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TM NETWORK – QUIT30
QUIT30

QUIT30

TM NETWORK


アルバムには『QUIT30』という名が与えられました。QUITは終了を意味する言葉、例えばiTunesを閉じるときにクリックする項目であり、30は三人がレコード・デビューから積み上げた年数です。2014年10月29日に、TM NETWORKのオリジナル・アルバムがリリースされました。アルバムは四つのカテゴリーに分けることができます。2012年から展開されてきた物語につながる組曲「QUIT30」。1988年に発表したものをアップグレードした組曲「CAROL2014」。アルバムのために書き下ろした新曲。2012年以降に発表したシングルに収録されている曲のアルバム・ミックス。『QUIT30』は新たな音を鳴らし、新たな物語を綴り、僕らに新たな驚きと感動を与えてくれます。

アルバム『QUIT30』は新曲「Alive」から始まり、一気に加速します。Marti Frederiksenによるミックスで印象が変わった「I am」を経て、組曲「QUIT30」の幕が上がります。組曲「QUIT30」は八つの曲から構成されており、合わせて約22分の尺を持ちます。前半の三曲が終わると、木根さんが書いたミディアム・ナンバー、「STORY」が次元を引き戻します。「あの日あの時いつか何処かで」、「LOUD」、「君がいてよかった」のアルバム・ミックスが続いた後、聴き手は再び組曲「QUIT30」の世界に潜り込みます。物語の輪郭が浮かび上がりそうに思えつつも、霞んではっきりとは捕らえられない。絶えず流動的に展開し、雰囲気を変えるサウンドを、Marty Friedman、美久月千晴、村石雅行といった手練れのミュージシャンが構築します。いくつもの謎を残しながら、組曲「QUIT30」が幕を下ろします。その残響を記憶に残して、新たに制作された「Mission to GO」と「If you can」でアルバムの一枚目は終了します。二枚目は、「Always be there」で始まります。曲とともに詞を小室さんが書いており、大事な人に向けた言葉が印象に残ります。そして、記憶を刺激するメロディが流れ始めます。それは、四つの曲で構成された組曲「CAROL2014」です。2014年の音と声でドレス・アップしたCAROLは、「QUIT30」とどのような関係があるのか。二枚目の最後の曲は「Alive」のリミックスです。キックの音とソフト・シンセのリフを強調したEDMサウンドに彩られて、アルバム『QUIT30』が終わります。



TM NETWORK – QUIT30 (Sampler)

2012年。ライブ・イベント「All That LOVE -give&give-」への出演をきっかけにして、TM NETWORKは再び動き始めました。同年にはシングル「I am」のリリースとライブ「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」の開催が実現し、翌2013年にはライブ「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」を行ないました。そして、2014年。新曲を収めたシングル「LOUD」と、過去に発表した曲をリメイクしてまとめたアルバム『DRESS2』がリリースされました。2012年と2013年のライブの演出はいずれも、小室さんが描くストーリーに沿っています。その流れは、2014年春のライブ・ツアー「TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end」に受け継がれ、アルバム『QUIT30』の発表と同時に幕を開けたライブ・ツアー「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30」にも通じています。この新たなライブ・ツアーは2015年の初頭まで続き、アリーナ・クラスの会場で行なわれる「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA」と題したライブで幕を閉じる予定です。

観てから聴くか、聴いてから観るか。「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30」が始まる直前、小室さんは言いました。僕は後者であり、しばらくはアルバムを聴き込む日々が続きます。アルバムに込められた意味、歌詞の行間にある物語は、おそらくはライブを観ることで補完されるはずです。それまでは、いくらかの推測とイメージを働かせながら『QUIT30』を聴くことになりますね。組曲「QUIT30」と組曲「CAROL2014」の関係性は謎のままかもしれませんが、その音について言葉を連ねることはできる。新たに書かれた曲はいくつもあるし、アルバム用にミックスされた曲はどれもおもしろいアプローチが見られる。これから、四つのセクションに分けて、TM NETWORKが生み出す新たな世界、『QUIT30』の世界を覗いてみましょう。


2014.10.31
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by mura-bito | 2014-10-31 23:51 | Music | Comments(0)
IR3 on BCCKS
http://bccks.jp/bcck/129403/info

ライブ・ツアー「TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end」について書いた文章を、BCCKSにも上げました。BCCKSのサイトまたは専用のリーダー・アプリで読めます。また、EPUBデータをダウンロードすればiBooksで開くことができます。BCCKSは縦書きに対応しており、日英混合の組版だからでしょうか、横書きで読むのとは雰囲気が変わりますね。
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オリジナル・アルバム『QUIT30』がリリースされる前に、このツアーのことをまとめておこうと思い、せっせと書いてきました。TM NETWORKの音楽を文章にするのは、三人のトライアングルの現在、過去、そして未来(予告)を交差させることです。聴き手それぞれのイメージでいくつかの事実をつなぐ。イメージの余白がある音楽を提供してくれるのがTM NETWORKなのです。新作『QUIT30』も、まずは何も考えずに聴き、そしてイメージを解き放ちながら聴くとしましょう。

2014.10.27
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by mura-bito | 2014-10-27 21:30 | Music | Comments(0)
IR3 on Puboo
http://p.booklog.jp/book/90912

ライブ・ツアー「TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end」の映像を収録したBlu-ray/DVDを観ながら、ライブの記憶を文章にしてきました。それらを編集して、ところどころを書きなおして、ひとつのデータにまとめました。「ブクログのパブー」にアクセスしてWeb上で読んだり、データをダウンロードしてiBooksやKindleで読んだりすることができます。
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2014年はTM NETWORKの活動が活発であり、新たな音が次々と生み出されます。いやはや、嬉しい限りですね。シングル「LOUD」やリプロダクション・アルバム『DRESS2』について書いた後、こうしてツアーのことも書ける。そしてもうすぐ、もうすぐオリジナル・アルバム『QUIT30』がリリースされます。同時に新たなツアーが始まるので、楽しみは尽きません。

2014.10.26
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by mura-bito | 2014-10-26 18:14 | Music | Comments(0)
David Guetta – Dangerous [feat. Sam Martin] (Lyric Video)


David Guetta – Dangerous [feat. Sam Martin] (Lyric Video)

David Guettaの「Dangerous」は、彼のアルバム『Listen』から先行して公開されている曲です。前作「Lovers On The Sun」と同様にSam Martinをボーカルに迎えています。「Dangerous」はリリカルなピアノの音から始まります。冷たい指で肌をなぞるような、奇妙な緊張感を漂わせます。

ファンクの色が濃いギターとエモーショナルな歌声は、Daft Punkの「Get Lucky」に似ていると言えなくもない。ただ、僕はYESをイメージしましたね。Sam Martinのボーカルは、ところどころでJohn Andersonを彷彿とさせます。高音を聞かせるところが特に似ています。こんな感じでエレクトロニック・プログレッシヴ・ロックなんてものが生まれたらおもしろい、かもしれません。

色気のあるベースですよね。ベースがしっかりしていると曲が締まり、イメージが膨らみます。エレクトロではベースは生命線。上に乗るシンセサイザーやギターを生かすも殺すも、それはベース次第、と言えるかもしれません。エレクトロに限らないとは思いますが、ロックやポップスに比べてベースに注目することが多い。ベースが気持ちいいと、曲の世界に入っていきやすいんですよね。

2014.10.15
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by mura-bito | 2014-10-15 21:17 | Music | Comments(0)
Hello Sleepwalkers – 百鬼夜行 (Music Video)


Hello Sleepwalkers – 百鬼夜行

Hello Sleepwalkersのアルバム『Liquid Soul and Solid Blood』がリリースされるにあたり、収録曲のひとつ「百鬼夜行」が先行して公開されています。サビのメロディがとてもきれいですよね。サビとそれ以外のメロディの雰囲気が違っていて、サビを歌うナルミのボーカルが活きるように曲が構成されています。2つの声のバランス調整が曲によって異なる。そのバリエーションを楽しめるのがHSWの醍醐味です。

サビで聴けるストレートなギター・サウンドは、メロディと相俟って清々しさを放ちます。ミュージック・ビデオは曲名を反映してホラーの雰囲気を漂わせつつ、どこかコミカルに、陰鬱に映ります。サビだけ聴けば青春を歌うポップ・ロックかなと思いますが、他のパーツを組み合わせることで、異なるイメージが浮かんできます。さらりと聞き流すには惜しい、奇妙な奥行きの存在を感じる。

青春時代にも闇はあります。その時代の真っ只中にいても、すでにそこを通り過ぎていたとしても、見えない闇はどこかしらつきまとっている気がします。ただ暗いわけでもないけれど、底抜けに明るいわけでもない。そんなイメージがこの曲に合うかはわかりませんが、少しひねくれて複雑なものを持った曲として捉えてもおもしろいと思います。

2014.10.14
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by mura-bito | 2014-10-14 22:16 | Music | Comments(0)
Scene7 -- the beginning of the end
TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK


部屋の真ん中に置かれた大きなカプセルに、潜伏者のひとりが近づく。カプセルの中で少女が座っている。白いワンピースと緑のトップスをまとった、ブロンドの少女。潜伏者がカプセルのロック装置を解除する。少女は目を開けると、ゆっくりと立ち上がる。左手を胸のあたりまで上げ、それを見つめる。同じように右手を上げて、手のひらを眺める。プログラムされた行動を遂行しているかのように、その動きはぎこちない。両手を下ろして前を向くと、足を前に出す。身体がカプセルの外に出る。

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潜伏者は少女が動く様子を見守っている。腕の動きと脚の動きが噛み合わず、その場で転ぶ少女を見て、少し表情を変える。プログラムした内容に不備があったのか、それとも何か不測の事態が起こっているのか。少女は立ち上がり、再び動き始める。次第にぎこちなさがなくなり、滑らかに歩くようになる。少女が歩き、駆け回り、くるくると回る様子を、潜伏者は満足げに見ている。少女がステージに花咲くバレリーナのように回ると、後ろで結わえた髪もふわりと宙を舞う。

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他のふたりの潜伏者がやってくる。ひとりはバトンを携え、少女に近づく。動きを止めた少女は、近づいてきた潜伏者と向き合い、微笑む。差し出されたバトンを受け取る。潜伏者は、バトンを持っていない方の少女の手をそっと握る。いつか、差し出されても握ることはなかった、華奢な手。少女の手を引くようにして、潜伏者は歩き始める。少女とバトンと潜伏者はドアの向こうに消える。それを見送っていた、残されたふたりの潜伏者も姿を消す。ドアが閉まる。

RETRACE/LOUD/Scene1/COME ON LET'S DANCE/KISS YOU
Scene2/永遠のパスポート/ACCIDENT/金曜日のライオン
Scene3/RAINBOW RAINBOW/BE TOGETHER/CUBE
Scene4/I am/JUST ONE VICTORY/KEYBOARD SOLO/GET WILD
Scene5/SELF CONTROL/Scene6/BEYOND THE TIME/Scene7


2014.10.13
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by mura-bito | 2014-10-13 15:42 | Music | Comments(0)
Scene6/BEYOND THE TIME -- the beginning of the end
TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK


潜伏者のひとりが、白い台の上に乗せられたカプセルに近づきます。これまで見てきたカプセルを小さくして、横に倒したような形をしている。プラスチックなのか、ガラスなのか、あるいは僕らが知らない素材なのか。透明なプレートで覆われたカプセルの中を一瞥すると、蓋を開け、持ち上げます。それは、カプセルの中で眠っています。それは、生まれてから幾ばくかの時間が経過した乳児、のように見える。

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「LOUD」のミュージック・ビデオを再生して、記憶を巻き戻してみましょう。メイン・ブレインの中で歌うTM NETWORK。駆け回り、歌う少女と少年たち。部屋のドアが次々と開き、部屋から部屋へと移動すると、最後の部屋には潜伏者のひとりが立っていました。その腕には、無邪気に眠る乳児が抱かれている。白い部屋、白い格好をした潜伏者、白い布に包まれた小さな生命。それを生命と呼ぶべきか否か、判断するための情報は開示されていません。許されているのは、いくつかの情報と過去の記憶をつないで、イメージすることです。

記憶とイメージが錯綜する中、潜伏者のひとりがバトンを手にします。それを別の潜伏者が受け取り、カプセルの近くにいた潜伏者に歩み寄り、手渡します。バトンを手にした潜伏者は、カプセルを見下ろすように近づき、中で眠るそれの側にバトンをそっと置きます。ゆっくりとカプセルの蓋を閉じる。カプセルはドアの向こうに消えます。

潜伏者たちはモニター越しにメイン・ブレインの外を見つめる。やがて、光の塊がメイン・ブレインから発射され、一直線に進んでいきます。モニターには青い星が映し出され、カプセルを包む光の塊はそこに向かって飛んでいく。モニターはカプセルの着地点を示しており、青い星に存在するある都市にフォーカスします。カプセルが向かうのは、1974年のロンドン。「CAROL」という物語が始まる17年前、その舞台であるロンドンに、カプセルは降り立つはずです。

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木根さんがアコースティック・ギターを鳴らし、ライブを締める曲「BEYOND THE TIME」が始まります。別の物語のために書かれた曲が、時間と空間を飛び越えて、今のTM NETWORKの物語に組み込まれています。2013年のライブでは地上から宇宙を見上げるように歌った曲を、今度は宇宙から地球を見つめる位置で歌う。メイン・ブレインから旅立ったカプセルの行方を見守るかのように「BEYOND THE TIME」の音は鳴り響きます。

小室さんはソフト・シンセの他にKronos X、Virus TI、Virus Indigo 2 REDBACKを弾きます。Kronos Xからはピアノの音が出ます。Virus TIはソロ・プレイに使います。やはりVirus Indigo 2 REDBACKの音に強く惹かれます。太くて力強く、輪郭がはっきりした音を出す。ソフト・シンセや新たなハード・シンセを導入したことで、前面に出る機会は減りましたが、こうして重要な場面でそのプレゼンスを感じさせますね。宇宙を舞台にした物語にフィットし、その悲喜交々に陰影をつける。音が立体的になると、イメージも平面を飛び出しますね。

「BEYOND THE TIME」は2012年、2013年に続いて披露されましたが、演奏される順番は変わっています。2012年のライブでは、中盤から後半に移行するところで、小室さんの静謐なキーボード・ソロからの流れを受けて披露されました。揺らめく音のレイヤーに触発され、宇宙を漂うイメージが浮かびました。2013年には、TM NETWORKの三人が揃う曲、という役割を持っていました。今度は宇宙から地球に降り立つところを思い浮かべました。音の雰囲気も微妙に変化したこともあり、ライブの度に異なるイメージを抱くことができます。「TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end」では、宇宙から地球を見据えるまなざしを感じます。それは俯瞰ではなく、コミットする視線。

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どこかに吸い込まれるように、すべての音が収束します。メイン・ブレインが宇宙に浮かんでいる。その中にいたはずなのに、いつの間にかそれを外から見ている。そこで起きたことが幻のようにも思えますが、記憶は確かに白い部屋の出来事を記録しています。やがてメイン・ブレインは暗闇の中に消えます。先ほどまで目にしていた光景が、音とともに記憶の中で鳴り響きます。

RETRACE/LOUD/Scene1/COME ON LET'S DANCE/KISS YOU
Scene2/永遠のパスポート/ACCIDENT/金曜日のライオン
Scene3/RAINBOW RAINBOW/BE TOGETHER/CUBE
Scene4/I am/JUST ONE VICTORY/KEYBOARD SOLO/GET WILD
Scene5/SELF CONTROL/Scene6/BEYOND THE TIME/Scene7


2014.10.10
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by mura-bito | 2014-10-10 21:54 | Music | Comments(0)
Scene5/SELF CONTROL -- the beginning of the end
TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK


カプセルの中の様子が変わっています。直立していた生命体は椅子に座らされており、頭部と思わしき部分には髪の毛らしきものが見えます。長くて、肩のところで結んでいる。二人の潜伏者は視線を交わして、それぞれの作業を続けます。胸の高さまで上げた自分の両手を見ている、直立した少女の映像。白いワンピースと緑のトップスを着ている。無数の三角形が、桜がひらひらと舞うように、少女の周りを漂い、消えていきます。少女は手を下ろすと、前を見つめる。手を上げて、眺めて、下ろす。プログラムされた行動を繰り返す。二人の潜伏者は作業を終えたことを確認し合うと、その場を去ります。

ドアが閉じると、身体が一気に引き戻されます。ドアが閉じます。重力から解き放たれたかのように、身体は前に進みます。ドアが開きます。メイン・ブレインの一室。身体は前に進み続け、またしてもドアがすっと開きます。同じような部屋がある。前進は止まりません。移動して、ドアが開き、部屋に入り、移動して、ドアが開く。音はスピードを上げ、キックとハイハットが刻むリズムが高揚感を生み出します。

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シンセサイザーのリフが飛び出し、一気に「SELF CONTROL」の世界が広がります。シンセサイザーのリフが曲のイメージを導いている。「サビよりもイントロが盛り上がる」とは、書いた本人の言葉です。リフはイントロを走り抜けて歌の後ろでも鳴っていますが、メロディは別のもの。その後、BridgeとしてBメロを挟み、間髪入れずに再びリフが飛び出します。サビのメロディはリフと同じであり、一体化して駆け抜けていきます。この曲の爽快感はやはりシンセサイザーのリフに起因するのでしょう。何も考えずに聴いていても気持ちよかったのですが、こうして小室さんの言葉をもとに聴き込んでみると、新たな魅力を発見することができます。

「SELF CONTROL」は1987年にシングルとしてリリースされ、その直後に発表したアルバムの表題曲になりました。アルバムは売り上げを伸ばし、「SELF CONTROL」の雰囲気そのままにTM NETWORKも加速していきます。その延長線上に「GET WILD」のヒットがあったのですね。シンセサイザーを前面に押し出すことでTM NETWORKのイメージは確立しましたが、それはやはり「SELF CONTROL」のイントロがあったから。そう考えると、あのリフの魅力は思っている以上に大きく、TM NETWORKにとって重要だったわけですね。

2014年のリメイクでは、四つ打ちの分厚い音にシンセサイザーのリフが乗り、風を切って疾走していきます。ステージでも四つ打ちを土台にして、それぞれの音が乗ります。粘り気のあるキックの音がずしりと響き、身体の中のリズムと呼応して快感を生み出す。そこにシンセサイザーのリフを浴びると、もはや楽しいとしか言いようがない。時間が経つことで熟成されるメロディもありますし、こうしていつまでも瑞々しさを保つメロディもある。かつてTM NETWORKの背中を押したメロディは、新たな音に乗って、今もなお前に進む力となっています。

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記憶が巻き戻される。そこにあるのはバトン。バトンといえば、1987年のライブ「FANKS CRY-MAX」で「SELF CONTROL」を演奏した時に登場しました。そのバトンは翌年のライブ・ツアー「KISS JAPAN TOUR」で地球から空へ、宇宙へと送り出されました。同じバトンなのか、あるいは異なる意味、役割を持つ新たなバトンなのか。記憶とイメージが錯綜する中、潜伏者のひとりがバトンを手にします。

RETRACE/LOUD/Scene1/COME ON LET'S DANCE/KISS YOU
Scene2/永遠のパスポート/ACCIDENT/金曜日のライオン
Scene3/RAINBOW RAINBOW/BE TOGETHER/CUBE
Scene4/I am/JUST ONE VICTORY/KEYBOARD SOLO/GET WILD
Scene5/SELF CONTROL/Scene6/BEYOND THE TIME/Scene7


2014.10.09
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by mura-bito | 2014-10-09 21:42 | Music | Comments(0)
KEYBOARD SOLO/GET WILD -- the beginning of the end
TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK


V-Synth GT、Kronos X、Nord Lead 4。sledge、Virus TI、System-1、Virus Indigo 2 REDBACK。そしてMacのモニターに映し出されるソフト・シンセをコントロールするFantom-G6が二台。自分を取り囲むシンセサイザーを、小室さんは操り、TM NETWORKのサウンドを構築します。ステージにひとり残った小室さんは、シンセサイザーのひとつに近づき、その鍵盤に指を乗せると、ギター音でメタリックなメロディを奏でます。「TIME TO COUNT DOWN」のイントロで聴けるフレーズです。最初はゆっくりと、そして勢いよく奏でます。TM NETWORKがTMNと名を変え、コンセプトを変えてロックに傾倒した時期の曲です。勢いに任せて鍵盤を叩き、気持ちの赴くままに音を歪ませます。

別のシンセサイザーの前に立ち、今度はチェンバロやアコースティック・ギターを思わせる弦の音で柔らかいメロディを奏でます。メロディをつないでいくと、「SEVEN DAYS WAR」であることに思い至ります。同じシンセサイザーでピアノの音を呼び出し、「SEVEN DAYS WAR」の演奏を続けます。途中でシンセサイザーを変えて、同じ曲をピアノの音で奏でる。ソフト・シンセを操作してキックとベースの音を呼び出して走らせながら、ピアノの音で即興でメロディを奏でる。リズムを抜くと、再びピアノの音でスウィンギーな即興演奏を見せます。

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ソフト・シンセにプログラムされたサンプリング・フレーズを呼び出すと、赤く乱れる光がステージを包みます。聴いたことのない、けれども耳に届いた瞬間に心に点火するサンプリング・フレーズ。そのフレーズが繰り返される中、やがてキックとベースの音が会場を揺らすと、ひとつのEDMがここに生まれます。EDMのDJ/Producerがつくったと言われても納得しそうなトラックです。たとえばAVICII、Zedd、Afrojack。リリカルなフレーズが一瞬にして会場を包み、観客を呑み込みます。EDMを聴いたことがなくても、そのフレーズはキャッチーだし、聴く人を虜にする。

おもむろに小室さんが脚を振り上げ、三段に積まれたシンセサイザーのうち、一番上のV-Synth GTに足を乗せます。鍵盤が押し込まれ、「GET WILD」のサンプリング・フレーズが飛び出します。同時に、爆音と煙が立ち上がる。小室さんがV-Synth GTの鍵盤に指を叩きつけるたびに、「GET WILD」の断片が勢いよく放たれ、光が明滅します。これまで構築してきたライブの流れを断ち切るかのようです。

ワブル・ベースの音が響きます。モデル・チェンジした「GET WILD」のイントロです。ワブル・ベースはダブステップでよく使われる音であり、新型「GET WILD」を象徴する音ですね。「GET WILD」のサンプリング・フレーズ、ワブル・ベース、Ruyのドラム、バンナさんのギターが重なり、音の奔流は激しさを増します。光も明滅して音を煽ります。やがて爆音とともに煙が上がり、それまで鳴らしていた音が一度、すっと引きます。一瞬の静謐からクリアなシンセサイザーの音が産声を上げ、「GET WILD」のメロディが奏でられます。

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「GET WILD」は常にダンス・ミュージックとロックの間を移ろってきました。どちらに寄るかはアルバムやライブのコンセプト次第ですが、2014年は両者の中間に位置していると言えるでしょう。EDMとロックが背中を預けて並び立つ関係にある。ロックの色を濃くしている要因は、やはりギターですね。シンセサイザーの音で埋め尽くされたサウンドの中でギターの音は屹立しつつも、きっちりとサウンドを支えている。バンナさんが弾く銀色のエレクトリック・ギター、ARISTIDES INSTRUMENTS社のARISTIDES 010がクールな音を出します。バンナさんの音はソフト・シンセの音に溶け込み、ところどころで前に出てくる音が気持ちいい。

このライブ・ツアーの「GET WILD」はイントロも長ければ、アウトロも長い。もはや別の曲を前後に入れたと言ってもいいでしょう。イントロで聴かせたフレーズをアウトロでも流しつつ、観客を強烈な四つ打ちの嵐に巻き込んでいく。ユーロ・ビートからテクノへ、そしてトランスと、ダンス・ミュージックの歴史を追跡するかのように変化してきた「GET WILD」は、2014年はEDMのスタイルをまとっています。深みのあるキックとベース、そこに重ねる鮮やかなシンセサイザーの音。スタイルが変わるたびに新たな生命が吹き込まれ、新たな音楽体験をもたらしてくれます。

RETRACE/LOUD/Scene1/COME ON LET'S DANCE/KISS YOU
Scene2/永遠のパスポート/ACCIDENT/金曜日のライオン
Scene3/RAINBOW RAINBOW/BE TOGETHER/CUBE
Scene4/I am/JUST ONE VICTORY/KEYBOARD SOLO/GET WILD
Scene5/SELF CONTROL/Scene6/BEYOND THE TIME/Scene7


2014.10.08
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by mura-bito | 2014-10-08 22:09 | Music | Comments(0)
Scene4/I am/JUST ONE VICTORY -- the beginning of the end
TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK


ドアが開く。潜伏者のひとりが端末に向かって作業を続けている。いくつもの情報がインプットされます。プログラミングのような文字の羅列、DNA二重螺旋のような曲線、分子構造のような六角形の連なり、積分のグラフのような図形。宙を漂う三つの物体も見えます。

メイン・ブレインにおいて、潜伏者たちは人間に似せた生命体、すなわちアンドロイドを生成しようとしているのでしょうか。カプセルの中で培養されているそれは、人間に似た曲線を見せています。曲線は曲線でも、特に柔らかなカーブを描く曲線。黙々と作業をこなす潜伏者の表情からは、その目的を読み取ることはできません。理解できるのは、時間が経つにつれ、カプセルの中のものが変化していることだけです。

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ドアが閉じる。音が変化し、滲み、広がり、白い空間に模様を描く。音はさらに変化し、四つ打ちの音が加わります。さらに音が変わり、ノイジーなエレクトロニック・サウンドが渦をつくり出します。そして、すべての音が消える。時間も止まります。その空白を遮り、ドラムの音が時間を呼び戻す。その音をトリガーにして、「I am」が始まります。

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音、メロディ、言葉を隅々まで味わい、イメージを広げたい。それが「I am」という曲です。2012年4月にオリジナルがリリースされ、2013年7月には「I am 2013」と題したリミックスが発表されました。ライブ会場で販売されたシングルに収録されていましたが、2014年4月に発売されたアルバム『DRESS2』でも聴くことができます。このライブ・ツアーのアレンジは「I am 2013」を下敷きにしています。「I am 2013」はソフト・シンセの音がふんだんに使われており、それだけでオリジナルとの印象の違いが生まれています。エレクトロに寄ったポップス。ステージの上でもソフト・シンセの音が重ねられ、エレクトロニック・サウンドの比率がさらに高まる。それは同時に、ウツの柔らかい歌声とのコントラストを高めています。

♪ほんの少しだけの遅れは/急いですぐ戻ってくればいい/群れに集う その瞬間は/明日はともかく みな喜ぶ♪ というフレーズの歌い方がとても優しい。ウツの歌い方はエモーショナルですよね。CDを含め、これまで聴いた中でも、歌に優しさを感じます。これまでは、できる限りクールであり続けたというべきか、小室さんが書いた言葉やメロディを伝える役割を自らに課していたような気がしますね。ボーカリストとして自らの色をつけるよりは、むしろ薄めて、触媒に徹していた。それが、2014年になって少し変わったのかもしれません。「I am」の世界、すなわち小室さんの内的なエリアに、ウツがぐっと近づいたのでしょうか。あるいは、少し余裕が出てきたのかもしれない。2012年は初演であり、2013年は病み上がりだったので、自らの色を出す余裕がなかった。快復しつつあること、ツアーで歌い込めたことなどの要素が重なり、ウツなりの表現を構築し、披露できたのではないか。

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「I am」の最後、音が消えると、光が潜伏者のひとりを照らします。メロディから解き放たれた言葉、「Yes I am Yes I am Yes I am a human」を残します。その言葉は、あのカプセルに関する作業のひとつだったのかもしれません。人間の情報をインプットし、人間であることをインプットする。人間ではないけれども、カプセルの中の生命体は、「自分は人間ではない」ということを「意識しない」ようになっている。それは何のためか。

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続いて、「JUST ONE VICTORY」が演奏されます。アレンジはアルバム『DRESS2』に収録されているバージョンに基づいています。オリジナルは「CAROL」という物語のエンディング・テーマとして位置づけられ、1988年のアルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』に収録されました。「CAROL」は1988年から1989年にかけて敢行された大規模なライブ・ツアーのコンセプトとなり、ステージでは、物語を音とパフォーマンスで表現しました。物語は完結しましたが、25年の歳月を経て、ステージに呼び戻されます。2013年のライブ「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」では、観客の中に眠る「CAROL」の記憶を掘り起こすために、アルバムの曲を組み合わせた「CAROL SUITE」が披露されました。

記憶のリトレース。その射程に入っていたのは2014年であり、特にその後半です。2014年の10月から12月にかけて行なわれるライブ・ツアー「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30」は、「CAROL」の完全版を軸にする、とのことです。今回のツアー「TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end」は、そのイントロダクションにあたります。したがって、このライブ・ツアーでは次の物語の伏線がいくつか張られているわけですが、「JUST ONE VICTORY」は、物語の最初にある「あらすじ」のようなものでしょうね。かつての物語「CAROL」を象徴する曲であり、その記憶にアクセスして常駐させておくことで、新たな物語を起動するスピードを高めようとしている。

ステージでは、sledgeやVirus TIといったハード・シンセの音が強烈なプレゼンスを放ちます。それゆえか、木根さんのアコースティック・ギター、バンナさんのエレクトリック・ギターがともに引き立ちます。イメージとしてはYESの「Owner of A Lonely Heart」でしょうか。トレヴァー・ホーンによるアレンジは、かつてのYESのイメージをひっくり返すものであり、1980年代を象徴するようなエレクトロニック・サウンドが印象に残りますよね。「JUST ONE VICTORY」で鳴っている音とは当然ながら異なりますが、シンセサイザーとギターがともに屹立しながら共存するという点では、似ているかなと思います。

RETRACE/LOUD/Scene1/COME ON LET'S DANCE/KISS YOU
Scene2/永遠のパスポート/ACCIDENT/金曜日のライオン
Scene3/RAINBOW RAINBOW/BE TOGETHER/CUBE
Scene4/I am/JUST ONE VICTORY/KEYBOARD SOLO/GET WILD
Scene5/SELF CONTROL/Scene6/BEYOND THE TIME/Scene7


2014.10.07
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by mura-bito | 2014-10-07 20:54 | Music | Comments(0)

fujiokashinya (mura-bito)
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