inthecube
音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
Note my experiences with impressive music/story.
ブログトップ
<   2014年 09月 ( 8 )   > この月の画像一覧
COME ON LET'S DANCE/KISS YOU -- the beginning of the end
TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK


ソフト・シンセを筆頭に、いくつもの音が次々と重なり、溶け合っていく。音のレイヤーは緩やかに、けれども確実に厚みを増していきます。シンセサイザーとドラムスの音が交差し、やがてギターのリフが絡んでくる。一曲のインストゥルメンタルが成立するとまで思えるような、とても長くて起伏に富んだイントロが続きます。音はどんどん集まり、撚られ、太くなっていく。音に合わせて光が動きを速め、形も色も変えて、やがて、「COME ON LET'S DANCE」の特徴的なフレーズが飛び出します。

1986年にリリースされた「COME ON LET'S DANCE」は、2014年になって新たなアレンジを施されました。新たなバージョンは「COME ON LET'S DANCE 2014」と題し、アルバム『DRESS2』の一曲目に収録され、2014年型TM NETWORKのイメージを決定づけたと言えるでしょう。時間を巻き戻して、TM NETWORKの軌跡をたどると、いくつもの種類のダンス・ミュージックを取り込んできたことがわかります。その先鞭をつけたのは紛れもなく、1986年の「COME ON LET'S DANCE」です。リリース当時からこの曲にはオリジナル・ミックスの他に2種類のリミックスが制作され、TM NETWORK流のダンス・ミュージックを模索していた様子が伺えます。

TM NETWORKというフィルターを通して、ダンス・ミュージックをTM NETWORKらしい姿に変え、表現する。30年が経ってもその姿勢は健在であることを、『DRESS2』とそのリーディング・ヒッターである「COME ON LET'S DANCE 2014」は示しています。EDMというスタイルをTM NETWORKで実現すると、こうなるという一例を提示している。小室さんはTM NETWORKを「モーター・ショーやNAMMのような、新たな試みの展示会」と位置づけています。TM NETWORKというブースの入り口で来場者を迎え、強烈なインパクトを与えるのが「COME ON LET'S DANCE 2014」の役割ですね。アルバムにはもっと多くの、多彩なサウンドが詰まっており、それらへの期待を高めています。

▼▼▼

アルバム『DRESS2』はただのリメイク集ではありません。ライブ・ツアー「TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end」のアレンジを先行して公開するという企画です。過去にも、類似した手法がとられたことがあります。1988年には、リリースが予定されていたアルバムの内容を示唆するライブを東京ドームで行ない、1990年にはライブ・ツアーのゲネプロを公開しました。TM NETWORKのライブは、多くの場合、音源とは異なる形にアレンジされたり新たな音が追加されたりします。既存の曲がいかに変わるかを楽しみにし、ライブ会場で驚くのがTM NETWORKのライブの醍醐味であるため、それを先に開示するのは大胆なことだと言えます。

けれども、『DRESS2』を聴いてライブを観たところ、やはり驚かされました。ライブではアルバムには入っていない音が多く重ねられており、事前に公開されていたのはアレンジの基礎部分だったのです。アレンジを知らなくても充分楽しめますが、知っていれば、その進化を楽しむことができる。ツアーの初日と千秋楽でも異なっていたように、小室さんは音をどんどんアップグレードしていきます。「COME ON LET'S DANCE」にも音が足され、アルバムに収録された音から乖離していきます。中でも小室さんが弾くハード・シンセ、Access社のVirus TIが鮮烈な印象を残します。ここまで変わっていくと、アルバムとライブでのアレンジは独立した存在だと思えます。もちろん、アレンジの土台は同じなのですが、その中のいくつかの要素をピックアップして強めて、新たなパーツを組み込んだ、という感じでしょうか。ライブで楽しんだ後も、アルバムを聴いて物足りなくなることはなく、何度でも聴けます。

▼▼▼

ファンクの色を一気に強めるカッティング。ギターの音が鳴り響くのと同時に、スポットライトがギタリストに当たります。このライブ・ツアーとアルバム『DRESS2』でサポートを務めたのは、「バンナ」と呼ばれる松尾和博さんです。バンナさんのファンキーなギターに導かれて「KISS YOU」が始まります。イントロでは、小室さんはシンセサイザーで作り込んだギター音を重ねます。シンセサイザーで構築された音は、ギターと同様のファンキーさを生み出します。音の密度について、生楽器とシンセサイザーには大きな違いはないと思います。あとはもう好みであり、アレンジのセンス次第なのではないか、と。

「KISS YOU」は1987年にリリースされました。オリジナル・ミックスではホーン・セクションも参加しており、ファンキーなギター・サウンドとの絡みがとても魅力的です。1989年にはCHICのバーナード・エドワーズによってリミックスされ、シンセサイザーとスネアの音が目立ち、煌びやかでありながら同時に冷たい空気の漂う不思議な音をまといました。多くのライブで演奏された曲ですが、2012年のライブ「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」でも披露されています。シンセサイザーの比重が最も大きかったのが2012年ですね。

ソフト・シンセの音をメインに据えた2014年のサウンドの中で、ギターが屹立します。バンナさんは間奏でギター・ソロを披露しており、色気のある音色が曲を彩ります。また、アウトロでは木根さんがソロでカッティングを披露しています。これもまたファンキーです。TM NETWORKのライブには傑出したギタリストが参加することが多いので、木根さんはバック・ボーカルやパフォーマンスに注力することが多い。とは言え、その間を縫ったり支えたりする木根さんの音も聴けると嬉しいですよね。このライブでは、「KISS YOU」を始めとして、随所で木根さんのギターを聴くことができます。

RETRACE/LOUD/Scene1/COME ON LET'S DANCE/KISS YOU
Scene2/永遠のパスポート/ACCIDENT/金曜日のライオン
Scene3/RAINBOW RAINBOW/BE TOGETHER/CUBE
Scene4/I am/JUST ONE VICTORY/KEYBOARD SOLO/GET WILD
Scene5/SELF CONTROL/Scene6/BEYOND THE TIME/Scene7


2014.09.30
[PR]
by mura-bito | 2014-09-30 21:10 | Music | Comments(0)
LOUD/Scene1 -- the beginning of the end
TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK


幕が上がると、目に飛び込んできたのは真っ白な部屋です。メイン・ブレインの一室。壁や床は静謐ささえ漂う落ち着いた白さを湛え、滲むように光を反射し、鮮烈な印象を残します。シンセサイザーとベースとスネアとハイハットの音が高らかに鳴り響く中、ステージには楽器がセットされます。そしてステージ前面の中央にマイク・スタンドが置かれます。小室さんと木根さんがステージに姿を現わします。ステージを照らす光は明滅し始める。ステージ奥の壁が左右に開き、ウツが姿を見せます。中央のスロープを歩いてマイク・スタンドの前に立ち、歌い始めます。

曲は「LOUD」。2014年4月22日にリリースされた、TM NETWORKの最新シングルです。小室さんが紡ぐメロディは淀みなく流れ、心地よいと思わせてくれるポイントをつないでいきます。ウツの歌はインターフェースとして、メロディのいろいろな表情、たとえば鋭さ、柔らかさ、温かさを媒介して、僕らのもとへ届けてくれます。ひとつのテーマ・メロディが少しずつ姿を変えて展開しており、曲を貫く流れを生み出しています。Verse、Bridge、Chorusのつなぎ目は滑らかであり、不自然さを感じないどころか、どんどん引き込まれていきます。

▼▼▼

「LOUD」は曲の後半で、一度その流れを断ち切るように、しかし裏ではつながっているのですが、雰囲気を変えるBridgeを挟みます。音が拡がっていき、一方でエネルギーはぎゅっと凝縮されていきます。そしてChorusが繰り返されるのですが、それまでのものより壮大な、雄大な雰囲気をはらみます。音が上がり、Bridgeで蓄積されたエネルギーが放出されているのです。ウツの歌声は、よりエモーショナルに響く。曲の最後を締める♪僕らはもっともっとエモーショナルでいいのさ♪という歌詞を体現するかのようなボーカルです。

シングルで聴ける音に、ライブではさらに音を足していました。ソフト・シンセの音がぐっと前に出てきて、太いベースの音と混ざってタフなサウンドになる。シンセサイザーがサウンドの核になっていることがはっきりとわかります。TM NETWORKの曲はジャンルを決めるのが難しく、ジャンルを跨いでいる曲もあれば、何とも定義できない曲もあります。それはジャンルを極め切れないという見方もできるのですが、そもそもジャンルの作法に則ろうとしていないんですね。「LOUD」をどこかのジャンルに当て嵌めようとしても、どうも据わりが悪い。ロックか、ポップスか、はたまたプログレッシヴ・ロックと称すべきか。ソフト・シンセの音が縦横無尽に駆け巡るサウンドを、既存のカテゴリーで語ろうと思っても無理がある。とりあえず、EDMとポップスのミクスチャー、と僕は結論づけています。

▼▼▼

ドアが開くと、そこには大きくて透明なカプセルが置かれており、中には得体の知れない物体が見えます。それは無機物の塊にも見えますが、有機物を培養しているようにも見えます。潜伏者のうち、二人がそれぞれ入力端末を操作しています。時として何かを話し合い、時としてカプセルに近づいて中の様子を伺います。二人は何を考え、何を話し、何を操作しているのでしょうか。二人の表情からは、具体的な情報を読み取ることはできません。やがて、それぞれのタスクを終えると、二人はその場を去ります。

音は物語の背景の一部と化します。ダブステップの要素を含む音を流しながら、小室さんはリアルタイムにソフト・シンセを重ねて厚みを出します。何が起きているか、これまでのライブを観ている観客にすらわからない状況の中、EDMスタイルを貫くインストゥルメンタルが鳴り響く。キックの音が強まり、ワブル・ベースを散りばめた音が会場を揺らします。物語を理解せんとする観客のヒントとなるのか、それとも謎を深めて謎の中に引き込もうとしているのか。目の前で起きていることは一体何なのか。物語は何を語ろうとしているのか。ドアが閉まり、それを合図にしたかのように、音の奔流が少しずつ収まっていきます。

RETRACE/LOUD/Scene1/COME ON LET'S DANCE/KISS YOU
Scene2/永遠のパスポート/ACCIDENT/金曜日のライオン
Scene3/RAINBOW RAINBOW/BE TOGETHER/CUBE
Scene4/I am/JUST ONE VICTORY/KEYBOARD SOLO/GET WILD
Scene5/SELF CONTROL/Scene6/BEYOND THE TIME/Scene7


2014.09.28
[PR]
by mura-bito | 2014-09-28 08:16 | Music | Comments(0)
RETRACE -- the beginning of the end
TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

TM NETWORK


シンプルな音が鳴り響く中、スクリーンにはシンプルな三角形がひとつ、浮かび上がります。三角形はゆっくりと回転しながら、スクリーンの上を漂う。やがて別の三角形がひとつ、そしてもうひとつ、姿を見せます。三つの三角形がそれぞれに回って、近づいたり、時に離れたりする。それぞれの三角形を見えない線でつなぐと、もうひとつの三角形が浮かび上がります。それは、三つの点をリンクして、アクティベートするネットワークです。シンセサイザーの音は無機質なのに柔らかく、薄いカーテンが肌をそっと撫でるように聴き手に届きます。

やがて三角形は明滅し始めます。三つの三角形が呼び寄せたのか、スクリーンには次から次へと新たな三角形が姿を現わし、漂い、明滅しながら、消えていきます。太いシンセサイザーの音が加わり、それは繰り返されます。音はディレイをまとい、音に導かれるように、遠くにある三角形が勢いよく迫ってきては消え、迫ってきては消えます。三角形が動いているのではなく、自分がものすごい速度で進み、三角形の中を通り抜けているのではないかとすら思える。それはまるで映画やアニメやゲームで目にした、宇宙空間を一気に飛び越えるワープのようです。

▼▼▼

無数の三角形が七色に光り始めます。三角形が円を成し、回転しながら高速で迫っては消える。その軌跡は渦のように歪むサンバースト模様を描きます。数え切れないほどの、それこそ星の数ほどもある三角形が現われ、ゆらゆらとうごめき、広がり、散って、姿を消します。その中でも、一定の軌跡を描く三角形の集合が、ひとつのイメージを浮かび上がらせます。底からゆらゆらと浮かび上がってくる三角形は、青くて波紋を描く水面を映し出す。横に動いていく三角形は、風になびく緑の草原を形づくる。芯のある軌跡を描く三角形が見せるのは、赤く輝き、形を留めずに揺らめく炎。地球を構成する青、緑、赤。

そして、三角形が遠ざかっていきます。あるいは自分が巻き戻されているのか。気づくと、壁に囲まれた空間の中を漂います。記憶も巻き戻され、2012年、続けて2013年のストーリーを再生します。三人の潜伏者は、メイン・ブレインと呼ばれる宇宙船を拠点にして、地球に降り立ち、いくつもの時代といくつもの場所を駆け巡り、地球のことを調査してきました。メイン・ブレインに帰還した三人は、彼らに課されたミッションの仕上げにかかろうとしています。白い部屋の中を奥に向かって進みます。TM NETWORKが演じる、TM NETWORKというフィクション。目の前にあるグレーのドアが、すっと左右に開きます。物語の終わりの始まり、the beginning of the endの幕が上がります。

RETRACE/LOUD/Scene1/COME ON LET'S DANCE/KISS YOU
Scene2/永遠のパスポート/ACCIDENT/金曜日のライオン
Scene3/RAINBOW RAINBOW/BE TOGETHER/CUBE
Scene4/I am/JUST ONE VICTORY/KEYBOARD SOLO/GET WILD
Scene5/SELF CONTROL/Scene6/BEYOND THE TIME/Scene7


2014.09.27
[PR]
by mura-bito | 2014-09-27 21:23 | Music | Comments(0)
キーボード・マガジン No.386 特集 TM NETWORKの音楽
Keyboard magazine 2014年10月号 AUTUMN

Keyboard magazine 2014年10月号 AUTUMN

リットーミュージック


『キーボード・マガジン』の2014年秋号が発売されました。表紙を飾るのはTM NETWORKの3人です。「特集 TM NETWORKの音楽」と題した企画では、3人それぞれのインタビューが掲載されています。加えて、フォロワーである後輩ミュージシャン同士の対談や、曲を解析しつつTM NETWORKの歴史を紐解く企画も載っています。ここでは、小室さんのインタビューからいくつかの言葉を引用して、そこから浮かんだ自分の言葉を書き留めてみましょう。

TMのライブは、モーター・ショーとかNAMMショーとか、ああいった展示会みたいな部分もあると思ってます。最新鋭のものをいろいろ組み合わせて、こういうものを作りましたって提示する1つの場でもあるんで。

小室哲哉
特集 TM NETWORKの音楽 – Keyboard magazine No. 386

小室さんを語るときに欠かせないキーワードである「ソフト・シンセ」は、今やTM NETWORKにとっても同じ意味を持ちます。ライブでも音源でもソフト・シンセが大きな割合を占めており、そのことは冨田勲さんとの対談* でも力説していました。今回のインタビューではTM NETWORKの黎明期から話が始まり、また、具体的なライブや作品にフォーカスしていないため、ソフト・シンセの話は少なめでしたね。音楽を俯瞰して語るインタビュー記事、といったところです。TM NETWORKの立ち位置、音や言葉を選ぶセンスについて、今の小室さんの視点、考えを知ることができます。

シンセサイザー、キーボードの可能性っていうことを考えれば、何も知らない人が “へぇ、こういう音が出るんだ!” って知るだけでもいいんです。驚いて誰かに伝えれば拡散するわけで、それですでに展示会の役割を果たしていると思うし。

小室哲哉
特集 TM NETWORKの音楽 – Keyboard magazine No. 386

EDMというジャンルを知ってから、少しずつシンセサイザーに対する自分の態度が変わりました。ヨーロッパやアメリカで売れているEDMアーティストの曲を聴くと、ソフト・シンセでつくられた音がとても気持ちいいんですよね。AVICII、Zedd、Afrojack、deadmau5、Krewellaの曲をよく聴きますが、ソフト・シンセの醍醐味を知ると、他のバンドで後付けのように足しているシンセサイザーを聴けなくなってしまう。ソフト・シンセ以外を認めないわけではなくて、驚くことが少ない、あるいはまったくない。素晴らしいプレイに感動することと楽器の種類には因果関係はありません。けれども、印象的なフレーズを気持ちいい音で聴きたいのもまた本音なのです。「この音いいよね!」と「このフレーズいいよね!」がクロスする瞬間がとても好きだし、ずっと記憶に残ります。

全世界大ヒットのディズニー映画みたいにみんなが知っているのではなく、単館上映の映画なんだけど、“とにかく1回観てみてよ” って友達に言いたくなっちゃうようなものを目指したいんですね。

小室哲哉
特集 TM NETWORKの音楽 – Keyboard magazine No. 386

僕がソフト・シンセの音っていいなぁと思うのは、それがシンセサイザーらしさを肯定しているからです。既存の楽器の代替ではなく、シンセサイザーだ、ということを主張しているんですよね。もちろん、Indigo REDBACK、Sledge、TIといったハード・シンセも自己主張の強い音を出すので好きです。ここ数年でシンセサイザーの音って気持ちいいよね、と素直に言えるようになったかな、と思います。かつてはメロトロンやミニ・モーグのようなオールド・シンセの音がいいんだよと言っていましたが、やはり背伸びしていた感が否めません。いろいろ聴いたところにソフト・シンセの魅力を知ったことで、地に足をつけて「シンセサイザーの音が好き」と言える。TM NETWORKを聴き始めて20年、少しはシンセサイザーのことを語る資格が得られたでしょうか。

コンピューターとネットが、今は近いですね。オフラインだとPCは空と同じなんですよね。なので、ネットワークっていうのはすごく必要なもので。その世界にシンセサイザーも近付いてきてるかもしれないですよね。

小室哲哉
特集 TM NETWORKの音楽 – Keyboard magazine No. 386

ずっと前に楽曲はデータとして行き来するようになり、スタンドアロンではなく、ネットワークの中に組み込まれました。そこに楽器も加わるのは自然な流れと言えるでしょうか。ソフト・シンセを使うときは音をダウンロードして、複数のメーカーの音を混ぜている、とのこと。音をダウンロードする、という言葉が2010年代でしかあり得ないですよね。脳内の画布に描いている音を具現化するために、いくつもの音を試し、ふるいにかけ、選び取る。それはそんなに難しいことではない、と小室さんは言います。イメージさえできていれば、音は見つけられる、と。

言葉がこれだけ世の中に氾濫している中、何を選びたいかっていうのも決まっていればそれを選び取れるし、何かないかなって探して見つけ出せる人が、少し飛び抜けている人なので。

小室哲哉
特集 TM NETWORKの音楽 – Keyboard magazine No. 386

話は言葉にも及びます。音を選び取るセンスは、言葉を選び取るセンスにも通じるものがある。あふれるほどに言葉が流れていく時代になって、だからこそ、選び取れる人の価値が高まる、と僕は解釈しました。選び、組み合わせ、新たなものを提示する。音楽や映像ほどに派手ではないかもしれませんが、言葉というジャンルでも新たな価値を生み出す人は必要ですよね。文章って誰でも書けるけど、それは鍵盤を指で押して音を出すなら誰でもできるのと同じです。言葉の奔流の中でも屹立する言葉は、ある。僕はそういう言葉で文章を書こうとしているし、一方で読みたいんですよね。

* inthecube: キーボード・マガジン No.385 シンセサイザー特別対談 冨田勲×小室哲哉

2014.09.24
[PR]
by mura-bito | 2014-09-24 21:23 | Music | Comments(0)
TM NETWORK – GET WILD 2014 (the beginning of the end)


TM NETWORK – GET WILD 2014 (the beginning of the end)

Blu-ray/DVD『TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end』から3番目に公開された曲は「GET WILD」です。このライブで披露された「GET WILD」は、『DRESS2』に収録されている「GET WILD 2014」の進化版ですね。幾多のアレンジやリミックスで生まれ変わった「GET WILD」には、2013年にワブル・ベースを始めとしたソフト・シンセの音が埋め込まれました。2013年のアレンジを下敷きにして音を調整・追加されたのが「GET WILD 2014」です。小室さんはステージで、ソフト・シンセでつくった新たな音を「GET WILD 2014」に重ねます。冨田勲さんとの対談* で話した「ライブの半分以上はソフト・シンセの音」という言葉を体現するかのようです。

今回のライブで披露された「GET WILD」では、オリジナルのイントロの前に新たなフレーズを組み込み、一方でアウトロの音が分厚くなり、激しさを増しました。TM NETWORKのライブでは曲のイントロとアウトロが刷新されたり音が追加されたりすることがよくあります。今回の「GET WILD」は特に気持ち良くて、身体をダイレクトに揺さぶるサウンドはEDMファンも唸らせるだろうと思いましたね。残念ながらイントロとアウトロはYouTube/niconicoではカットされています。けれども、新たにイントロに加わったフレーズは、間奏で断片的に鳴っており、2番のサビでははっきりと聴くことができる。メジャー・シーンもアンダーグラウンドのフィールドも知っているEDMのDJ/Producerがつくりそうなフレーズなんですよ。初めて聴いてもすぐに踊れるし、気持ちよくなります。

「GET WILD」は常にダンス・ミュージックとロックの間を移ろってきました。どちらに寄るかはアルバムやライブのコンセプト次第ですが、2014年は両者の中間に位置していると言えるでしょう。EDMとロックが背中を預けて並び立つ関係にある。ロックの色を濃くしている要因としては、やはりギターが挙げられます。シンセサイザーの音で埋め尽くされたサウンドの中でギターの音は屹立しつつも、きっちりとサウンドを支えている。「バンナ」こと松尾和博さんが弾く銀色のエレクトリック・ギター、ARISTIDES INSTRUMENTS社の「ARISTIDES 010」** がクールな音を出します。少なくともTM NETWORKで弾くときは、バンナさんはソロを弾きまくって観客を煽ることよりも、職人的なリフでサウンドに厚みを持たせることの方が多い。バンナさんの音はソフト・シンセの音に溶け込むし、ところどころで前に出てくる音が気持ちいいんですよね。

* inthecube: キーボード・マガジン No.385 シンセサイザー特別対談 冨田勲×小室哲哉
** SOUND HOUSE:TM NETWORK サポート・ギタリスト 松尾和博 × ARISTIDES INSTRUMENTS

inthecube
TM NETWORK – GET WILD 2014
[PART1] TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end
[PART2] TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

2014.09.16
[PR]
by mura-bito | 2014-09-16 20:33 | Music | Comments(0)
Ariana Grande – Problem [feat. Iggy Azalea] (Music/Lyric Video)


Ariana Grande – Problem [feat. Iggy Azalea] (Music Video)

ZeddとコラボしたAriana Grandeの「Break Free」* がとても良かったので、そのまま他の曲も聴いてみたら、すぐに「Problem」という曲に出合いました。「Problem」は最新アルバム『My Everything』に収録されており、アルバムを代表する曲と言えるでしょう。Iggy Azaleaがラップで参加しており、ミュージック・ビデオにも出演しています。

テナーのスリリングな演奏から始まる「Problem」は、ささやくような男性のコーラス、Iggyのハスキーなラップを含みつつ、Arianaの魅力的な歌声を存分に堪能できる曲です。Arianaの歌声は芯があってクールだし、時としてコケティッシュでもある。それらのギャップが緩急を生み、聴き手の心をつかむのでしょう。「Problem」のメロディはどこか懐かしく感じられ、あくまでも個人的にですが、1980~90年代の雰囲気を漂わせます。



Ariana Grande – Problem [feat. Iggy Azalea] (Lyric Video)

「Problem」には、ミュージック・ビデオだけでなく、リリック・ビデオも存在しています。歌詞だけを表示しているわけではなく、ArianaとIggyが登場しています。歌詞を取り払えば、もうひとつのミュージック・ビデオと言ってもいいでしょう。

光が描く影の世界。渦を巻くように歪んだサンバースト模様は、乾いた感じのサウンドにフィットし、さらにArianaの眼を強調しています。白と黒の模様が彼女の眼に吸い込まれていくようにも見えますね。モノクロームに染まった世界の中で、その眼にたたえた光が屹立して輝きます。

* inthecube: Ariana Grande – Break Free [feat. Zedd] (Music Video)

2014.09.07
[PR]
by mura-bito | 2014-09-07 10:01 | Music | Comments(0)
TM NETWORK – I am 2013 (the beginning of the end)


TM NETWORK – I am 2013 (the beginning of the end)

音、メロディ、言葉を隅々まで味わい、イメージを広げたい曲、それがTM NETWORKの「I am」です。2012年4月にオリジナル・ミックスがリリースされ、2013年7月には「I am 2013」と題したリミックスが発表されました。「I am 2013」の音源は、2014年4月に発売されたアルバム『DRESS2』で聴くことができます。

9/24にリリースされるライブBlu-ray/DVDから、「RAINBOW RAINBOW 2014」に続き、「I am 2013」の映像がYouTube/niconicoで公開されました。ライブ・ツアー「TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end」では、「I am 2013」はライブの折り返し地点で披露されました。白でまとめられたステージは、光に包まれることで輝き、その白さが際立ちます。もともとソフト・シンセを中心に構築されていたサウンドは、さらにソフト・シンセの音が重ねられます。色を重ねて深みを増すように、小室さんはステージで鍵盤を弾き、音を重ねます。

♪ほんの少しだけの遅れは/急いですぐ戻ってくればいい/群れに集う その瞬間は/明日はともかく みな喜ぶ♪ というフレーズの歌い方がとても好きです。このライブの「I am 2013」では、ウツの歌い方はエモーショナルですよね。CDを含め、これまで聴いた中でも、歌に優しさを感じます。これまでは、できる限りクールであり続けたというべきか、小室さんが書いた言葉やメロディを伝える役割を自らに課していたような気がしますね。ボーカリストとして自らの色をつけるよりは、むしろ薄めて、触媒に徹していたのではないかと思います。それが、2014年になって少し変わったのかもしれません。「I am」の世界、すなわち小室さんの内的なエリアに、ウツがぐっと近づいたのでしょうか。あるいは、少し余裕が出てきたのかもしれない。2012年は初演であり、2013年は病み上がりだったので、自らの色をつける余裕がなかったとすれば、快復しつつあること、ツアーで歌い込めたことなどの要素が重なり、ウツなりの表現を披露できたのかなと思います。

まあ、背景はあるていど推測できますが、因果はあまり推測しても意味のないことですね。ステージで披露されるパフォーマンスにぎゅっと意識を集中してみましょう。大胆なアレンジの変化はもちろんのこと、ちょっとした変化すらも楽しむことができる。僕らはメッセージを受け取り、楽しみ、そして思い思いの余韻に浸り、記憶に刻み込みます。

inthecube:
TM NETWORK - I am
TM NETWORK - I am 2013 / I am -TK EDM Mix-
[PART1] TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end
[PART2] TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

2014.09.06
[PR]
by mura-bito | 2014-09-06 21:48 | Music | Comments(0)
Ariana Grande – Break Free [feat. Zedd] (Music Video)


Ariana Grande – Break Free [feat. Zedd]

まっすぐに響くAriana Grandeの歌声を、Zeddのサウンドが支え、彩り、押し上げます。「Break Free」は、キャッチーなメロディとエレクトロニック・サウンドが混ざり合います。Arianaの声は甘いけれども甘過ぎることはありません。ぴしりと空気を引き締める瞬間があり、ソフトな部分とシャープな部分を併せ持つと言えるでしょう。

Zeddのサウンドに背中を預けて、Arianaが伸び伸びと歌います。Zeddの音は女性の声と相性がいいですよね。あるいは、女性のボーカルをうまく活かして音を組み立てると言えます。歌モノをアレンジするセンスが良いことは、Foxes* やHayley Williams** とのコラボレーションでも感じましたね。Zeddのカラーを押し殺すことなく、それでいて出過ぎることもなく、歌にスポットライトを当てる。ポップスとアンダーグラウンドの中間領域を巧みに支配するのは、音楽的にもプロデュース的にもセンスを問われることです。バランス感覚に優れた曲は、聴き手に新たな世界を見せてくれ、そして新たな出会いをもたらします。

* inthecube: Zedd - Clarity [feat. Foxes] (Music Video)
** inthecube: Zedd - Stay The Night [feat. Hayley Williams of Paramore] (Music Video)

2014.09.01
[PR]
by mura-bito | 2014-09-01 22:11 | Music | Comments(0)

fujiokashinya (mura-bito)
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
最新の記事
Sarah Àlainn –..
at 2017-10-19 21:12
コアラモード. – 雨のち晴..
at 2017-10-17 21:53
[PART2] TM NET..
at 2017-10-11 21:45
[PART1] TM NET..
at 2017-10-10 21:40
GET WILD Takky..
at 2017-10-03 21:21
Carly Rae Jeps..
at 2017-09-25 21:21
LINKIN PARK – ..
at 2017-09-21 21:48
以前の記事
記事ランキング
カテゴリ
タグ
ライフログ
TM NETWORK

























TETSUYA KOMURO




quasimode


Linkin Park


Paramore

Immigrant'sBossaBand

Ryu Miho

AVICII


Krewella

Zedd

藍井エイル






Gacharic Spin


梨木香歩

村上春樹



京極夏彦



Book





Comic







Music



ブログジャンル