inthecube
音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
Want to become tough, not need to get wild.
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AVICII – Lay Me Down (Music Video)


AVICII – Lay Me Down [feat. Adam Lambert and Nile Rodgers]

AVICIIのアルバム『True』* に収録されている「Lay Me Down」がYouTubeにアップロードされています。ボーカルにAdam Lambert、ギターにNile Rodgersを迎えて制作された豪華な一曲です。このコラボレーションはアルバム収録曲の中でも一際目立ち、話題になりましたね。リミックス・アルバム『True: Avicii by Avicii』** で聴けるAVICIIの色を強めたアレンジも素晴らしいのですが、ここではオリジナルに漂うコラボレーションならではの化学反応を楽しみましょう。

◢ ◤

Nile Rodgersのギター・カッティングは、Nileを象徴していると言っても過言ではありません。CHICの記憶が巻き戻される人もいれば、Daft Punkの「Get Lucky」を思い浮かべる人もいるでしょう。もともとダンス・ミュージックのカテゴリーで有名になったので、2010年代になってEDMの盛り上がりとともに注目されたのは、必然と言えるでしょう。バンド・スタイルでアンサンブルを生み出しても、ソフト・シンセでサウンドを組み立てていっても、「踊らせたい」というダンス・ミュージックの核は同じです。インターフェイスの違いですよね。コアの部分がしっかりしていて、インターフェイスの切り替えに積極的にトライしていけば、音楽は終わらないのだと思います。

* inthecube: AVICII – TRUE
** inthecube: AVICII – True: Avicii by Avicii

2014.05.31
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by mura-bito | 2014-05-31 08:36 | Music | Comments(0)
[PART1] TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end
TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end
2014.04.26&27 at (F)uchu no Mori Art Theater
2014.05.19&20 at Tokyo International Forum Hall A

3つの三角形が浮かび上がり、それらはくるくると回り、やがて数が増えて、無数の三角形がスクリーンを覆います。静謐な音がスクリーンを彩り、やがてヘビーな音が絡みつく。エレクトロニック・サウンドが会場を満たしてゆきます。青と赤と緑の三角形が現われ、青く染まる水面、紅く燃える炎、風に揺れる緑の草原が映し出されます。光の三原色。

音はいっそう大きくなり、三角形の動きは激しくなります。やがてスクリーンに映し出されたのは2012年のライブ「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」と2013年のライブ「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」の映像です。未来の世界から過去にリワインドし、ぐるぐると時間は巻き戻されます。そして、真っ白な通路を歩く3人の姿が映し出され、最新シングル「LOUD」のミュージック・ビデオの冒頭に挿入されたシーンが再生されます。物語の最終章が始まりを告げます。

「LOUD」のイントロが鳴り響き、幕が開くと、そこには真っ白な世界が広がっていました。僕らの予想を裏切るかのように、楽器も演者も存在しない、ただただ白い空間が広がっている。中央には奥へと伸びる通路があり、ステージの奥の壁には、「LOUD」のミュージック・ビデオで使われたセットと同じデザインが施されています。僕らは宇宙船に乗り込み、これからそこで行なわれる出来事の目撃者になるのです。


ステージの両脇からキーボード・ブースやドラム・セットがスライドして姿を見せます。ギターの「バンナ」こと松尾和博さん、ドラムスのRuyさんが持ち場につきます。そしてグレーの衣装を身に着けた木根さんが現われ、ギターを下げます。同じ衣装の小室さんが姿を見せ、シンセサイザーの要塞に足を踏み入れるとさっそく音を調整し始めます。ドラムの激しいスネアの音を合図に音が熱を帯び始めます。やがて奥のドアが左右に開くと、光を背に現われたのはウツ。中央の通路をゆっくりと進み、おもむろにマイク・スタンドに手をかけると、「LOUD」を歌い始めます。

ウツがボーカルをとる曲の合間には、物語を綴るパフォーマンスが挿入されます。「LOUD」の後のパフォーマンスは、強烈なDUBSTEPサウンドが鳴り響く中で行なわれていました。前回のライブでも「MISSION PART1」というDUBSTEPの雰囲気を醸すインストゥルメンタルが流れましたが、今回はそれ以上、もはやDUBSTEPそのものと言えるサウンドが飛び出しました。ウツと木根さんは淡々と演技を続けます。総合演出を手がける小室さんは音をいじっています。鳴り響くDUBSTEP。強烈なダンス・ミュージックが流れる中で紡がれる物語。

ライブはエレクトロニック・サウンドを軸にしたバンド・スタイルで進みます。アルバム『DRESS2』の1曲目に収録されている「COME ON LET'S DANCE」はオリジナル・バージョンよりも激しく、タフな音に仕上がっています。ライブではさらに音を重ね、エレクトロとロックとファンクが入り乱れるサウンドは身体の芯から熱くなりました。すでに『DRESS2』でライブのサウンドは予告されていたのですが、小室さんがそのまま再現するはずもなく、多くの部分がアップグレードしていました。

ウツの声でカット・アウトした後、間髪入れずにバンナさんのギターが高らかにリフを刻む。このシャープなリフがものすごく格好良くて、震えが止まらなかったことを覚えています。曲は「KISS YOU」。このリフを入れて『DRESS2』に収録してもらいたかったですね。この曲は色気があってどのライブのアレンジ・演奏も好きなのですが、そのリストがまた長くなったことに驚くばかりです。木根さんがギター・ソロを披露し、「KISS YOU」が終わります。

ところどころに挟まれる物語の断片。奥のドアが開くと、何かが入った大きなカプセルのようなものが登場し、ウツと木根さんはキーボードらしきものをタイプして、ときどき言葉を交わしています。透明なカプセルの中身を覗き込み、異常がないことを確認すると、2人は去ってゆきます。物語が進むにつれ、カプセルの中身が変わっていることが見て取れます。人体のかたちをとり始めたかと思えば、やがて女性らしい体型になってゆく。髪が長くなり、見覚えのあるワンピースとグリーンのトップスをまとった姿に変貌する。

『DRESS2』の収録曲が次々と演奏されます。「永遠のパスポート」、「RAINBOW RAINBOW」、「BE TOGETHER」、「金曜日のライオン」、「ACCIDENT」。30年前の曲が2014年の音でドレス・アップしており、ウツの歌声が曲に深みのある色と輝きを与えています。木根さんはコーラスでハーモニーを生み出し、小室さんもキーボード・プレイの傍ら、マイクを引き寄せてコーラス・パートを歌います。

「BE TOGETHER」ではサビの直前でウツと木根さんがくるりと回るのが定番なのですが、最終公演では小室さんも回りました。それまで背中を向けて後ろのキーボードを弾いていたのですが、やや照れながら、ふわっと半回転。仙台公演で回ったと聞いたとき、最後だから回るよねと話していたのですが、何と本当に回りました。

サポートの2人が去り、ステージに立つのはTM NETWORKの3人のみ。ウツの歌を合図に、木根さんがアコースティック・ギターを弾き、小室さんがシンセサイザーの音を重ねます。シンプルな音で披露されたのは「CUBE」。アルバム『Major Turn-Round』の最後に収録されている曲です。プログレッシヴ・ロックをテーマに掲げたアルバムであり、その中でもかなりユニークな展開を見せる曲ですね。ゆったりと独白する雰囲気で始まり、最後は叫ぶように言葉を叩きつける。そしてさらに盛り上がっていくと思わせ、突如として音が収束し、淡々とした独白で曲は終わります。

「the beginning of the end」では「CUBE」の歌詞が少し変わりました。♪密室みたいに世界は息苦しい♪ が ♪屋根裏みたいに世界は息苦しい♪ に変わり、♪I don't care what's going on out of my tiny and empty cube♪ が ♪I don't care what's going on out of my empty cube, everyone♪ に変わりました。後者は記憶が曖昧ですが、この変化の謎はじっくりと考えてみましょう。

[PART2] TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end

2014.05.29
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by mura-bito | 2014-05-29 22:29 | Music | Comments(0)
Rolling Stone Japan Edition JUNE 2014 小室哲哉インタビュー

Rolling Stone Japan Edition Vol. 86

セブン&アイ出版


Rolling Stone誌の日本版に小室さんのインタビューが掲載されています。「昭和」をテーマにして、音楽家のキャリアの中で関わった「昭和」の要素や、幼少期に影響を受けたものについて語っています。インタビュアーの意図は、「昭和」を切り口にして小室さんが未来をどのように考えているかをあぶりだすこと。話は2014年の音楽事情に及び、TM NETWORKも話題に上がります。

好きか嫌いかのどちらかで構わない……じゃなくて、今という時代に向けて好きになってもらうために上手にミックスしていくこと。それが今いちばん難しいです。

小室哲哉
小室哲哉インタビュー – Rolling Stone Japan Edition Vol. 86

音楽を取り巻く状況は、今後どのようになっていくのでしょうか。海外の大規模な活動、ロックやEDMの動きを見ると、充分に元気だなあと思うわけですが、それも二極化の表われですよね。世代やクラスタをまたぐような音楽はまれにしか登場しないし、何かしらの要因で世に出て社会現象になったとしても、同じ熱を持って持続することはないでしょう。音楽が可処分時間の第1位に返り咲くことは考えにくい。そうした状況の中で、聴いてもらうこと、好きになってもらうことは難しいどころの話ではないですよね。

ひとつの色に染めるのは簡単なんですけど、それを多彩な色にするのは大変ですね。

小室哲哉
小室哲哉インタビュー – Rolling Stone Japan Edition Vol. 86

小室さんの音楽はよくも悪くもハイブリッドだと思います。多彩な色がグラデーションを描くようにしてひとつの曲を染めている。最近の特徴は、EDMとポップスを混ぜたり、EDMとロックをぶつけたりしていることですね。曲によってEDMに寄るか、他の要素を強めるかは異なりますが、特定のジャンルを極めようとすることはありません。それはプロデューサーとしてのバランスの調整でもあり、ミュージシャンとして極めることに重きを置かず、スタイルを固定しない意思表示でもあるでしょう。とは言え、時には大胆に舵を切るときがあります。TM NETWORKの最新ライブ・ツアーではワブル・ベースでぐいぐいと引っ張るインストも披露しており、会場がDUBSTEP一色に染まりました。

最新鋭のサウンドで、今までの僕たちのルーツを入れたものを世の中に送り出して、そこでみんながどういうふうに思ってくれるか、どれだけの数の人が聴いてくれるかっていうのは、やっぱりチャレンジしていきたいなと。

小室哲哉
小室哲哉インタビュー – Rolling Stone Japan Edition Vol. 86

2014~2015年の活動「TM NETWORK 30th FROM 1984」の第1期は、東京国際フォーラムでのライブをもって終了します。ひとつの物語を軸にして展開するこのプロジェクトは、第2期そして第3期と続く予定です。その流れを汲み、小室さんはオリジナル・アルバムの制作を示唆します。新たな音が、言葉が発信されるわけですが、これからTM NETWORKの音楽はどのくらい拡散するのだろう? 聴いたことのない人に届き、点と点がつながり、ネットワークが広がることを願いつつ、ネットワークの片隅で自分なりの拡散を続けていくとしましょう。

2014.05.20
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by mura-bito | 2014-05-20 15:12 | Music | Comments(0)
TM NETWORK – 永遠のパスポート 2014
DRESS2

DRESS2

TM NETWORK


リプロダクション・アルバム『DRESS2』の最後を飾る曲は「永遠のパスポート」です。オリジナルは『CHILDHOOD'S END』というアルバムに収録されています。デビュー・アルバム『RAINBOW RAINBOW』に続く2枚目のアルバムであり、音や歌詞について、TM NETWORKの中ではソフトな部類に入る作品と言えるでしょう。シンセサイザーの音を使っていても、シンセサイザーを聴いている感覚を抱かせない工夫がなされているそうな。シンセサイザーの音はTM NETWORKのアイデンティティ。その印象を弱めていることに驚きますが、迷いとも言えるこの時期を経て、1986年からはダンス・ミュージックの要素を取り入れることで、アイデンティティが確立してゆきます。

「永遠のパスポート」の2014リプロダクションは、オリジナルの雰囲気を色濃く残し、とても気持ちのいいポップスに仕上がっています。EDMスタイルとは距離をとり、シンプルな印象を与えるサウンドです。シンセサイザーが形づくる音のレイヤーを楽しむことができますし、アコースティック・ギターのストロークや、エレクトリック・ギターによるソロ・プレイもいいですね。さらりと聞き流すこともできるけれど、ちょっと立ち止まって、第一印象の向こう側にあるものを探ってみるとおもしろいですよ。シンプルなサウンドもじっくりと耳を傾けることで、その奥深さを垣間見ることができます。

歌にスポットライトを当ててみましょう。メロディの優しさが際立つ曲であり、『DRESS2』では、その優しさが芯のあるものになって響き渡ります。オリジナルのとき、10年目のライブ、それぞれ歌い方は異なっていました。さらに言えば、録音する前のライブでも歌われており、これもまた歌の印象が異なります。10年、20年、30年と時間を積み重ねて、ウツの歌声はメロディの良さを最大限に引き出しています。それが実現しているのは、声の性質、技術や経験、そしてメロディとの相性といった要素が互いを打ち消すことなく組み合わさっているからでしょうね。

TM NETWORK – DRESS2

COME ON LET'S DANCE 2014
GET WILD 2014
SELF CONTROL 2014
BE TOGETHER 2014
JUST ONE VICTORY 2014
I am 2013
RAINBOW RAINBOW 2014
ACCIDENT 2014
金曜日のライオン 2014
永遠のパスポート 2014


2014.05.18
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by mura-bito | 2014-05-18 09:04 | Music | Comments(0)
TM NETWORK – 金曜日のライオン 2014
DRESS2

DRESS2

TM NETWORK


驚くほどに分厚いキックとまとわりつくベースの音がdeadmau5(デッドマウス)を彷彿とさせます。「金曜日のライオン」の2014リプロダクションは、タフなEDMサウンドで構築されています。歌モノとは思えないほどにキックが鳴り、前に飛び出してきていて、その迫力に圧倒されますね。試しにボーカル・トラックをミュートしてみたらどうなるでしょうか。EDMという文脈にすんなりとフィットするし、それこそdeadmau5がライブ・セットでプレイしていても違和感がないでしょう。deadmau5だけでなく、David Guettaが鳴らすキックの音にも似たものを感じますね。小室さんは「欧米のダンス・ミュージックのキックは肉食的。かなわない」と述べていましたが、この曲ではその肉食的な音に挑戦してみたのかもしれません。

1984年、この曲でTM NETWORKはデビューを飾りました。アルバム『RAINBOW RAINBOW』で録った曲のうち、どれをデビュー・シングルにするか意見が分かれたようですが、最終的には洋楽志向の「金曜日のライオン」が選ばれました。サブタイトルの「Take it to the lucky」は、最初はこちらがタイトルだったそうな。英語のタイトルだと売れないと言われたから日本語の「金曜日のライオン」を前に持ってきた、とのこと。確かに「Take it to the lucky」という歌詞は出てきますが、「金曜日」も「ライオン」も登場しません。「アフリカ」という言葉からイメージを膨らませるのみです。ビジネス的判断はともかく、「金曜日のライオン」というタイトルはこの曲のオリジナリティの確立に一役買っていたかもしれませんね。SFのようでもあるし、シリアスなドラマのようでもある。聴く人によってイメージは変化し、それぞれのオリジナルな世界が広がります。

イントロを聴いただけではファンすらもこれがデビュー曲だとは気づきにくいですよね。途中からようやく輪郭が見え始め、それだと分かる。曲の全体を通して、オリジナルのフレーズからは想像つかないフレーズを随所に差し込み、新と旧が複雑に結びつくリミックスになっています。オリジナルのフレーズと新たな音をつなぎ、1984年のメロディを2014年に存在させる試みです。同窓会にはしたくないと言っている小室さんですが、そうもいかない事情もあるわけで、『DRESS2』にはバランスを考えた痕跡が数多く感じられます。もちろんそれは妥協だとは思いませんし、ファンも、新たに耳にしてくれる若いリスナーも、それぞれに楽しめる作品を小室さんは標榜しているはずです。「金曜日のライオン」の2014リプロダクションでは、1984年に生まれた素晴らしいメロディも、2014年を切り取るエレクトロニック・サウンドも充分に楽しむことができます。

TM NETWORK – DRESS2

COME ON LET'S DANCE 2014
GET WILD 2014
SELF CONTROL 2014
BE TOGETHER 2014
JUST ONE VICTORY 2014
I am 2013
RAINBOW RAINBOW 2014
ACCIDENT 2014
金曜日のライオン 2014
永遠のパスポート 2014


2014.05.16
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by mura-bito | 2014-05-16 22:39 | Music | Comments(0)
TM NETWORK – ACCIDENT 2014
DRESS2

DRESS2

TM NETWORK


「ACCIDENT」は3番目にシングル・カットされた曲です。1985年のオリジナル・アルバム『CHILDHOOD'S END』のリード・シングルとなりました。SFやエレクトロ・ポップを軸にしたデビュー・アルバムの路線を見直し、聴きやすいポップスに寄せた2作目が『CHILDHOOD'S END』です。その中でも「ACCIDENT」は歌謡曲の雰囲気を強く感じますね。なめらかなメロディと感情移入がしやすそうな歌詞が特徴的です。鋭利なサウンドで驚かせるというよりは歌を聴いてもらいたいという意図があったのでしょう。結果として、この路線も変更を余儀なくされ、翌年はファンクに挑戦することになります。

TM NETWORKの中でも異質な存在であるこの曲を2014の音でドレス・アップするとどうなるか。聴き手を誘い込むような音、首筋に絡みつくような音が印象に残ります。プログレッシヴ・ロックを思わせる先の読めない展開が曲に緊張感を与え、ダイナミックに上下する波をつくり出す。それでいて、もともと持っている柔らかなメロディが気持ちをほぐしてくれ、ドラマチックな音の展開とバランスをとっていますね。歌詞を読んでみると1曲の中にドラマが描かれていますが、音がそれを彩り、深みを持たせています。伴奏にならずとも、音は歌を引き立てることができるし、音が屹立することで歌、そして言葉を輝かせることができるのです。

オリジナルではサビ前に加えられていた ♪How long do I have to live in the memory for you♪ というコーラスがサビの後に移動し、アウトロでも繰り返されます。オリジナルでの役割はサビにつなぐブリッジでしたが、2014リプロダクションではテンポもアレンジも変え、異世界に飛ばされたような感覚に陥ります。コーラスは主に小室さんの声で繰り返され、これが実に中毒性がある。毒と言うのは言い過ぎですが、さらりと流せない、引きずり込まれそうな声が鳴り響きます。映像が切り替わり、文脈を断ち切るかのようなシーンが目に飛び込んでくる感じです。それは複雑に絡み合う物語を予感させますね。

TM NETWORK – DRESS2

COME ON LET'S DANCE 2014
GET WILD 2014
SELF CONTROL 2014
BE TOGETHER 2014
JUST ONE VICTORY 2014
I am 2013
RAINBOW RAINBOW 2014
ACCIDENT 2014
金曜日のライオン 2014
永遠のパスポート 2014


2014.05.15
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by mura-bito | 2014-05-15 22:33 | Music | Comments(0)
TM NETWORK – RAINBOW RAINBOW 2014
DRESS2

DRESS2

TM NETWORK


EDMに寄せたアルバム『DRESS2』の中でも、1、2を争うくらいにEDMスタイルに染まった曲。それが「RAINBOW RAINBOW」です。シンセサイザーの奏でるテーマ・メロディが、形を変えながら曲をぐいぐい引っ張ります。技巧的に刻むエレクトリック・ギターや端々に絡みつくワブル・ベースが助演とするならば、テーマ・メロディを鳴らすシンセサイザーはスポットライトを浴びる主演ですね。シンセサイザーの存在をこれでもかと強調しています。テーマ・メロディをさまざまな形で表現することで曲がダイナミックになり、もっと踊ろうと言わんばかりのアッパーな曲に生まれ変わりました。この変化に驚いたファンは多いでしょう。

TM NETWORKの新たな魅力のひとつは、3人が形づくる声のトライアングルです。「RAINBOW RAINBOW」でも、コーラスとリード・ボーカルが掛け合いに近い感じで組み合わさり、気持ちよい歌声を聞かせてくれます。2014リプロダクションでは、コーラスは低空飛行のように一定のラインをキープして淡々と響きます。木根さんの声が後ろ側、小室さんの声がフロントという位置関係ですね。小室さんのコーラスはラップに近いノリがあります。これまでも小室さんがラップのようにコーラスを歌った曲があって、それは2007年の「RED CARPET」ですが、ヒップ・ホップともポップスとも異なる空気が漂います。強いて言うなら、ラップが重なるオルタナティヴ・ロック。新たな音を着た「RAINBOW RAINBOW」でも、小室さんの声が屹立しています。声質をふまえた上で、自らの声を楽器のようなポジションで組み込み、曲が持つクールさに磨きがかかっていますね。

アルバム『DRESS2』でこの曲がどのように変化するのか、大いに期待していました。TM NETWORKは1984年にデビューしましたが、「RAINBOW RAINBOW」はデビュー・アルバムのタイトルになった曲でもあります。小室さんが「TM NETWORKにはdeadmau5に似た曲がある」と述べたのを受けて、どの曲だろうと考えたことがあります。似ているかは定かではありませんが、そのときは、「RAINBOW RAINBOW」が浮かびました。デビュー・アルバムの中ではポップスよりもエレクトロに近い雰囲気を醸しているんですよね。この曲をリミックスしてもらいたいなとずっと思っていたので、2014リプロダクションに選ばれたことはとても嬉しい。30年の時間をつなぐリミックスはどのようなものか、そしてそこから広がる新たな世界を想像しつつ、リリースを待ちました。答えは……想像の先を行き、期待を超えました。とても驚いたし、感動を覚えました。そしてその先は思い出ですよね。

TM NETWORK – DRESS2

COME ON LET'S DANCE 2014
GET WILD 2014
SELF CONTROL 2014
BE TOGETHER 2014
JUST ONE VICTORY 2014
I am 2013
RAINBOW RAINBOW 2014
ACCIDENT 2014
金曜日のライオン 2014
永遠のパスポート 2014


2014.05.14
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by mura-bito | 2014-05-14 22:27 | Music | Comments(0)
TM NETWORK – JUST ONE VICTORY 2014
DRESS2

DRESS2

TM NETWORK


2014リプロダクションが証明した魅力のひとつに、深みを増すウツのボーカルがあります。年を積み重ねるごとにその歌声が輝いている。それは、新たに録音された2012年の「I am」や2013年の「Green days 2013」を聴いて感じていたことです。小室さんの分析によると、信じられないくらいに倍音が出ているそうな。もちろん僕はプロフェッショナルな解析はできないけれども、声の変化は感じています。特に「JUST ONE VICTORY」のように緩めのテンポで進む曲は、歌声が際立ちますね。勢いだけでは歌えないし、感情表現に溺れると聴き手と気持ちがそろわない。ちょうどいいラインで歌声が響き、僕らに届いてくる。その距離が絶妙です。

『DRESS2』の「JUST ONE VICTORY」は、オリジナルのイントロの前に加えられた、キックの反復が印象的ですね。ベースと一体となって生み出すグルーヴが気持ちいい。規則正しく反復する音は、どのような展開を見せるのか、聴き手に期待を抱かせます。そして、ある地点で火が点くように聞き覚えのあるイントロが始まり、音が弾け、勢いよく拡散していきます。蓄積された聴き手のエネルギーも、音に誘われて一気に放出される。この新たに加えられた音は、作り手によるアジテーションです。物を壊したり、言葉で挑発したりするのとは異なるかたちで聴き手を煽ります。

2014リプロダクションのサウンドは、重心が下の方にある感じですね。スネアとキックがバランスよく鳴っていて、特定のジャンルを意識させないかなと思います。シンセサイザーの音で耳に残るのはStudiologic社のSledgeです。黄色い筐体が目を引くシンセサイザー。小室さんは2013年から使い始めているのですが、Access社のVirus Indigo REDBACKやVirus TI Polarとも異なる音を出します。Indigo REDBACKがビームのような太い音、TI Polarがベルに近いチャーミングな音。Sledgeは重力を感じさせず、アイスピックのように鋭く輝く音を放ちます。氷を砕くときのきらめきを感じますね。この曲の終盤で聴けるSledgeの音は、かなりいいですよ。

TM NETWORK – DRESS2

COME ON LET'S DANCE 2014
GET WILD 2014
SELF CONTROL 2014
BE TOGETHER 2014
JUST ONE VICTORY 2014
I am 2013
RAINBOW RAINBOW 2014
ACCIDENT 2014
金曜日のライオン 2014
永遠のパスポート 2014


2014.05.12
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by mura-bito | 2014-05-12 21:56 | Music | Comments(0)
Bad Suns – Cardiac Arrest


Bad Suns – Cardiac Arrest

YouTubeで曲を再生しようとすると、その前にコマーシャル映像が流れます。どれもこれもすぐにスキップするのが常でしたが、ふと耳に入ったメロディが気になり、思わずスキップするのを忘れて聞き入ってしまいしました。それがこの「Cardiac Arrest」です。演奏するのはBad Sunsという4人組のバンドですね。

ミディアム・テンポで奏でる音は、聴き手をゆっくりとその世界に誘います。ボーカリストが歌うメロディとそれに重なるコーラス。心地良いハーモニーに心をつかまれます。バンドの演奏と歌メロが100パーセントの相性でぴたりとはまっている。



Bad Suns – Cardiac Arrest -WoodysProduce Remix-

こちらはエレクトロにリミックスされたもの。オリジナルのメロディを活かしつつ、印象を変えるサウンドで構築されています。メロディアスなオルタナティヴ・ロックという軸を持ちつつ、どのようなサウンドにも転生できるポテンシャルを持ったバンドなのでしょう。6月にはデビュー・アルバムをリリースするそうです。どかんとヒットしそうですね。

2014.05.11
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by mura-bito | 2014-05-11 22:30 | Music | Comments(0)
L PACK – 現在民藝館2014
松本市で毎年五月に開催されているイベント「工芸の五月」。その一環として、L PACKという二人組が「現在民藝館」という企画を行ないました。松本のどこかで買った雑貨や、知り合いの作家がつくった作品を集め、それぞれ2つを対にして並べる、というインスタレーションです。展示が終わった後、片方を地中に埋めるそうな。
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テーマは「forward the letter to him」。今、我々が目にしているものは、10000年後の人間が見たら何を感じるのか。それは、遠く遠く、はるか彼方の、想像も及ばぬ先の未来の誰かに向けた手紙。何も語らないメッセージを受け取った人は、想像を重ねて、その人なりの世界を思い描くでしょう。
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L PACKにとって「工芸の五月」は、同じ場所で何度も展示を行なっている、おなじみのイベントです。「池上邸」という個人の邸宅の一画に蔵があるのですが、そこで展示が行なわれています。数年前にも僕はここを訪れ、L PACKの方に淹れてもらった珈琲を飲みながら、別のインスタレーションを鑑賞しました。今回も珈琲をいただき、作品について話したり、居合わせた信州大学の卒業生と世間話をしてみたり。
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かつての僕にとって、松本は日常のひとコマでした。今は日常ではないけれど、こうして松本を訪れると、「帰ってきた」という感覚に陥ります。特急列車を降りてプラットフォームを歩き、改札を抜けて駅の外に出ると、そのわずかな間に身体が松本の空気と時間を吸い込む。日常に組み込まれていた松本の感覚がよみがえり、ずっとここで過ごしていたかのようにすら思えます。それは日常と呼べるのか、日常の幻をまとった非日常なのか。インスタレーションを目の前にして、ふと考え込みました。

2014.05.09
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by mura-bito | 2014-05-09 23:14 | Visualart | Comments(0)

fujiokashinya (mura-bito)
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