inthecube
音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
Want to become tough, not need to get wild.
ブログトップ
<   2016年 08月 ( 3 )   > この月の画像一覧
30th FINAL 15: 月はピアノに誘われて
TM NETWORK 30th FINAL

TM NETWORK 30th FINAL

TM NETWORK


目の前に月が姿を現します。青白く浮かぶ月を彩るのは、木根さんの歌声です。

幕間に響いていた音のループが消え、ステージに光が戻ります。木根さんは、裏地がカラフルにデザインされたジャケットを脱ぐと、YAMAHAのキーボードに向かいます。葛Gがアコースティック・ギターを爪弾き、ひとしきり音を会場に馴染ませると、木根さんが鍵盤を押さえ、「月はピアノに誘われて」を弾き始めます。葛Gに加え、Ruyのエレクトロニック・パーカッションが木根さんを支えます。ステージが青く染まると、哀愁漂うラブソングが会場の隅々にまで浸透して、心地好い時間が流れます。

***

「月はピアノに誘われて」は、1991年のアルバム『EXPO』に収録されています。TM NETWORKにおいて、木根さんがリード・ボーカルをとった曲は2曲ありますが、そのひとつですね。木根さんらしい、優しいメロディの流れが印象的なバラードです。もうひとつの「LOOKING AT YOU」は、「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA」で披露されました。

この曲は『EXPO』のテーマを体現した曲でもあります。『EXPO』は「月とピアノ」をテーマにしており、各曲をパビリオンに見立て、多種多様な要素が一堂に会して交流する博覧会を表現しました。数々のパビリオンは、ピアノの形をした宇宙船の中に広がります。宇宙を漂うピアノ。その窓からは月が、そして地球が見えます。「地球を俯瞰する」という、TM NETWORKの暗黙のテーマも埋め込まれました。

***

「月はピアノに誘われて」で歌われる情景は、幻想的な要素よりは、もっと現実的な空気を感じます。宇宙から地球の一点にぐっとズームして、地上で一瞬一瞬をもがくように生きる人間たちにフォーカスします。それは月の視点です。ピアノの音に誘われて、月が地球に視線を送ります。僕らが夜空を見上げて月の美しさに見とれているとき、月もまた地球のどこかを見ているのかもしれません。

人間が交わすささやかなラブストーリーを、月の光が照らします。真っ暗な中では互いの顔も見えません。それらを照らす光は、月からの贈り物です。ピアノに誘われた月は、柔らかな光を投げかけながら、地球で生きる人々の姿を眺めています。

***

木根さんの歌い方には、優しさが感じられます。木根さんが書いたメロディをウツが歌うときはまた異なる雰囲気が生まれます。フォークが好きな木根さんらしいと言うべきか、TM NETWORKの中では、最も人間らしいというか、体温を感じさせます。小室さんの歌い方は独特と言うには独特すぎるものがありますが、それに比べれば木根さんはストレートです。

たっぷりと円かった月は、気付けば大きく欠け、三日月に変わっています。もうすぐ消えて見えなくなってしまうのか。あるいは「新月」と考えれば、それは終わりではなく始まりです。月はただ満ちては欠け、欠けては再び満ちます。そこに意味を持たせているのは、地上から見上げる人間です。

INTRO
JUST LIKE PARADISE 2015/RHYTHM RED BEAT BLACK/CHILDREN OF THE NEW CENTURY 2015
HERE, THERE & EVERYWHERE/SCREEN OF LIFE/Birth
CAROL 2015 I
A DAY IN THE GIRL'S LIFE/CAROL (CAROL'S THEME I)/GIA CORM FILLIPPO DIA
CAROL 2015 II/IN THE FOREST/CAROL (CAROL'S THEME II)/JUST ONE VICTORY
INTERMISSION
月はピアノに誘われて/あの夏を忘れない/TETSUYA KOMURO SOLO -30th FINAL-/GET WILD 2015
WE LOVE THE EARTH/BE TOGETHER/I am/FOOL ON THE PLANET/ELECTRIC PROPHET
OUTRO

2016.08.29
[PR]
by mura-bito | 2016-08-29 22:07 | Music | Comments(0)
真崎福太郎 – 文豪アクト 1

文豪アクト 1

真崎福太郎


『文豪アクト』という漫画を知りました。高校演劇を題材にして、芝居にかける情熱を描いています。それこそ芝居を観ているかのようなテンポのよい展開が魅力的な作品です。名古屋の高校を舞台にし、登場人物の名前も名古屋界隈の地名にちなんでいます。鶴舞、金城、荒畑、八熊など。

『月刊コミックゼノン』で連載されており、つい先日、その第1巻が発売されました。単行本発売のプロモーションの一環として、「WEBコミック ぜにょん」で第1話から第3話が無料で公開されています。

WEBコミック ぜにょん – 文豪アクト

物語は演劇部の分裂から始まり、非主流となった三人が、新たなグループを立ち上げるところから始まります。それを傍観者の立場で見ていた一人の同級生が、見えない糸に導かれるかのように、本人も気付かないうちに三人の活動に巻き込まれていきます。それは、観客として芝居を観ていたはずなのに、いつの間にか舞台に上げられて役者として振る舞っているという、奇妙な展開。

第1巻のテーマは「覚醒」でしょうか。舞台の幕が開くと、物語はトップスピードで展開します。同級生から敬遠されている「八熊太平」が、三人の元演劇部員と出会い、その殻の中から出始めます。「鶴舞翔子」は、彼の中にたぎっていた表現への渇望を引きずり出し、焚き付け、そして受け入れます。そして、四人は徐々にまとまっていき、何もかもが足りない状況の中であっても、「自分たちの芝居を打つ」という目標を立てます。分裂によって去った仲間の姿もちらりと見かけましたが、そちらのストーリーは第2巻以降に譲るようです。

***

僕が裏方として演劇に携わっていたのは大学生の頃でしたが、当時を思い出します。みんながそれぞれに自らに溜め込んだエネルギーを発散させるように、ひとつの芝居を作り上げました。個と個とがぶつかり、混ざり、大きな「ひとつ」ができる。あのダイナミズムは筆舌に尽くし難く、一度経験すると、強烈な記憶となって身体に刻み込まれます。

僕は舞台を照らす役割を主に担っていましたが、舞台には、確実に自分がいました。光を介して、自分が表現したいものが舞台に存在した。「みんなで作り上げるもの」は個を圧殺するものではなく、どこかに必ず個が光るものです。それを肌で理解していたからこそ、何度も参加したし、多くの時間を費やし、沢山の満足を得られたのだと思います。

『文豪アクト』を読んでみて、そんなことを考えました。懐かしさよりも、舞台を作り上げていたときの記憶が鮮明によみがえります。そのときの気持ちとともに。
b0078188_22072708.jpg

2016.08.27
[PR]
by mura-bito | 2016-08-27 22:09 | Visualart | Comments(0)
TM NETWORK 30th FINAL (INTERMISSION)
TM NETWORK 30th FINAL

TM NETWORK 30th FINAL

TM NETWORK


音のパーツがくるくる回って、合わさって形をとり、また解けて離れて散って、形を変えて異なる姿を見せます。シンプルな音で組み立てられたリズムが繰り返されます。一定の時間が経つと、音は少しずつ変化します。輪郭が見えそうで見えない、サウンド・アートのような音の連なり。

***

TM NETWORK流のエレクトロやロックを凝縮した序盤、「CAROL」を描いた中盤と続き、ライブはこれから終盤に差し掛かります。その前に、一度インターバルとしての幕間を挟みます。ライブの中にぽっかり空いたエア・ポケット、隙間のような時間に乾いた音が響きます。音は溶け合うように、生きているかのように姿を変え、15分間のサウンドスケープを描きます。

***

2012年、2013年、2014年、そして2015年。TM NETWORKが刻んできた時間が絡み合い、記憶が記憶を呼び、最後の瞬間に向けた橋を架けます。幕間の暗闇に響く音の連なりは、結末に向かう一本の道を指し示しています。

INTRO
JUST LIKE PARADISE 2015/RHYTHM RED BEAT BLACK/CHILDREN OF THE NEW CENTURY 2015
HERE, THERE & EVERYWHERE/SCREEN OF LIFE/Birth
CAROL 2015 I
A DAY IN THE GIRL'S LIFE/CAROL (CAROL'S THEME I)/GIA CORM FILLIPPO DIA
CAROL 2015 II/IN THE FOREST/CAROL (CAROL'S THEME II)/JUST ONE VICTORY
INTERMISSION
月はピアノに誘われて/あの夏を忘れない/TETSUYA KOMURO SOLO -30th FINAL-/GET WILD 2015
WE LOVE THE EARTH/BE TOGETHER/I am/FOOL ON THE PLANET/ELECTRIC PROPHET
OUTRO

2016.08.02
[PR]
by mura-bito | 2016-08-02 22:41 | Music | Comments(0)

fujiokashinya (mura-bito)
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
最新の記事
[PART2] LINKIN..
at 2017-07-30 08:25
[PART1] LINKIN..
at 2017-07-29 09:39
ORESAMA「Trip T..
at 2017-07-26 22:10
Zedd & Liam Pa..
at 2017-07-20 21:58
藍井エイル「シリウス」:一等..
at 2017-06-04 21:19
[PART4] Sound ..
at 2017-05-31 21:53
[PART3] Sound ..
at 2017-05-29 22:13
以前の記事
記事ランキング
カテゴリ
タグ
ライフログ
TM NETWORK

























TETSUYA KOMURO




quasimode


Linkin Park


Paramore

Immigrant'sBossaBand

Ryu Miho

AVICII


Krewella

Zedd

藍井エイル






Gacharic Spin


梨木香歩

村上春樹



京極夏彦



Book





Comic






Music


ブログジャンル