近年、郷愁を感じることがとみに多くなりましたが、単にUターンするだけでは意味がないような気がしています。意味があるないと言うよりは、それだけじゃあおもしろくない、と言うほうが適切かもしれません。信州(僕が主眼を置いているのは松本あるいは安曇野です)で楽しく暮らすためには、どのような道があるのか? そしてそれをたくさんの人と共有するにはどうすればいいのか? さらにその体験を残し伝えていくなんて大それたことをするには如何せん?
伝統工芸は、"心の尺度" だと私は思っています。時計に例えるなら、1から2に一瞬で切り替わるデジタルではなくて、じーっと針が動いていく間をもったアナログ、そんな感覚が大事で、実は暮らしの中で今非常に求められているのではないかと。ほっと、自分を取り戻すときを私たちはみな無意識に求めていて、心の尺度が必要になる。その力が伝統に培われた道具には宿っていると思うのです。
『
NODE』 No.2 木村ふみインタビューより
食環境プロデューサーの木村ふみ氏のインタビューより引用させていただきました。「心の尺度」という言葉が印象的です。人によっては、「スローライフ」や「ロハス」といった言葉に変換した方がイメージしやすいかもしれませんね。ただ、自然との共生とかオーガニックな生活で渇いた心に潤いを。。。という癒しの話ではなく、「過ぎ去った時間に対する敬意」(本多孝好の小説に出てきました)みたいなものを持ち続ける生活、と言ったところでしょうか。その敬意を表現する手段はきっと現代的でも古典的でもいい。音楽で言うなら、バンド・スタイルで表現してもいいし、クラブ・サウンドでリミックスしてもいいし、オーケストラでアレンジしてみるのもいい、ということになります。温故知新、古き良き時代、そういったものであっても、その人にとってそれが今を生きる糧あるいは手助けとなるならば、決して無価値なものではないんですね。むしろ新しい価値の発見と呼べるかもしれない。新しい価値を見つけるためにも、過ぎた時間、積み重ねた時間を巻き戻してみるのも悪くはないんでしょう。それによって、過去に存在するnodeと今を生きるnodeがlinkするんだ、きっと。
2008.03.31
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