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音楽と物語に関する文章を書いています。
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2017年 07月 30日 ( 1 )
[PART2] LINKIN PARK『One More Light』:「今、歌いたいこととは何か」と自らに問いかけ、歌い、演奏したアルバム
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アルバム『One More Light』がリリースされた後、LINKIN PARKから一通のニューズレターが届きました。“ONE MORE LIGHT IS HERE” と題した文章には、アルバム制作に関わるいくつかの事実と思いが綴られています。同じ内容の文章が公式サイトに掲載されています(IT’S HERE: ONE MORE LIGHT)。

バンドは音楽制作を「トンネル掘り」に例えます。何ヶ月も地下に潜って、暗闇の中で悪戦苦闘しながら、新しいもの、自分たちの予測を超えた音楽を捜し求めている。どこにたどり着くかは、たどり着いたその時になった初めて分かる。売れる前も後も、同じようにしてバンドは曲を生み出してきたのでしょう。

One More Light took over a year to make.
Each song started with the question, “what do we want to sing about today?”

アルバムは1年以上をかけて制作され、各曲はひとつの問いから生まれたようです。それは「今、自分たちが歌いたいこととは何なのか?」という自己への問いかけです。

意訳を許してもらえるのならば……揺れ動く世界の中で、十数年のキャリアを積み重ねてきたバンドが、今の立ち位置で作る音楽とは何かを考えた結果、「今この瞬間に歌いたいこと」を形にして送り出してみよう、と。彼らが住むアメリカのこと、Music For Reliefを通じたチャリティ活動、あるいはそれぞれの家族に関する思い。直接的に歌詞に反映されるものもあれば、曲の出発点となったものもあるでしょう。

One More Light is full of personal stories, and perspectives we’re still figuring out.
We dug through our lives as friends, fathers, brothers, and bandmates.

バンドは、パーソナルな視点と広い視野で捉えた物事を音楽に反映させます。アルバムの曲はメンバーの個人的なストーリー(その起点は各自の思いや考え、あるいは過去かもしない)から形作られ、それと同時に個人の枠を越えて、今もなお解明しようとしているこの広い世界を示してもいる、と。

個人は社会の構成員なので、個人の視点は社会を浮かび上がらせ、その反対もまた然り。両者は切り離せず、有機的に絡み合っています。そして、トンネル掘りは音楽に限らず、日々の生活や生きることそのものにも通じます。掘り進めた先で穴が開き、光が見える。そしてまた新たに掘り始め、もうひとつの光を探し求めていく。

To us, listening is an act of generosity.
Thank you for your generosity, and thank you for being part of the Linkin Park community.
Welcome to One More Light.

最後にバンドは “generosity” という言葉を用いてメッセージを締めます。generosityとは「寛容さ」、「惜しみない行為」、「寛大な行為」などと訳されますが、ここでは「バンドの音楽を選んで聴いてくれる、その行為と気持ちに感謝する」という感じになるでしょうか。

バンドにとっての “One More Light” とは、聴き手である僕らなのかもしれません。トンネルを掘り進めていった先には新しい音楽があり、それを聴く人々がいる。

音楽を聴くことが作り手に対する寛大さを示しているとは聴き手の側からは思いもしませんが、改めて考えてみると、僕も自分の書いたものを時間を割いて読んでくれることに感謝の念を抱いています。LINKIN PARKのようなワールドクラスの作り手もgenerosityを大切にする点では自分と同じなのだと分かると、作り手としての気持ちに差はないのだと思えます。
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彼が歌いたかったこととは何だろう? 時間が巻き戻されて違うルートをたどれるとすれば、この先どのような歌を歌うことになったのだろうか?

7月21日の朝、Chester Benningtonが亡くなったというショッキングなニュースが飛び込んできて、声を失いました。数日が経ち、LINKIN PARKのサイトに “Dear Chester” と題した公式のステートメントがアップロードされました。最後のパラグラフに綴られた “Thank you for that gift. We love you, and miss you so much.” が胸にしみます。

ニュースの後でバンドの公式Twitterがアップした彼の画像やMike Shinodaの “Shocked and heartbroken, but it's true.” という言葉をリツイートすると気持ちが少し落ち着き、最新アルバムについての記事を書きかけていたことを思い出しました。中途半端に放置するべきではないと思い、完成させます。

改めてアルバムを聴き、メッセージを読み返して、言葉を足す。そうした行為を続けていると、いつの間にか『One More Light』というタイトルがリリース当時とは異なる響きを持ちます。このような形でというのはあまりにも悲しいことではありますが、期せずして強い印象を残し、忘れることのない作品となりました。
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2017.07.30
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by mura-bito | 2017-07-30 08:25 | Music | Comments(0)

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