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音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
Want to become tough, not need to get wild.
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30th FINAL 22: FOOL ON THE PLANET
TM NETWORK 30th FINAL

TM NETWORK 30th FINAL

TM NETWORK


潜伏期間(incubation period)として定められたのは、地球の時間に換算すると三十年。宇宙のどこかからやってきた潜伏者にとって三十年は、どれくらいの長さを意味するのでしょうか。一瞬で過ぎ去って何も残らないものだったのか、あるいは有限だからこそ感じる価値があったのか。永遠の中では、限りある時間というものは、儚く消える雪の結晶のように特異な存在なのかもしれません。

時間という物差しが別の星、あるいは別の銀河でも一定とは限らないのですが、少なくとも地球において三十年は、世代がひとつ変わるほどの時間です。ポップ・ミュージックが栄え始めてから、ひとつのグループが三十年間続くことは、決して簡単なことではありません。TM NETWORKは、数年のインターバルをところどころに挟みながら三十年という時間を積み上げ、音楽を残してきました。

「TM NETWORK 30th FINAL」の最後に演奏されたのは「FOOL ON THE PLANET」です。この曲は「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」の最初に演奏され、三年かけて構築されたプロジェクトの起点となりました。プロジェクトを締め括るために、再び「FOOL ON THE PLANET」は演奏されます。青い光に染まったステージで、白く明るい光が三人を照らします。天井に見える光源の白い点は夜空に瞬く星のようです。

「FOOL ON THE PLANET」のメロディはとても優しく、滑らかです。個人的にライブで初めて聴いたのは「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」ですが、包容力と言うべきか、オーケストラのようなものとは異なる壮大さを感じました。シンセサイザーが生み出す壮大さ、荘厳さがあります。圧倒するような壮大さではなく、包み込んで温めるような雰囲気。満天の星空は、地上で生きる人々を優しく包み込みます。

歌詞が描くのは、夢を抱き、周りから冷めた目で見られようとも、行くべき道を進んでいこうとする人間の姿です。TM NETWORKが地球に降り立ったとき、最初に見たものは何だったのか。それは地球で生きる人々の姿。時が積み重なって巡っても、呼吸して生きる場所が変わっても、交わす言葉が違っても、地球の人々はそれぞれの形で、色とりどりの夢を抱きます。夢を叶えることを諦めたり、ささやかな夢すら見ることすらできなかったりする中で、それでも夢を追う人々。その姿を目の当たりにして、潜伏者たちは調査報告書に記します。三十年の潜伏期間において、折に触れ、夢追い人たる人間の姿が記録されてきました。

シンセサイザーとドラムの音は双璧をなすように、それぞれ特徴的な響きを聞かせてくれます。シンセサイザーの音は柔らかく、インテリジェントな雰囲気を醸し、対照的にスネアの音が激しく、強烈に響きます。スネアから生み出される分厚い音は、シンセサイザーと同じくらいに「FOOL ON THE PLANET」を象徴しています。そして、スネアの音が激しく鳴らされるたびに、幕が少しずつ下りていきます。スネアの音が止むと、シンセサイザーの音が残響のように漂い、物語の終わりを告げます。

INTRO
JUST LIKE PARADISE 2015/RHYTHM RED BEAT BLACK/CHILDREN OF THE NEW CENTURY 2015
HERE, THERE & EVERYWHERE/SCREEN OF LIFE/Birth
CAROL 2015 I
A DAY IN THE GIRL'S LIFE/CAROL (CAROL'S THEME I)/GIA CORM FILLIPPO DIA
CAROL 2015 II/IN THE FOREST/CAROL (CAROL'S THEME II)/JUST ONE VICTORY
INTERMISSION
月はピアノに誘われて/あの夏を忘れない/TETSUYA KOMURO SOLO -30th FINAL-/GET WILD 2015
WE LOVE THE EARTH/BE TOGETHER/I am/FOOL ON THE PLANET/ELECTRIC PROPHET
OUTRO

2016.12.12
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# by mura-bito | 2016-12-12 21:24 | Music | Comments(0)
[PART3] Gacharic Spin な・な・なんと7周年!!!!!!! ワンマンツアー
Gacharic Spin な・な・なんと7周年!!!!!!! ワンマンツアー
2016.11.12 at TOKYO DOME CITY HALL

ダンガンビート/赤裸ライアー/デジタルフィクション/今を生きてる/L.I.B
PVガチャノミクス(MUSIC BATTLER/雪泣く~setsunaku~メロディー
溶けないCANDY/ファイナルなファンタジー/NEXT STAGE/Don't Let Me Down)
白がこの街と僕を染める/最後のピース/胸を張ってもいいんだよ/Across the now!!
Ben-Jan-Dan/恋愛スイッチ/パラリヤハッピー/JUICY BEATS/ギターソロ
ドラムソロ/KAKUHEN/アルブスの少女/シャキシャキして!!
爆弾娘(ボンバーガール)/Lock On!!/ゴー!ライバー/宝物/ハンティングサマー/WINNER

「Gacharic Spin な・な・なんと7周年!!!!!!! ワンマンツアー」の最終公演は、クライマックスに向けてアクセルをぐっと踏み込みます。ドラム・ソロが終わると、衣装を変えた他のメンバーがステージに戻ってきます。最新アルバム『確実変動 -KAKUHEN-』の核である曲、「KAKUHEN」が始まります。ここで一際魅せてくれたのは、パフォーマー1号まいと3号ねんねによる旗を振るパフォーマンスですね。最初は旗を床に置き、身体をフルに使って力強い動きを見せます。サビ前のブリッジで交互に旗を拾い、サビに入ると振り続けます。サビの途中でギターのフレーズに合わせて旗をぐるりと回し、掲げるようにぴしっと止めます。2人が繰り出すダイナミックな動きが観客を煽ります。

「KAKUHEN」で再点火した勢いは止まりません。アップテンポなメタル・サウンドに豪快な歌詞を乗せた「アルブスの少女」(半濁音ではなく濁音なのがポイント)、シングルおよびタイアップで知名度を上げたであろう「シャキシャキして!!」、キーボード演奏よりもボーカルでオレオレオナが目立つインディーズ時代の代表曲「Lock On!!」などを披露し、一気に駆け抜けます。そして、最新アルバムに収録された「ゴー!ライバー」という、お祭り騒ぎのように賑やかな曲で、本編を締めます。

***

アンコールはすべてインディーズ時代の曲で構成されました。観客の声援に応えてステージが再び照らされると、メンバーが姿を見せます。そして、はながひとりランウェイを歩いてサブ・ステージに立ち、なんとマイクを通さずに歌い始めます。声を、そして言葉を、すべての観客に届けます。「宝物」というタイトルに相応しく、ひとつひとつの言葉を大事に、ストレートに届けます。

ライブを締め括る最後の曲は「WINNER」です。この曲もまたインディーズ時代からライブの定番として演奏されてきました。その特徴は歌詞にちなんだパフォーマンスです。まいとねんねが曲中のほとんどを走る(その場で腿上げし続ける)という、けっこう無茶苦茶なことをします。二時間半を超えるライブの、その締め括りとしてはあまりにもハードです。途中で倒れやしないかと思うほど観ている側もスリリングで、息を飲み、見守ります。

***

最後の「WINNER」のように、文字通り全力で走り抜けたライブでした。曲数が多くて、アルバムを聴いて知っていた曲も新しく知る曲もとにかくたくさん楽しめましたし、そして一曲一曲の演奏が濃密で、音に浸る感じがとても心地好かった。メンバーの個性を活かしたMCもおもしろく、どこを切っても楽しめるエンタテインメントだったと思います。強烈なインパクトを残した夜でした。

メンバーがステージから去ると、奥に設置されていたスクリーンに、ライブでも演奏された「白がこの街と僕を染める」のミュージック・ビデオ(のようなもの)が映し出されました。切々と歌うバラードながら、カラオケの映像を模していて、小ネタをあちこちに挟み、オチもつける始末。大いに笑いました。…というところからも、Gacharic Spinの幅の広さが伺えます。「『楽しませる』ことを楽しんでいる」バンド、という感じですね。

2016.12.08
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# by mura-bito | 2016-12-08 21:09 | Music | Comments(0)
[PART2] Gacharic Spin な・な・なんと7周年!!!!!!! ワンマンツアー
Gacharic Spin な・な・なんと7周年!!!!!!! ワンマンツアー
2016.11.12 at TOKYO DOME CITY HALL

ダンガンビート/赤裸ライアー/デジタルフィクション/今を生きてる/L.I.B
PVガチャノミクス(MUSIC BATTLER/雪泣く~setsunaku~メロディー
溶けないCANDY/ファイナルなファンタジー/NEXT STAGE/Don't Let Me Down)
白がこの街と僕を染める/最後のピース/胸を張ってもいいんだよ/Across the now!!
Ben-Jan-Dan/恋愛スイッチ/パラリヤハッピー/JUICY BEATS/ギターソロ
ドラムソロ/KAKUHEN/アルブスの少女/シャキシャキして!!
爆弾娘(ボンバーガール)/Lock On!!/ゴー!ライバー/宝物/ハンティングサマー/WINNER

TOKYO DOME CITY HALLで行なわれた、「Gacharic Spin な・な・なんと7周年!!!!!!! ワンマンツアー」の最終公演。ライブは新旧の曲を織り交ぜ、息を吐かせる間もなく、テンポよく進みます。「恋愛スイッチ」という曲は、最新のアルバム『確実変動 -KAKUHEN-』に収録された一曲ですが、さて、タイトルからはどのようなサウンドを想像するでしょうか。ギターのTOMO-ZOがリード・ボーカルをとり、もちろんギターも弾きまくる曲です。アイドルソングと言ってもいいような歌詞ながら、ヘビーなバンド・サウンドとのギャップが大きく、ギターの音が観客を呑み込むように迫ってきます。

「パラリヤハッピー」と「JUICY BEATS」は、観客席の中央に設置されたサブ・ステージで演奏します。ドラムのはなとキーボードのオレオレオナはボーカルに専念し、パフォーマーのまいはパーカッションを叩き、ねんねはキーボードを弾きます。「パラリヤハッピー」の跳ねるリズムは聴いていてとても楽しく、身体が自然に揺れて心地好くなります。一方、「JUICY BEATS」はエレクトロの雰囲気が強く、四つ打ちを軸にしてダンス・ミュージックに寄ったポップス、という感じの曲です。6人はカラフルに光るグローブをはめて、円を描いて歌います。この曲の途中からメイン・ステージに戻り、再び生演奏が響きます。

***

サブ・ステージとメイン・ステージはランウェイでつながっていました。サブ・ステージでは、6人が集まって曲を披露する場面もあれば、パフォーマーの2人が観客を煽ったり、ソロでダンスを披露する場面もありました。中でも、まいのソロが印象的で、思わず息を呑みました。ギターのTOMO-ZOやベースのFチョッパーKOGAもまたサブ・ステージやランウェイを使って、ソロを披露します。横の移動に加え、縦の移動もあってライブは視覚的にもダイナミックに観客を刺激しました。

僕は上の席で観ていたためか、文字通りバンドを俯瞰していました。音としても動きとしても、バンドのメンバーが補完しながらライブ、あるいはGacharic Spinそのものを成り立たせていました。バンドを知ったころ、ボーカルがいないのはどう作用するのか気になったものです。実際に観ると、バンド全体が流動的に変化していました。パフォーマーの2人も基本的には同じ動きをしますが、もちろんそれぞれが独立して動くこともあります。6つの点が動いて視覚と聴覚が誘導される、それがおもしろいと思いました。

***

TOMO-ZOがひとりステージに残り、光を一身に浴びながらギターを弾きます。先述の「恋愛スイッチ」や、メドレーで披露された「ファイナルなファンタジー」もまたTOMO-ZOをフィーチャーした曲ですが、ギターを弾く姿は誰がどう見てもロック・ギタリストです。「アイドル担当」と言ってみせたり、ひらひらした衣装でアイドル的な要素をコミカルに入れたりしていますが、アイドルの皮を被った凄腕ギタリストと言うべきでしょう。変幻自在のギター・テクニックで観客を煽ります。

観客をヒートアップさせたTOMO-ZOと入れ替わりに登場したのは、はな。スティックとペダルを巧みに操って、TOMO-ZOに負けず劣らず、熱いドラム・ソロを披露します。テクニックと情熱がぶつかって輝いて弾けて、音が会場を満たします。いくつもの曲の間奏やインストで見せる(そして魅せる)プレイと同様に、身体にびりびり響いてくる音です。これだけの圧倒的なプレイを見せながら、多くの曲でボーカルも担当しているわけですから、多芸と言わずして何と言う。
2016.12.06

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# by mura-bito | 2016-12-06 22:01 | Music | Comments(0)
[PART1] Gacharic Spin な・な・なんと7周年!!!!!!! ワンマンツアー
Gacharic Spin な・な・なんと7周年!!!!!!! ワンマンツアー
2016.11.12 at TOKYO DOME CITY HALL

ダンガンビート/赤裸ライアー/デジタルフィクション/今を生きてる/L.I.B
PVガチャノミクス(MUSIC BATTLER/雪泣く~setsunaku~メロディー
溶けないCANDY/ファイナルなファンタジー/NEXT STAGE/Don't Let Me Down)
白がこの街と僕を染める/最後のピース/胸を張ってもいいんだよ/Across the now!!
Ben-Jan-Dan/恋愛スイッチ/パラリヤハッピー/JUICY BEATS/ギターソロ
ドラムソロ/KAKUHEN/アルブスの少女/シャキシャキして!!
爆弾娘(ボンバーガール)/Lock On!!/ゴー!ライバー/宝物/ハンティングサマー/WINNER

ロックを軸にしたエンタテインメントを全力で届ける、6人が織り成す音楽的テーマパーク。Gacharic Spinが「な・な・なんと7周年!!!!!!! ワンマンツアー」の千秋楽をTOKYO DOME CITY HALLで迎えました。インディーズ時代の代表曲とメジャー・デビュー後の曲を組み合わせ、現在進行形のGacharic Spinを観客の記憶に刻み付けました。

できる限り多くの曲を披露したいという意図からか、次から次へと曲が繰り出されました。セット・リストは、9月にリリースされたアルバム『確実変動 -KAKUHEN-』の曲に加え、デビュー・アルバム『MUSIC BATTLER』やインディーズ時代の曲で構成されました。最新作の曲を多く披露しながらバンドの歩みもカバーし、そして愉快なMCを挟むことで、初めて観る僕のような観客にもバンドの魅力が伝わるライブになったと思います。

***

ライブは「ダンガンビート」から始まります。インディーズ時代の代表曲のひとつであり、タイトルどおりに勢いを感じさせる曲です。続いて、メジャー・デビューを飾った曲である「赤裸ライアー」。ロケットスタートのように、デビュー・シングルからパワフルな音を示します。ところが、畳み掛けるような熱気にオーバーヒートしたのか、「赤裸ライアー」の終盤でドラムの音にトラブルが発生します。そのまま演奏するも、結局は演奏を止めてトラブルシューティングに入ります。そして、音が復旧すると、「テイク2」として、再び「ダンガンビート」から始まります。少し得した気分。

ライブは曲の新しい魅力に気付かせてくれる機会でもあります。ダイレクトに音に触れることで、アルバムを聴くときとは異なる印象を受ける。そうした状態で改めてアルバムを聴くと、さまざまな発見がある。「こういう音が鳴っていたんだ」、「このメロディがいい」と、ピントが合って鮮明に見えるように、魅力的な音やメロディに気付くことができる。それが「デジタルフィクション」という曲です。鋭角的なエレクトロニック・サウンドが生音と鎬を削ります。妖しく照らす光がパフォーマーの2人の動きを強調し、スリリングな雰囲気を強めます。

***

リーダーであるFチョッパーKOGAはツアーを振り返って「演奏したい曲が多すぎて選曲に苦心した」と語り、そのためにメドレーを披露してきたと語ります。「PVガチャノミクス」と名づけられたメドレーでは、インディーズ時代の曲と『MUSIC BATTLER』の曲を組み合わせて披露します。ミュージック・ビデオが制作された曲で構成されているのですが、こうして続けて聴くとGacharic Spinの音楽は振れ幅が大きいと実感します。

ライブで聴いてみたいと思っていた「MUSIC BATTLER」もメドレーで演奏されました。骨太なハード・ロックが魅力の曲で、デビュー・アルバムの表題曲でもあります。実際に聴くと音の厚さとスピードが相乗的に組み合わさり、ヘビーな音の圧倒されます。ハートに火を点けてやろうと言わんばかりに、すべての音が戦闘態勢で迫ってきます。中でもドラムの猛々しさは強烈なインパクトを与えました。
2016.12.04

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# by mura-bito | 2016-12-04 21:15 | Music | Comments(0)
30th FINAL 21: I am
TM NETWORK 30th FINAL

TM NETWORK 30th FINAL

TM NETWORK


潜伏者のひとりが天を指し示します。それは雲を貫き、空を抜けて、宇宙にまで届くサイン。スペースシップが呼び寄せられ、光が潜伏者を照らします。「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」の冒頭のように、光がぐるりと輪になり、円を描きます。スペースシップはゆっくりと地上に近づき、潜伏期間を終えようとしている潜伏者たちを迎えにきます。

ソフト・シンセの音がスモークのようにステージを観客席を覆い始めます。リズムが鳴り、光が明滅し、視覚的にも聴覚的にも、じわじわと高まるエネルギーを感じます。それはスネアの音とともに弾け、ギターを始めとした他の音が放出されます。曲は「I am」。

「I am」はシングルとして2012年にリリースされました。前のアルバムやツアーから四年ほどの(永遠にも思えた)インターバルを置き、「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」の開催に合わせて発表されました。ギターを弾いているのは、limp bizkitに在籍したこともあるマイク・スミスです。その一年後、ソフト・シンセの音を導入して音をアップデートした「I am 2013」と「I am -TK EDM Mix-」という二種類のリミックスが発表されました。

さらに、一年が経ってリリースされたアルバム『QUIT30』には、オリジナル・ミックスを基にして、音のバランスやボーカルのエフェクトを調整したバージョンが収録されました。このアルバム・ミックスを手がけたのが、Aerosmithの作品にコンポーザーやエンジニアとして参加しているマーティ・フレデリクソンです。いずれのバージョンも雰囲気が変わり、EDMに寄ったりロックの色が濃くなったりと、それぞれに異なる印象を受けました。

歌詞は日々を生きる僕らの姿や抱えている気持ちを切り取ります。2012年の夏、「35.664319, 139.697753」で行なわれた潜伏活動(渋谷公会堂でのイベント)の中で、小室さんが明かしたところによると、ある朝起床したときに「I am」の歌詞が生まれたそうです。夢に見たのか、あるいは目覚めた瞬間のインスピレーションなのか。浮かぶ言葉を流れ出るままに五線譜に書き留め、「I am」の歌詞の大部分ができたと言います。

三十年の活動において、TM NETWORKには代表曲と言える曲はいくつもあります。「I am」もそのひとつです。「GET WILD」や「STILL LOVE HER」のような、メディアに乗って多くの人の記憶に残った代表曲とは異なりますが、TM NETWORKの音楽の本質に近づける曲という意味でTM NETWORKを代表していると思います。その本質とは、三人の存在ですよね。レントゲン写真を撮ったかのように、三人の存在が浮き上がります。

もう少し具体的に言うならば、三人の声です。三人が声を重ねている曲はもちろん多くありますが、その中でもそれぞれの声の存在を強く感じます。光の三原色のように、それぞれの声がユニークな色を持ち、そして混ざってTM NETWORKの声が形成されている。音も色も波長という点では同じですが、分光スペクトルのように三人の声がそれぞれの色を持ち、それらがひとつになることで太陽光のように聴き手を包む光になる。そんなイメージが浮かびました。

♪Yes I am Yes I am Yes I am human No I Can't No I can't I can't lose the moment♪ と繰り返されるコーラス。TM NETWORKの三人をつなぎ、三角形を描き出します。ステージと観客席をつなぎ、ひとつの空間を作り出します。このフレーズがあったからこそ、2012年から2015年にかけてのTM NETWORKの物語が生まれました。とてもシンプルな言葉の連なりではありますが、とても大事な時間と体験と記憶を生み出しました。

INTRO
JUST LIKE PARADISE 2015/RHYTHM RED BEAT BLACK/CHILDREN OF THE NEW CENTURY 2015
HERE, THERE & EVERYWHERE/SCREEN OF LIFE/Birth
CAROL 2015 I
A DAY IN THE GIRL'S LIFE/CAROL (CAROL'S THEME I)/GIA CORM FILLIPPO DIA
CAROL 2015 II/IN THE FOREST/CAROL (CAROL'S THEME II)/JUST ONE VICTORY
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月はピアノに誘われて/あの夏を忘れない/TETSUYA KOMURO SOLO -30th FINAL-/GET WILD 2015
WE LOVE THE EARTH/BE TOGETHER/I am/FOOL ON THE PLANET/ELECTRIC PROPHET
OUTRO

2016.12.01
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# by mura-bito | 2016-12-01 22:09 | Music | Comments(0)
[PART2] Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 "Last Blue" at NIPPON BUDOKAN
Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 "Last Blue"
2016.11.04/05 at NIPPON BUDOKAN

シリウス/AURORA/コバルト・スカイ/アヴァロン・ブルー/GENESIS/アカツキ
クロイウタ/KASUMI/Lament/MEMORIA/HaNaZaKaRi/アクセンティア
レイニーデイ/シューゲイザー/シンシアの光/ラピスラズリ/IGNITE/Bright Future
サンビカ/翼/INNOCENCE/frozen eyez/ツナガルオモイ/虹の音

藍井エイルのライブ「Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 "Last Blue"」は、ベスト盤『BEST -E-』と『BEST -A-』に収録された新曲を初めて、そして最後に聴けた場でもあります。『BEST -E-』に収録されている新曲は「アカツキ」です。この曲を聴いていると、背反する感情が浮かんできます。美しいメロディは、心に火を点けるような、熱く燃える気持ちを生む一方で、糸がぷつんと切れたような、諦観にも似た切なさを残していきます。熱くなったり、ふと哀しくなったり、その落差に翻弄されます。ライブでは、分厚いバンド・サウンドの中でもメロディの美しさが屹立することに感動し、一片たりともメロディを逃すまいと思いながら観ていました。

もうひとつの新曲「レイニーデイ」は『BEST -A-』に収録されています。メロディもサウンドも明るくて、軽快に歩くイメージが浮かぶポップさが特徴です。ポップな雰囲気を支えている要素のひとつは、ハンドクラップを思わせるシンバルでしょう。サビを始めとしてイントロや間奏の随所で響きます。最初に曲を聴いたときに「ライブで手を叩いたら楽しいだろうな」と思っていたのですが、実際に楽しかった。彼女はマイクスタンドを前に歌い、両手を叩き、そして観客もハンドクラップで曲に参加しました。弾ける雨粒のようにハンドクラップが響き渡ります。

***

アンコールでは時間を一気に巻き戻して、デビュー前から歌っていたという曲「frozen eyez」を歌います。そして、アルバム『D’AZUR』から「ツナガルオモイ」を披露します。作詞には彼女の名前がクレジットされており、曲名を含め、ひとつひとつの言葉に思い入れがあるのだろうと思います。コール・アンド・レスポンスもまた、言葉と言葉の交換です。その直後、歌に涙を滲ませながらも、最後まで歌い切ります。

ライブは最後の曲を迎えます。青から始まった世界は、次第に他の色で彩られ、カラフルになっていきます。藍井エイルは真っ白なワンピースで「虹の音」を歌います。ステージと会場を照らす光は七色に輝きます。曲が終わると、彼女は踵を返し、ステージの奥から放たれる光へと向かいます。白い衣装をまとうことは「藍井エイル」から色を消して白に戻る、ということを意味していたのでしょうか。白い影は光の中に浮かび、やがて消えて見えなくなりました。
2016.11.23
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# by mura-bito | 2016-11-23 18:04 | Music | Comments(0)
[PART1] Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 "Last Blue" at NIPPON BUDOKAN
Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 "Last Blue"
2016.11.04/05 at NIPPON BUDOKAN

シリウス/AURORA/コバルト・スカイ/アヴァロン・ブルー/GENESIS/アカツキ
クロイウタ/KASUMI/Lament/MEMORIA/HaNaZaKaRi/アクセンティア
レイニーデイ/シューゲイザー/シンシアの光/ラピスラズリ/IGNITE/Bright Future
サンビカ/翼/INNOCENCE/frozen eyez/ツナガルオモイ/虹の音
ステージに満ちていたのは音、光、そして歌。藍井エイルのデビュー5周年を記念するライブ「Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 "Last Blue"」が日本武道館で開催されました。タイトルに含まれた「Last Blue」という言葉がピリオドの役割を果たします。この最後のライブで、彼女はシンプルに音楽を届けることに専念しました。MCも最小限に留め、言葉にならない言葉は歌に込めます。僕は初日だけの参加でしたが、熱い熱いステージをこの目で観て、歌声を身体で感じられたことを嬉しく思います。

ライブは、明るく輝く星のようにポップな「シリウス」から始まり、彼女の軌跡を丁寧にたどっていきます。5年間で駆け抜け、通り過ぎたいくつもの点が結ばれ、一本の線になります。3枚のオリジナル・アルバム、数々のシングルから選ばれた曲がセット・リストに加えられました。彼女の代名詞とも言える「IGNITE」、デビュー曲の「MEMORIA」、シングルとしては最後のリリースとなった「翼」などが披露されます。

***

僕は2015年のアルバム『D’AZUR』が好きで、その前後のシングルとともに聴くことが多いのですが、このライブで改めて聴いて魅了された曲がいくつもあります。特に印象的だったのは「KASUMI」という、2枚目のアルバム『AUBE』に収録されている曲です。とてもリズミカルで、言葉がメロディを連れて奔放に舞います。ラップにも似た歌い方で、言葉の密度が変化するところがとても良いですね。言葉がぎゅっと詰め込まれたり、隙間が広がったり、曲の表情が転々と変わっていきます。音の変化というより言葉が生み出す雰囲気の変化が心地好い曲です。

圧巻のパフォーマンスに魅せられたのは「シューゲイザー」です。イントロで飛び出すギターは、それまで会場に広がっていた世界を一変させるインパクトを与えます。歌声は危ういほどにアグレッシブで、それでいて二の句が継げないほど美しい。ロック・ギタリストが書き、ジャズ・ピアニストが編曲した曲を、ロック・ボーカリストが歌う。それぞれにオリジナルな音楽的センスが重層的に組み合わさり、「シューゲイザー」という曲が生まれました。その魅力は、ライブという空間に解き放たれることで、何倍にも膨れ上がります。妖しく艶やかな光がステージを照らす中で、美しいメロディが響き渡ります。
2016.11.20

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# by mura-bito | 2016-11-20 21:50 | Music | Comments(0)

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