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にがくてあまい 映画版 特報


にがくてあまい 映画版 特報

映画『にがくてあまい』の封切りまであと3ヶ月。映画の公式サイトが大きく更新され、いくつかのシーンが公開されています。YouTubeには特報映像がアップされており、わずかながら映画の雰囲気を味わうことができます。

映画は原作のストーリーをどこまでカバーするのでしょうか? マキと父の確執(「野菜のバカー!」の原点)を中心にしつつも、渚が抱えるトラウマ(兄、母、父)にも光が当たるのかもしれません。単行本で言えば1~2巻の内容が使われそうです。

http://nigakuteamai.com/

個性あふれる脇役のヤッさん(渚の兄の親友であり、マキが通うバーのマスター)、アラタ(渚の元同居人)、ミナミ(渚の兄の恋人)、ばばっち(渚の後輩)も登場します。渚サイドの彼らは二人とどのように絡むのか、気になります。ひとりひとりが脇役の域を超えた存在に育っていったので、つい期待してしまうんですよね。そして自分で膨らませたイメージのせいで失望するのが実写化の常…というのは原作ファンの落とし穴。

主演の二人(川口春奈・林遣都)の作品を観たことがあまりないためか、コメディを演じているイメージがありません。だからこそどうなるのか楽しみですね。三谷幸喜や宮藤官九郎の作品ならある程度予想できますが(それを覆されるのも魅力)、そうではない作品はどう仕上がるのか分からないのがおもしろいと思います。ハズレを引きたくない…なんて思わずに観てみることを勧めます。もともとの話がおもしろいので、原作を読んでいなくても楽しめますよ、きっと。

inthecube: 小林ユミヲ – にがくてあまい

2016.06.13
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by mura-bito | 2016-06-13 21:48 | Visualart | Comments(0)
小林ユミヲ – にがくてあまい 12
にがくてあまい 12

にがくてあまい 12

小林ユミヲ


小林ユミヲさんの漫画『にがくてあまい』が、12巻をもって完結しました。「レシピ69 ビーツのリゾットとビーツとバナナの豆乳ジュース」から「レシピ75 アボカドと納豆のそば粉ガレット」まで、7つの話が収録されています。ラスト・シーンに向けて、徐々に物語を畳んでいきます。

***

連載は約6年にわたり、さまざまなテーマを盛り込んで展開しました。僕はレシピ56から読み始めて、遡って最初から読んだのですが、読みながらいろいろなことを考えました。物語をきっかけに思考が旅をし始めたという感じですね。もちろんさらりと読むこともできますが、その陰影を感じながらじっくり読むこともできる物語だったと思います。

物語の舞台となった長屋について、あとがきで小林さんは「空地にある秘密基地」というイメージで描き、それは「いりくんでいて、人も車もめったにこない、フリーダムな場所」だと語ります。僕の中でもこの長屋は、不思議な趣きで存在し続けました。本当に存在して、本当にマキも渚もそこで暮らして、そして本当にどこかですれ違ったことがあるような気がしていました。もちろんフィクションなのですが、フィクションらしくない肌ざわりを感じていたのだろうと思います。

小林さんのTumblrでは、これまでの単行本で使われたおまけペーパーのイラストが公開されています。Twitterでも落書きと称してマキや渚、ばばっち、ミナミ、豊が好き勝手に話しているイラストがアップされていましたね。そういうところも、自分にとってあまりフィクションっぽさを感じなかった理由ですね。いろいろな日常があちこちに転がっていたから。たくさん楽しめました。感謝です。

***

そして9月10日から、ついに実写映画が公開されます。マキを川口春奈、渚を林遣都が演じます。物語のどのエピソードをピックアップして、どのようなテイストで描くのでしょうか。実写ならではの描き方を存分に楽しみたいと思います。

レシピ69 ビーツのリゾットとビーツとバナナの豆乳ジュース
レシピ70 いちじくと大根の天ぷら
レシピ71 カリフラワーと干し椎茸のじゃーじゃーうどん
レシピ72 あまからみぞれ餅
レシピ73 パクチーとトマトの塩焼きそば
レシピ74 ポパイの蒸しケーキ
レシピ75 アボカドと納豆のそば粉ガレット

2016.05.19
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by mura-bito | 2016-05-19 23:05 | Visualart | Comments(0)
にがくてあまい レシピ75 アボカドと納豆のそば粉ガレット
小林ユミヲさんの漫画『にがくてあまい』が、4/5の更新をもって完結しました。僕の読者歴は2年に満たないものではありますが、毎月の更新を楽しみ、物語を追いかけてきた時間はとても素晴らしいものでした。

物語の中で生きる人々に自分の生活を重ね、背中を押されました。転職活動を続けるモチベーションになりましたし、さらに、自分の人生を左右した…と言うのは大袈裟ですが、「家族にはいろいろな形がある」と思えるひとつの要因にもなりました。

http://comic.mag-garden.co.jp/nigaama/

二人の主人公、「マキ」と「渚」はそれぞれに決断を下し、それぞれの道に進みます。「渚」は長屋を出て、「マキ」の父親の農園を継ぐためにそこを手伝い始めます。「マキ」は東京に残って今まで以上に広告プロデューサーとしての生活に注力するも、やはり長屋を出て、二人の奇妙な同居生活は終わりを迎えます。数ヶ月が経ったある日、「マキ」は酔いに誘われ、気づけば長屋に向かい、たどり着きます。そこで目にしたもの、耳にしたものとは。最後の料理が読者に振る舞われます。

そして物語は、静かにクライマックスを迎えます。細かいことは語られません。美しい夕焼けが紙面を彩り、二人の会話が添えられます。こうして言葉を交わす二人の姿を描くだけで、それはどんな壮大なクライマックスよりも深みのある終幕を感じることができます。最後に描かれるのは、日常です。ずっとずっと続いていくであろう、日常のワンシーン。

ここにひとつの家族が生まれます。生まれたと言うべきか、ぼんやりと見えていた輪郭が、はっきり形を作って見えるようになったと言うべきか。二人がそれぞれに抱える事情は、二人を交差させないためのものでしたが、最後は二人をしかるべきところに導くためのものとなります。それはバッドエンドではなく、しかし絵に描いたようなハッピーエンドでもない。ひとつの日常を切り取った、そんな終わり方です。

***

かつて僕は、この長屋が足立区あたりに本当に存在していて、登場人物たちが生活しているのではないか、長屋でのやりとりが本当にこの瞬間にも繰り広げられているのではないかと錯覚したものです。最終回を迎えた今でも、あの二人は日本のどこかで、相変わらず暮らしているような気がします。

小林ユミヲさんの描く人々には、不思議な魅力があります。どこかで楽しく暮らしているように思わせる、そういう意味での生命力を感じます。そこにはおいしそうな音と香りと、楽しそうな喧騒と悪態があります。それは自分のイメージを越えて、きっとどこかで実体を伴なって存在している、さまざまな家族の形が交錯している。楽しいことだけではないかもしれないけど、それでも楽しいことの方が少し多そうな感じですよね。

ああ、ついに終わってしまった…。最終巻である第12巻の発売は5月です。物語の余韻を味わいつつ、最後の楽しみを待つとしましょう。

2016.04.11
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by mura-bito | 2016-04-11 22:08 | Visualart | Comments(0)
にがくてあまい レシピ74 ポパイの蒸しケーキ
Web漫画『にがくてあまい』の最新話、「ポパイの蒸しケーキ」が公開されています。5年以上をかけて積み上げてきた物語は74話。今回はエンディングへの最後のブリッジとなり、ストーリーはダイナミックに動きます。

「マキ」と「渚」の関係が、この漫画の軸であり、そもそものテーマでした。それぞれの家族を巻き込み、二人の関係は緩やかに変質してきました。その結果とも言えるのが第74話です。

http://comic.mag-garden.co.jp/nigaama/

『にがくてあまい』の初期から絡んでいたトピック、「渚」の兄に対する贖罪の気持ちは、後半になって理解へと変わり、それが今回の決意を後押しします。彼は「マキ」やその家族と出会ってともに時間を過ごし、さまざまな話を聞くことで、新たな生き方の土壌を形成します。良い土や手間暇かけた手入れによって育つおいしい野菜のように、彼は素晴らしい関係に恵まれ、生き方を変えていくことになります。

「渚」は悩み、考え、そして決断します。誰かから押し付けられたわけではない、懇願されて流されたわけでもない。いろいろな事情と気持ちが交錯する中で、自らの意思で、自らの手で選ぶ、前に進む。ここまで物語を追ってきた読者にはその複雑さが分かります。複雑なものを、シンプルに見えるようにするのではなく、複雑なままに受け入れる。誰かが犠牲になるのではなく、関わる人々をつないで、複雑な事情をともに抱える。生きづらい(あるいは生きやすいとはお世辞にも言えない)世界で生きるための、目一杯の誠意がそこにはあります。

「渚」の気持ちを受け取った「マキ」も腹を括ります。さまざまな要因で揺らいできた仕事への気持ちが、彼の決断を聞くことでクリアになります。それは二人の関係を終わらすのではなく、新たなフェイズとして始まることを意味します。それが何であるのか、その先に何があるのかは75番目のレシピが語るのでしょう。四月の初めに届く最後のレシピを、じっくりと楽しみたいと思います。

ふと思ったのですが……食べている二人の表情が素敵ですよね。つくる幸せ、食べる幸せ、誰かのためにつくる幸せ、食べてもらえる幸せ、一緒に食べる幸せ。そうした幸せの集積こそが、『にがくてあまい』という物語の本質なのかもしれません。

2016.03.09
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by mura-bito | 2016-03-09 21:28 | Visualart | Comments(0)
にがくてあまい レシピ73 パクチーとトマトの塩焼きそば
『にがくてあまい』の第73話「パクチーとトマトの塩焼きそば」が公開されています。物語はエンディングに向かって、どんどん進みます。どのように終わるのでしょうか。それは我々の予想の範疇に収まるのでしょうか。それとも、どこか別の、思いもよらないところにたどり着き、想像もしなかった結末が待っているのでしょうか。

http://comic.mag-garden.co.jp/nigaama/

第73話では、これまでにないシーンが描かれます。「マキ」の父親が倒れるという非常事態の中で、「渚」は「マキ」を抱きしめ、「マキ」は「渚」の腕の中で眠ります。

二人の距離が縮まる描写は、これまでにもありました。ユニークなのは、距離が縮まる度に、どこか諦めのようなものが積み上がる感じがありました。近づけば近づくほどに、大切に思うほどに、ずっと一緒にいられないことを直視せざるを得なくなる。深入りを避けているわけでもないのに、仮住まいのような関係性を維持しなければならないという強迫観念にとらわれる。それは主に「渚」のモノローグとなって物語に表出します。

…けれども、「渚」は「マキ」によって変わり、「マキ」は「渚」によって変わりました。それは本人たちが意識する以上に、大きな出来事、大きな変化です。

女性に触れることすら拒否してきた「渚」の大きな変化。身を引くことを決意した矢先に起きた大きな変化は、もうすぐ訪れるクライマックスの布石なのでしょうか。読者はイメージすることしかできませんが、それこそが最大の楽しみとも言えます。次のマイルストーンを待ちわびつつ、イメージする喜びを充分に味わいましょう。

2016.02.20
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by mura-bito | 2016-02-20 14:21 | Visualart | Comments(0)
にがくてあまい レシピ72 あまからみぞれ餅
小林ユミヲさんが描く漫画『にがくてあまい』の第72話「あまからみぞれ餅」が公開されました。サイトがリニューアルして、これからもどんどん素敵な物語を届けてくれる…と思っていた矢先に飛び込んできたのは「もうすぐ終了」のお知らせ。なんてことだ…

けれども、始まりがあれば終わりがあるわけで、やはり物語にはしかるべきエンディングを与えてやる必要があります。新しい漫画を描きたいというユミヲさんの気持ちもあるかもしれませんしね。僕がファンになったのは約2年前ですが、随所で自分のターニング・ポイントとリンクしたこともあり、とても思い出深い作品です。終わるのが本当に寂しいのですが、その暁には完結を心から祝いたいと思います。

http://comic.mag-garden.co.jp/nigaama/

さて、第72話では、物語はクライマックスに向けてぐっと舵を切ります。前回は「マキ」の心に大きな波が立ちましたが、今回は「渚」が大きく揺さぶられます。主人公のふたりがそれぞれの問題に直面します。

今回のキーワードは「奇跡」。とても素敵な表現です。

後輩の「ばばっち」は、「マキ」と「渚」のふたりを自分にとっての奇跡だと表現し、「渚」も、「マキ」の存在は自分にとって奇跡だと言う。これまで積み上げられてきた物語を思い返せば、その言葉の価値はとても大きいことが分かります。「ばばっち」が過去の足枷から解き放たれたのはふたりのおかげだし、「渚」にとっては、「マキ」がそれまでの彼の世界、彼が抱えていた考え方を変えてくれました。

だからこそ、その「奇跡」を手放さないといけないと思うときの切なさや悲しさも大きくなる。

「渚」がゲイであることを知りながら「マキ」は彼を好きでいるし、同居している。「渚」も何だかんだ言いながら彼女と一緒にいることが自然になっていて、心地好く、そして助けられていると感じている。それこそが、女性嫌いの「渚」にとっての奇跡です。ふたりの心の交流は随所に描かれており、いわゆる愛の形というものはひとつではない、ということをつくづく思います。

そして今回、「ばばっち」に問われた「渚」は、ついに心の内を吐露します。「マキ」が望むようなことは何もしてやれない、子供も作ることはできない、一緒にいたいけどこればかりはどうしようもない、と。

どのような人にも、どのような関係にも、何かしらの問題はあります。『にがくてあまい』では「どうにもならない事情」と表現されます。他の人からしてみたら大きな問題ではないことも、当人からしたら大きいなんてことはよくありますし、外野には見えない、理解できない問題だってきっとある。それを抱えながら、ある人は達観するし、ある人は見ないふりをするし、そしてある人はどうすればいいか結論が出ず、ずっと思い悩みます。

最後に「渚」はビールを顔からかぶり、涙を隠します。その涙は何を意味するのでしょうか。「ばばっち」との会話から、何かを決意したのでしょうか。そして、物語はどのように進み、どこにたどり着くのでしょうか。固唾を飲んで次の展開を待ちます。

***

「どうにもならない事情」は形を変えて誰もが抱えていると思いますが、それとどうやって付き合い、折り合いをつけているのでしょうか。ひとりで抱えるのか、ふたりで共有するのか、あるいはもっと広い範囲の共通認識になるのか。完全無欠の正解はなく、どうするか考え続け、暫定解を出してアップデートし続けていくのでしょう。

たとえばふたりなら、一緒に抱えればいい、と僕は思っています。どれくらい重いのか、どれだけ抱え続ければいいか分からなくても、ひとりで抱えるよりも軽くなるし、抱えられる時間だって長くなる。ときどき降ろして休んで、もう一度抱えることもできる。そう思います。

2016.01.07
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by mura-bito | 2016-01-07 21:42 | Visualart | Comments(0)
にがくてあまい レシピ71 カリフラワーと干し椎茸のじゃーじゃーうどん
『にがくてあまい』の71話「カリフラワーと干し椎茸のじゃーじゃーうどん」が公開されています。今回はシリアスな展開が強めですね。ひとつ大きな山が来るのか、それとも物語を畳むのか。「マキ」と「渚」の関係が大きく変わるのか、あるいはやはり穏やかな日常が続くのか。いずれにしても今後しばらくはダイナミックな展開が予想されます。これまでも、さまざまなイベントが起きて、作者の小林ユミヲさんはすごいストーリーテラーだと思いましたが、今回もインパクトのある展開を用意しているに違いありません。

http://comic.mag-garden.co.jp/eden/58.html

そもそも『にがくてあまい』という物語は父「豊」と娘「マキ」の対立から始まりました。野菜がきっかけで仲が悪くなり、絶縁状態のようになった父娘関係。その溝を埋めたのもまた野菜でした。苦くて食べられない、食べたくないものであっても、調理したり、少しずつ慣れることで飲み込めるようになる。同居人「渚」や母「操」の助けを借りたり、少しずつ素直に向き合うことで、人と人の関係も良いものになっていく。

勘当同然に娘を拒絶していた父も、言葉ほどに突き放すことはできず、むしろ惜しみない愛情を注いでいました。仲直りしてからは、娘に避けられるくらいに、その愛情を表現します。その後、物語が進む(娘と共有する時間が積み上がる)につれ、娘の行く先と自分が残せるものについてばかり考えるようになる。その気持ちを感じていながらも、ついに(酔った勢いの間違い電話とは言え)はっきりと聞かされた娘。次回以降、さまざまな想いが交錯するストーリーが展開していくことでしょう。

***

家族とは。時代が変わろうが変わるまいが、ふたつとして同じものはありません。「家族とはかくあるべし」というような、あるべき姿が存在すると思い込むこと自体が、もはや家族のひとりひとりではなく、家族というシステムを見ていることを示しています。そうではなくて、僕らはもっと、ひとりひとりにフォーカスした方がいいのではないか。システムの中で埋没しがちな個々の奮闘(struggle、もがき)をすくい上げた方がいいのではないか。

そう考えたとき、漫画であれドラマであれ、あるいはノンフィクションであっても、さまざまな人間の姿、家族の姿を見ることはとても重要で、とても貴重な体験なのではないか、と思います。ただの空想として切り捨てるのは、世の中を良くするための可能性を潰している気がします。フィクションだからこそ描けるものがあります。フィクションを接点として「こういう家族があってもいいよね」と思える…そうやって社会における許容範囲が拡大して、余裕という名の余白が広がるといいなと思います。

2015.12.14
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by mura-bito | 2015-12-14 20:53 | Visualart | Comments(0)
にがくてあまい レシピ70 いちじくと大根の天ぷら
『にがくてあまい』も70話まで来ました。今回のタイトルは「いちじくと大根の天ぷら」です。いちじくの天ぷら、おいしそうですね。天ぷらにしたいちじくを少しの塩で食べてみるところをイメージすると…甘さと塩気がいい感じにマッチしそうです。

http://comic.mag-garden.co.jp/eden/58.html

『にがくてあまい』には「にがあまレシピ」というれっきとしたレシピがあります。毎回登場する料理は想像上の料理ではなく、作者の小林ユミヲさんが実際に作ったものです。料理の写真は小林さんのブログ「mushrooms変速ニッキ」で公開されています。

今回のレシピでは、天ぷらの衣に米粉を使っているみたいです。米粉っていろいろな使い方があるんですね。米粉と言えば、松本市中町にある「てまりや」という店では、安曇野産の米粉を使ったバウムクーヘンが売られています。米は米として食べるのが一番だとは思いますが、米粉で料理のバリエーションが増えるのであれば、それもまたよし、かもしれない。

閑 話 休 題

70話では、「マキ」の父親「豊」がやってきて、ドタバタが起きます。『にがくてあまい』の最初は、「マキ」と「豊」との確執、そして和解がメイン・テーマでした。父親を拒絶していた彼女も、母親の「操」や同居人の「渚」の助けを得て、素直な気持ちを吐き出し、距離を縮めます。それからは失った時間を埋めるように、何のかんの言いながらも二人は仲のいい親子として互いを思いやります。

そんな中でも色濃く浮かび上がるのが、娘に対する「豊」の愛情ですね。10年も絶縁していたとは思えないくらいに「マキ」のことを心配し、すげなくされると本気で落ち込む。まるで生まれたときからずっと子離れができない親のようです。10巻では死んでしまうのではないかと思うくらいに依存していました。

今回も名脇役「ばばっち」は印象的なシーンで登場します。「渚」の回想に登場して、印象的なひと言をワンカットで投げかけます。「渚」の記憶に引っかかっていた言葉が、「豊」の何気ないひと言でよみがえる。そのまっすぐな瞳とまっすぐな言葉が、ハンドボールのボールのようにまっすぐ突き刺さります。物語はどう動き、どこに向かうのでしょうか。いくつもの思いがぶつかり、混ざり合います。

2015.11.12
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by mura-bito | 2015-11-12 20:57 | Visualart | Comments(0)
小林ユミヲ – にがくてあまい 11
にがくてあまい 11

にがくてあまい 11

小林ユミヲ


『にがくてあまい』の新刊である11巻が発売されました。マッグガーデン・オンラインで2015年3月から8月にかけて配信された内容が収録されています。基本はコメディなのですが、ひとつの話のボリュームが大きいため、シリアスなエピソードが充分な紙幅を持って語られます。そのため、物語が放つ熱もかなり高くなっています。一冊にまとまると、ずっしりとした重みを感じさせてくれますし、読み応えも充分ありますね。

http://comic.mag-garden.co.jp/eden/58.html

今作では脇役のひとり「ばばっち」にスポットライトが当たります。彼は小さいころからハンドボールに打ち込み、インターハイでチームを優勝に導くほど優秀な選手でした。しかし、卒業直前に起きた事件で心に傷を負い、そのためかボールが投げられなくなり、ハンドボールから遠ざかっていきます。6巻には彼の生い立ちから事件に至るまでの顛末、そしてその呪縛から一歩踏み出すまでが描かれました。11巻では、かつてのチームメイトとの再会を軸にして、残りのピースがはめこまれていきます。

レシピ64「油揚げのピザ」で登場する「ラムネの玉」という比喩が印象に残りました。11巻はそれを巡り、さまざまな角度から描かれる物語と言えます。ボールに触れることすら避けていた頃に比べれば大きく前進したものの、「ばばっち」の中にはそれでもまだ吹っ切れないものが残る。それを瓶の中でコロコロと転がり、音を立てるビー玉に重ねます。ラムネの瓶を割らない限りビー玉は外に出てきませんが、さて、彼の中に残り続け、彼を縛り続けるものは吐き出されるのでしょうか。

***

本作でキーとなる要素はやはりハンドボールです。あとがきで小林ユミヲさんはハンドボールのことを「大きくてしなやかなネコ科の動物が飛びはねながらボールを追いかけているような、そんな美しくも激しいスポーツ」と表現します。生で観戦したことはありませんが、映像を観る限り、目にも留まらぬ速さでボールが行き交い、一瞬で戦況が変わるんですね。一瞬のプレイのスピード感はバスケットボールに似ていて、パスや展開の速さはフットサルに似ています。

ハンドボールは展開がスピーディーであり、オフェンスとディフェンスの接触も激しい、とてもダイナミックな競技です。試合の映像を観ながら、小林さんの比喩を思い出して膝を打ちます。ネコ科の動物として僕が知っているのはネコくらいですが、ネコのような小さい動物でも激しくボールに食らいつくことはあって、そんなときには嬉々としたというよりはそれこそ鬼気迫る雰囲気を感じたものです。ボールをパスして走り、跳躍してシュートする選手たちの姿を見て、なるほど、確かにネコ科っぽいな、と。

***

単行本を手に取ってページをめくっていると、リアルタイムで読んだときの感動や笑いが思い出されます。ひと月おきに配信される話をWebやアプリで読んでいましたが、改めて連続して物語を追いかけてみると、「ばばっち」の気持ちが着実に前進していることに気づきます。さまざまな人と話し、それぞれの事情を知ることで、自分の事情を客観視して、相対化している。手枷足枷が段階的に取れていく様子が、数話をかけ、ページを割いてじっくりと描かれます。

「ばばっち」の手足を縛っていたものがひとつずつ外れていきます。足は地面を蹴り、その手はボールを力強くつかむ。物語はクライマックスを迎え、とても印象的な場面が見開きで描かれます。ページをまたいで描かれたそのシーンに、画力はもちろんのこと、ストーリーテリングの巧みさによって生まれた魅力を見ます。それが表現しているものはきっと、物語の中だけでなく、読者にもストレートに届くと思います。

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2015.10.22
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by mura-bito | 2015-10-22 21:30 | Visualart | Comments(0)
にがくてあまい 番外編 柿とさつまいもの豆乳マヨサラダ
今月の『にがくてあまい』は本編を離れた番外編です。主役の「マキ」と「渚」がとりとめもなく会話を重ねており、長屋で同居するふたりの日常のひとコマを切り取っています。話のテーマは兄弟姉妹。この漫画には何組かの兄弟が登場し、実の兄弟でなくとも、兄弟姉妹のような関係を見せるふたりもいます。そして「少し大きめの妹」も?

http://comic.mag-garden.co.jp/eden/58.html

『にがくてあまい』は登場人物たちが互いに影響を与える物語です。あるときは片方が相手を諭したり助けたりするし、時が経ってシチュエーションが変わると立場が入れ替わり、助けた側が助けられる。そういう「影響を与え合う関係」の連鎖が物語に横たわっています。

「影響を与え合う関係」を支える要素のひとつが、兄弟姉妹の、あるいは兄弟姉妹的なつながりです。たとえば兄だから兄としての気持ちや考えが分かるし、誰かが自らの兄について悩んでいるときに、さらりとアドバイスすることができる。その反対も然り。兄弟姉妹に加えて親子や夫婦という関係も絡んで、物語はさまざまなトピックを語り、さまざまな展開を見せてくれます。

1巻から読んでみると、いろいろな話が描かれているのが分かります。それらが地層のように堆積して今に至っています。今回の番外編は、登場人物のちょっとしたおさらいみたいな役割を持った回です。もうすぐ11巻が発売され、そして実写で映画化されることも決定していますが、この機会に最初の方を読んでみるのもいいかと思います。

2015.10.13
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by mura-bito | 2015-10-13 18:14 | Visualart | Comments(0)

fujiokashinya (mura-bito)
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