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Paramore – Ain't It Fun (Music Video)


Paramore – Ain't It Fun

ファンクを思わせる、厚みのあるギター・サウンドが魅力的な曲です。Taylor Yorkの弾くギターは知的かつホット。Jeremy Davisのベースもいつになく前に出てきてダンサブルなリズムを生み出します。Hayley Williamsの歌は聴き手の間で華麗に舞い、バンドと聴き手をひとつにつなぎあわせます。まさしく "Baby, now you're one of us" ですね。

「Ain't It Fun」のミュージック・ビデオが世に放出されました。Paramoreには珍しいダンス・ミュージックですが、3人になってから何でもあり。ロックやパンクの枠をひょいと跳び越えたParamoreの、バンド名を冠したアルバム『Paramore』* の中でも一際輝きを放つ曲です。踊れ踊れ、みな踊るべし。

「何でもあり」の精神は、映像にも表われていますね。世界記録に次々と挑戦していく様子を収めており、これはこれでパンキッシュと言えなくもない。『Paramore』の収録曲のミュージック・ビデオはどれも変化球です。Paramoreがまとったイメージを破壊するつもりか、エキセントリックな内容のものばかりです。時計をギターで叩き壊すように、レコードをまっぷたつに割るように、破壊しつくした中から次の音は生まれる、と思う。

* inthecube: Paramore - Paramore

2014.01.30
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by mura-bito | 2014-01-30 21:51 | Music | Comments(0)
ON THE EARTH (PART 2) – TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK


INTRO
START INVESTIGATION (PART 1)
START INVESTIGATION (PART 2)
ON THE EARTH (PART 1)


ON THE EARTH (PART 2)

「HUMAN SYSTEM」のオリジナルは、1987年にリリースされたアルバム『humansystem』の表題曲です。このバージョンはバンドによる演奏がフィーチャーされていますね。アルバム自体がジャズ、ファンク、ロック、フュージョンの分野で活躍しているミュージシャンの演奏で構成されており、「HUMAN SYSTEM」でもSteve FerroneのドラムとWarren Cuccurulloのエレクトリック・ギターを聴くことができます。

2012年の「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」のときもエレクトロニック・サウンドの比率が高かったのですが、このライブはさらにエレクトロの雰囲気が強まったように思います。思い出すのは1993年に発表されたリミックスですね。この年には2枚のリミックス・アルバムがリリースされ、そのうちの1枚である『CLASSIX 1』に「HUMAN SYSTEM -café de paris mix-」として収録されています。当時のテクノ・サウンドを取り込んでおり、アコースティック・ギターの調和が気持ちいいミックスです。エレクトロニック・サウンドとアコースティック・ギターの相性はとてもいいことを、改めて思いました。

曲の終盤を "She is here and he is there in the human system"、"I am here and you are there in the human system" というフレーズのリフレインが飾ります。心にダイレクトに届くメロディであり、ここだけでも物語を紡げそうな言葉です。そして偶然なのか意図的な演出なのか、続いて披露された曲のタイトルは「HERE, THERE & EVERYWHERE」です。

地上で宇宙を強く意識するのは、途方もなく広い夜空を見上げているときです。冬の夜空は、息を呑むほどに美しいスクリーンが広がりますよね。都市の中では難しいけれども、凛とした空気の中、見上げる星空の美しさは筆舌に尽くし難い光景です。手の届かない圧倒的な存在でありながら、近づきたくなるような優しさも併せ持つのが満天の星空なのではないでしょうか。

「HERE, THERE & EVERYWHERE」は1987年のアルバム『Self Control』に収録され、アルバムの最後を飾っています。優しい音が印象に残る曲です。オリジナルではサックスで吹き込まれていたパートを、小室さんはJUPITERというシンセサイザーで弾きます。あたたかみのある、大事な人を包み込むような音。木根さんは、この曲でもアコースティック・ギターを弾きます。優しげな表情を見せながらギターを奏で、コーラスを重ねる姿が、この曲の雰囲気を伝えてくれますね。

いくつもの青色の光を背にして歌うウツも、たくさんの笑顔を見せます。ウツの声はTM NETWORKのボーカルとしていろいろな役割を期待されます。TM NETWORKのボーカルは楽器の一部だと自ら言っていましたし、2004年にデビュー曲をトランスにリメイクしたときはボーカルはパーカッションのようだと表現しました。木根さんが書くバラードのメロディの良さをまっすぐ伝えるように歌い、あるいは小室さんのモノローグを聴き手に押し付けることなく届けるインターフェースに徹することもありました。もちろん、そんなウツの声がきらきらと輝く曲もたくさんあります。そのひとつが「HERE, THERE & EVERYWHERE」です。

ギリシア神話のオリオンとアルテミスを歌詞に潜り込ませ、遠く離れている人を思う心を綴った歌です。別れた恋人を思い出しているのか、それとも悲しい旅立ちとなった人への祈りなのか、それは想像力の空白地帯に委ねましょう。前半で「覚えた冬の星座は 春になってすべて変わるだろう」と歌っていたのが、後半では「覚えた冬の星座は 春になればすべて変わるだろう」というように、わずかながら変化しています。大切な記憶も時とともに薄れて、冬の星座のようにいつかは消えてしまう。わずかな言葉のずれが、ダイナミックな心変わりと言うわけでありませんが、ちょっとした隙間からイメージの世界は広がります。両方とも "when" としてとらえるのがシンプルですが、ちょっとひねくれて "if" の意味を含ませたらどのような世界が描けるでしょうか。春になれば…春になりさえすれば。

地球にはいろいろなものがある。中には目に見えない、たとえば人と人がいることで生まれる、心というものがあります。触れ合ったり、すれ違ったり、ぶつかったり、閉ざされたり。TM NETWORKはIPが出したアラートを受けて再び地球に降り立ちました。地球での調査を始めてからいくつもの心の存在を知ったTM NETWORKは、IPの調査活動をどのように捉えているのでしょうか。もがきながらも人々と関わり続けるIPに、かつての自分たちを重ね合わせているのか。物語は進みます。

2014.01.28
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by mura-bito | 2014-01-28 21:31 | Music | Comments(0)
ON THE EARTH (PART 1) – TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK


INTRO
START INVESTIGATION (PART 1)
START INVESTIGATION (PART 2)


ON THE EARTH (PART 1)

「IGNITION, SEQUENCE, START」の最後にSledgeで弾いた一音が鈍く響き続ける中、小室さんがシンセサイザーの音を重ね始めます。音の束は次第に「BEYOND THE TIME」のメロディを含み、ダンス・ミュージックで熱くなった空気をゆっくりと冷ましながら、静謐な雰囲気を漂わせる。シンセサイザーの音は層を成して空に導かれ、青い光と溶け合います。そして木根さんが鳴らすアコースティック・ギターの音を合図にして「BEYOND THE TIME」のイントロが始まりました。

電車からウツ(の姿をした潜伏者)が姿を現わします。宇宙を駆け、地上に降り立つTM NETWORK。プロフェッショナルの調査員である3人が集合し、ひとつのトライアングルが浮かび上がってきます。やがて、歌が始まり、そのトライアングルははっきりとした輪郭を持ちます。この曲が世に出て25年、新たな魅力をまとって生まれ変わり続けます。歌詞とメロディはDNAであり、不変の要素と言えるでしょう。ウツの声質は変わったし、歌い方も25年前とは違います。サウンドに至っては言わずもがな、同じところを滞留していたことはありません。

「BEYOND THE TIME」の音を聴いて思い浮かんだのは、オーロラのような光のカーテンです。もちろんそれは自然科学の領域ではあるけれど、宇宙と地球を結びつける、イマジネーションの入口ととらえることもできますよね。地球から見た空、すなわち宇宙の方向に現われる光のゆらめきは、潜伏者が地球にやってくる合図なのかもしれません。ステージでは、黄色とオレンジが混ざったやわらかい光と、青と白が織り成すメタリックな光が入れ替わりながら曲を彩ります。地球の視点と宇宙の視点が交差しているかのようです。

この曲には「メビウスの宇宙(そら)を越えて」というサブ・タイトルが付けられました。映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の主題歌として制作されたため、歌詞に綴られた物語は、宇宙と地球、そしてその狭間に存在する人間を歌います。TM NETWORKとは別の物語から生まれた物語が、偶然か必然か、TM NETWORKのコンセプトと結びつきました。それは時を越えて2012年から始まった現在のTM NETWORKストーリーを構成する重要なピースになっています。

夜空に浮かぶ三つの宇宙船。3人に付き従うように待機しているのでしょうか。宇宙船は、アルファベットで言えば「M」の形をしており、地上に向けて光を放っています。ぎゅっと絞られた細い光が空からいくつも伸び、ギリシアの神殿の柱のように宇宙と地球をつなぎます。光の神殿が目の前に姿を見せる中、響き渡る曲は「HUMAN SYSTEM」です。人と人との関係について、多くを語らずにイメージを喚起する言葉で歌う曲です。

木根さんが奏でるアコースティック・ギターが、エレクトロニック・サウンドと混ざり合います。多くの人に好まれるEDMのタイプとして、エレクトロニック・サウンドと生楽器の音(特にピアノやギター)がミックスした曲が挙げられると思います。それはクラブ・アンセムにはなり得ないのかもしれませんが、EDMが世界中に拡散していく役割は果たしているでしょうね。EDMの要素を含むポップスが世界のあちこちで聴かれるとき、おそらく人々はそれをEDMだとは思わない。

そういうケースが積み重なり、EDMというジャンルがメジャーな存在になりながらも、同時に、ジャズやロックの歴史をたどるかのように「これはEDM、あれはEDMじゃない」という線引きがなされ、EDMのエリアは縮小するわけですね。混ざり合って広がり、保守化して小さくなる。その要因が、ジャズやロックにとってエレクトロニック・サウンドだとすれば、EDMにとっては生演奏から生まれる音なのかもしれません。音楽の可能性を広げてくれる存在は、逆説的に、狭める方向に作用する、と。

2014.01.27
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by mura-bito | 2014-01-27 22:17 | Music | Comments(0)
AFRO CUBAN BLUE: Blue Note Percussion Compilation
AFRO CUBAN BLUE: Blue Note Percussion Compilation

AFRO CUBAN BLUE: Blue Note Percussion Compilation

Compiled by Takahiro "matzz" Matsuoka


2014年はブルーノートにとってちょっとしたアニバーサリー・イヤーのようで、記念のイベントやリリースが行なわれています。その一環として『AFRO CUBAN BLUE: Blue Note Percussion Compilation』がリリースされました。quasimode/Tres-menで活動する松岡 "matzz" 高廣さんが選曲したコンピレーション・アルバムです。matzzさんはライブでは多彩なパーカッション・プレイを披露し、DJとしてイベントを主催しています。何より観客が楽しく踊ることが大事だという信念のもと、音楽活動を展開しています。

アルバムのテーマは、パーカッションが入ったジャズ。17曲も収められており、ほとんどの曲とは初対面でしたが、どれも素晴らしいですね。パーカッションが単にクレジットに名を連ねているだけではなく、楽器として存在感を示し、曲の魅力を一段も二段も引き上げている曲ばかりです。matzzさんのパーカッショニストとしての感性、DJとしての選曲センスが高いレベルで組み合わさった、素晴らしいラインナップだと僕は思います。

アルバムから琴線に触れた3曲を紹介するならば、「Big Farm Boy Goes To A Latin City」、「Always There」、そして「Afrodisia」を挙げます。ライナー・ノートに掲載されたmatzzさんの文章も併せて、感想を書いてみましょう。

Ronnie Foster – Big Farm Boy Goes To A Latin City
まずはRonnie Fosterの「Big Farm Boy Goes To A Latin City」。リーダーである彼のオルガンが冴え渡ります。最初の一音から燃えますよね。オルガンがぐいぐいと全体を引っ張る様子は、プログレッシヴ・ロックの香りを感じます。それこそキース・エマーソンやリック・ウェイクマンが弾くロック・オルガンに近いものがありますね。このアルバムが録音されたのが1974年だそうで、プログレの黄金時代と重なるのは偶然か、それとも何かしらのミッシング・リンクが存在するのか、なかなかに興味深いところです。

ダンサブルであり、何よりリズムアレンジが素晴らしく今聴いても新しいと思える1曲。レイ・アルマンドの安定感のあるコンガも唸っています。

松岡 "matzz" 高廣
『AFRO CUBAN BLUE: Blue Note Percussion Compilation』ライナー・ノートより

そして、オルガンと併走するように軽快に鳴るのが、Ray Armandoの叩くコンガですね。オルガンに耳を奪われている中で、気づいたらコンガの音がどんどん前に出てきています。ギロのような音や、ファンキーなエレクトリック・ギターの音とともに、オルガンを支え、時にぐいっと前に出る。ちょうどいいペースで走り続けるジョギングのような心地よさがありますね。

Ronnie Laws – Always There
サックス・プレイヤーRonnie Lawsの「Always There」は、色気のあるサックスが印象的なファンクです。ずっとコンガの音が聞こえているのがいいんですよね。心地良いリズムを絶え間なく感じながら、サックスやエレクトリック・ピアノの音を楽しむ。「Big Farm Boy Goes To A Latin City」でも感じていたことですが、僕はパーカッションにそういう役割を求めているのかもしれません。絶妙な立ち位置で鳴るパーカッション。他の楽器をメインに聴いてもいいし、パーカッションのリズムに意識を集中させてみるのもいい。それを1曲の中で繰り返すのが楽しいのです。

のっけから体が動きだします。何と言うか良い曲というのは、始まった瞬間から体が反応するなと思わせてくれる、今でもDJでプレイする1曲です。

松岡 "matzz" 高廣
『AFRO CUBAN BLUE: Blue Note Percussion Compilation』ライナー・ノートより

まさに、始まった瞬間に「これはもう絶対に楽しいよ」と思える曲って、素晴らしいですよね。身体にダイレクトに響いた後に、思考がそれを追認する。特にダンス・ミュージックは全身で楽しめるし、その楽しさを全身で表現できる。ジャンルは問わず、「踊れる音楽」から得られる最高のプレゼントです。

Kenny Dorham – Afrodisia
Kenny Dorhamの「Afrodisia」は、「聖典」とまで言われる、踊れるジャズを語る上では避けて通れない曲ですね。この曲を知ったとき、1955年の録音だということに驚きを禁じ得ませんでした。時間も場所も軽々と越える、実にタフな曲です。小川隆夫さんの著書『ザ・ブルーノート、ジャケ裏の真実』によれば、1980年代にロンドンで「踊れるジャズ」のムーブメントがあり、そこで火が点いたとのこと。曲を聴けば、さもありなん、いやむしろ、点火どころか油まで注いでしまいそう。

ダンサブルだけではなく実はリズムアレンジが緻密であり、55年に録音されたこの曲が今でも新しいと思えるのが衝撃である。

松岡 "matzz" 高廣
『AFRO CUBAN BLUE: Blue Note Percussion Compilation』ライナー・ノートより

ホーンのイントロの後に鳴り響くCarlos Parato Valdezのコンガが、最高にかっこいいですね。とても厚い音で、痺れます。ぐっとアクセルを踏み込み、一気に加速する感じを思い浮かべてみるといいかもしれません。また、Richie Goldbergのカウベルも、小気味よく鳴っています。quasimodeのライブでも何度か聴いていますが、カウベルを入れたときの演奏(あれは確かBlue Note Tokyoでした)が本当に気持ちよかったのを覚えています。

2014.01.26
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by mura-bito | 2014-01-26 15:50 | Music | Comments(0)
START INVESTIGATION (PART 2) – TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK


INTRO
START INVESTIGATION (PART 1)


START INVESTIGATION (PART 2)

「CHILDREN OF THE NEW CENTURY」の印象的なフレーズが絶え間なく鳴り響く中、一台の電車が走ってきて、彼らの前に停まります。側面には「967854328」という文字と、薬のカプセルのような意匠が刻まれています。保安官たちは驚きの表情を隠しきれません。IPたちがいることも忘れて、突如として現われた得体の知れない電車に近づきます。やがて自分たちの手には負えないと判断して、逃げるようにその場を去りました。

再び訪れる静寂。それを呑み込みながらソフト・シンセの音とベースの音がうねるように鳴り、キックの音が後から姿を見せます。「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」のためにつくられたこのインストゥルメンタルは「MISSION PART1」と名付けられました。2013年9月に配信された小室さんのアルバム『DEBF EDM 2013 SUMMER』で聴くことができます。

電車のドアが開き、人影がひとつ現われます。白い衣装に身を包み、背後から放たれる光の中でゆっくり歩を進め、外に出る。階段をのぼり、シンセサイザーに囲まれたエリアに足を踏み入れると、すぐさま音の調整に入ります。IPのアラートを受けたTM NETWORKは地球にやってきて、まずは小室さん(の姿をした潜伏者)が姿を表わしました。

続いて、開け放たれた扉の向こうから出てきたのは背の高い男性と幼さが残る少女。先に男性が外に出て周りを興味深そうに見回していますが、少女はためらっているのか、中に留まったままです。男性が少女の手を引いて外に連れ出し、安心させるように軽く肩を抱きます。少女が身にまとうワンピースと緑のトップスが観客の記憶を巻き戻し、そしてひとつの物語の存在を示唆します。

男性が少女の手を引いて坂道をのぼろうとしたとき、少女はその手を振りほどき、車体を挟んで坂道の反対側にある階段を駆け上がります。階段をのぼり切るとくるりと回り、そのまま小走りで森の奥に姿を消します。坂道を歩き切った男性は少女が消えた先を一瞥すると、少女の後を追いかけていきました。

「MISSION PART1」ではダブ・ステップというジャンルで多用されるソフト・シンセの音をふんだんに盛り込み、後半は小室さんが得意とするパターンが展開されます。シンセサイザーの音がループしながら徐々に高くなって、螺旋階段のような軌跡を描く。音がじわじわと熱くなっていき、観客の気持ちも高めたところで、パイプ・オルガンを思わせる音が高らかに鳴り、曲が終わります。もっと聴きたいという気持ちを抱えながら余韻に浸ります。こうなるともうどのような曲が披露されるか、予想もつきません。

黄色い筐体が目を引くシンセサイザーStudiologic Sledgeが、独特の歪みを持った音を出します。続いて宇宙を駆け巡るかのようなシーケンサーのフレーズが鳴り始め、やがて濃密なキックの音が追随します。スペースシャトル発射のカウントダウンで使われる言葉「IGNITION, SEQUENCE, START」をタイトルに冠した曲です。2000年に発表されたアルバム『Major Turn-Round』に収録されています。アルバムがプログレッシヴ・ロックを標榜していたことから、シングルでもアルバムでもロックの要素が強く表われていますね。特にアルバムではベースにカーマイン・ロハス、ドラムスにサイモン・フィリップスを迎えているため、両者の素晴らしい演奏を堪能できます。

縦横無尽に音が舞うイントロの中、電車のドアが再び開き、木根さん(の姿をした潜伏者)が光の中から現われます。坂道を駆け上がり、エレクトリック・ギターを鳴らして曲に参加します。エレクトロニック・サウンドを軸にしたアレンジは、というよりはもはやリミックスと称してもいいのですが、音でも(この物語に含まれる)宇宙という要素を体現している。小室さんはSledgeの他にAccess Virus Indigo RedbackとAccess Virus TI Polarを弾き分け、サウンドに厚みと深みを持たせます。サイモン・フィリップスが叩いた生の音(ティンバレスのような高い音)もサンプリングして鳴らしており、多彩なレイヤーを感じるアレンジでした。

2014.01.21
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by mura-bito | 2014-01-21 21:59 | Music | Comments(0)
START INVESTIGATION (PART 1) – TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK


INTRO


START INVESTIGATION (PART 1)

ライブ「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」の物語がフォーカスするのは、60年ほど時間を遡ったアメリカです。森や沼地、草や土といった自然が色濃く残る地方都市では、人々はどのようなことを考え、どのような営みを送っているのでしょうか。そんなアメリカの田舎町に、3人の男女が現われます。2012年のライブ「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」のオープニングで登場した3人です。

TM NETWORKに課せられた30年の任期はもうすぐ終わろうとしており、新たな3人(「IP」と呼ぶ)はその役割を引き継ぐために地球に送り込まれました。その役割とは、地球に降り立ち、時代や場所を変えて潜伏し、いろいろな人々の営みを調査して報告すること。IPたちは純粋な気持ちを持って地球の人々とコミュニケーションをとろうとし、この時代のこの場所の調査を始めます。

TM NETWORKは1984年に地球に降り立ち、1994年(DECADE)、2004年(DOUBLE-DECADE)という節目を経て、2014年の任期終了を迎えます。今は、プロフェッショナルの調査員であるTM NETWORKからIPたちに役割がシフトする移行期間、訓練期間です。IPは調査の途中で困ったことがあればアラートを出すことができ、それを受けてTM NETWORKがサポートすることになっています。予想どおりか、あるいは予想よりも早めなのか、TM NETWORKはIPからのアラートを受信しました。

泥だらけのIPたちが最初に見たのは、ランプを手にして見回りをしている人物です。せわしなくランプを動かし、夜の中で暗がりへの恐怖と戦っています。あるいは、もともと神経質な性分なのかもしれません。弱々しい光の中にIPたちが姿を見せると、彼は驚き、思わず後ずさります。IPたちはにこやかに振る舞い、友好的なことを示すジェスチャーで彼に近づきます。しかし、彼の恐怖は強まることはあれ、弱まることはありません。3人を振り払うようにして離れ、首に下げていたホイッスルを思い切り吹きます。接触を拒む彼の心を表わしているかのような、耳をつんざく音が響き渡ります。

ホイッスルの音を受け、二人の保安官がやってきます。IPとのやりとりのせいで敏感になっている見回り役の彼は、二人の気配にも驚きますが、すぐに安堵の表情を浮かべます。彼は不審な人物を見た現場に保安官たちを案内します。二人のうちひとりは彼の言葉を真面目に受け止めて真剣に調べる始めるけれども、もうひとりは信じられないとばかりに呆れた表情を浮かべ、形ばかりの身の入らない捜査を行ないます。

ライブ会場に響く音は、SEのように表情を持たない音から次第に厚みを増し、リズムが強くなっていきます。シンセサイザーの音が観客の記憶に刻まれたメロディに変わり、「CHILDREN OF THE NEW CENTURY」のイントロが鳴り響く。オリジナルは1987年にリリースされたアルバム『humansystem』のオープニングを飾っています。2013年になってソフト・シンセの音を埋め込んだEDMサウンドに転生し、もともと持っていたスピード感が促進されました。かつてはギターの音とシンセサイザーの音が拮抗するアレンジだったのが、EDMミックスではやはりシンセサイザーの方が前に出てきていますね。EDMサウンドを軸にしたライブの開幕を告げるのにふさわしいアレンジです。

再び現われたIPたちに気づくと、保安官たちの緊張が一気に高まります。真面目に調べていた保安官は拳銃を構え、IPたちを威嚇し、強い口調で動かぬように命令する。IPの存在を信じていなかった保安官は警棒を抜きながらも腰が引けています。とても穏やかに話ができる状況ではない。2人の保安官と対峙しながら、IPたちはじっと待ちます。

2014.01.20
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by mura-bito | 2014-01-20 22:04 | Music | Comments(0)
AVICII – Hey Brother (Music Video)


AVICII – Hey Brother

渋くブルージーに響くギターと四つ打ちが混ざり合う音は、EDMを聴くべく構えていたリスナーの虚を突いたことでしょう。どっしりとして安定感のある歌声は、どことなくアメリカの田舎を思わせます。煙草をふかしながら、斜に構えたように訥々と話をする…このイメージはPERISCOPEというデジタル・マガジンから借用しているのですが、まあそんな感じです。◢ ◤

ミュージック・ビデオは星条旗を始めとして、アメリカを思わせる要素が強いですね。思えば、アルバム『True』からビデオが制作された曲はいずれもアメリカっぽさを意図的に濃く打ち出しています。「Wake Me Up」でのKristina Romanovaの出で立ちは「お洒落な西部劇」だし、「You Make Me」は70~80年代ポップ・カルチャーのパロディ(たとえばオリビア・ニュートン・ジョンの「Physical」とかね…)に見える。◢ ◤

ミュージック・ビデオの雰囲気から、とりわけアメリカのマス・マーケットを強く意識したアルバムだった…と読み取るのは大いなる誤読でしょうか。さらに言うなら、ポップスとEDMがほどよくブレンドされており、直球のダンス・ミュージックではないサウンドは、ヨーロッパよりはアメリカをターゲットにしている感じがします。まあ、そういうことも考えられるかな、と。◢ ◤

2014.01.15
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by mura-bito | 2014-01-15 22:24 | Music | Comments(0)
Stay The Night -Acoustic Version from iTunes Session-


Zedd – Stay The Night [feat. Hayley Williams of Paramore]
-Acoustic Version from iTunes Session-

EDM系DJ/producerのZeddとParamoreのボーカルHayley Williamsが組み、2013年に「Stay The Night」という曲を制作しました。強烈なEDMサウンドと印象的なメロディがぴたりと合わさった、とても素晴らしい曲です。EDMとポップスの魅力がそれぞれ活きた音の中で、パワフルなHayleyの歌声が屹立します。

inthecube: Zedd - Stay The Night [feat. Hayley Williams of Paramore] (Music Video)
inthecube: Stay The Night -SCHOOLBOY Remix-

年が明けて、iTunes Sessionとして録音されたアコースティック・バージョンのビデオが公開されました。Zeddが奏でるピアノの旋律はとても美しいし、新たに吹き込まれたHayleyのボーカルが心地よく響きます。「Stay The Night」の核とも言うべき部分にスポットライトが当たり、くっきりと浮かび上がる。静謐な中に熱いものが存在する、という感じでしょうか。じっくりと耳を傾けたくなりますね。

2014.01.13
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by mura-bito | 2014-01-13 21:43 | Music | Comments(0)
白安 – 麥田捕手 (Music Video)


白安 – 麥田捕手

台湾のシンガーソングライター、白安(Baian)が歌う「麥田捕手」という曲をYouTubeで知りました。エレクトロニック・サウンドと生音のブレンド具合が、歌やメロディの雰囲気にぴたりと合っています。ローズ・ピアノでしょうか、随所で鳴るエレクトリック・ピアノの音もいいですね。「麥田捕手」は "The Catcher In The Rye" の訳であり、サリンジャーの小説にインスパイアされた曲とのこと。

彼女のような、気持ちを奥に秘めて凝縮しているような歌い方が、どうやら僕は好きなようです。そこに奥行きみたいなものを感じる。映像がなかったとしても、その奥行きが曲に物語を与えるのではないかと思います。たとえば、悲しい歌詞を明るく歌ったり、ダンス・ミュージックのリズムで内省的な言葉を独白したりしたらどういう物語が浮かぶでしょう?

英語で歌っている箇所、特に "but I'll catch your smile/I'm the catcher in the rye" の部分が好きですね。"catch" という言葉に前向きなもの、強く信じているという気持ちを感じつつ、約束されているわけではない未来をクールに見つめているようにも聞こえます。物語の結末は明るいのか、暗いのか、あるい句点を付けないエンディングを迎えるのか。

ミュージック・ビデオは日本とフランスで撮影されたみたいですね。函館の坂道やイルミネーションが映っています。雪の降る街は本当に絵になりますよね。こうして高低差があることで映像に変化がつき、多彩な表情が見られる。曲の良さと映像の良さがクロスして、引き立て合っています。

2014.01.09
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by mura-bito | 2014-01-09 22:36 | Music | Comments(0)
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation- (INTRO)
TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

TM NETWORK


2014年はTM NETWORKがデビュー30周年を迎えるメモリアル・イヤーです。2014年を見据えて、2012年の活動再開からひとつの物語が展開されてきました(それゆえ、TM NETWORKのTwitterアカウントは「@tmnetwork_2014」)。ぼんやりと輪郭が浮かぶ物語がサウンドとパフォーマンスで表現され、観客である僕らはいくつかのピースを拾い集めます。それらをすべて組み合わせても全体像に迫るのは難しいのですが、欠けているピースを各自のイメージで補う。そのイメージングこそが、TM NETWORKストーリーの本質なのだろうと思います。音・歌詞・ステージ演出をもとに、あれこれ想像を巡らせる遊び。

そのストーリーの一部が、2013年7月に行なわれたライブ「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」です。2012年の「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」よりも具体的な表現がなされ、それは演出やステージ・セットに表われています。そのぶん、イメージを広げる余地が狭くなったとも言えますが、行間から何かを読み取ってもいいし、2014年に明かされる謎や秘密を推測するのもいいですね。もちろん、2010年代らしさを放つEDMサウンドにフォーカスして楽しんでみてもいい。

ライブの後に自分なりの解釈や感想を書きました。Blu-rayに記録された映像を観たり、小室さんの解説を聞いたりすると、思い込みもあったなぁと思う次第ですが、これもまたライブの結果のひとつとして、そのままにしておきましょう。その上でさらに誤読の道に突き進むようなことを書く所存。

inthecube: [SOUND] TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-
inthecube: [STORY] TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-

ライブの映像を改めて観ることで、物語の流れや曲の配置からいくつかのキーワードが浮かびました。輪郭はおぼろげながらも、これらの括りから「FINAL MISSION -START investigation-」について考えを巡らせてみましょう。キーワードをもとにセット・リストに補助線を引いてみると、ライブは6つのセクションに分けられます。
  • 調査開始
    CHILDREN OF THE NEW CENTURY/MISSION PART1/IGNITION, SEQUENCE, START

  • TM NETWORK集結
    BEYOND THE TIME/HUMAN SYSTEM/HERE, THERE & EVERYWHERE

  • メッセージ(願い)
    SHE WAS NOT A HUMAN/Green days 2013

  • CAROL
    A DAY IN THE GIRL'S LIFE/CAROL (CAROL'S THEME 1)/IN THE FOREST/CAROL (CAROL'S THEME 2)/THE OTHER SIDE OF THE FUTURE/JUST ONE VICTORY

  • ダイナー
    一途な恋/DIVE INTO YOUR BODY/COME ON EVERYBODY+COME ON LET'S DANCE/BE TOGETHER/GET WILD

  • メッセージ(予言)
    DAWN VALLEY/RESISTANCE/I am/LOVE TRAIN/FOOL ON THE PLANET

INTRO
START INVESTIGATION (PART 1)
START INVESTIGATION (PART 2)
ON THE EARTH (PART 1)
ON THE EARTH (PART 2)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 1)
WE HOPE GREEN DAYS (PART 2)
CAROL SUITE (PART 1)
CAROL SUITE (PART 2)
DINER (PART 1)
DINER (PART 2)
PROPHETS (PART 1)
PROPHETS (PART 2)


2014.01.08
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by mura-bito | 2014-01-08 21:35 | Music | Comments(0)

fujiokashinya (mura-bito)
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