュージシャンのひとりであり、このライブではやや裏方に近いポジションでサウンドを支えています。このループするギターの音がとても心地良いんですよね。

音がカットアウトしてスポットライトがウツをとらえます。光の中でウツが観客に向かって短くメッセージを発すると、その瞬間に演奏も歓声も一際大きくなり、「BE TOGETHER」が走り始めます。アメリカ大陸のように1999年のカバー・バージョンで「発見」されたこの曲は、主にライブの後半で観客を盛り上げるポジションを確立しました。木根さんはステージの端まで走り、ギターをかき鳴らします。葛Gが奏でるギターが、Indigo Redbackで弾く小室さんのソロ・パートが、そしてウツのサビ・メロのリフレインが観客をヒートアップさせる。

一気に駆け抜けた「BE TOGETHER」の余韻にひたる間もなく、小室さんのサウンド・ラボラトリーのドアが開きます。マウスを動かしてソフト・シンセ上で音をコントロールし、DUBSTEPの要素を埋め込んだサウンドを呼び出す。Ruyの叩くビートと、バンナさんのギターのリフが重なると、EDMとロックが衝突し、次第に融合していきます。TM NETWORKの代名詞である「GET WILD」は、数々のリミックス、そしてライブアレンジで新たな存在にシフトしてきた曲であり、変わり続けるTM NETWORKを象徴する曲です。

2013年の時点ではTM NETWORKの曲はDUBSTEPに染まっておらず、あくまでもそのパーツを移植する、という状態でした。世界を席巻するDUBSTEPサウンド、例えばSKRILLEXに近いものを加えると、おそらくバランスが一気に崩壊する。振り返るに、小室さんの曲はユーロビートにせよテクノにせよ、彼のフィルターを通した音が使われます。「良くも悪くも無国籍料理になる」とは本人の弁ですが、バランスを保ちながらジャンルを横断することで、曲に心地よさが生まれる。TK DUBSTEP MIXとも言うべきサウンドは、DUBSTEPの入り口としても楽しめるし、他のジャンルとDUBSTEPのミクスチャー・サウンドとしても楽しめます。

2013年版の「GET WILD」はiTunes Storeで配信された『DEBF EDM 2013 SUMMER』で聴くことができます。ライブで使った音を下敷きにして、生演奏の部分を打ち込みやソフト・シンセに置き換えているため、よりEDMらしくなり、そしてDUBSTEPの色が濃く出ています。かつて小室さんが傾倒していたトランスを想起させる音も使われており、シンセサイザー・ミュージックのターミナルと表現できるサウンドに仕上がっています。

ライブは「GET WILD」をひとつのピークとします。「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」は、物語を軸に据えた演劇的アプローチをとっていると同時に、当然ながら、歌い、踊るというロックやポップスのライブでもあります。後者のピークは「GET WILD」が担い、その役割は充分に果たしました。短くサイジングされたコーダの後、わずかな音が残る中でステージが暗くなります。物語がエンディングを目指して、ゆるやかに発進します。

2014.02.12
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by mura-bito | 2014-02-12 22:47 | Music | Comments(0)
DINER (PART 1) – TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK


INTRO
START INVESTIGATION (PART 1)
START INVESTIGATION (PART 2)
ON THE EARTH (PART 1)
ON THE EARTH (PART 2)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 1)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 2)
CAROL SUITE (PART 1)
CAROL SUITE (PART 2)


DINER (PART 1)

アメリカのどこにでもありそうな、こぢんまりしたダイナー。そこにテンガロン・ハットをかぶり、ギターを下げた男性がスツールに座り、飲み物を前に時間をつぶしています。そこにIPたちが姿を見せ、何やら親しげに挨拶を交わす。彼らは何とか地元の人々の生活にとけこめたのでしょうか。たとえ異分子だったとしても、音楽を介せば、境界線はいとも簡単に越えられるのかもしれません。本質的な解決ではないかもしれないけれど、近づくきっかけとなり、入り口には立てる。ギタリストが音を出し、音楽が生まれます。

物語「CAROL」の世界から一変して、ギターの「葛G」こと葛城哲哉、「バンナ」こと松尾和博、ドラムスのRuyという3人のサポート・ミュージシャンが加わり、ステージはロック・ショーの雰囲気に包まれます。木根さんが葛Gに近寄り、挑発するように手にしたブルース・ハープを鳴らします。にやりと笑う葛Gはバンドに合図を送り、Ruyのカウントで即興演奏が始まりました。ギターとブルース・ハープがせめぎ合うジャム・セッション。スツールのひとつに座るウツは2人の音楽的やりとりを眺め、楽しそうにあおります。木根さんは小室さんのブースにも近づき、小室さんもソフト・シンセでピアノの音を鳴らして応えます。やがて、演奏は木根さんのジャンプで締められます。

エレクトロのビートが鳴り始め、きらびやかなシンセサイザーのフレーズがそれに重なります。葛Gのエレクトリック・ギターも加わり、次第に音が曲の輪郭を浮き立たせていきます。それと気づいたとき、観客席が沸きます。ライブで歌われることはないと思われていた曲が、リリースから20年を経て披露されました。タイトルは「一途な恋」。TMNとして発表された、1993年のシングルです。その頃に始まったプロジェクト「trf」と同系統の音、すなわちテクノ(小室さんというフィルターを通したテクノ)で構築されたサウンドに、日本語の歌詞をのせた曲です。ウツと木根さんが交互に歌い、音はソフト・シンセの音を絡めたEDMサウンドが鳴り響きます。

ダンス・ミュージックのリズムに合わせて、IPたちは身体を揺らし、手を打ち鳴らします。ダイナーで働くウェイトレスも仕事の合間を見つけては音楽に身を委ねます。IPたちが去ると、スーツ姿の男性と少女がやってきて飲み物と音楽を楽しんで、去ってゆきます。ある場面では、警官もやってきて、ウェイトレスと親しげに言葉を交わします。TM NETWORKのヒット曲が次々と披露され、ダイナーの客も、演奏するバンドも、そしてもちろん観客もみんなが音楽を心から楽しみます。

TM NETWORKの曲を、2013年のEDMサウンドでリミックスする。時代を越えて、いくつかの曲が集められ、ノンストップミックスのようにメドレー形式で演奏されます。「一途な恋」に続き、真夏の太陽、真夏の夜の花火が似合う「DIVE INTO YOUR BODY」が会場のボルテージを上げます。光がぐるぐると回り、踊り尽くせと言わんかりに観客をあおります。1989年にリリースされたこの曲は、当時のダンス・ミュージックのひとつ、すなわちユーロビートのサウンドに満ちていました。シングルになる前の原曲はサンバ調のラテン・ミュージックだったそうで、メロディに漂う底抜けの明るさはそこに起因するのかもしれません。

1989年のアルバム『DRESS』に「DIVE INTO YOUR BODY」は収録されていませんが、同系統のサウンドで構築されています。『DRESS』は、Nile RodgersやBernard Edwards、Jonathan Eliasといったプロデューサーがボーカル以外の音を自由に料理した曲を集めたリミックス・アルバムです。当時のニューヨークとロンドンで録った音が聴ける音楽ライブラリとして、とても貴重だと思います。リアルタイムで体験していないため、この音が当時の日本でどのように聴かれていたのか知る由もないのですが、相当尖った部類に入るのではないでしょうか。

なお、「DIVE INTO YOUR BODY」のオリジナルはPete Hammondがミックスを担当しています。彼は『DRESS』に収録されている「GET WILD '89」のプロデュースおよびミックスを手がけています。Kylie MinogueやDead Or Aliveのサウンドを支えたエンジニアであり、そのエッセンスがTM NETWORKにも取り入れられました。イギリスから発信され、世界を席巻したサウンドがTM NETWORKを媒介のひとつにして日本に流れ込んだのです。

2014.02.11
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by mura-bito | 2014-02-11 18:24 | Music | Comments(0)
CAROL SUITE (PART 2) – TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK


INTRO
START INVESTIGATION (PART 1)
START INVESTIGATION (PART 2)
ON THE EARTH (PART 1)
ON THE EARTH (PART 2)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 1)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 2)
CAROL SUITE (PART 1)


CAROL SUITE (PART 2)

「A DAY IN THE GIRL'S LIFE」の最後の音を引き継いで、「CAROL (CAROL'S THEME 1)」が始まります。物語を貫くテーマ・メロディと言える曲ですね。ステージでは幼いキャロルが駆け寄ってきて、無垢な目で物珍しそうに周囲の大人を見渡します。三つ編みをひとつつくり、それを含めてブロンドの髪をひとつにまとめています。見た目の年齢差をそのまま受け取るとすれば、キャロルが異世界を旅する5~6年前ほどでしょうか。自分が持つ力には、もちろん気づいていない。

やがてキャロルは椅子のひとつに座り込み、そっと目を閉じます。木根さん(の姿をした潜伏者)は、彼女に気づくと驚きを隠しきれず、その存在を確かめるように何度も見つめます。何かがその頭の中で駆け巡っている。物語の枠を飛び越えた、ティコとしての記憶か。それともロンドンに潜伏していたときに出会った少女と交わした言葉を思い出したのか。前触れもなくキャロルは目を開き、立ち上がって駆け出します。木根さんも立ち上がり、彼女の後を追いますが、その姿を捉えることはできません。キャロルはどこか別の場所にいます。彼女はメッセージを受け取ったのでしょうか。そして木根さんはGABALL SCREENのひとりとして、メッセージが届いたことを確信したのでしょうか。再び椅子に座り込み、一点を見つめています。キャロルはゆっくりと歩き、幼い微笑みを残すと、くるりと振り向いて去りました。

音が跳ねるように雰囲気を変え、曲は「IN THE FOREST」に切り替わります。異世界に潜り込んだキャロルが最初に見たのは、どこまでも続く深い森。森の中でまずはティコに出会い、そしてフラッシュと顔を合わせます。この世界の主であるマクスウェルに出会うのは敵の居城の中です。闇に閉ざされた森の中であっても、キャロルは希望を捨てません。前に進もうとしているティコたちと知り合い、ともに戦う決意をする場所でもあります。ステージでは表情豊かに、そしてジェスチャーもふんだんに盛り込まれ、活き活きしたパフォーマンスが繰り広げられています。

青く暗い光がステージを包み込み、曲が「IN THE FOREST」から滲むように「CAROL (CAROL'S THEME 2)」に変わります。戦うキャロルの姿を歌う曲を、美しいストリングスの音が飾ります。アルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』ではAnne Dudleyの指揮するストリングス・オーケストラが参加していて、この曲でもその美しい弦のアンサンブルを聴くことができます。そして、キャロルがスポットライトの中に現われ、軽やかに舞い、バレエのステップを踏みます。やがて彼女は立ち止まり、一点を見つめます。そこにはウツ(の姿をした潜伏者)が立っています。彼女はウツに駆け寄り、その手を取ると、ともに奥の方に歩いてゆきます。

静謐な雰囲気が切り裂かれ、ストリングスも激しく扇情的に音を奏でます。ステージでは小室さんがIndigo Redbackをノイジーに弾いて、まるで戦いを表現しているかのようです。ステージ後方のスクリーンには、数多くの写真が次々と映し出され、ウツ、木根さんを含めた人々はその写真に釘付けになります。写っているのはロンドンの景色。数え切れないほどのロンドンの姿が、追えないくらい早く目に飛び込んできます。

突如として音が途切れる。すべての音がミュートし、無音の空間が目の前に広がります。人々は困惑し、耳に手をやって、自分の耳が聞こえていることを確かめる。再び音が鳴る。人々も再びスクリーンに目を向けます。歪んだシンセサイザーの音がうねり、咆哮します。と、またも音が何かによってカットされる。スクリーンには、耳を塞いで苦悶の表情を浮かべる人々の写真が映し出されます。それは音を失って叫んでいるのか、不快な叫び声に耳を塞いでいるのか。音が失われた世界。それは心地よい音が奪われ、不快な雑音に苛まれる世界のことかもしれません。

やがて音が完全に戻り、荒れ狂う音の奔流が途絶え、やわらかなメロディが戻ってきます。ゆっくりと、そして音を慈しむように、「CAROL (CAROL'S THEME 2)」が終わります。すると、マーチを思わせるリズムの中、シンセサイザーが鳴り響きます。このライブのために準備された短いインストゥルメンタルはタイトルを「THE OTHER SIDE OF THE FUTURE」と言います。キャストのひとりが木根さんから黄色い旗を受け取り、ステージを端から端まで走り、目一杯旗を振ります。「CAROL」という物語の一部と捉えるなら、旗は悪魔たちとの戦いに勝った証です。

一方で、この旗は地球の人々が自らの手で争いを解決した、それを讃える勲章と考えることもできるでしょう。すれ違いや衝突は起こるものであり、それをいかに解決するか。TM NETWORKが調査する人々の営みとは、そういったものも含まれています。潜伏者であるTM NETWORKの役割は、あくまでもニュートラルに見守り、調査記録をつけることであり、直接手を出して介入することではない。とはいえ、この28年の潜伏期間の中で、人々に対する(地球の言葉で言うところの)感情が自然に生まれていたのかもしれません。人々の営みを観察してきたTM NETWORKによる、見えない、そして声に出さない賞賛を旗という形で表現した、とも考えられます。

わずかな響きが耳に残る中、キャロルとウツはじっと見つめ合います。スネアの音を合図にして、力強いリズムが鳴り響きます。キャロルは明るい表情で駆け出し、ウツの手を取ってステージの中央まで導きます。ステージからすべてのキャストが去り、TM NETWORKによる「JUST ONE VICTORY」の演奏が始まります。「CAROL」のエンディング・テーマであり、物語を締めくくるにふさわしい、ロック・スタイルをまとうアクティブな曲です。ステージには光が満ちあふれ、バンド・サウンドの分厚い音が駆け巡ります。ワイルドなリズムに支えられたIndigo RedbackとSledgeの音も、伸びやかに勢いよく響く。曲の勢いに煽られたのか、演奏風景をダイナミックにとらえるカメラ・ワークも魅力的です。特に、Sledgeを弾く小室さんを斜めにパンするシーンはかっこいいですね。最後のフレーズを歌い終わると同時に、ウツは手を振り上げ、人差し指を空に向けて突き出す。それに呼応して、観客も一斉に人差し指を掲げます。いくつもの「たったひとつの勝利」が集まり、そして輝いて、「JUST ONE VICTORY」が終わります。

2014.02.10
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by mura-bito | 2014-02-10 22:40 | Music | Comments(0)
CAROL SUITE (PART 1) – TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK


INTRO
START INVESTIGATION (PART 1)
START INVESTIGATION (PART 2)
ON THE EARTH (PART 1)
ON THE EARTH (PART 2)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 1)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 2)


CAROL SUITE (PART 1)

25年前にロンドンで生まれたメロディが空気を震わせ、観客を包み込みます。そのメロディは、今の物語——あるいは過去にとっては未来の物語——に引き寄せられたのか。それとも、過去に綴られた物語が、新たな物語を書いたのかもしれません。先ほどまで観客が目にしていた物語の奥には、過去の物語が潜伏していたのでしょうか。「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」の幕間に、1991年のイギリスを舞台にした物語「CAROL」がリワインドします。物語の幕を上げる曲は「A DAY IN THE GIRL'S LIFE」です。音がにじむように広がり、霧のように観客を覆い隠して、物語の中の物語に誘われていきます。

イギリスはバースという小さな町に住む少女キャロルは、ある日、ロンドンまで足を運びます。彼女の頭の中にあるのは、GABALL SCREEN(ガボール・スクリーン)という3人組のグループが4月21日にリリースした最新アルバムです。グループは数々のヒット曲を生み出しており、最新作も絶賛の声に包まれる…と思いきや、そうではなかった。曲を聴いた誰もが酷評する始末。けれども、彼らの新曲をラジオで耳にしたときから、彼女の胸の奥には、何か表現しようのないものが渦巻いていました。その正体をつかめぬまま、キャロルはアルバムを求めてピカデリー・サーカス駅の近くにあるレコード店に向かいます。

ロンドン・フィル・ハーモニーの一員である父親を、そしてそのチェロの音色をキャロルは誇りに思っています。彼女は、GABALL SCREENのアルバムを聴いてから、ヨーロッパ・ツアーから帰ってきた父親の表情が晴れないことが気にかかります。同時に、彼の部屋からチェロの演奏が聞こえてこないことに思い至りました。そして、日曜日の新聞に書かれた、ビッグ・ベンの鐘の音が鳴らなくなったという記事が彼女の心をざわつかせます。壊れてもいないのに、音が鳴るべき瞬間に音が鳴らない。誰もその謎を解くことができず、ロンドンの人々は答えのないミステリーを見上げては、不思議そうに通り過ぎていきます。

GABALL SCREENの曲は、別の世界からのメッセージでした。そうとは知らずに、キャロルは音を通じてメッセージを受け取り、導かれるままに異世界に紛れ込みます。そこは音が失われ、荒廃した世界です。悪魔の群れがその世界の音を盗み、さらにはキャロルが住む世界の音も奪い、消してしまおうとしています。残すはキャロルが持っている音のみ。キャロルは、悪魔たちの野望に抵抗せんとする3人(ティコ、フラッシュ、マクスウェル)と出会い、ともに戦います。最後の音を守るため、奪われた音を取り戻すため。そして苦闘の末、たったひとつの勝利を手にします。彼らの世界に音と光がよみがえり、キャロルの父親が奏でるチェロの音も、ビッグ・ベンの鐘の音も元の場所に戻ってゆくのでした。

ステージにはミュージカルのような時間が流れます。これまでIPや保安官を演じてきたキャストたちが、一旦仮面を脱ぎ、別の人格としてステージに立ちます。アルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』の中から、物語の骨格ともいうべき曲で構成された組曲が披露され、観客は物語の記憶を巻き戻します。小室さんが自らを取り囲むあらゆるシンセサイザーを弾き、音を重ねていきます。Sledgeを弾き、Indigo Redbackを弾き、ソフト・シンセでいくつもの音色を弾き分ける。

CAROL組曲はこれまでに何度か披露されてきました。中でも、1996年に行なわれた小室さんのソロ・プロジェクト「tk-trap」は雰囲気が異なります。海外で活動するミュージシャンがサックスやパーカッション、コーラス隊として参加しており、ファンクの匂いが漂うバンド・サウンドでCAROL組曲を聴けました。コーラス隊によるタフな歌声は、すべて英語で披露され、その点でもTM NETWORKで演奏されるCAROLとは一味違いました。

「A DAY IN THE GIRL'S LIFE」は物語のプロローグにあたる曲です。物語が動き出す前のイントロダクションかもしれないし、あるいはメッセージを携えたGABALL SCREENの曲とも捉えられます。キャロルという少女は、彼女の住む世界では別段秀でているわけではなく、世界を動かし、変えることなんて想像したこともない。他の人々と異なっていたのは、音に対する感受性が高く、誰もが顔を背けたGABALL SCREENの新曲を受け入れたことです。彼女はメッセージを受け取っていました。特別な存在であること、それは彼女自身も意識していないけれど、キャロルに備わっているのだ、と。「A DAY IN THE GIRL'S LIFE」は歌います。

曲の途中で木根さん(の姿をした潜伏者)が姿を見せ、そこにいる人々と軽く挨拶を交わしながら椅子に座り、おもむろに新聞を広げます。これは「CAROL」と関係があるのか、ないのか。おそらく関係ないでしょう。これは先ほどまでの物語「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」に連なるピースなのではないか、と想像してみます。「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」と「CAROL」が入れ替わりに顔を出し、交差するのではないか。この後もふたつの物語は、境界線を分かち難く進みます。

2014.02.09
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by mura-bito | 2014-02-09 17:07 | Music | Comments(0)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 2) – TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK


INTRO
START INVESTIGATION (PART 1)
START INVESTIGATION (PART 2)
ON THE EARTH (PART 1)
ON THE EARTH (PART 2)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 1)


WE HOPE GREEN DAYS (PART 2)

銃声がもたらした再びの静寂。誰の目にも見えないストーリーテラーは場面を切り替え、TM NETWORKの3人が並びます。ウツがマイクの前にゆっくりと歩み寄り、ひと言、「We hope Green days」と口にします。スネアの音から始まる「Green days 2013」は、テンポをぐっと抑え、サウンドが歌を包みます。力強いスネアが曲の土台をしっかり支え、シンセサイザーの音はひとつひとつの言葉の輪郭を浮き立たせる。

この曲が最初に披露されたのは、2004年のライブ「DOUBLE-DECADE TOUR FINAL "NETWORK"」です。ライブは初期TM NETWORK、TMN、そして2004年のアルバム『NETWORK -Easy Listening-』をフィーチャーした三部構成になっていました。TMNセクションの最後に演奏され、NETWORKセクションへの橋渡しの役割を担ったのが、当時としては新曲だった「GREEN DAYS」です。サポート・ミュージシャン(葛城哲哉、阿部薫、浅倉大介)の素晴らしい演奏に支えられ、2004年の活動を語る上で欠かせない曲となりました。

スタジオ録音版のリリースが望まれたけれども叶わず、映像作品にのみ残る曲になるかと思われていましたが、まったく予期していなかったニュースが飛び込んできたのは2013年。「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」の1週間ほど前のことです。音もボーカルもすべて新たに録音してタイトルを「Green days 2013」とし、会場で販売されるシングルに収録することが発表されました。小室さんが「2013年の最新の音」と語ったこともあり、ライブに合わせて発表されることで、どのようなステージが披露されるのか、期待は否応なしに高まりますよね。

新緑のように濃い緑、淡く発色する緑。エメラルドやライムを思わせる緑。緑の光がステージを包み、木々が明るく輝きます。太陽が天高く昇る空の下、木々に囲まれたところを歩いていると、木洩れ陽を浴びることができます。空を見上げると、生気に満ちた葉を経由した太陽の光が降り注ぎます。それは生命の存在を感じる光です。

2004年のコンセプトは「DOUBLE-DECADE」と名付けられ、直接的には20周年を言い換えた言葉ですが、その奥には小室さんのモノローグが存在していました。「SCREEN OF LIFE」で人生の最期に思い出すであろう多くの顔について綴り、「PRESENCE」で窓辺のガーベラに大事な人の存在を重ね合わせ、「GREEN DAYS」では歳を重ねた人間だからこそ生まれる、前に進む気持ちを表現しました。詩的な言葉の間に私的な思いが見え隠れしています。

「Green days 2013」は2004年と歌詞を同じくし、当時の思いを受け継ぎつつも、新たな音、新たな声とともに新たな生命を吹き込まれました。間奏に入ってシンセサイザーの音が一段と大きくなり、柔らかいメロディを奏で出すと、TM NETWORKを運んできた電車に明かりが灯ります。ドアが開き、一組の老夫婦が姿を見せました。婦人は車椅子に乗り、男性は車椅子を押します。婦人の顔は表情を失くしており、その目は焦点を結んでいないように見えます。警官が彼らとともに現われ、男性の代わりに車椅子を押して、坂道をゆっくりと登ります。

『NETWORK -Easy Listening-』のジャケットは、いくつかのモノクロの写真が並ぶデザインです。風にあおられた傘を両手で握る子供、何十年も前の日本の家、象の家族、積み上げられたスクラップ寸前の車、おもちゃを手に眠る子供など。アルバムの核である曲「SCREEN OF LIFE」を象徴的に表現しているジャケットですね。そして、アメリカなのかイギリスなのかわかりませんが、老夫婦のスナップショットが組み込まれています。2004年の思い、あるいはその欠片は、その後も表に見えないところで小室さんの中で生き続けていたのかもしれません。

坂道を歩く男性の目に入ったのは、道端に咲く白い花です。腰をかがめて花を摘み、坂道を登ります。車椅子を停めた警官に促されると、男性はジャケットの内ポケットをがさごそと探り、パスポートを取り出して警官に手渡します。警官はページをめくって内容を確認すると、スタンプを捺し、男性に返します。男性はパスポートを仕舞い、手にした花を婦人に見せようと彼女の顔に近づけます。その花の色にも匂いにも反応することなく、婦人はうつろな目をして一点を見つめたままです。その手をとって花を握らせると、男性は車椅子を押して、ゆっくりと歩み去ってゆきました。

2014.02.03
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by mura-bito | 2014-02-03 21:44 | Music | Comments(0)

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