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inthecube
すてきな音楽は、心躍る。心が踊る。
Living music, Loving music.
TRIANGLE, ACTIVATION, NETWORK
A lot of walking, a lot of talking.

<  2012年 02月   >
  • Ryu Miho - ...and you will find me
    [ 2012-02-29 23:00 ]
  • 山中千尋のCool Talk
    [ 2012-02-28 22:29 ]
  • Ryu Miho meets Aya - Time After Time
    [ 2012-02-27 22:25 ]
  • 五線譜のイマジネーション
    [ 2012-02-26 18:26 ]
  • BLUE NOTE Plays BLUE NOTE at Blue Note Tokyo
    [ 2012-02-24 22:59 ]
  • Turn Round - DOUBLE-DECADE - REMASTER - Incubation Period
    [ 2012-02-19 10:31 ]
  • 人々は無料だから飛びつくのか、有料であっても手に入れたいのか。
    [ 2012-02-18 12:06 ]
  • 『SPEEDWAY』を覆う音と言葉のモノローグ
    [ 2012-02-05 22:54 ]
  • TPP知財分野、由紀さおりと初音ミク、グレーゾーン排除はコンテンツ衰退へ、知財の知識と発信する意識
    [ 2012-02-04 18:50 ]
  • 本はコモディティであることを認めてみる
    [ 2012-02-02 22:54 ]
Ryu Miho - ...and you will find me
...and you will find me

...and you will find me

Ryu Miho


シンディ・ローパーの「Time After Time」はそれはそれは有名ですし、数多くのミュージシャンがカバーしていると思います。中でも僕はアコースティック・サウンドで聴くバージョンが好きですね。最初はウツのソロ・ライブのDVDで聴き、最近ではJiLL-Decoy associationのUSTREAMで聴きました。そしてまたひとつ、すてきな雰囲気のカバーを聴くことができました。それがRyu Mihoが歌う「Time After Time」です。ライブ映像がYouTubeにアップされており、寄り添うような歌声とトランペットの響きが心地良くて、とても気に入っています。

そんなことがきっかけでRyu Mihoのアルバム『...and you will find me』を手に入れました。ラテン・ミュージックの香りが漂う「My Favorite Things」では、その音と張り合うくらいのタフな歌を聴くことができます。細くてしなやかな声と表現してみます。芯の通った歌声だなぁ、と。「Let Us Go To The Wood」はマザー・グースをモチーフにしているのでしょうか。ギターとパーカッションは軽快に響く足音のよう、フルートとバイオリンは軽やかに吹き抜ける風のよう。そんな音に乗せて、あるいはすりぬけるように届く歌は、とても楽しい気分にさせてくれるし、春を感じさせてくれます。「Time After Time」ももちろん収録されています。リズムにカホンの音が加わっているんでしょうか、ぐっとボーカルが引き立つアレンジだと思います。

すてきな歌声に満ちた一枚です。ソフトな歌い方の曲が多く収録されているので、「癒し」や「ささやき」といったキーワードで語ることはできるかもしれません。それはその通りだと思いますが、それだけじゃない芯の強さを感じるんですよね。そういったタフさを含めて、じっくりと聴き込んでみたいと思います。できればライブでその歌声に触れてみたいですね。

2012.02.29
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by mura-bito | 2012-02-29 23:00 | Music | Trackback | Comments(0)
山中千尋のCool Talk
JAZZ JAPAN Vol.19

JAZZ JAPAN Vol.19

ヤマハミュージックメディア


マイクを前に立つポール・マッカートニー。彼が表紙を飾る『JAZZ JAPAN』の最新号(vol.19)には、山中千尋さんの新連載「Cool Talk」が掲載されています。おもしろい!山中さんの言葉は本当に魅力的です。一筋縄ではいかないひねりのきいた言葉の連なりですが、決してひねり過ぎていない。文章を読んでまず、静かだけれども鋭さを持った表現に面食らいながらも、少し考えてみると、その言葉の裏にあるものが浮かび上がってくる。その多層的な表現は、ジャズという世界でクールな位置に立ち続ける彼女ならではですね。

この連載は、本や芸術作品、ジャズ以外の音楽について書いてほしいと依頼されて始まったそうな。まずは『ノーベル賞受賞者との対話』をピックアップしています。本の紹介がするりするりと走る路面電車のように綴られて、それがいつの間にやらジャズ喫茶でのエピソードになり、「人生に必要なことはジャズ喫茶で学べ」という言葉にたどり着きます。これだけだとジャズ喫茶の礼讃とも読めますが、エピソードの運びを目の当たりにしていると、この言葉が皮肉たっぷりに響きます。辛辣と言ってもいい。思わず笑ってしまうエピソードとの対比がまた、クールな山中さんの言葉を引き立たせます。

「人生に必要なことはジャズ喫茶で学べ」。世渡りについてこれほど明確に教えてくれる学校を私は他に知りません。「ノーベル賞受賞者との対話」での大江健三郎さんのお話よりも近くのジャズ喫茶。

山中千尋
山中千尋のCool Talk - JAZZ JAPAN vol.19

連載を始めるにあたり、冒頭で挨拶代わりの文章を記していますが、そこでは「ハードルが高ければ、くぐれば良いじゃない」と述べております。人生哲学のようなものでしょうか、クールな表情でハードルをくぐる山中さんのお姿が目に浮かぶようです。時にはクールな笑顔でハードルをそっと押しやって、颯爽と歩き去るような気もしますけど。音楽は果てしない、人間もまた果てしない。

2012.02.28
by mura-bito | 2012-02-28 22:29 | Music | Trackback | Comments(0)
Ryu Miho meets Aya - Time After Time


Ryu Miho meets Aya - Time After Time

すてきな歌声です。ミュートを使ったトランペット、アコースティック・ギター、アコースティック・ベース、ドラムス&パーカッションが生み出す優しいサウンドに彩られて、柔らかい歌声が美しく響きます。もともとアコースティック・サウンドでアレンジされた「Time After Time」が好きなんですが、ひとつ新たな一曲が加わりました。寄り添うような、時として気持ちが溢れそうになるこの歌が好きなんですよね。パーカッションの音も沁みます。ずっと聴いていたいアレンジです。

2012.02.27
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by mura-bito | 2012-02-27 22:25 | Music | Trackback | Comments(0)
五線譜のイマジネーション
DATE WORDS
I AM A HUMAN

CAN'T LOSE (LOST)
the moments

Incubation Period

五線譜に刻まれた小室さんの言葉。"GET WILD"、"NETWORK"というお馴染みの言葉に加え、新しいキーワードが描き込まれています。さてさて、どんな世界を見ることができるのか、イメージにイメージを重ねます。宇宙船から降り立った「T」と「M」と「N」。それらが地球で生きる時間が、Incubation Periodか。Incubation Periodを経てたどり着くのは、今なのか、1984なのか、または2014なのか。そしてincubationの中身は、今もなお霧の中…。

皆さんはNETWORK時代になって、こうやって瞬時にご覧になれると思うので、お見せするが、1984から、最初はいつも、僕の悪戯心がプロセスを作っていき最後は形になるのだ。

小室哲哉Twitter
http://twitter.com/Tetsuya_Komuro/status/172892620115279872

2012.02.26
by mura-bito | 2012-02-26 18:26 | Music | Trackback | Comments(0)
BLUE NOTE Plays BLUE NOTE at Blue Note Tokyo
BLUE NOTE Plays BLUE NOTE
2012-02-22 at Blue Note Tokyo


quasimode
岩本義雄
川崎太一朗
井上銘
纐纈歩美
DJ敷島
日野皓正

2/22と言えば何の日でしょうか。ネコの日でしょうか。ブルーノートレーベルにとっては、ちょっとした記念日だそうな。1985年、それまで活動を停止していたレーベルが、音で復活を宣言した日だそうな。次世代ジャズの幕が上がったとも言うべきでしょうか。そんな日から27年後の2/22、Blue Note Tokyoにミュージシャンが集まり、音を奏でました。開演前のDJタイムから、本編、アンコールまでブルーノートに縁のある曲が散りばめられて、退屈する瞬間がなかったですね。選曲は大塚広子さんでした。客入れ中のSEってけっこう重要だと思うんですけど、こうやってDJが音楽をかけているのが見えると、会場に入った瞬間からもう音楽空間ですよね。本気でかっこいい曲のオンパレードでした。

そんなこんなでライブが始まります。quasimodeとゲスト・ミュージシャンが織り成す音の競演、饗宴、響宴。すべてのゲストについて初めてプレイを聴きましたが、これまでにない体験というか、また別のアンテナが反応して楽しめたという感じです。ギター(井上銘)の音が加わったquasimodeサウンドは初めて味わうものでしたし、纐纈さんのアルト・サックスもライブで聴くのは初めてですね。quasimodeとライブで共演する女性はシンガーだけなので、そういう点でも興味深かったです。DJ敷島は、須永辰緒さんのイベントで回しているそうですが、今回は歌とトークで沸かせてくれました。本当に親方だったとは…。そして、日本のトランペッターと言えばこの人だよねって思うくらい、ジャズに興味がない人でもおそらく知っているであろう日野皓正さん。すごかった。すぐ近くで聴いていることが信じられないくらいの衝撃でしたね。まだまだ吹き続けるであろう姿に、年輪が刻まれたその音に、生きる姿勢を学ぶのです。

アンコールで聴けたのはquasimodeのライブでもおなじみの、ケニー・ドーハムの「Afrodisia」。大塚広子さんがライブ前にかけていて、いやぁ今日は演奏しないだろうと勝手に思っていたので、始まった瞬間に思わず「うわぁ!やられた!」。そんな驚きから始まった「Afrodisia」は、やはり何度聴いてもリズムに酔う、心も身体も酔う。やっぱり聖典と言われるだけのことはあるし、何度もフロアを沸かせてきた曲ってのはすごいですよね。各々が順にソロをとり、それぞれの「Afrodisia」を聴かせてくれました。総之輔さんが刻むカウベルの音、この日はカウベルの音を前面に押し出していて、これがもう本当に気持ち良かった。最後の日野皓正さん、matzzさん、総之輔さんのバトルもスリルがあって、かなり興奮しました。次はどんな音が来る?どう絡む?どこで外す?ライブでしか味わえない音の戦いです。そして、全力で音を出すプレーヤーを彩る光は、『Afro-Cuban』のジャケットを彷彿とさせる赤とオレンジでした。勢いのある音に合わせた、ダイナミックな光の演出も楽しかったですね。見て、聴いて、踊って。余すところなく音に満ちた夜でした。

01. On Children
02. No Room For Squares
03. Joshua Fit the Battle of Jericho
04. Jean de Fleur
05. Alligator Bogaloo
06. What a Wonderful World
07. Summertime
08. Dear Old Stockholm
09. Cool Struttin'
10. Afrodisia


セット・リストはBlue Note Tokyoのサイトを参考にしました。

2012.02.24
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by mura-bito | 2012-02-24 22:59 | Music | Trackback | Comments(0)
Turn Round - DOUBLE-DECADE - REMASTER - Incubation Period
Incubation Period。4月に行なわれるTM NETWORKのライブのタイトルです。同時期にリリースされる新曲も含めて、この言葉が何を意味しているかを考え、またはイメージを膨らませてみたいです。正解を導き出す謎解きでもあるし、想像力を駆使した遊びでもあります。TMのおもしろさはこういうところにもあるんですよね。これまでもTMから発信されたキーワードに心躍らせ、イメージにイメージを重ねて楽しんできました。2007年はREMASTER、2004年はDOUBLE-DECADE、20世紀から21世紀にシフトするときはTurn Round。

REMASTERはTMの名を世に知らしめた曲を集めたベスト盤のようなライブでしたが、連動したアルバム『SPEEDWAY』ではTMより前の時間をも巻き戻していました。はっきりと過去を振り返ることで、当時の小室さんのポジションを見つめ直すためのコンセプトだったのだろうと思います。そこから「ACTION」という曲が生まれ、前を向いて進む決意を表明する。
DOUBLE-DECADEは、10年をふたつ重ねたことを示す造語です。この言葉を組み込んだロゴはかっこよかったし、20周年だけれどもただのアニバーサリーじゃないんだという意思表示が頼もしかった。観客を置き去りにした小室さんのリアルタイム・ミックス(ステージ上でミキサーを操作し、音のバランスをコントロールする)は賛否両論というかむしろ否定の反応が強かった気がしますが、それはもうどうでもよくて、コンセプトどおりの「2回目の10年」を凝縮した姿勢にミュージシャンとしての矜持を見ました。
Turn Roundは前向きな振り返りという意味で使われ、記憶と記録というキーワードとともに、アルバム『Major Turn-Round』とライブ・ツアーの核を成しました。プログレッシブ・ロックを標榜した音、キース・ジャレットを意識した小室さんのピアノ、小室みつ子さんの詞、原田大三郎さんの映像が混ざり、アルバムを聴きながら、ステージを観ながら、ライブのパンフレットを読みながら、これでもかと言うくらいイメージが刺激されて、リアルタイムにTMを体験できる喜びを感じていました。

僕がリアルタイムに受信し、ライブや音源、インタビュー記事でキーワードを読み解いてきたのはこの10年ほどですが、それ以前にも興味深いキーワードがいくつも提示されてきました。2000年にはLog-on to 21st centuryというタイトルでライブを行ない、TMとしてのパーマネントな活動を締めくくることになった1991年のアルバムは『EXPO』でした。ブレイク前夜のアルバムは『Self Control』、ブレイク直後のアルバムは『humansystem』だったことも興味深くて、どちらも人と人とのつながりをタイトルに込めているんですよね。これらはいずれも追体験に留まらざるを得ませんでしたが、2000年末の『Major Turn-Round』以降は正真正銘リアルタイム。今回のIncubation Periodも全力で楽しみたい!

2012.02.19
by mura-bito | 2012-02-19 10:31 | Music | Trackback | Comments(0)
人々は無料だから飛びつくのか、有料であっても手に入れたいのか。
デジタルデータをオンラインで販売できるサービス、Gumroad。データであればなんでもよくて、音楽、画像、電子書籍といったコンテンツはわかりやすいと思いますが、何かしらの情報であってもいい。データがアップされているURLを買うので、そこに情報が記載されていればそれもまた商品になり得るわけです。短手番でアップロードもダウンロードもできます。それゆえに、著作権の問題やクレジットカード情報の流出といった懸念が早速指摘されています。世の中には売るべきものを持った人が多くいるわけでもなく、熱狂するTweetに冷ややかな目を向ける人もやっぱりいる。

玉石混交のコンテンツがフラットに対峙するのがインターネットですが、そこから玉を拾い上げる仕組みをYahooが、Googleが、MySpaceが、Twitterがつくってきました。ピックアップの観点がそれぞれに異なって注目されて隆盛を誇っても、一般化するほどに石が多くなってきます。盛者必衰、石が増え始めた巨星を横目に、新しい観点で玉を拾い上げるサービスが生まれるんですね。ふるいのかけ方が新しければ新しいほど注目されるわけです。その点で見ると、Gumroadのようなマイクロペイメント(小額決済)のサービスは、金銭的価値を尺度とした良質な(あるいはユニークな)コンテンツの発見を促進する、と僕は考えます。

マイクロペイメントってお金が動くプロセスが可視化されるのがポイントだと思うんですよね。これで生活が成り立つ人は少ないんでしょうが、これをきっかけに大きな仕事が決まる可能性はある。小額であってもお金が動くことで、それだけの価値がある証明になります。金銭的価値って、すごくシンプルな尺度ですからね。人気のあるWebサービスが大きなネット企業に買われて組み込まれるように、メジャーどころが金銭的評価の高いコンテンツと契約して事業展開する。集客力の高いバンドがスカウトされてデビューするようなケースが、フリーのイラストレーターにも起こり得ると思います。

人々は無料だから飛びつくのか、それとも有料であっても手に入れたいのか。そのあたりの見極めとして、マイクロペイメントによる金銭的価値づけが機能するんだろう、と。Gumroadのスタートに際してそんなことを思いました。

2012.02.18
by mura-bito | 2012-02-18 12:06 | Life | Trackback | Comments(0)
『SPEEDWAY』を覆う音と言葉のモノローグ
SPEEDWAY

SPEEDWAY

TM NETWORK


2007年にリリースされたTM NETWORKのアルバム、『SPEEDWAY』は小室さんのモノローグ集なんですよね。30年間の軌跡を音に乗せて、あるいは音で独白している一枚です。音楽に目覚めた10代、TM NETWORKより前にやっていたバンドのころ、TM NETWORKのデビューから「終了」、90年代の音楽業界バブル期、21世紀に入ってから2007年に至るまで、あちこちを行き交いながら独白は進みます。

「N43」の作詞のクレジットは木根さんですが、小室さんとの共作と言ってもいい。2007年の武道館公演を収録したDVDの特典映像に、この曲の制作過程が映っています。木根さんが書いた詞に小室さんがアドバイスしており、小室さんの心境が反映されたものになった。雪降るクリスマスが浮かぶ情景に透けて見えるのは、小室さんの独白です。デビュー当時の自分と今(2007年)の自分の間を行き交う言葉。

思えば2004年のアルバム、『NETWORK -Easy Listening-』でも小室さんの独白が見られました。リード・トラックの「SCREEN OF LIFE」について、これは同世代へのメッセージだと言っていましたが、それは照れ隠しというか防衛本能というかひねくれ者というか…。この曲の詞も小室さんのモノローグであって、詩的な言葉の中に私的な思いが見え隠れする。ただ、私的なものを出すことをためらっていた感があります。時が経ち、『SPEEDWAY』ではその私的な独白が色濃く作品を覆うようになります。

メロディやアレンジにも独白の雰囲気が感じられます。「YOU CAN FIND」はピアノ・ソロですが、19歳のときに書いた詞を目の前に置いて、指が動くままに鍵盤を弾いた曲です。この詞を書いた19歳の自分に怒られた、と小室さんは言います。「終わったと思ってんじゃないの」と。亡き友に宛てたレクイエムかと思っていましたが、むしろ当時の自分に向けて弾いた曲なのかもしれません。それが後悔なのか、反省なのか、決意なのか。少なくとも決意は「ACTION」に込められています。音符から溢れそうなほどに言葉を乗せ、自分を奮い立たそうとしている。遠くへ行ってしまいそうな、沈みそうな独白の中で前を向いている言葉、ACTION。

2012.02.05
by mura-bito | 2012-02-05 22:54 | Music | Trackback | Comments(0)
TPP知財分野、由紀さおりと初音ミク、グレーゾーン排除はコンテンツ衰退へ、知財の知識と発信する意識
福井弁護士によるTPP知財分野の解説
Internet Watchの記事で、福井健策さんが、TPPにおける知的財産の分野で、交渉のどのような点に注目すべきか説明しています。福井さんはニコ生の番組やラジオでもこの話題について話しており、非常に話が上手です。基本的な知識を解説し、自身が考える重要なポイントを伝えながら、受け手に考える余地を与えてくれる。皮肉や感情論に走ることなく、日本全体の問題なのだということを強調しています。

Internet Watch:
福井弁護士のネット著作権ここがポイント TPPで日本の著作権は米国化するのか~続報:知的財産Q&A編

なお、自炊代行業者の提訴に関して、作家側の弁護を担当している方でもあります。自炊すなわち海賊行為を批判するのは職種としても当然ですし、業務と関係なくてもそれは同じです。ただ、海賊版対策だからという理由だけでTPPで提示されるであろうものを飲み込んではいけない。海賊版対策に有効なのは認めても、そのほかのものに影響を与える可能性が高いので、慎重に考えるべきとの主張ですね。


由紀さおりと初音ミク
本日2/4の朝にNHKの「週刊 ニュース深読み」で「由紀さおりと初音ミク」というテーマが設定され、由紀さんがアメリカのジャズ・チャートで上位にランクインしたことや、初音ミクの音楽に世界から支持が集まっていることが放送されました。いずれもインターネットがあったからこそ情報が伝わり、ユーザーどうしのつながりが生まれて大きなヒットになった、という説明がされました。ネットの正の部分が機能した結果ですよね。

特に初音ミクは二次創作(コスプレや振り付けのコピー、あるいはユーザー独自のアレンジやリミックス)がYouTubeやニコニコ動画に投稿されたことが、人気に拍車をかけています。ユーザーがおもしろがってオリジナルをもとにしたコンテンツをつくって広める。商業ベースの戦略とは違う次元にあるユーザーのモチベーションがコンテンツを成長させ、国境を越えていくのは改めてすごいなと思いました。


グレーゾーンの排除はコンテンツの衰退を呼ぶ
ここでTPPの話。ネット経由でオリジナルが知られ、それをもとにに二次創作が生まれてまたネットを飛び回る。そういう流れを「フェアユースのない海賊版対策」が萎縮させることは考えられます。悪質な海賊行為は取り締まられるでしょうが、いたちごっこのような無限ループに陥ることは予想がつきます。それよりも、グレーゾーン(著作権者が黙認しているケースなど)も処罰されやすくなると知れ渡れば、アップロードをためらう人が増えるかもしれませんし、アップしたものが削除されるケースも多くなるでしょうね。

プラットフォームを運営している側も「悪質なものは排除する」という姿勢を見せたいのであり、実質的に無害な二次創作をコストをかけて排除する意味はない。ユーザーの滞在時間が長ければ広告価値は上がるから、むしろ有益だと判断するでしょう。けれども、そこに国際法として規制が持ち込まれたら、その判断も揺らがざるを得ない。さらに魅力のあるサービスにユーザーを奪われるのは当然ですが、法的な規制でコンテンツを衰退させるのは国として愚かな行為ですよね。


知財の知識と発信する意識
「可能性がある」という話が多いので「見えない敵に怯えている」とも言えるでしょう。ただ、何が起こるかわからないのであれば、ネットの自由度は高い方がいいと思います。(かつてはあったかもしれない)ヒットの法則なんて、今や誰もわからないのに、締め付けだけしているのは自ら芽を摘んでいますよね。国内でも迷路にはまっているし、海外なんていつの時代も未知数です。

こうしたコンテンツの広がりやつながりの可能性を考えてみて、コンテンツを提供する側も、楽しみ、利用する側も、知財の知識を積み上げておいた方がいいと思いました。加えて、どのような仕事をしていても発信する力を磨くことは必要です。多くのコンテンツ消費者は生産者ではないけれど、広報担当者になりつつあるからです。「第2のインターネット」とも言われるFacebookや、リアルタイムの共有や拡散に優れるTwitterでは、何気なく「これいいよね」と書くことが宣伝としての役割を帯びている。そのことを楽しめれば、知財に関する知識の獲得や発信力の向上についても楽しく向き合えるかなと思います。「知っておけばもっと楽しめるし、もっと広げられる」というモチベーションでコンテンツと付き合っていけたら、世の中はいろいろおもしろいんじゃないでしょうか。

2012.02.04
by mura-bito | 2012-02-04 18:50 | Life | Trackback | Comments(0)
本はコモディティであることを認めてみる
EBook 2.0 Forumの「E-Book再考」というコラムを読んでいて、興味深い記述に出くわしました。テーマは「本はコモディティ(日用品)か」。あれだけ大きな会社がいくつも存在していて、流通のネットワークが張り巡らされている。それほど巨大な産業が成立しているのは、確かに、廉価な商品が流通してマーケットが成立しているからですよね。数百円~千数百円で本が買える…これを廉価と言わずして何なのか。他のものと比べて価格が下がっていないからコモディティ感を抱かないだけで、充分に手に入りやすいわけです。だから価格を下げなくていい、いや下げるべきだという議論はどれだけやっても平行線だと思いますが、おそろしいことにAmazonはもはや視点が違う。

アマゾンは本そのものよりは、本を選び、買い、読み、批評し、贈り、古書に売り…という本に絡んだ行為(活動)の<意味>に注目する。コトにフォーカスしたこのビジネスモデルは、コモディティを中心とした消費者の動的側面(意味)を把握することによって、一般商品に拡大できる。猫の本を買う人はほぼ必ず猫を飼っている。当然にも猫用品を必要とする、といった具合だ。猫の砂を買う人に猫の本を売ろうとするよりは効率がいい。アマゾンは商品の個別性、キングとクーンツの違い、という迷宮には入らず、個々の消費者の個別性に注目している。

鎌田博樹
E-Book再考(5):本はコモディティか? - EBook 2.0 Forum

Amazonは着々と整備を進めてきたeコマースのネットワークに、電子書籍をぽんと放り込みました。そのネットワークを維持・機能・拡大するためのパーツとして電子書籍は使われている。冷静に消費者を分析し、商品を提供する。ロングテールという言葉は単なるブームだったのかと思っていましたが、単に意識の下の方に潜り込んだだけで、きちんとネットワークを構成するノードのひとつになっています。

Amazonは目立ちはしないけれど、強固な骨組みを時間をかけて作り込む。Fire対iPadの競争なんて注目の優先度としては低くて、Fireの発売はAmazonの持つ目的を達成するためのマイルストーンなんですよね。Amazonに関連するニュースを読むたびに、これに対抗できる勢力はないと思うしかありません。まあ、勝ち負けよりも、Amazonのビジネス戦略が人々の思考をどのように変えていくかが気になるところです。とりあえず「本はコモディティである」ということを知らしめたのは大きい。叩き起こされて長い眠りから覚めた瞬間に口にするのは悲鳴か、歓声か。悲喜交々です。

2012.02.02
by mura-bito | 2012-02-02 22:54 | Book | Trackback | Comments(0)

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