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音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
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AVICII – Waiting For Love


AVICII – Waiting For Love (360 Video)

AVICIIの新曲「Waiting For Love」がリリースされました。YouTubeではリリック・ビデオが公開され、続いて「360 Video」なるものがアップロードされました。これはダンサーたちが踊っているだけのミュージック・ビデオ…ではありません。

スマートフォンのYouTubeアプリで再生し、できればフルスクリーン表示に切り替えて、ぐるぐると回ってみてください。スマートグラスをかけるとこんな感じになるのでしょうか。天井や床も含めて360度ぐるりと見渡すことができます。PCでは上下左右を示すキーをクリックすることで視点が変わります。

まるで自分がステージに上がり、間近でパフォーマンスを撮影しているかのようです。ドアを出入りしながらダイナミックに踊る映像を、臨場感たっぷりに楽しむことができます。ときどきAVICIIもドアを開けて姿を見せ、「誰かいるの? 誰もいないなあ」なんて感じを見せながらドアの向こうに戻ります。

「Waiting For Love」はMartin Garrixとの共作によって生まれたとのこと。ボーカルをとるのはJohn Legendというシンガーです。タフな声が響く中、シンセサイザーはシンプルな音を奏でて駆け巡ります。音の輪郭がはっきりとわかる重ね方ですね。レントゲン写真を撮ることで骨が浮かび上がるように、音の骨格をダイレクトに見ることができます。



AVICII – Waiting For Love (Lyric Video)

2015.05.31

【追記】
リリック・ビデオでは、ひとつの物語を歌詞がなぞります。ハッピーエンド……と言っていいのかどうか、微妙なところです。素直に受け止めれば、最後に生まれる「Love」は美しく、気持ちを和ませてくれます。けれども、ふと思うのは、こうしたことが日常に組み込まれている国(それを「普通の国」と表現する人もいる)では、どのように捉えるのか、ということです。

よくあることとして冷静に受け止められるのか、感動を呼ぶ題材としてスタンディング・オベーションに包まれるのか。日本でも観客を感動させるモチーフとして、映画やドラマに使われますね。「再会」は確かに感動を呼ぶけれど、そうでなくても、ずっと一緒にいられることが幸せだと思える国でもいいんじゃないかな…と思います。こういう時期だけに、特に。

2015.06.03
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by mura-bito | 2015-05-31 21:23 | Music | Comments(0)
[PART2] 木村俊介 – 物語論
物語論

物語論

木村俊介


[PART1] 木村俊介 – 物語論

木村俊介さんは『物語論』で、伊坂幸太郎さんの作品について「登場人物たちの心については、いつもきれいに話を閉じている」と述べています。これまでに読んだ伊坂作品を思い返しながら、この点を考えてみましょう。真っ先に浮かんだのが『重力ピエロ』です。僕はこの小説を文庫本で2007年に読みました。

***

『重力ピエロ』で最も好きなのは、語り手の弟である「春」が小屋の上から跳躍して、「春が二階から落ちてきた」と綴られる最後の場面です。この場面は、「春が二階から落ちてきた」という一文から始まる物語の冒頭と呼応しています。この作品を初めて読んだとき、僕は「最初のシーンで、これは読むべき物語だ、と確信し、最後のシーンで、読んで良かった、と確認する」* と書きました。無邪気な感想だと思わざるを得ませんが、心に浮かんだものをストレートに記していることは間違いない。

「春」を含めた家族のみんなが抱えてきたものは決して軽いものではありません。それらを「家族愛」という言葉で乱暴にコーティングしてしまうには、事態はあまりにも複雑です。謎解きに関する軸、家族に関する軸が、それこそ二重螺旋のような関係にある物語です。人によっては目を背けたいものをテーマにしていますし、謎解きや小説の構造を楽しむのは無邪気に過ぎたのかもしれません。もちろん不謹慎だからとか、嫌がる人がいるからとか、そんな無責任な理由で過去の自分を否定したいわけではない。

***

『物語論』を読んだことで『重力ピエロ』を再読する機会を得ました。今の感性で読んで思ったのは、冒頭の「春が二階から落ちてきた」と最後の「春が二階から落ちてきた」は素晴らしい文である、ということです。言葉にすると8年前と同じですが、当時とは異なる感性で、しかも多少は積み上がった経験をふまえても、やはり素晴らしいものは素晴らしい。一度心を震わせた物語は、そう簡単に格下げされることはありませんね。登場人物たちの話が閉じていると思えるから、読み終わってすぐに素直に「いい小説だった」と思えるのでしょう。それは「登場人物たちの気持ちが解放された」ということを意味するのではないでしょうか。

謎解きが終わると、物語は長めのエピローグに入ります。場所を変え、話題を変え、そのたびに言葉を積み重ねてエピローグは進みます。気持ちは少しずつ解き放たれていく。最初から散りばめられていたエピソードのいくつかはエピローグにも登場しつつ、伏線と呼べるものではなく、多くは読者の記憶で鳴り続けるものです。どのエピソードを思い出して目の前の文章につなげるかは、読者が決めます。読者によっては、ただの退屈な後日談かもしれません。けれども、物語のあちこちに転がったものを拾い集めていれば、きっと、最後の場面に向かって登場人物たちの気持ちが徐々に解放されていくのを感じることができる。その解放は「春が二階から落ちてきた」で結実します。

***

登場人物の話が閉じているか、という観点で他の伊坂作品を再読するのも楽しそうです。『砂漠』や『ゴールデンスランバー』の読後感は爽やかだった記憶がありますが、改めて読むと、どれくらい深みを感じられるのでしょうか。作家が物語を生み出すプロセス、その一端を教えてもらうことで、一度読んだ作品も異なる角度から光を当てることができます。そうして物語は陰影を持ち、立体的になるのだろうと思います。

* inthecube: 僕は二階から落ちてはきませんが

2015.05.29
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by mura-bito | 2015-05-29 21:33 | Book | Comments(0)
[PART1] 木村俊介 – 物語論
物語論

物語論

木村俊介


作家が何を考えて物語を生み出しているか、その一端に触れるのは読者の楽しみのひとつです。自分の仕事について作家が語る内容は、その世界を知らない人間からすれば、それだけでも充分に魅力的です。そうしたインタビュー記事を読むと、(編集というプロセスを経た)作家自身の言葉から、作家のパブリックな核が浮かび上がります。

新刊の紹介や作家の半生をテーマにしたインタビュー記事も悪くはありませんが、情報やドラマとしてまとめられた文章なので、反芻するのが難しい。特に「壮絶な半生」などのような煽り文句が入っていると、すっと覚めてしまう。そうした「吊り」のような文章とはいくらか距離をおいた、物語を生み出すプロセス、物語が生まれる機構にフォーカスした文章に惹かれます。

そうした文章を提供するのが、フリーのインタビュアーである木村俊介さんです。書店で働く人々の話をまとめた『善き書店員』や、漫画の編集者に取材した『漫画編集者』* では、話題の並べ方や言葉の選び方に表われる彼のセンスに感銘を受けました。また、構成を担当した『西尾維新対談集 本題』** では、西尾維新をはじめとした創作者のスタンスが垣間見えます。

木村さんが著した『物語論』は17人の作家に会い、その言葉をまとめたものです。村上春樹、島田雅彦、荒木飛呂彦、杉本博司といったビッグ・ネームの話もおもしろいのですが、最も印象深かったのは伊坂幸太郎ですね。伊坂さんへのインタビューは五時間に渡ったとのことですが、最も多くのページを費やし、その言葉を書き留めています。ターニング・ポイントとなった『ゴールデンスランバー』や『モダンタイムス』などの文章を引用し、物語を生み出すプロセスを浮かび上がらせます。

本書では、以下のような印象的な言葉の交換が行なわれました。伊坂さんは「物語の風呂敷は、畳むプロセスがいちばんつまらない」と語り、風呂敷を畳まないからこそ楽しめる物語について語ります。しばらくしてから、木村さんは「伊坂さんのすごさって、『いろいろ出てきた問題については謎のままでも、登場人物たちの心については、いつもきれいに話を閉じていること』かなと思っていました」と投げかけます。この言葉は伊坂さんにとっても正鵠を射ていたようで、意識していなかったがそれは言える、と膝を打ちます。

* inthecube: 木村俊介 – 漫画編集者
** inthecube: 西尾維新対談集 本題

[PART2] 木村俊介 – 物語論

2015.05.28
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by mura-bito | 2015-05-28 21:00 | Book | Comments(0)
木村俊介 – 漫画編集者
漫画編集者

漫画編集者

木村俊介


電子書籍として再販された『東京トイボックス』をきっかけにして、漫画を再び読むようになりました。Webで公開されている漫画を読み、気に入ったら単行本を買う。初めて知ったのが続編やスピンオフなら、本編まで遡る。そうして『さらい屋五葉』や『片桐くん家に猫がいる』を(大人買いで)読み、最近は『にがくてあまい』、『猫とふたりの鎌倉手帖』、『ワカコ酒』などを読んでいます。いずれもストーリーの展開や言葉の選び方がおもしろく、Webでの更新や単行本の発売を待ちわびるようになりました。

漫画を描くのは漫画家ですが、その裏には編集者がいます。作家をサポートし、意見を戦わせ、物語を読者に届けるために奔走する。そうした編集者にスポットライトを当てた書籍が刊行されました。木村俊介さんの『漫画編集者』です。木村さんは糸井重里さんのもとで働いていたことがあり、事務所を離れてからはフリーのインタビュアーとして活動しています。これまでに『物語論』や『善き書店員』といったインタビュー集を著したり、『西尾維新対談集 本題』* の構成を担当したりしました。

***

『漫画編集者』は五人の編集者から聞いた話をまとめたものです。漫画の編集に携わり、たどってきた道や、その途上で考えていたことが記されています。自己啓発でもハウツーでもない、漫画の編集に携わる人間の姿を浮き彫りにするノンフィクションですね。インタビュー自体は3時間半から5時間半に及んだとのことです。その長大な素材をもとに、ひとりにつきひとつの章を割いて、各人の肉声を伝えています。各章の終わりには、編集者が担当している漫画家による漫画が掲載されており、漫画家から見た編集者をコミカルに描いています。

本書に登場する編集者は、それぞれのカラーを持ちつつも、共通するのはタフであることです。タフだからこそ紆余曲折を経てヒットを飛ばしてきたのだし、フリーで活動している人は生き抜いてこれた。けれども、多くの編集者はおそらくタフではないし、同じような生き方ができるわけでもない。また、本書を読むであろう多くの人々も、きっとそれほどタフじゃない。

だから本書は、読者が簡単に取り込めるような類のもの、すなわち自己啓発でもハウツーでもないのです。どのように受け止めるかについてはヒントすら投げかけていません。換言すれば、読み方は決まっていないので、自由に読むことができます。リアリティのない武勇伝として楽しむか、ひとりの人間がたどった軌跡に触発されるか、あるいは、おもしろい漫画を支える編集者の苦労に共感するか。

答えのない本を読む人は、果たしてどれだけいるのでしょうか。ただ、編集者というニッチな領域にフォーカスしつつも、漫画という話題はポピュラーなので、本書に興味を示す読者は多いと思います。読者が多いほど、受け止め方も増えますよね。広く浅く、ではなく、「広く深く」読まれる本なのかもしれません。読者の数だけ感じるものがある、そうしたマーブル模様を生み出す本が世に出たのは、素晴らしいことだと思うのです。

***

印象的だったのは山内菜緒子さんの言葉です。とても活き活きしていますね。漫画だけでなく、漫画を取り巻く現実的な事柄(ややこしい事態を招くものも含まれる)に対してもポジティブに向き合う方なのだと思います。前向きに考えてアクションを起こしていれば、作家が信頼するのも想像に難くないし、他の人を巻き込みやすくなって、世に出る漫画もいいものができあがる。とはいえ、ネガティブな思いを抱えることもあるわけで、それについてはゆうきまさみさんがコミカルに表現しています。

もうひとり、印象に残ったのは三浦敏宏さんですね。エピソードを読んで、「さぞかし豪放磊落な方だろうなやっぱり名物編集者ってのはこれくらいキャラが立っていないとね」と思ったのですが、結局のところ平本アキラさんの漫画から受けたインパクトが99パーセントを占めているんじゃないかと。

* inthecube: 西尾維新対談集 本題

2015.05.25
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by mura-bito | 2015-05-25 22:11 | Book | Comments(0)
[PART3] Zedd – True Colors
True Colors

True Colors

Zedd


[PART2] Zedd – True Colors

PART2ではアルバム『True Colors』の前半、シングル曲のオンパレードから始まって表題曲「True Colors」までの流れにフォーカスしました。レコードの表現を借りるならA面を締めるのが表題曲であり、ひっくり返すとB面は「Straight Into The Fire」から始まります。針を落とすと、A面とは異なる世界が広がります。

Straight Into The Fire
軽やかに駆け出すようなボーカルが、真っ白なキャンバスに鮮やかな色を塗るようなシンセサイザーの音が、ともに鮮烈な印象を残します。明るい音にJulia Michaelsの歌声がぴたりとはまっていて、とても心地好い。真夏ではなくて、初夏や初秋のよく晴れた日をイメージします。すっきりと晴れた空とさわやかに吹く風は人々を笑顔にしますよね。

この曲のポップさはアルバムの中でも群を抜いており、Zeddのポップな感覚が色濃く反映されていると思います。ソフト・シンセの音でポップさをぎゅっと煮詰めると、こうなるわけですね。きらきらと輝く音が、ストレートなEDM的展開で聴き手に届き、気持ちをほぐしてくれます。こうなったらもう、あとは音に任せて踊ればいい。

Papercut [feat. Troye Sivan]
さざなみのように始まり、ハウス系のトラックがゆっくりとグラデーションを描きます。Troye Sivanによるボーカルが淡々と響きます。無表情とも言える雰囲気をまとい、言葉をするすると紡いでいく。夜明け前の閑散とした街角を男性が歩くシーンが思い浮かびました。コーラスを重ねるJulia Michaelsの声は、その男性の記憶の片隅に残る声なのかもしれません。過去を切り捨てた男性の中に残る、わずかな未練。

曲は途中でモードが切り換わります。一度音が消えて戻ってくると、雰囲気が変わっています。ほとんど同じように思えるのですが、気づかぬうちに似たようなパラレル・ワールドに足を踏み入れている。音は少しずつ増えていきます。増えていくひとつひとつの音が気持ちいいし、気付いたときにはいくつもの音に絡め取られて虜になっています。いつ終わるとも知れぬループによって聴き手を魅了する、それはシンセサイザーの音の魔力です。それを知ってしまったら、きっと元の世界には戻れません。

Bumble Bee
ファミコン時代のゲーム・ミュージックを思わせる音から始まり、鋭角的なシンセサイザー・サウンドが押し寄せます。ワブル・ベースをこれでもかと効かせる音は重厚感に満ちています。ボコーダー・サウンドも加わると、一気に曲はメカニカルでメタリックな世界に支配されます。

シンセサイザーというと「ピコピコ」という言葉で表現されたのは、いつのことでしょうか。もはやそうした表現も見かけませんが、ピコピコ感のある音を今の音で作り込むと、新鮮に聴けるから不思議ですね。ボコーダーも含めて、ロボットやアンドロイドのようなイメージは、魅力的であり続けるモチーフなのでしょう。取り入れ方を工夫することで、新たな魅力を放ちます。

Daisy
この曲ではメロディの美しさをじっくり味わいたいと思います。それは歌メロもそうですし、ストリングスが奏でるメロディも、ですね。ボーカルをとるのはJulia Michaelsであり、ストリングスを指揮するのはRon Fairです。いずれのディレクションにもZeddが関わっています。シンセサイザーの音を背景に、歌とストリングスが華麗に舞い、物語を描きます。繰り返される ♪Daisy you got me♪ という言葉からは、ささやかな物語が浮かび上がります。

アルバムではJulia Michaelsは3曲に参加しており、彼女の歌声はとても素敵ですね。特に「Daisy」では、素晴らしい声に加え、その歌い方、言葉の置き方に魅力を感じます。♪When you running, running...♪ と歌うところのメロディの流れが好きです。どのようにメロディに言葉をはめるか、というのは、どのようにメロディから外すか、ということでもあります。それが緩急を生み、メロディが他のメロディを、言葉が次の言葉を引き立てます。

Illusion [feat. Echosmith]
Echosmithのボーカル、Sydney Sierotaが参加した曲です。「Daisy」のアウトロがこの曲のイントロになっていて、ふたつの曲がつながる流れがとてもきれいです。同じようなつながりがある「Done With Love」と「True Colors」では、やや冷たく、シリアスな印象を抱きましたが、「Daisy」から「Illusion」へのシフトでは夜明けのような静謐な空気を感じました。

Sydney Sierotaの歌声は、静謐なシンセサイザーの音と溶け合うように響きます。ポップ・ロックのEchosmithでの歌とは異なる雰囲気を漂わせます。音と同化する声は、さながらサウンド・インスタレーションです。最後には聴き手も引き込まれて、いつの間にか音に同化します。聴き手を溶かしてZeddの音の世界と混ざり合ったところで、アルバム『True Colors』は終幕を迎えます。

2015.05.23
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by mura-bito | 2015-05-23 22:08 | Music | Comments(0)
[PART2] Zedd – True Colors
True Colors

True Colors

Zedd


[PART1] Zedd – True Colors

PART1では『True Colors』を聴いた第一印象をもとに、アルバムの内容を概観しました。アルバムを通して聴くと、ポップな要素とナイーブな要素がかわるがわる顔を出します。ポップ・ソングとしての楽しさ、メロディの繊細さを丁寧に追うことで味わえる心地好さを、この一枚から得られます。作品の細部にフォーカスして、感じたことを言葉に置き換えてみましょう。

Addicted To A Memory [feat. Bahari]
I Want To You Know [feat. Selena Gomez]
Beautiful Now [feat. Jon Bellion]

『True Colors』の序盤に並ぶのは、先行して音源が公開された3曲です。アルバムの中でも、勢いのある曲が固まりました。ボーカルを強調する、あるいはシンセサイザーを押し出す、といった違いはありますが、いずれもポップス寄りのEDMです。アルバムのリーディング・トラックでありながら、Zeddの音楽そのものに導く水先案内人でもあります。ポップスの親しみやすさを媒介にして、ダンス・ミュージックで踊る楽しさを知ることができます。

inthecube: Zedd – Addicted To A Memory [feat. Bahari]
inthecube: Zedd – I Want You To Know [feat. Selena Gomez]
inthecube: Zedd – Beautiful Now [feat. Jon Bellion]

Transmission [feat. Logic & X Ambassadors]
緩めのテンポで音と歌とラップが流れ出る。どこか懐かしい感じがして、記憶をサーチしてみると20世紀の終盤がヒットしました。たとえばJamiroquaiの雰囲気を感じます。けれども、使われている音は紛れもなくソフト・シンセの音であり、今だからこそ出せる音ですね。自分の中で新旧がつながり、混ざり合います。

新旧をコネクトする音楽は、時間という要素によって立体的になります。そこそこ長く音楽を聴き続けていると、そうしたことが起きます。カバー曲というのもそれに当てはまると思いますし、サブカテゴリーが変遷を繰り返すダンス・ミュージックにも言えるでしょう。かつて聴いていた音を思い出すけど、同じではない、デジャヴに似た感覚。

Done With Love
曲は明るく華やかな雰囲気を醸し、僕はメロディの端々に1980年代後半のポップスやディスコ・ソングを感じました。音は空を舞って、旋回します。ひたすら盛り上がるパーティー・ソングが好きなら、この曲も存分に楽しめると思います。ひたすら盛り上げるというEDMの側面を強調しながらも、ひねりのきいたサウンドを堪能することができます。アクティブに走るベースの音が好きですね。

イントロとアウトロではボコーダー・サウンドが鳴り響きます。ボコーダーとは、ボーカル・トラックを歪ませて、(レトロなイメージではありますが)ロボットやアンドロイドが出しそうな声に加工する技術のことを言います。Daft Punkをイメージしてもらえば分かりやすいと思います。ボコーダーのクールな音の間にEDM的な盛り上げサウンドが挟まるサンドイッチ。具がはみでそうな勢いではありますが。

True Colors
「Done With Love」のアウトロを引き継いで始まるイントロ。「True Colors」は今作の表題曲ですね。Tim Jamesの歌は、エネルギーを溜め込んで放出する、ロックにおけるバラード曲のようです。切々と歌い上げるというよりは、力強く言葉を伝える感じです。それでいて、自分が吐き出した感情には溺れません。感情を吐露するような歌であっても、どこか俯瞰しています。

CDのブックレットの最後に、Zeddは「True Colors」に出てくる歌詞を使って "Thank you for letting me show you my true colors" と記し、自らのメッセージを伝えています。彼のつくる音楽にこそ、彼自身の本当の色である、と。音楽をつくって届けることは、キャンバスに筆を走らせ、色を塗ること。色は見る人がいてこそ色たり得る。音楽もまた聴き手がいるからこそ音楽なのでしょうね。

[PART3] Zedd – True Colors

2015.05.22
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by mura-bito | 2015-05-22 23:16 | Music | Comments(0)
[PART1] Zedd – True Colors
True Colors

True Colors

Zedd


Zeddのアルバム『True Colors』がリリースされました。前作『Clarity』に続く、二枚目のオリジナル・アルバムですね。『True Colors』に対する僕の第一印象は「ポップさと深みを併せ持った作品」です。Zeddの持っているポップな要素が色濃く反映されていて、同時にナイーブさも垣間見える。アンダーグラウンドで内省的な感じではなく、一緒にいる相手を明るく気遣える優しさとでも言いましょうか。聴いている人をいつの間にか明るくさせるような曲が詰め込まれたアルバムです。

僕は「Transmission」、「Papercut」、「Daisy」といった曲が好きですね。これらの曲に限らず、アルバム全体を通して1980年代後半から1990年代の雰囲気を感じる瞬間があります。けれども、鳴っているのはソフト・シンセ、すなわちアップデートを続ける今の音です。記憶のどこかで鳴る音と、最新のエレクトロニック・サウンドが身体の中で交錯し、混ざり、響きます。これをハイブリッドと呼ぶべきか否か。このミクスチャーな感覚が実におもしろい。

彼は2014年にグラミー賞のBest Dance Recordingを獲得しましたが、彼の持ち味は健在なまま新たな曲を生み出し続けています。EDMの領域もポップスの領域も自由に行き来する。そんな雰囲気が新作『True Colors』にも漂います。例えば「Straight Into The Fire」でEDMのお手本のような展開を見せつつ、「Daisy」では、はっとするような美しいメロディが飛び出します。ポップさを素直に楽しむと同時に、ナイーブなメロディの美しさに耳を済ませてみるとしましょう。

[PART2] Zedd – True Colors

2015.05.21
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by mura-bito | 2015-05-21 21:59 | Music | Comments(0)
Krewella – Somewhere to Run (Live Lyric Video)


Krewella – Somewhere to Run (Live Lyric Video)

Krewellaの新曲「Somewhere to Run」* は二ヶ月ほど前にアメリカを中心にリリースされ、YouTubeにも音源がアップロードされました。5月に入って「ライブ・リリック・ビデオ」なるものが公開されましたが、これはライブ映像とリリック・ビデオを合わせた作品ですね。ステージ上で撮った映像に詞を被せています。音源はライブ録音ではなくシングルのものですが、随所にライブの歓声が重ねられています。

ステージ上を動き、JahanとYasmineをとらえた映像は、とても迫力があります。ズーム・インとズーム・アウトが流れるように切り替わることで、遠近感がダイナミックに変化しますね。それが曲の躍動感をアンプリファイする。また、画面を舞うハンドライティングの歌詞が視聴者の目に飛び込み、二人の動き、カメラの動きと組み合わさって立体的な動きを生み出します。

ステージでは、JahanとYasmineがDJブースで音を調整しながらボーカルをとり、前に出れば右へ左へ動き回り、観客を力の限りアジテートします。ギターとドラムの音は、ライブでは生音で被せていたようです。切っ先鋭く尖ったソフト・シンセの音がEDMファンには堪りません。DUBSTEPの扇情的なところ、ロックの熱さ、そしてポップスが持つメロディの良さがぎゅっと詰まって化学反応を起こしている曲です。走り出したくなります。

* inthecube: Krewella – Somewhere to Run

2015.05.19
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by mura-bito | 2015-05-19 20:20 | Music | Comments(0)
AVICII – Feeling Good (Music Video)


AVICII – Feeling Good

2014年の10月、AVICIIは2015年にアルバムをリリースするのではないか、という情報が流れました。真偽のほどは定かではありませんが、Green DayやSystem Of A Downといったバンド(のメンバー?)をフィーチャーした作品が収録される、という話も聞きます。実現すれば、ロックに寄った鋭角的なシンセサイザー・サウンドが聴けますね。単発のシングルでもいいから世に出てほしい。

AVICIIのデビュー・アルバム『True』は、カントリー・ミュージック、ブルース、ファンクの要素を含む曲が半分ほどを占めていた、というのが僕の印象です。彼自身がデビュー・アルバムの曲をリミックスした『True: Avicii by Avicii』では、『True』より前の雰囲気を出していました。その後にリリースした「The Days」や「The Nights」では、アコースティック・ギターのストロークや太いボーカルを前面に出しつつ、シンセサイザーの音がぐいぐいと曲を引っ張ります。こうした特徴は『True』のリード・トラックである「Wake Me Up」に近い。少なくとも次のアルバムまでは『True』の路線を継承するのかもしれませんね。

さて、AVICIIの新曲が公開されました。曲名は「Feeling Good」。重厚なベースとストリングスがブルージーな雰囲気を醸します。音の世界に潜り込みたくなる、「聴かせる」サウンドが響く。僕は「音に引きずり込まれる」という表現をよく使いますが、この曲に関しては「潜り込む」という言葉を選びます。ぽっかりと開いた穴を覗き込み、奥に何があるのか探りたくなる、そんな気持ちに近い曲だと思います。

ボーカルをとるのはAudra Maeです。彼女は、AVICIIのデビュー・アルバムに収録された「Addicted To You」と「Shame On Me」に参加しています。タフな歌声が魅力的なシンガーですね。「Feeling Good」では、じわりじわりと聴き手を包み込んでいく歌を披露しています。♪It's a new dawn, it's a new day, it's a new life for me♪ というフレーズは、雰囲気を変えて繰り返されますが、その度に心が震えますね。音楽とは鼓膜の振動だけでなく、ハートまでも震わせる。それを証明する歌声を堪能できるのが「Feeling Good」という曲なのです。

inthecube: AVICII – TRUE
inthecube: AVICII – True: Avicii by Avicii
inthecube: AVICII – The Days (Lyric Video)
inthecube: AVICII – The Nights (Lyric Video)

2015.05.18
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by mura-bito | 2015-05-18 21:54 | Music | Comments(0)
初夏の安曇野の山と花と風
常念岳は田植え前の水田に浮かぶ。
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雪が描く稜線を眺める。
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緑の桜は穏やかに咲く。
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木洩れ日をまとう牡丹は躍動感にあふれる。
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ハナミズキは青空に満ちる。
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八重咲きの山吹は太陽のように鮮やかに咲く。
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どこにでも咲いているツツジは、どこでも美しい。
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稜線が重なって層になって伸びて、遠くまで続いていく。
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一日が終わる前に太陽は一筋の道をつくる。
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2015.05.17
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by mura-bito | 2015-05-17 18:30 | Photograph | Comments(0)

fujiokashinya (mura-bito)
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