人気ブログランキング | 話題のタグを見る
inthecube
音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
OUR WORLD IS EXPRESSED BY IMPRESSIVE WORDS
ブログトップ
[PART3] AVICII – Stories
Stories

Stories

AVICII


[PART2] AVICII – Stories



AVICII – Broken Arrows (Lyric Video)

最初はシンプルな音の中で歌が曲を引っ張り、それと入れ替わるようにシンセサイザーのリフが飛び出します。身体の中で反響するダンサブルなフレーズ。「Broken Arrows」の魅力をひとつに絞るとすれば間奏のシンセサイザーのリフですね。もちろんひとつに絞る必要はないので、ボーカルが生み出すタフな雰囲気も加えましょう。ボーカル、シンセサイザー、ボーカル、シンセサイザーの順にバトンが渡され、最後に両者はミックスされます。

シンセサイザーで奏でるフレーズがボーカルやギターに匹敵する存在感を放つようになったのは、ここ5年ですよね。ソフト・シンセの音がエレクトロの世界を席捲し、それはポップスやロックにも浸透しています。濃厚な音、クリアな音、ダウナーな音、ノイジーな音。いろいろありますが、シンセサイザーの音が曲のメインになることで、EDMという新たなジャンルが勃興しただけでなく、他のジャンルにまで影響を与えたという点で、音楽の世界は広がったと思います。



AVICII – True Believer (Lyric Video)

ハウス・ミュージックの中毒性をみなぎらせた「True Believer」。ループするシンセサイザーの音は危険な薬物のように身体の隅々を支配します。この曲にはColdplayのChris Martinが参加しており、ボーカルとピアノを担当しています。高音のボーカルがAVICIIのエレクトロニック・サウンドにぴたりとはまり、相性の良いコラボレーションであることを示しています。

Chris Martinの声は1970年代的なファンクを感じさせますね。何故だろうと思って記憶をたどってみると、Earth, Wind & Fireの「September」が思い浮かびました。とりわけアウトロでChris Martinが弾くピアノのメロディが「September」を感じさせるんですよね。鍵盤から舞い上がる記憶の断片。音楽を聴けば聴くほど、多くのパーツを手に入れ、それらは思いもよらぬリンクによって結びつきます。



AVICII – City Lights (Lyric Video)

「City Lights」で聴ける音の展開がとても恰好良いし、気持ちよくなります。蓄積して、放出する。音が放出される瞬間に聴き手をエキサイトさせる爆発力は『Stories』の中でも随一でしょう。強烈なシンセサイザーのリフで盛り上げるのはEDMの特徴であり、世に浸透する要因となりました。そのエッセンスが「City Lights」にも詰まっています。

ボーカルは男女の声が交錯しますが、その一翼を担うのがNoonie Baoです。AVICIIとNicky Romeroの共作「I Could Be the One」でもボーカルを務めたシンガーです。彼女の歌声には、いたずらっぽい笑みのような雰囲気がありますね。天真爛漫の破顔とも違うし、落ち着いた微笑というわけでもない。愉快なことを思いついたときの、わくわく、うずうずしている顔。



AVICII – Pure Grinding (Music Video)

埃っぽい空気の中で皮肉っぽく唇を歪める誰か。「Pure Grinding」を聴いていると、一筋縄ではいかないタフな人間の姿が思い浮かびます。イメージに合いそうな人物を具体的に挙げるとすれば、レイモンド・チャンドラーが書くフィリップ・マーロウのような一匹狼ですかね。あるいは村上春樹の『1Q84』に出てくる青豆か。

おどけて人を食ったような声のラップと、しゃがれた声が吐き出すシャウトが印象に残ります。シンセサイザーはNord Leadのように軽くて粘り気のある音を鳴らし、妙にポップな音がコミカルに響きます。声は途中でソフトウェアで加工されたり、やけに泥臭い雰囲気をダイレクトに出したりと、クールとは対極に位置するアレンジで聴き手を翻弄します。それがある意味では新鮮な響きをもたらします。「農場ヒップホップ」とも言うべきか、奇妙な造形をした曲です。

[PART4] AVICII – Stories

2015.10.16
by mura-bito | 2015-10-16 21:23 | Music
<< Autumn sea Selena Gomez – ... >>

fujiokashinya (mura-bito)
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
最新の記事
LINKIN PARK「Hy..
at 2020-12-31 15:20
ORESAMA「耳もとでつか..
at 2020-12-30 15:24
米津玄師「感電」:巧みなアレ..
at 2020-12-29 21:04
Gacharic Spin「..
at 2020-12-22 19:29
Reol「激白」:近づいては..
at 2020-12-16 21:20
ORESAMA「あたまからモ..
at 2020-12-09 22:30
TM NETWORK『SPE..
at 2020-12-05 14:55
以前の記事
記事ランキング
カテゴリ
タグ
ライフログ
TM NETWORK

























TETSUYA KOMURO



quasimode


Linkin Park


Paramore

Immigrant'sBossaBand

Ryu Miho

AVICII


Krewella

Zedd


藍井エイル





ORESAMA




Gacharic Spin


梨木香歩

村上春樹



京極夏彦



小林ユミヲ



Book





Comic








Music


その他のジャンル
ブログジャンル