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音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
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藍井エイル – D’AZUR
D’AZUR

D’AZUR

藍井エイル


藍井エイルのアルバム『D’AZUR』をApple Musicで聴いています。2015年にリリースされた作品です。聴くほどに引き込まれ、惹きつけられる歌声です。その歌声がメロディを呼ぶのか、メロディが歌声を誘うのか。心に刺さるメロディを、重くて速いギター・ロックに乗せて届けます。

アルバム・タイトルの "d’Azur" はフランス語で「紺碧」を意味し、ジャケットもビビッドな青色が印象に残ります。アルバムに収録された曲の端々に、青系の色名が登場します。名は体を表わすとは言いますが、「藍井エイル」というプロジェクトのコンセプトは「さまざまな青を表現する」ということでしょうか。あるいは多くのバリエーションを持つ青という色こそが、この世界のいろいろなものを表現できるということかもしれません。シャープな印象を与える色なので、彼女の特徴であるロック・スタイルを強調しているとも言えます。
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Picture from INNOVATION WORLD FESTA 2016 EVENT PHOTO REPORT

一度聴いて、また聴きたくなる音楽ってありますよね。このメロディがいい、この楽器の音がいい、この歌詞がいい。自分にとって何かしらが突出していると、そこに引っかかる。一度引っかかると、再び聴こうとする。そして引っかかったポイント以外にも好きなところが見つかり、その曲は、アルバムは、身体の中に沁みていきます。

『D’AZUR』でも特定のフレーズが記憶に残って、もう一度聴いてみようと思わせてくれました。例えば、「ゆらり」ではサビの頭の ♪まだゆらり ゆらゆらら 揺れているよ♪ というフレーズですね。この後、サビの後半に向けて盛り上がっていきますが、それを後押しするような力があります。あるいは、「JUMP!!!」のBメロの一部、♪もっと♪、♪きっと♪、♪ずっと♪ の部分に惹かれます。この曲の場合は、短い音符の組み合わせが記憶のどこかを刺激しているような感覚に陥ります。本当に聴いたことがあるのか、デジャヴのようなものなのかは定かではありません。「幻影」はサビから始まる曲ですが、相当な声量と肺活量を要求されるんじゃないかと思うくらい、全力で力を振り絞って声を出しています。その声に乗って、声が放つエネルギーと相俟って、サビのメロディが届きます。届くなんてものではない、肩をつかまれて揺さぶられる、それくらいのインパクトがありました。
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Picture from INNOVATION WORLD FESTA 2016 EVENT PHOTO REPORT

1年前にシングル曲をざっと聴いた感じではビート・ロックで強行突破するイメージが浮かんだものですが、こうしてアルバムをきちんと聴いてみるとそれだけでなく、緩急のついたアレンジがなされていると感じます。変化球のひとつが、シングル・カットされた「ラピスラズリ」[*1] です。また、アルバムの開始を告げるインストゥルメンタル「awakening」や地を這うように響く「Quit」には、ダブステップ的なソフト・シンセの音が使われています。そして、切々と歌い上げられるバラード「青の世界」は、激しいスピードと音の嵐を抜けた先に訪れた凪のようです。青く染まる静寂が広がり、心地好さに包まれます。

アルバムの最後には、今度はデジャヴではなく本当に聴いたことがあるメロディが飛び出します。繰り返される ♪BREAK OUT!♪ というフレーズ。それは1990年代を彩る曲のひとつ、相川七瀬の「BREAK OUT!」です。他のさまざまな曲とともにカラオケでよく耳にした覚えはありますが(1990年代は日本のカラオケ文化が全盛期を迎えた時期)、オリジナルはテレビで断片的に耳にする程度でした。だからでしょうか、藍井エイルのカバーはむしろ新曲のように新鮮に聴くことができます。彼女の音楽を体験するのに、このカバーを入り口にしてみるのもいいかもしれません。

[*1] inthecube: 藍井エイル – ラピスラズリ (Music Video)

2016.05.31
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by mura-bito | 2016-05-31 21:46 | Music | Comments(0)
30th FINAL 09: CAROL (CAROL'S THEME I)
TM NETWORK 30th FINAL

TM NETWORK 30th FINAL

TM NETWORK


「A DAY IN THE GIRL'S LIFE」と「CAROL (CAROL'S THEME I)」の音がつながり、滑らかに雰囲気を変えて、異なる世界を描き出します。アコースティック・ピアノの音が印象的に響き、ウツは「キャロル」と名付けられた少女の日常を歌います。彼女はイギリスのバースに生まれ、平凡な日々を過ごします。家族を愛し、お気に入りのバンドの曲を聴き、時にロンドンまで出向いてその喧騒の中で時間を過ごします。

物語のアイデアを考え付いたのは小室さん、そして歌詞でその世界を広げたのが作詞家の小室みつ子さんです。そこから木根さんが物語を小説という形にまとめ、物語はレコード、ステージ、小説と展開して完結しました。どこにでもいる女の子であり、それは本人も自覚しているけれど、実は非凡なものを持っている。それゆえ彼女は異世界に旅立つことになり、その世界を救うための戦いに身を投じます。

***

「CAROL」は、ふたつの物語が交差しています。アルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』が描く物語、「TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end」が示唆する物語。キャロルはひとつの物語の主人公であると同時に、別の物語の登場人物でもあります。前者は後者に含まれる物語、劇中劇のような位置関係にあります。

「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」から始まった物語では、TM NETWORKを含む数多くの地球外生命体が地球上に潜伏しています。キャロルは潜伏者のひとりであり、その任務は「物語の主人公になること」でした。多くの潜伏者を送り込んできた存在は、次元すらも越える力を持っているのでしょうか。次元を越えた物語の交錯。

***

ウツのボーカルと木根さんのコーラスががっちりと組み合って、タフなハーモニーを生み出します。この連携はTM NETWORKを結成する前から培われたものであり、TM NETWORKの活動を通じて成長していきます。木根さんのコーラスがなかったとしたら、TM NETWORKの音楽は異なる雰囲気になっていたと思います。これだけ長く続けることもなかったのかもしれませんね。

とりわけバラード調の曲ではコーラス・ワークが注目されます。木根さんはバラードを作曲するのも得意ですが、それを歌うのも秀でています。「CAROL (CAROL'S THEME I)」の世界を、木根さんの柔らかい声が優しく彩ります。

INTRO
JUST LIKE PARADISE 2015/RHYTHM RED BEAT BLACK/CHILDREN OF THE NEW CENTURY 2015
HERE, THERE & EVERYWHERE/SCREEN OF LIFE/Birth
CAROL 2015 I
A DAY IN THE GIRL'S LIFE/CAROL (CAROL'S THEME I)/GIA CORM FILLIPPO DIA
CAROL 2015 II/IN THE FOREST/CAROL (CAROL'S THEME II)/JUST ONE VICTORY
INTERMISSION
月はピアノに誘われて/あの夏を忘れない/TETSUYA KOMURO SOLO -30th FINAL-/GET WILD 2015
WE LOVE THE EARTH/BE TOGETHER/I am/FOOL ON THE PLANET/ELECTRIC PROPHET
OUTRO

2016.05.29
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by mura-bito | 2016-05-29 09:48 | Music | Comments(0)
UVERworld – I LOVE THE WORLD (Music Video)


UVERworld – I LOVE THE WORLD

2015年に「僕の言葉ではない これは僕達の言葉」[*1] という曲に出会い、そこでUVERworldの音楽をきちんと聴きました。アニメ『アルスラーン戦記』のオープニング・テーマだったため、もう刷り込まれたと言っても過言ではありません。定期的にロックを聴きたくなる波が来るのですが、そこを突かれましたね。火傷しそうなロックの熱に心を奪われつつも、バンド・サウンドで負けじと主張するソフト・シンセの音にも惹かれました。続いてリリースされたシングル「I LOVE THE WORLD」では、ソフト・シンセの音を散りばめるどころか、ぐっとEDMに寄っています。

「I LOVE THE WORLD」はロックとEDMがそれぞれに持つ熱や中毒性が交差します。ロックからEDMに挑戦状を叩きつけているようにも見えます。真正面からEDMにぶつかり、呑み込もうとしている。EDMに近づいても、ただEDMをやろうとしているわけではないのが、その音から分かります。EDMならシンセサイザーのリフを強めて一気に爆発させるところで、ボーカルが煽って盛り上げます。

ロックとEDMは水と油ではなく、相性は決して悪くないと僕は思います。片方がもう片方より上だ下だということもなく(そう思いたい人はいるとしても)、互いが持っているパワー、エネルギー、スピードを掛け合わせられるため、相性はむしろ良いと言えます。それを示すアーティストや曲がここ数年で散見されますが、僕の印象では、EDMサイドからのロックへのアプローチが主であり、バンドがEDMをポジティブに捉えて自らの音に組み込む例には出会えませんでした。そこに、「I LOVE THE WORLD」の登場です。この曲はROCK&EDMの恰好良さをバンドが証明してみせた例ですね。

[*1] inthecube: UVERworld – 僕の言葉ではない これは僕達の言葉 (Music Video)

2016.05.28
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by mura-bito | 2016-05-28 10:34 | Music | Comments(0)
藍井エイル – ラピスラズリ (Music Video)


藍井エイル – ラピスラズリ

藍井エイルというシンガーの曲を初めて聴いたのは2015年。アニメ『アルスラーン戦記』のエンディング・テーマとして流れた「ラピスラズリ」が、毎週耳にするうちに印象に残りました。毎日聴く、毎週聴くというように、定期的な接触は否が応でも記憶に残りますよね。同じ時期のオープニング・テーマ「僕の言葉ではない これは僕達の言葉」[*1] も強烈に記憶に刻み込まれました。1年近く経って、先日開催されたイベント「INNOVATION WORLD FESTA 2016」[*2] で彼女のパフォーマンスを観たことがきっかけで、きちんと聴いてみようと思いました。

「ラピスラズリ」を耳にしたとき、メロディの流れに歌謡曲の感触がありました。べたっとした肌触りというか滲む汗のような、まとわりつく感じです。それでいて彼女の声は伸びやかで、空を舞うような軽さがあり、暗さを感じさせません。その背後で、ずしりと重いキック(ベースドラム)の音が響きます。キックの効いた重心の低いサウンドは、湿っぽいメロディと伸びやかな声と混ざり合って、独特の雰囲気を醸します。

アルバム『D’AZUR』を聴くとビートを強調したロックが持ち味なのだろうと思わされますが、その中でも「ラピスラズリ」はユニークな存在です。エネルギーをうまくコントロールすることが求められる曲、という感じでしょうか。それもまた歌謡曲の香りがする要因です。「INNOVATION WORLD FESTA 2016」で披露したときは、他の曲とはやはり質感が異なっていて、とても良かった。

サビから始まる、その最初の歌詞 ♪夜空を舞う 青き三日月♪ は、彼女のテーマである青にかけつつ、物語のイメージにも合致します。僕は原作小説を読んでいるので(田中芳樹は完結させられるかどうか、それが問題だ)、いろいろとイメージを膨らませながら文字を追ってきました。そこで「ラピスラズリ」が僕の中のイメージを刷新します。戦いに敗れ、再興を誓って仲間とともに旅するアルスラーン。絶望的な状況ながらも、彼は持ち前の明るさと仲間の支えで困難を切り抜け、少しずつ成長します。そんな旅の中でふと見上げる三日月は、青っぽく白く光っているのでしょう。

[*1] inthecube: UVERworld – 僕の言葉ではない これは僕達の言葉 (Music Video)
[*2] inthecube: INNOVATION WORLD FESTA 2016

2016.05.27
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by mura-bito | 2016-05-27 22:27 | Music | Comments(0)
山田 怜 – 鳴沢くんはおいしい顔に恋してる 2
鳴沢くんはおいしい顔に恋してる 2

鳴沢くんはおいしい顔に恋してる 2

山田 怜


山田怜さんの漫画『鳴沢くんはおいしい顔に恋してる』は、主人公の男子高校生「鳴沢くん」が3人の女性「ジュリエッタ」、「冬子」、「ハル」に出会い、彼女たちの「おいしい顔」を眺めることに喜びを感じる、という漫画です。先日、2巻が刊行されました。一方で、1巻に収録されている1~7話は「WEBコミック ぜにょん」に期間限定で掲載されています。

http://www.zenyon.jp/lib/top.php?id=102

1巻で主要なキャラクターが登場して、それぞれの性格や行動パターンなどが示されました [*1]。2巻では、物語が少し深いところまで掘り下げられます。4人が抱えるものが少しずつ表に出てきて、コミカルな描写の中にも、読者の心をそっと揺さぶる話が登場します。山田怜さんのストーリーテリングがとても魅力的で、流れるように変化する物語に引き込まれますね。

2巻で最も印象に残ったのは、最後に見せた「鳴沢くん」の表情です。過去の呪縛から少し解き放たれたような、憑き物が取れたような、とても穏やかな顔。ダイナミックな展開で強烈なインパクトを残すのではなく、ひとつひとつ積み上げてきたものが最後に花開いた、という感じですね。と書くとまるで最終回のようですが、そしてそのくらいの清々しさを感じたのも事実ですが、もちろん物語は続きます。2巻の続きである16話は「WEBコミック ぜにょん」で読むことができます。

[*1] inthecube: 山田 怜 – 鳴沢くんはおいしい顔に恋してる 1

2016.05.25
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by mura-bito | 2016-05-25 21:25 | Visualart | Comments(0)
山田 怜 – 鳴沢くんはおいしい顔に恋してる 1
鳴沢くんはおいしい顔に恋してる 1

鳴沢くんはおいしい顔に恋してる 1

山田 怜


最近、『鳴沢くんはおいしい顔に恋してる』という漫画を知りました。「WEBコミック ぜにょん」というサイト(看板作品は『ワカコ酒』)で、1巻の内容がまるごと期間限定で公開されています。先週末に2巻が刊行されましたが、そのプロモーションの一環で1巻が無料で公開された次第です。まあ、それにまんまとはまり、そして一気に読んで気に入って、まんまとハマったわけですね。

http://www.zenyon.jp/lib/top.php?id=102

不機嫌そうな表情で同級生と距離を置く男子高校生「鳴沢くん」が、イタリアから来た女性「ジュリエッタ」と出会うところから物語は始まります。「おいしい顔」を見ることが生き甲斐の「鳴沢くん」が、自分のつくったものを食べてもらって狂喜乱舞する様をコミカルに描きます。一歩間違えたら変態ですけどね…でも、分かる…分かるよ…。

彼は「ジュリエッタ」の他に「冬子」、「ハル」という理想の「おいしい顔」に出会います。多彩な「おいしい顔」に一喜一憂しつつも、決して明るいとは言えない過去も引きずっており、時折その記憶が彼の足を止めます。「ジュリエッタ」、「冬子」、「ハル」もそれぞれに抱えるものがあり、物語は視点を変えて、4人に起こるさまざまな出来事を描きます。1巻は登場人物の紹介という感じであり、続く2巻では各人の気持ちに少し踏み込み、物語に奥行きが出ていますね。

同じジャンルの漫画『にがくてあまい』が終わったタイミングでこの作品に出会ったのは、不思議な縁です。「おいしい顔」というキーワードが僕の中で2つの作品を橋渡しします。月に1回の楽しみが生まれたことはとても嬉しい。楽しんで味わいたいと思います。

2016.05.23
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by mura-bito | 2016-05-23 22:50 | Visualart | Comments(0)
Krewella – Ammunition
Jahan Yousafは "krewella is back? nah we've been here all along(Krewellaが戻ってきた? そうじゃない、ずっとここにいたんだ)"とツイートしました。

Krewella(クルーウェラ)が新作のEP「Ammunition」をリリースしました。EPとは「シングルよりは長いがアルバムよりは短い」作品のことを指します。「Ammunition」には6つの新曲が収録されています。そのうち、Diskordというイギリスのグループと共作した「Beggars」はミュージック・ビデオが製作されています。他の曲については音源がYouTubeにアップされています。

2013年にアルバム『Get Wet』[*1] をリリースしてから、まとまった作品群をリリースできなかったKrewellaですが、ここに来てようやくリリースが実現しました。メンバーの脱退(その一言で片付けてしまうのはフェアではありませんが)が引き金となり、それまで制作していた曲を思うようにリリースできない状況が続きました。2人になってから、Krewellaは「Say Goodbye」[*2] や「Somewhere to Run」[*3 *4] を配信しましたが、いずれもインディーズの扱いでした。今回の「Ammunition」は、アルバムのときと同じレーベルから発売されました。

[*1] inthecube: Krewella – Get Wet
[*2] inthecube: Krewella – Say Goodbye
[*3] inthecube: Krewella – Somewhere to Run
[*4] inthecube: Krewella – Somewhere to Run (Live Lyric Video)
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第一印象に従い、いくつかの曲を紹介しましょう。「Marching On」から得られる高揚感は、これぞKrewellaの音楽だと思わせてくれる特徴です。♪We're marching on!♪ と叫んで一気に盛り上がり、パーカッションが乱舞するところが特に好きですね。とても扇情的な音や声ですが、EDM的なパーティー・ソングとは異なる感じがあります。脳の中をコントロールされているような…表現は気をつけねばなりませんが、"march on(前進する・行進する)" という言葉が表わすように、音に、声に導かれていきます。



Krewella – Marching On (Audio)

Krewellaのサウンドは大きく括ればエレクトロやEDMですが、分解してみるとドラムンベースの曲が一定の割合で存在します。「Surrender The Throne」もドラムンベースのリズムでぐいぐいと聴き手を引っ張ります。最初は穏やかな、アコースティック・ギターが陰鬱に響く、それこそ凪のような雰囲気ですが、ストリングスやリズムが加わり、時が満ちるのを待っていたかのように強烈なシンセサイザーとリズムの嵐に見舞われます。



Krewella – Surrender The Throne (Audio)

Can't Forget You」ではキャンバスの隅々まで色を塗るイメージが浮かびます。絵筆は歌声、絵の具は言葉。語りかけるように、訴えかけるように、宣言するように2人は歌い、言葉をつなぎます。終盤にかけてダイナミックに盛り上がります。曲は、これからのKrewellaの活動を期待させてくれる、満ち足りた雰囲気で終わり、それと同時にEP「Ammunition」も幕を下ろします。



Krewella – Can't Forget You (Audio)

Krewellaの2人はメールマガジンで、ファンである「Krew(クルー)」に語りかけます。久しぶりのリリースであることを簡単に述べたあと、「あとはただ聴いてほしい。作り出した自分たちと同じくらい、このEPを楽しんでほしい」と結びます。クリエイトする側も、聴く側も気持ちは少しも変わらない。音楽を生み出すこととそれを楽しむことは等価である、ということですね。その熱い想いをEP「Ammunition」から、そして2人の音楽から感じましょう。

2016.05.22
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by mura-bito | 2016-05-22 11:50 | Music | Comments(0)
小林ユミヲ – にがくてあまい 12
にがくてあまい 12

にがくてあまい 12

小林ユミヲ


小林ユミヲさんの漫画『にがくてあまい』が、12巻をもって完結しました。「レシピ69 ビーツのリゾットとビーツとバナナの豆乳ジュース」から「レシピ75 アボカドと納豆のそば粉ガレット」まで、7つの話が収録されています。ラスト・シーンに向けて、徐々に物語を畳んでいきます。

***

連載は約6年にわたり、さまざまなテーマを盛り込んで展開しました。僕はレシピ56から読み始めて、遡って最初から読んだのですが、読みながらいろいろなことを考えました。物語をきっかけに思考が旅をし始めたという感じですね。もちろんさらりと読むこともできますが、その陰影を感じながらじっくり読むこともできる物語だったと思います。

物語の舞台となった長屋について、あとがきで小林さんは「空地にある秘密基地」というイメージで描き、それは「いりくんでいて、人も車もめったにこない、フリーダムな場所」だと語ります。僕の中でもこの長屋は、不思議な趣きで存在し続けました。本当に存在して、本当にマキも渚もそこで暮らして、そして本当にどこかですれ違ったことがあるような気がしていました。もちろんフィクションなのですが、フィクションらしくない肌ざわりを感じていたのだろうと思います。

小林さんのTumblrでは、これまでの単行本で使われたおまけペーパーのイラストが公開されています。Twitterでも落書きと称してマキや渚、ばばっち、ミナミ、豊が好き勝手に話しているイラストがアップされていましたね。そういうところも、自分にとってあまりフィクションっぽさを感じなかった理由ですね。いろいろな日常があちこちに転がっていたから。たくさん楽しめました。感謝です。

***

そして9月10日から、ついに実写映画が公開されます。マキを川口春奈、渚を林遣都が演じます。物語のどのエピソードをピックアップして、どのようなテイストで描くのでしょうか。実写ならではの描き方を存分に楽しみたいと思います。

レシピ69 ビーツのリゾットとビーツとバナナの豆乳ジュース
レシピ70 いちじくと大根の天ぷら
レシピ71 カリフラワーと干し椎茸のじゃーじゃーうどん
レシピ72 あまからみぞれ餅
レシピ73 パクチーとトマトの塩焼きそば
レシピ74 ポパイの蒸しケーキ
レシピ75 アボカドと納豆のそば粉ガレット

2016.05.19
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by mura-bito | 2016-05-19 23:05 | Visualart | Comments(0)
ソフト・シンセの中に冨田勲の偉大さを見る:朝日新聞 小室哲哉インタビュー
先日、音楽家の冨田勲さんが亡くなったのは、多くの人が知るところです。訃報から10日ほど経って、朝日新聞に小室さんのインタビューが掲載されました。冨田さんの音、音楽、会ったときの会話について語っています。かなり多くの言葉が連なる、実に濃い内容のインタビューなので、ぜひ全文を読んでみてください。

自分の頭のなかの音楽を、どんな手段で表現するかということ。それはどこまでも自由なんだよ、と教えてくださったと思います。

小室哲哉
朝日新聞 – 小室哲哉さん「自分の音追究した音楽家」冨田勲さん悼む

小室さんの言葉がとてもピュアに、ストレートに響きます。これは『キーボード・マガジン』の対談 [*1] でも感じたのですが、冨田さんについて話すとき、素直な言葉がこぼれるんですよね。小室さんは冨田さんを「先生」と呼んでいますが、二人はまさに先生と生徒の関係を思わせます。あまり多くを教えない、けれども尊敬される先生。生徒は、先生を驚かせたくて、懸命にプレゼンテーションをする。「先輩から音楽的な影響は受けなかった」とは1987年頃の小室さんの発言ですが、ここに来て、冨田さんの存在の大きさに気づき、再び学ぶ姿勢を見せます。

シンセサイザーの音色に、「トミタなんとか」っていうのがあるんです。ヨーロッパのソフトのなかに。トミタという人がつくった音だよ、というリスペクトなんですが、そのなかに「トミタフルート」みたいな「トミタボイス」みたいな、とても繊細な音がある。口笛のような、声のような、鼻歌のような、あの音色こそが、実は冨田さんの「代表作」なんじゃないかなと僕は思ってる。

小室哲哉
朝日新聞 – 小室哲哉さん「自分の音追究した音楽家」冨田勲さん悼む

小室さんの音楽制作環境の大きなウェイトを占めるのがソフト・シンセです。ソフト・シンセは、ネットワークにつないで、定期的にアップデートされる音源を手に入れて使います。その中に見た音の名称に、冨田さんの偉大さを感じているようです。アイコンとして、音を扱う人々の中に残ることは、音楽が残り続けるよりも大きなインパクトがある出来事なのかもしれません。記憶に残る音楽というのは、誰もが口ずさめるメロディ、あるいは印象的なリフやソロが浮かびます。鮮烈なイメージを残す音は、なかなかない気がします。冨田さんの音がこうして記憶に残るのは、ツールがシンセサイザーだったからなのでしょう。小室さんだって、Roland社の「JD-800のプリセット53番」という音を多くの人の記憶に残したわけですしね。

僕自身は一時代、ある種のイノベーターだったわけですけど、それをまだきちんと締めくくれていないな、という思いがまだあるんです。

小室哲哉
朝日新聞 – 小室哲哉さん「自分の音追究した音楽家」冨田勲さん悼む

どのような取材であっても、小室さんは先のことまで話したがりますよね。こうして過去のことを話す機会であっても、いくつかの点は未来につながります。本人が言うところの「大衆芸術家」として、多くの人の耳にとまる音楽をつくりたい、そのモチベーションは今もなお衰えません。彼がターゲットにしているのは若いリスナーの感性であり、その琴線に響く音、メロディ、言葉を探しています。それを僕が楽しみにするのも変な感じですが、「ミュージシャンに定年はない」と言い放つ小室さんの飽くなきチャレンジを追いかけ続けたいと思います。

[*1] inthecube: キーボード・マガジン No.385 シンセサイザー特別対談 冨田勲×小室哲哉

2016.05.18
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by mura-bito | 2016-05-18 22:14 | Music | Comments(0)
INNOVATION WORLD FESTA 2016
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Photo by @TK_staff

僕の出身校である筑波大学で小室さんがパフォーマンスを披露すると聞いたので、つくばエクスプレスに乗り、久しぶりにつくばの地を踏みました。6年前に友人に誘われて市内を自転車で回るイベントに参加したことがありますが、本格的に大学の中を歩いたのは、修士号を取得してから初めてなので、ちょうど10年ぶりです。あちこち懐かしの場所を巡り、思い出話に花を咲かせつつ、当初の目的であるイベント「INNOVATION WORLD FESTA 2016」に参加します。

テーマは「テクノロジーと音楽の祭典」。テクノロジーで新しい価値を生み出そうとするベンチャー企業がプレゼンテーションしたり、テクノロジーとコラボレーションする音楽を紹介したりしたイベントです。つくばは「研究学園都市」と銘打つ土地であり、新たな産業につながる研究が盛んに行なわれています。筑波大学は総合大学なので、基礎研究も応用研究も、そしてベンチャービジネスもごった煮で同居する場所です。

筑波大学で行なわれていた「起業家養成講座」なるものをきっかけにこのイベントが生まれたそうです。さまざまな分野で活躍する人々を集めたこのイベントは、さまざまな研究分野が混在する大学・都市に相応しい気がします。(いい意味で)節操の無さがイベントにも表われていたと思います。みんながみんな「新しいこと」に躍起になる必要もないとは思いますが、「新しいこと」が好きな人の足を引っ張る必要も、もちろんないわけですね。それぞれにやりたいことをやればいい。

イベントはベンチャー企業の展示やトーク・セッション、そしてミュージシャンのライブで構成されていました。藍井エイルのパフォーマンスを初めて観ましたが、僕が知っているバンドで言うなら、Paramoreのような感じがしました。ハイ・トーンのボーカルでパワフルに駆け抜ける。「ラピスラズリ」(昨年放送されたアニメ『アルスラーン戦記』のエンディング・テーマ)が良かったですね。

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Photo by @TK_staff

「INNOVATION WORLD FESTA 2016」の最後を飾ったのが、小室さんのDJ/シンセサイザー・パフォーマンスです。「テクノロジーと音楽」という言葉がこれだけ似合う人もそうはいないのではないでしょうか。シンセサイザーという存在は、生まれた瞬間からテクノロジーの申し子ですよね。そしてソフト・シンセの隆盛もまたエポック・メイキングな出来事でしたし、今や街を歩いてもテレビを点けてもソフト・シンセの音で作られた音楽が流れます。積極的にテクノロジーを肯定してきた小室さんが、そのテクノロジーを駆使して、現在進行形の音を披露します。

パフォーマンスはglobeの「MUSIC TAKES ME HIGHER」から始まり、同じく「Love again」や「Feel Like dance」、trfの「EZ DO DANCE」が会場を沸かせます。ソロの曲からは、VERBAL(このイベントのプロデューサーのひとり)のラップをフィーチャーした「YEARS LATER」、最新リリースのインストゥルメンタル「a new lease on life」* を披露しました。そして、TM NETWORKの「GET WILD」は、「白A」という映像とダンス・パフォーマンスをミックスさせた集団とのコラボレーションで届けられました。

重くて分厚いキックの音を強調するサウンドです。曲によって、ずしりと響いたり鋭く突き刺さったりと、キックひとつをとっても印象はカラフルに変わりますが、いずれにしても身体にダイレクトに届いて熱くさせます。これだけ激しい嵐のようなリズムを浴びたのは、もう一年以上も前ですね。忘れかけていた感覚が戻ってきます。こういう重厚な音を体験したいから、会場に足を運ぶのだと、改めて思います。

リリースされたばかりということもあり、とりわけ「a new lease on life」が印象に残りましたね。サッカーをテーマにして制作された曲ですが、よく知られているように筑波大学もスポーツが盛んなので、期せずしてフィットした選曲かなと思います。ヘビーなリズムと刺激的なシンセサイザーの音が、力強くプレーする選手の姿に重なります。それはまた、テーマの一部であるテクノロジーにも通じます。現在進行形のシンセサイザー・ミュージックは、テクノロジーで新たな世界を生み出そうとしている人々へのエールとも言えますね。シンセサイザーから生まれる新しい音楽に、期待は尽きません。

* inthecube: Tetsuya Komuro – a new lease on life

2016.05.15
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by mura-bito | 2016-05-15 22:53 | Music | Comments(0)

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