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音楽と物語に関する文章を書いています。
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Zedd – Ignite


Zedd – Ignite

Zeddの新曲「Ignite」が発表されました。最近は、Aloe Blaccとの「Candyman」、Hailee Steinfeld、Greyとの「Starving」、Greyとの「Adrenaline」と、立て続けに共同制作の作品をリリースしてきましたが、今作は単独のクレジットです。YouTubeにアップされているのは、ゲーム『League Of Legends』とのコラボレーション・アニメであり、「Ignite」も聴くことができます。

実にEDM的な、Zeddらしい盛り上がりを見せてくれる曲です。エネルギーを溜め込み、Tim Jamesというシンガーが叫ぶ "Ignite!" というフレーズに合わせて、一気に放出する。身体を刺激する音のエネルギー。音の爆発力に気持ちは解き放たれます。最近の共作と比べると、多くのファンの記憶にある音に回帰した感じがありますね。もちろんZeddの幅広さはEDMという枠に留まらないのですが、ベース・キャンプのようなポジションに一度立ち返ってみると、その魅力を再認識することができます。そしてまた新たな頂上へのアタックが始まるのでしょう。
2016.10.02
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by mura-bito | 2016-10-02 10:16 | Music | Comments(0)
[PART1] MISIA – LOVE BEBOP
LOVE BEBOP

LOVE BEBOP

MISIA


コマーシャルで流れていた「Butterfly Butterfly」が耳に残り(1回聴いただけで)、2016年の1月にリリースされた『LOVE BEBOP』というアルバムをApple Musicで聴きました。アルバム・タイトルからするとビバップへのアプローチなのかと思いきや、EDMの要素も、アコースティック・ギターを主体にしたバラードも収められており、実に幅広いスタイルが見られるアルバムです。

個人的に印象に残った要素は、EDMとファンク。ファンクやジャズとMISIAの歌声の相性がいいことはイメージできますが、EDMという2010年代的エレクトロニック・サウンドとのコラボレーションは意外でした。シンセサイザーを入れる、リズムを四つ打ちにするというレベルではなくて、EDMの要素をたくさん取り込んでいます。EDMとポップス(あるいはロックやR&B)とのミックスが日本でも一般化してきた証と言えるかもしれません。



MISIA – LOVE BEBOP (Trailer)

表題曲の「LOVE BEBOP」と「FREEDOM」の音づくりにEDMの色が出ていて、彼女のタフな歌声とマッチしています。アルバムに収録されている「白い季節」や「花」といったミディアム・テンポの曲でも存分にそのタフさを味わえますが、こうしてエレクトロと組み合わさるとまた別の角度から歌声の強さに触れることができますね。MISIAの声は、マテリアルとして加工されて組み込まれているのではなく、EDMサウンドを率いるような存在感を放ちます。

ソフト・シンセの音が生み出す「LOVE BEBOP」の重厚感には圧倒されますね。EDM的なワブル・ベースが咆哮して、地を這って迫ってきて、聴き手を引きずり込みます。踊れ踊れ。いわゆるジャズのビバップ的なアレンジではなく、むしろ正反対の位置に位置するEDMで構築されているので、詳しい人ほど驚くネーミングかなと思います。しかもアルバムのタイトルにしていますからね。ビバップという言葉を冠したのは、アクティブな音楽性に共通項を見出し、オマージュしていることの表現なのかもしれません。

FREEDOM」は疾走系四つ打ちダンス・ミュージックです。テクノやトランスの雰囲気を今の音で構築した、という感じでしょうか。ひと口にEDMと言っても、そのアプローチにはバリエーションがあります。サビでのシンセサイザーのリフ(どんどん音が上がっていく。そして2種類のパターンがある)が、EDMの裾野を広げたAVICIIやZeddを彷彿とさせます。キャッチーなメロディで観客を一気にヒートアップさせるフレーズですね。この印象的なフレーズに乗せて、鮮やかに波に乗るクールなサーファーのように、MISIAのボーカルが舞い上がります。

[PART2] MISIA – LOVE BEBOP

2016.09.27
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by mura-bito | 2016-09-27 22:13 | Music | Comments(0)
UVERworld – I LOVE THE WORLD (Music Video)


UVERworld – I LOVE THE WORLD

2015年に「僕の言葉ではない これは僕達の言葉」[*1] という曲に出会い、そこでUVERworldの音楽をきちんと聴きました。アニメ『アルスラーン戦記』のオープニング・テーマだったため、もう刷り込まれたと言っても過言ではありません。定期的にロックを聴きたくなる波が来るのですが、そこを突かれましたね。火傷しそうなロックの熱に心を奪われつつも、バンド・サウンドで負けじと主張するソフト・シンセの音にも惹かれました。続いてリリースされたシングル「I LOVE THE WORLD」では、ソフト・シンセの音を散りばめるどころか、ぐっとEDMに寄っています。

「I LOVE THE WORLD」はロックとEDMがそれぞれに持つ熱や中毒性が交差します。ロックからEDMに挑戦状を叩きつけているようにも見えます。真正面からEDMにぶつかり、呑み込もうとしている。EDMに近づいても、ただEDMをやろうとしているわけではないのが、その音から分かります。EDMならシンセサイザーのリフを強めて一気に爆発させるところで、ボーカルが煽って盛り上げます。

ロックとEDMは水と油ではなく、相性は決して悪くないと僕は思います。片方がもう片方より上だ下だということもなく(そう思いたい人はいるとしても)、互いが持っているパワー、エネルギー、スピードを掛け合わせられるため、相性はむしろ良いと言えます。それを示すアーティストや曲がここ数年で散見されますが、僕の印象では、EDMサイドからのロックへのアプローチが主であり、バンドがEDMをポジティブに捉えて自らの音に組み込む例には出会えませんでした。そこに、「I LOVE THE WORLD」の登場です。この曲はROCK&EDMの恰好良さをバンドが証明してみせた例ですね。

[*1] inthecube: UVERworld – 僕の言葉ではない これは僕達の言葉 (Music Video)

2016.05.28
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by mura-bito | 2016-05-28 10:34 | Music | Comments(0)
Krewella – Ammunition
Jahan Yousafは "krewella is back? nah we've been here all along(Krewellaが戻ってきた? そうじゃない、ずっとここにいたんだ)"とツイートしました。

Krewella(クルーウェラ)が新作のEP「Ammunition」をリリースしました。EPとは「シングルよりは長いがアルバムよりは短い」作品のことを指します。「Ammunition」には6つの新曲が収録されています。そのうち、Diskordというイギリスのグループと共作した「Beggars」はミュージック・ビデオが製作されています。他の曲については音源がYouTubeにアップされています。

2013年にアルバム『Get Wet』[*1] をリリースしてから、まとまった作品群をリリースできなかったKrewellaですが、ここに来てようやくリリースが実現しました。メンバーの脱退(その一言で片付けてしまうのはフェアではありませんが)が引き金となり、それまで制作していた曲を思うようにリリースできない状況が続きました。2人になってから、Krewellaは「Say Goodbye」[*2] や「Somewhere to Run」[*3 *4] を配信しましたが、いずれもインディーズの扱いでした。今回の「Ammunition」は、アルバムのときと同じレーベルから発売されました。

[*1] inthecube: Krewella – Get Wet
[*2] inthecube: Krewella – Say Goodbye
[*3] inthecube: Krewella – Somewhere to Run
[*4] inthecube: Krewella – Somewhere to Run (Live Lyric Video)
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第一印象に従い、いくつかの曲を紹介しましょう。「Marching On」から得られる高揚感は、これぞKrewellaの音楽だと思わせてくれる特徴です。♪We're marching on!♪ と叫んで一気に盛り上がり、パーカッションが乱舞するところが特に好きですね。とても扇情的な音や声ですが、EDM的なパーティー・ソングとは異なる感じがあります。脳の中をコントロールされているような…表現は気をつけねばなりませんが、"march on(前進する・行進する)" という言葉が表わすように、音に、声に導かれていきます。



Krewella – Marching On (Audio)

Krewellaのサウンドは大きく括ればエレクトロやEDMですが、分解してみるとドラムンベースの曲が一定の割合で存在します。「Surrender The Throne」もドラムンベースのリズムでぐいぐいと聴き手を引っ張ります。最初は穏やかな、アコースティック・ギターが陰鬱に響く、それこそ凪のような雰囲気ですが、ストリングスやリズムが加わり、時が満ちるのを待っていたかのように強烈なシンセサイザーとリズムの嵐に見舞われます。



Krewella – Surrender The Throne (Audio)

Can't Forget You」ではキャンバスの隅々まで色を塗るイメージが浮かびます。絵筆は歌声、絵の具は言葉。語りかけるように、訴えかけるように、宣言するように2人は歌い、言葉をつなぎます。終盤にかけてダイナミックに盛り上がります。曲は、これからのKrewellaの活動を期待させてくれる、満ち足りた雰囲気で終わり、それと同時にEP「Ammunition」も幕を下ろします。



Krewella – Can't Forget You (Audio)

Krewellaの2人はメールマガジンで、ファンである「Krew(クルー)」に語りかけます。久しぶりのリリースであることを簡単に述べたあと、「あとはただ聴いてほしい。作り出した自分たちと同じくらい、このEPを楽しんでほしい」と結びます。クリエイトする側も、聴く側も気持ちは少しも変わらない。音楽を生み出すこととそれを楽しむことは等価である、ということですね。その熱い想いをEP「Ammunition」から、そして2人の音楽から感じましょう。

2016.05.22
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by mura-bito | 2016-05-22 11:50 | Music | Comments(0)
INNOVATION WORLD FESTA 2016
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Photo by @TK_staff

僕の出身校である筑波大学で小室さんがパフォーマンスを披露すると聞いたので、つくばエクスプレスに乗り、久しぶりにつくばの地を踏みました。6年前に友人に誘われて市内を自転車で回るイベントに参加したことがありますが、本格的に大学の中を歩いたのは、修士号を取得してから初めてなので、ちょうど10年ぶりです。あちこち懐かしの場所を巡り、思い出話に花を咲かせつつ、当初の目的であるイベント「INNOVATION WORLD FESTA 2016」に参加します。

テーマは「テクノロジーと音楽の祭典」。テクノロジーで新しい価値を生み出そうとするベンチャー企業がプレゼンテーションしたり、テクノロジーとコラボレーションする音楽を紹介したりしたイベントです。つくばは「研究学園都市」と銘打つ土地であり、新たな産業につながる研究が盛んに行なわれています。筑波大学は総合大学なので、基礎研究も応用研究も、そしてベンチャービジネスもごった煮で同居する場所です。

筑波大学で行なわれていた「起業家養成講座」なるものをきっかけにこのイベントが生まれたそうです。さまざまな分野で活躍する人々を集めたこのイベントは、さまざまな研究分野が混在する大学・都市に相応しい気がします。(いい意味で)節操の無さがイベントにも表われていたと思います。みんながみんな「新しいこと」に躍起になる必要もないとは思いますが、「新しいこと」が好きな人の足を引っ張る必要も、もちろんないわけですね。それぞれにやりたいことをやればいい。

イベントはベンチャー企業の展示やトーク・セッション、そしてミュージシャンのライブで構成されていました。藍井エイルのパフォーマンスを初めて観ましたが、僕が知っているバンドで言うなら、Paramoreのような感じがしました。ハイ・トーンのボーカルでパワフルに駆け抜ける。「ラピスラズリ」(昨年放送されたアニメ『アルスラーン戦記』のエンディング・テーマ)が良かったですね。

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Photo by @TK_staff

「INNOVATION WORLD FESTA 2016」の最後を飾ったのが、小室さんのDJ/シンセサイザー・パフォーマンスです。「テクノロジーと音楽」という言葉がこれだけ似合う人もそうはいないのではないでしょうか。シンセサイザーという存在は、生まれた瞬間からテクノロジーの申し子ですよね。そしてソフト・シンセの隆盛もまたエポック・メイキングな出来事でしたし、今や街を歩いてもテレビを点けてもソフト・シンセの音で作られた音楽が流れます。積極的にテクノロジーを肯定してきた小室さんが、そのテクノロジーを駆使して、現在進行形の音を披露します。

パフォーマンスはglobeの「MUSIC TAKES ME HIGHER」から始まり、同じく「Love again」や「Feel Like dance」、trfの「EZ DO DANCE」が会場を沸かせます。ソロの曲からは、VERBAL(このイベントのプロデューサーのひとり)のラップをフィーチャーした「YEARS LATER」、最新リリースのインストゥルメンタル「a new lease on life」* を披露しました。そして、TM NETWORKの「GET WILD」は、「白A」という映像とダンス・パフォーマンスをミックスさせた集団とのコラボレーションで届けられました。

重くて分厚いキックの音を強調するサウンドです。曲によって、ずしりと響いたり鋭く突き刺さったりと、キックひとつをとっても印象はカラフルに変わりますが、いずれにしても身体にダイレクトに届いて熱くさせます。これだけ激しい嵐のようなリズムを浴びたのは、もう一年以上も前ですね。忘れかけていた感覚が戻ってきます。こういう重厚な音を体験したいから、会場に足を運ぶのだと、改めて思います。

リリースされたばかりということもあり、とりわけ「a new lease on life」が印象に残りましたね。サッカーをテーマにして制作された曲ですが、よく知られているように筑波大学もスポーツが盛んなので、期せずしてフィットした選曲かなと思います。ヘビーなリズムと刺激的なシンセサイザーの音が、力強くプレーする選手の姿に重なります。それはまた、テーマの一部であるテクノロジーにも通じます。現在進行形のシンセサイザー・ミュージックは、テクノロジーで新たな世界を生み出そうとしている人々へのエールとも言えますね。シンセサイザーから生まれる新しい音楽に、期待は尽きません。

* inthecube: Tetsuya Komuro – a new lease on life

2016.05.15
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by mura-bito | 2016-05-15 22:53 | Music | Comments(0)
AVICII – Broken Arrows (Music Video)


AVICII – Broken Arrows

踊るのにちょうどいいテンポ、繰り返されるシンセサイザーの音。中毒性の高いフレーズがぐるぐると渦を巻き、聴く人を心地好い音の世界に連れていってくれます。AVICIIの「Broken Arrows」は2015年10月にリリースされたアルバム『Stories』* に収録されています。アルバム発表と同時に、YouTubeなどでリリック・ビデオが公開され、その後、ミュージック・ビデオも制作されました。

ミュージック・ビデオは、「Broken Arrows」をサウンドトラックとして重ねたショート・フィルム、という感じですね。走り高跳びや親子の関係といった要素で構成された映像は、実話をもとにしているとのことです。映画風に仕立てたミュージック・ビデオは数多くありますが、「Broken Arrows」はもはや映画ですよね。映画館の大きなスクリーンで観たら、音楽と映像に気持ちよくコミットできそうな気がします。

* inthecube: [PART2] AVICII – Stories

2016.02.03
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by mura-bito | 2016-02-03 21:50 | Music | Comments(0)
TK feat. TK (Tetsuya Komuro/tofubeats/Sayaka Kanda) – #RUN


TK feat. TK (Tetsuya Komuro/tofubeats/Sayaka Kanda) – #RUN

JRA(Japan Racing Association:日本中央競馬会)が展開する企画「Umabi」の一環として小室さんが参加した曲「#RUN(ハッシュラン)」がYouTubeにアップロードされています。ミュージック・ビデオでは、さまざまなRUNが映し出されます。

とても好きなリズム・パターンです。上に乗せたシンセサイザーの音は厚みを見せつつも、軽快に響きます。時に軽やかに走る馬、時にたくましい馬の姿が目に浮かびます。軽やかに駆けるRUN、ワイルドに駆けるRUN、美しく駆けるRUN。

***

11/29には東京競馬場のパドックで、この曲を含むミニライブが行なわれました。実際に現場に行ってライブを観たのですが、当日はジャパンカップ。ごったがえす人、人、人。レース後に競技場に向かったため、駅に向かう人の波に逆らって歩くのが大変でした。そんな中でも、気づいたことがあります。

競馬に対するイメージはどうしても昔ながらのもので、年配の男性が中心だと思っていましたが、意外とそうでもないかな、というのが率直な感想です。建物もきれいでしたし、(まあ、レース後に紙屑が散乱しているのはイメージどおりでしたが)近寄りがたい雰囲気というわけではなかった。

そもそもUmabiは競馬の魅力をSNSで広げていくサイトであり、Web上でさまざまな情報を発信して、ライトな層を取り込もうとしています。「うまじょ」なんて言葉も作って女性ファンを増やそうとしていることもあり、現地を見るとさまざまな試みが行なわれていることが分かりました。

***

ライブは小室さんがソフト・シンセを弾いて「#RUN」をプレイして始まります。続いて、松尾 "バンナ" 和博さんがアコースティック・ギターでサポートし、坂本美雨さんがボーカルをとって「departures」、「I'm Proud」、「My Revolution」、「Get Wild」を歌いました。とりわけ、彼女の歌声は「My Revolution」のメロディにフィットしていたと思います。

30分ぴったりのライブは特にハプニングもなく終了…したと思いきや。一旦は引き上げた小室さんが、アンコールの声に呼ばれて、パドックを走ってカーテンコールのように声援に応えます。パドックをRUNする小室さん。実に貴重な姿を拝見できました。

2015.12.01
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by mura-bito | 2015-12-01 21:58 | Music | Comments(0)
globe – Anytime smokin' cigarette (Remode)


globe – Remode 1 (DISC2)

『FACES PLACES』* を聴いてからというもの、「Anytime smokin' cigarette」を気に入って、ヘビー・ローテーションに組み込まれています。そうなると次にやってくるのは新たな音、すなわちリミックスを探す旅です。シングルに収録されていたBLACK LUNG MIXに続き、『Remode 1』** で再構築された音に触れて、その魅力に取り憑かれています。YouTubeにアップロードされている『Remode 1』のサンプラー音源では、3分55秒から4分20秒にかけて、Remodeされた「Anytime smokin' cigarette」を聴くことができます。

Remodeによって新たに追加された、オリジナルにはない音やフレーズがとても心地好い。頭から鳴り続けるリズミカルなループ・サウンドは、パーカッションと絡んで聴き手の記憶に刻まれます。音はぐるぐる回って、記憶に傷跡を残します。歌が♪I don't know...♪に入ると、ボーカルの裏でシンセサイザーが印象的なフレーズを奏でます。美しくて、どこか切なくて、胸を打つ音です。ぐしゃぐしゃにかき乱される。心乱れる。単純な音の組み合わせなのに、どうしてこうも揺さぶられるのか。

オリジナルでは淀んだ夜の空気に満ちた部屋をイメージしましたが、Remodeの音を聴くとまた変わります。あてもなく夜の街を歩く誰か。街灯から街灯をつないで線を引くように、ただ歩く。何かから逃げるように、どこかに向かうように、でもどこにもたどり着けないことも分かっている。歩くしかない状況で、さまざまな記憶が渦巻いて、影が現われては消え、現われては夜の中に消える。最後は夜を抜けて朝の光の裾をつかんだかのようです。そこはどこなのか。

* inthecube: [PART1] globe – FACES PLACES
** inthecube: [PART2] globe – Remode 1

2015.11.17
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by mura-bito | 2015-11-17 22:16 | Music | Comments(0)
[PART4] AVICII – Stories
Stories

Stories

AVICII


[PART3] AVICII – Stories



AVICII – Sunset Jesus (Lyric Video)

リズミカルなスネアと鋭く刻むエレクトリック・ギターの音で始まる「Sunset Jesus」*。それらの音に背中を押されるように軽快なボーカルが飛び出します。ボーカルをとるのはSandro Cavazzaという、ストックホルム出身のシンガー・ソングライターです。AVICIIと同郷ですね。Sandroの声はシーンに合わせて、ちょうどいい密度で音と混ざり合います。音と声のブレンド具合が曲の中で変わり、どこを切り取っても鮮度の高いパフォーマンスに接することができます。

音の主役は次第にシンセサイザーに移ります。太くて厚みのあるベースに乗せて響くシンセサイザーのリフが、音の記憶を呼び起こします。リミックス・アルバム『True: Avicii by Avicii』に収録された「Dear Boy」のテンポをやや落として使い、そこに「Sunset Jesus」のメロディを乗せています。ゆるりとしたテンポで進む曲の中に濃密な音が満ちていて、踊れ踊れもっと踊れと聴き手をアジテートします。永遠に、延々とループしてほしい音の連なり。

* inthecube: AVICII – Sunset Jesus



AVICII – Can't Catch Me (Lyric Video)

「Can't Catch Me」はレゲエ調の曲ですね。脱力感のあるリズムやボーカルに心をほぐされ、さらに間奏で差し込まれるリリカルなピアノがとても美しくて柔らかいソファーに沈み込むように、リラックスの度合いが高まっていきます。レゲエを聴く機会は少ないのが正直なところであり、こうしたピアノの音と組み合わせたパターンはオーソドックスなのでしょうか。僕は初めて聴きましたが、とても良いアレンジだと思います。

ジャンルをまたぐ曲は、音楽という共有財産の有効利用と言うか、新旧を結ぶ伝承の役割を持ちますね。EDMに限らず、ジャズもロックも積極的に他のジャンルを取り込んで変質して、揺り戻しで純化して、そしてまたジャンルをまたいで変化する。変化と純化を繰り返すことでそのジャンルは生き続けるし、その間で聴き手も変わったり増えたりします。



AVICII – Somewhere In Stockholm (Lyric Video)

「Somewhere In Stockholm」からは、街角の風景を切り取ったような雰囲気が漂います。ストックホルムを訪れたことはおろか、写真ですらはっきり見たこともなく、北欧における主要都市、というくらいのイメージしかありません。

音で綴るエッセイ、という感じでしょうか。時に物憂げに、時に包み込むように響くストリングス。静かに鳴る鼓動のようなベース。マーチ系のリズムを刻むスネア。あふれるように言葉を連ねるボーカル。シンセサイザーの音は雲の隙間から差し込む太陽の光を思わせます。ストックホルムを歩いて、建物を見上げ、人々とすれ違い、季節を感じる。ストックホルムとはどのようなところなのでしょう。どのような人々がいて、どのような音がするのでしょうか。



AVICII – Trouble (Lyric Video)

アコースティック・ギターのカッティングを中心に据え、カントリー調に盛り上げます。「Trouble」という曲は、2013年にリリースされてAVICIIの代表曲のひとつとなった「Wake Me Up」** を彷彿とさせますが、より軽快に、より祝祭的に響いて気持ちを高めてくれます。

アコースティック・ギターの音とエレクトロニック・サウンドのブレンドは、オーソドックスな手法のようでいて、バリエーションが無数と言っていいほどにあります。ギタリストのセンスや技術、リズムのパターンやシンセサイザーのフレーズが新たな曲を生み出し、ギターが好きな人とエレクトロが好きな人が出会う交差点となります。互いにないものを感じるためでしょうか、異なる方向からの音が交錯して、オリジナルな魅力が生まれます。

** inthecube: AVICII – Wake Me Up (Music Video)



AVICII – Gonna Love Ya (Lyric Video)

アルバム『Stories』の最後を飾るのは「Gonna Love Ya」という曲です。聴き手の肌から体内にそして細胞に、じわじわと浸みていく音。そんな音に乗せ、「Sunset Jesus」にも参加したSandro Cavazzaが、この曲でも歌を吹き込んでいます。

Sandroのボーカルは「Sunset Jesus」とは異なって抑制された雰囲気を醸し、シンプルな音が強調されます。サウンドの骨格が見え、ひとつひとつをじっくり観察したくなります。シンプルとは言え、音を厳選して並べている、という印象を受けます。ゆっくりと終盤の数ページを繰る感じですね。やがて最後のページをめくって14の物語を読み終え、そして静かに本を閉じる。物語は終わります。それでも物語は記憶に残ります。そして音の記憶も残ります。

2015.10.20
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by mura-bito | 2015-10-20 21:20 | Music | Comments(0)
[PART3] AVICII – Stories
Stories

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AVICII


[PART2] AVICII – Stories



AVICII – Broken Arrows (Lyric Video)

最初はシンプルな音の中で歌が曲を引っ張り、それと入れ替わるようにシンセサイザーのリフが飛び出します。身体の中で反響するダンサブルなフレーズ。「Broken Arrows」の魅力をひとつに絞るとすれば間奏のシンセサイザーのリフですね。もちろんひとつに絞る必要はないので、ボーカルが生み出すタフな雰囲気も加えましょう。ボーカル、シンセサイザー、ボーカル、シンセサイザーの順にバトンが渡され、最後に両者はミックスされます。

シンセサイザーで奏でるフレーズがボーカルやギターに匹敵する存在感を放つようになったのは、ここ5年ですよね。ソフト・シンセの音がエレクトロの世界を席捲し、それはポップスやロックにも浸透しています。濃厚な音、クリアな音、ダウナーな音、ノイジーな音。いろいろありますが、シンセサイザーの音が曲のメインになることで、EDMという新たなジャンルが勃興しただけでなく、他のジャンルにまで影響を与えたという点で、音楽の世界は広がったと思います。



AVICII – True Believer (Lyric Video)

ハウス・ミュージックの中毒性をみなぎらせた「True Believer」。ループするシンセサイザーの音は危険な薬物のように身体の隅々を支配します。この曲にはColdplayのChris Martinが参加しており、ボーカルとピアノを担当しています。高音のボーカルがAVICIIのエレクトロニック・サウンドにぴたりとはまり、相性の良いコラボレーションであることを示しています。

Chris Martinの声は1970年代的なファンクを感じさせますね。何故だろうと思って記憶をたどってみると、Earth, Wind & Fireの「September」が思い浮かびました。とりわけアウトロでChris Martinが弾くピアノのメロディが「September」を感じさせるんですよね。鍵盤から舞い上がる記憶の断片。音楽を聴けば聴くほど、多くのパーツを手に入れ、それらは思いもよらぬリンクによって結びつきます。



AVICII – City Lights (Lyric Video)

「City Lights」で聴ける音の展開がとても恰好良いし、気持ちよくなります。蓄積して、放出する。音が放出される瞬間に聴き手をエキサイトさせる爆発力は『Stories』の中でも随一でしょう。強烈なシンセサイザーのリフで盛り上げるのはEDMの特徴であり、世に浸透する要因となりました。そのエッセンスが「City Lights」にも詰まっています。

ボーカルは男女の声が交錯しますが、その一翼を担うのがNoonie Baoです。AVICIIとNicky Romeroの共作「I Could Be the One」でもボーカルを務めたシンガーです。彼女の歌声には、いたずらっぽい笑みのような雰囲気がありますね。天真爛漫の破顔とも違うし、落ち着いた微笑というわけでもない。愉快なことを思いついたときの、わくわく、うずうずしている顔。



AVICII – Pure Grinding (Music Video)

埃っぽい空気の中で皮肉っぽく唇を歪める誰か。「Pure Grinding」を聴いていると、一筋縄ではいかないタフな人間の姿が思い浮かびます。イメージに合いそうな人物を具体的に挙げるとすれば、レイモンド・チャンドラーが書くフィリップ・マーロウのような一匹狼ですかね。あるいは村上春樹の『1Q84』に出てくる青豆か。

おどけて人を食ったような声のラップと、しゃがれた声が吐き出すシャウトが印象に残ります。シンセサイザーはNord Leadのように軽くて粘り気のある音を鳴らし、妙にポップな音がコミカルに響きます。声は途中でソフトウェアで加工されたり、やけに泥臭い雰囲気をダイレクトに出したりと、クールとは対極に位置するアレンジで聴き手を翻弄します。それがある意味では新鮮な響きをもたらします。「農場ヒップホップ」とも言うべきか、奇妙な造形をした曲です。

[PART4] AVICII – Stories

2015.10.16
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by mura-bito | 2015-10-16 21:23 | Music | Comments(0)

fujiokashinya (mura-bito)
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