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[PART2] globe – FACES PLACES
FACES PLACES

FACES PLACES

globe


[PART1] globe – FACES PLACES

『FACES PLACES』では、やはり歌詞にフォーカスを当てるべきでしょう。日本版ローリングストーン誌のインタビューで、小室さんは当時の歌詞について語っています。globeに限りませんが、小室さんは対象を女性に設定し、それぞれが抱える孤独を言葉に置き換えます。この瞬間の少し先に待っている孤独、もうすぐやってくる孤独。後姿を捉えたときに湧き上がる気持ちを描きます。

小室さんが作る音楽は、歌詞と音が組み合わさるとどのような化学反応が起きるのか? 改めて考えます。聴き手に特定のイメージを与える、ぶつけるのではなく、多彩な解釈ができる余白を提供しているのでしょう。もともとはTM NETWORKの音楽(たとえば2012年にリリースされたシングル「I am」)から感じたことですが、こうしてglobeをきちんと聴いてみると同じことを思います。

本人が描いていたイメージや原点となったモチーフはあるにしても、音と歌詞と歌が組み合わさって曲となって世に出ると、聴き手の中でそれぞれの世界が広がります。その世界は聴いた人の数だけあり、さらに聴いたシチュエーションや気持ちのパターンによっても変化する。これはTM NETWORKやglobeという、自身がワン・オブ・ゼムになれるグループだからこそなのかもしれません。プロデューサーやトラックメーカーとして参加する曲よりも、音も言葉も生っぽくなってるのかなと思います。その生っぽさが(たとえば歌謡曲のような)生々しさにならず、聴く人の中でいかようにも変化するのが特徴なのではないか。

女子高生、専門学校生、OLさん……そういう人たちもみんなで楽しく遊んだり食事したり飲んだりしても、最後の最後ひとりになった時に「何やってるんだろう、私?」みたいな気持をどこにぶつけたらいいのかっていうのは、ロックの60年代後半~70年代に入るあたりと変わらないんじゃないの?って。

小室哲哉
1万字インタヴュー 小室哲哉 – Rolling Stone Japan Edition Vol. 101

『FACES PLACES』において音と言葉の組み合わせが印象的な曲は、「FACE」と「FACES PLACES」ですね。改めて聴くと、この二曲は本当にすごいし、素晴らしい。何よりも、圧倒的に強烈な吸引力を持った曲だと思います。

FACE」の歌詞からはエッジ感と言うべきか、触れたら指先に傷がつくような、ある種の境界を感じます。一歩踏み出せば取り返しのつかない世界に行く、ポイント・オブ・ノー・リターンに立っている。そんな歌詞をロック・スタイルに満ちた音に乗せる、その姿勢そのものがロックと言えるのかもしれません。

シングルとアルバムではアレンジが異なります。シングルは歌から始まり、アルバムはギターが鳴る中で歌が始まります。シングルではアコースティック・ギターとエレクトリック・ギターの共演がメリハリを生み、曲をドラマチックに仕上げています。アルバムでは鋭い刃が反射するような危うさが漂います。後ろで鳴り続けるピアノのメランコリックな音が印象に残ります。普段は忘れているのに、何かの瞬間にふと鎌首をもたげる過去の記憶のような。静かに流れる不穏な空気を感じさせます。

♪顔と顔寄せ合い なぐさめあったらそれぞれ 玄関のドアを ひとりで開けよう♪という歌詞が生み出す世界は、とても奥行きがあって深くコミットしたくなるし、それでいて無音の世界で殴られたかのように、静かに衝撃を受けました。とてもビビッドな言葉の組み合わせです。蝋燭の火をそっと吹き消すような別れ方が描かれています。火が消える直前までは互いにすぐ近くにいるのに、火を吹き消した瞬間に、すべてがゼロになる。

表題曲の「FACES PLACES」は、そっとなでるようにささやくような歌から始まり、ぐんぐんと高度を上げてシャウトを超えて曲が崩壊する寸前まで到達する。そのダイナミックな展開に驚かされます。上下動の幅がとてつもなく大きい。一気に熱くなって、また一気に冷たく凍る。繰り返されるサビメロからは狂気すら漂います。

♪One more drink 何か飲ませて 明日につながるように うまく酔わせて♪という一節に漂う退廃的な色合いは、どこか遠くの国の出来事のように見えつつ、日本のどこかから染み出した声にも聞こえます。1997年といえば…と言うのは評論家気取りでしょうか。ただ、「世相を反映した歌詞」と評するのは少し違う気がします。

さまざまな顔、さまざまな場所。「FACES PLACES」の歌詞は、小室さんのアンテナが感じ取ったものを言語化して、音に乗せて、声に混ぜた結果です。顔と場所を入れ換えれば、あらゆる人に、あらゆる時代に当てはまる言葉なのではないでしょうか。20年近く経った今、これらの言葉から僕らは何を感じるのか。昔の自分を重ねるのか、あるいは今の自分を重ねるのか。1997年に刻まれた言葉は、今もなお、聴き手の記憶をかき乱すように絡み付いてきます。

inthecube: [PART1] Rolling Stone Japan Edition Vol. 101 小室哲哉インタビュー
inthecube: [PART2] Rolling Stone Japan Edition Vol. 101 小室哲哉インタビュー

2015.11.11
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by mura-bito | 2015-11-11 21:07 | Music | Comments(0)
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