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音楽と物語に関する文章を書いています。
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CAROL2015 PART4
TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

TM NETWORK


異世界から戻り、そこで起きた出来事を思い出しながら、その記憶を大事にして日常に戻っていくキャロル。一枚のレコードを拾い上げ、ジャケットに印刷された三人の姿に、先刻まで同じ時間を過ごしていた三人を重ねます。レコードをそっと胸に抱え、ともに音を取り戻した時間に想いを馳せます。その表情はとても美しく、優しく、そして力強い。

スネアの力強い音を合図にしてシンセサイザーとギターの音が飛び出します。演奏されるのは「CAROL」の終幕を飾る「JUST ONE VICTORY」です。TM NETWORKの曲の中でもタフな雰囲気を出す曲であり、ライブで演奏されるときはとりわけロック寄りにアレンジされます。そのエネルギッシュな音は、魔王ジャイガンティカから音を取り戻したキャロルたちを祝福します。

曲は終盤で、アルバム曲のひとつである「CHASE IN LABYRINTH」の一節を鳴らします。その中でウツは、裾の長い、黒く煌めくジャケットを脱ぎ、赤いシャツになります。「CHASE IN LABYRINTH」がフェイド・アウトすると同時に「JUST ONE VICTORY」が戻り、ウツは高らかに人差し指を天に向け、力強く歌声を会場に響かせます。テンポが上がり、坂道を一気に駆け上がるかのごとく、曲はクライマックスを迎えます。

***

CAROL2015の余韻を包み込むようにして、「STILL LOVE HER」が演奏されます。「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30」ではクールダウンするために中盤に配置された曲ですが、このライブではCAROL2015からQUIT30 HUGE DATAへ戻るレールとして機能します。ポイントを切り換え、物語と物語をつなぐその道を通過する中で、もう少しだけ残された未来に向けたヒントを観客は受け取ることとなります。

ステージでは、木根さんの演奏するダブル・ネックのアコースティック・ギターと、間奏で吹くハーモニカが曲に温かみを与えます。ウツは赤いエレアコを弾きながら歌い、小室さんはソフト・シンセでストリングス系の音を重ねます。イントロが鳴る中で小室さんは黒地に大きな白い格子がデザインされたジャケットを脱ぎ、紫色のシャツになって演奏します。

「STILL LOVE HER」はアルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』の最後に収録され、物語とは離れたポジションに位置していました。それと同時に、歌詞に織り込まれたロンドンの風景が「CAROL」と結びつき、アルバムを締めくくります。物語としての結びつきはないものの、その背景として描写されたロンドンの情景の一部に、「STILL LOVE HER」は組み込まれています。街角の寒々とした空気に触れることができそうなくらいにビビッドで、そしてエモーショナルな言葉とメロディの組み合わせを体験することができます。

***

「STILL LOVE HER」の終盤で、パニーラはメッセージを送ります。二人の潜伏者に、そして観客に。彼女は潜伏者のひとりであり、「キャロル」という役割を与えられ、三人の潜伏者とともに調査にあたりました。パニーラとして、小室さん、ウツ、木根さんと結びつき、キャロルとして、マクスウェル、フラッシュ、ティコと結びつきました。そして潜伏者のひとりとして、三人の潜伏者が遂行しようとしている最後のミッションを見守ります。

パニーラから観客に向けたメッセージは、思い出話でもなく、別れの挨拶でもありません。それは、潜伏者のひとりから託されたものです。メッセージは抽象的であり、予告のように響きます。この時点では、その意味を知ることはできません。パニーラの言葉が輪郭を伴い、像を結ぶためには、もう少し時間を進める必要があります。

鐘の音が鳴り響きます。それはビッグ・ベンから聞こえてくるのでしょうか。音が徐々にほどけ、消えると同時にCAROL2015もゆっくりと幕を閉じていきます。


SEVEN DAYS WAR/QUIT30: Birth/LOUD

LOOKING AT YOU/Always be there/WE LOVE THE EARTH
TETSUYA KOMURO SOLO -HUGE DATA-/GET WILD/I am/FOOL ON THE PLANET

2015.09.27
[PR]
by mura-bito | 2015-09-27 08:24 | Music | Comments(0)
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