福井弁護士によるTPP知財分野の解説Internet Watchの記事で、福井健策さんが、TPPにおける知的財産の分野で、交渉のどのような点に注目すべきか説明しています。福井さんはニコ生の番組やラジオでもこの話題について話しており、非常に話が上手です。基本的な知識を解説し、自身が考える重要なポイントを伝えながら、受け手に考える余地を与えてくれる。皮肉や感情論に走ることなく、日本全体の問題なのだということを強調しています。
Internet Watch:
福井弁護士のネット著作権ここがポイント TPPで日本の著作権は米国化するのか~続報:知的財産Q&A編なお、自炊代行業者の提訴に関して、作家側の弁護を担当している方でもあります。自炊すなわち海賊行為を批判するのは職種としても当然ですし、業務と関係なくてもそれは同じです。ただ、海賊版対策だからという理由だけでTPPで提示されるであろうものを飲み込んではいけない。海賊版対策に有効なのは認めても、そのほかのものに影響を与える可能性が高いので、慎重に考えるべきとの主張ですね。
由紀さおりと初音ミク本日2/4の朝にNHKの「週刊 ニュース深読み」で「由紀さおりと初音ミク」というテーマが設定され、由紀さんがアメリカのジャズ・チャートで上位にランクインしたことや、初音ミクの音楽に世界から支持が集まっていることが放送されました。いずれもインターネットがあったからこそ情報が伝わり、ユーザーどうしのつながりが生まれて大きなヒットになった、という説明がされました。ネットの正の部分が機能した結果ですよね。
特に初音ミクは二次創作(コスプレや振り付けのコピー、あるいはユーザー独自のアレンジやリミックス)がYouTubeやニコニコ動画に投稿されたことが、人気に拍車をかけています。ユーザーがおもしろがってオリジナルをもとにしたコンテンツをつくって広める。商業ベースの戦略とは違う次元にあるユーザーのモチベーションがコンテンツを成長させ、国境を越えていくのは改めてすごいなと思いました。
グレーゾーンの排除はコンテンツの衰退を呼ぶここでTPPの話。ネット経由でオリジナルが知られ、それをもとにに二次創作が生まれてまたネットを飛び回る。そういう流れを「フェアユースのない海賊版対策」が萎縮させることは考えられます。悪質な海賊行為は取り締まられるでしょうが、いたちごっこのような無限ループに陥ることは予想がつきます。それよりも、グレーゾーン(著作権者が黙認しているケースなど)も処罰されやすくなると知れ渡れば、アップロードをためらう人が増えるかもしれませんし、アップしたものが削除されるケースも多くなるでしょうね。
プラットフォームを運営している側も「悪質なものは排除する」という姿勢を見せたいのであり、実質的に無害な二次創作をコストをかけて排除する意味はない。ユーザーの滞在時間が長ければ広告価値は上がるから、むしろ有益だと判断するでしょう。けれども、そこに国際法として規制が持ち込まれたら、その判断も揺らがざるを得ない。さらに魅力のあるサービスにユーザーを奪われるのは当然ですが、法的な規制でコンテンツを衰退させるのは国として愚かな行為ですよね。
知財の知識と発信する意識「可能性がある」という話が多いので「見えない敵に怯えている」とも言えるでしょう。ただ、何が起こるかわからないのであれば、ネットの自由度は高い方がいいと思います。(かつてはあったかもしれない)ヒットの法則なんて、今や誰もわからないのに、締め付けだけしているのは自ら芽を摘んでいますよね。国内でも迷路にはまっているし、海外なんていつの時代も未知数です。
こうしたコンテンツの広がりやつながりの可能性を考えてみて、コンテンツを提供する側も、楽しみ、利用する側も、知財の知識を積み上げておいた方がいいと思いました。加えて、どのような仕事をしていても発信する力を磨くことは必要です。多くのコンテンツ消費者は生産者ではないけれど、広報担当者になりつつあるからです。「第2のインターネット」とも言われるFacebookや、リアルタイムの共有や拡散に優れるTwitterでは、何気なく「これいいよね」と書くことが宣伝としての役割を帯びている。そのことを楽しめれば、知財に関する知識の獲得や発信力の向上についても楽しく向き合えるかなと思います。「知っておけばもっと楽しめるし、もっと広げられる」というモチベーションでコンテンツと付き合っていけたら、世の中はいろいろおもしろいんじゃないでしょうか。
2012.02.04