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音楽と物語に関する文章を書いています。
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記憶/空想エディション -inspired by Session-
記憶/空想エディション -inspired by Session-



剥き出しのコンクリートに囲まれた通路が見えます。昼間でも太陽の光は届かず、蛍光灯の光だけが周囲のコンクリートを冷たく寂しく照らしています。夜になると冷たさと寂しさは増し、いっそのこと真っ暗になった方が安心するのではないかとさえ思います。

6年在籍した大学の図書館の下には、コンクリートに囲まれた無機質な空間がありました。この冷たい空間にいると、上の世界との乖離にどうしようもない寂寥感と、どうかしてしまったような優越感を感じていました。人とは違うと思うと、その瞬間にふたつの異なる(あるいは相反する)感情が湧き上がってくる。青白い蛍光灯を見上げるたびに、自分が奇妙な空間に存在していることを実感していました。

暖かくて優しい色の光は、この通路には似合わないな、と感じます。そのような光で照らされたら、絶対に消すことができなくなってしまうからです。その光が失われたら、希望を失った人生の如く、気が狂ってしまうかもしれません。ここには冷たくて青白い光が似合う。冷たさと寂しさに苛まれながら感じるのは、その光こそが自分がここにいられる要因なのだということです。

晩秋の風が吹き抜けていきます。その冷たい風に背中を押されるように通路を歩いていきます。風が吹き込むということは、少なくともここは蓋をされた箱の中ではない。ふと、頭にケーブルを突き刺してスピーカーに繋ぎ、頭の中でぐるぐると渦巻いているリズムを鳴らしてみたいと思います。激しくて寂しい音が、コンクリートの天井と壁と床に反響している様を思い浮かべます。


■■■■■
最近、Network Walkmanでも
iTunesでもよく鳴らしているのは、
Linkin Parkの「Session」というインスト曲です。
激しいヘビー・ロック・サウンドなのですが、
晩秋の夜風のように寂しさを醸しています。

聴くほどに不安定な気分にさせられる曲ですが、
何度も何度も聴きたくなってしまうのが不思議です。

2006.10.28
by mura-bito | 2006-10-28 17:34
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