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音楽と物語に関する文章を書いています。
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CAROL2015 PART3
TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

TM NETWORK


狂騒的な夢を見ていて、はっと目が覚めたかのようです。時空と次元を越えたカーニバルによって上昇した温度は、音の収束とともに、すっと下がります。余韻のように残る熱を、僕らは肌で感じつつ、目の前の世界が移り変わっていくのを眺めます。キャロルの記憶が時間を越えて現在の物語を綴ります。過去の物語をトレースしながら、同時に今の物語がリアルタイムで進行している。

パニーラは観客をタイムマシンに乗せ、時間を巻き戻します。時間というものはすべての人間に平等に降り積もります。チャーミングな皺として刻まれた時間は、新たな物語を語り、新たな記憶を生み、そして新たな記録となっていきます。時間が経過したからこそ、時間を巻き戻すことができるし、記憶をマッシュアップすることができる。そういう意味において、降り積もった時間は財産でもあるのです。

***

森の中を走るキャロルが観客の目の前に浮かび上がります。曲は「IN THE FOREST」。1988年のアルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』に収録されたときは「君の声が聞こえる」というサブタイトルが付けられていました。異世界の森の中を走るキャロル。彼女を探す仲間たち。光の届かない暗闇の中、入り組んだ迷路のような森の中、物語はスリリングな展開を見せます。声は届けど、姿は見えない。闇と木々に翻弄されるキャロルの姿を「IN THE FOREST」は歌います。孤独や絶望の中でも、希望は消えないことを表わすかのような明るいメロディが響きます。

スクリーンを背に歌うウツ。ステージ上でリアルタイムに歌う姿と、物語のアクターとして歌う姿が交錯します。当時の記憶をよみがえらせる観客もいれば、そうではない観客もいます。後者は、当時の記録として現在の記憶に組み込みます。それぞれ異なる形ではありますが、このライブの中で「CAROL」という物語にアクセスしています。配電盤として過去と現在をつなぐのが、現在のTM NETWORKです。スクリーンに映る過去と、ステージに存在する現在。スクリーンの中で歌うTM NETWORK、ステージの上で歌うTM NETWORK。

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裾の長い服をひらりと羽織るように、音の雰囲気がするりと入れ替わります。メロディは柔らかさと憂いを帯び、テンポは緩くなります。「CAROL (CAROL'S THEME II)」と題したバラードは、「IN THE FOREST」と共通するメロディと歌詞を含みながら、異なる角度から光を当ててキャロルの姿を描きます。

アルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』に収録された13曲のうち、「CAROL」という物語に関係するのは7曲です。その中の4曲、すなわち「A DAY IN THE GIRL'S LIFE」、「CAROL (CAROL'S THEME I)」、「IN THE FOREST」、「CAROL (CAROL'S THEME II)」から構成された組曲は、「CAROL」のエッセンスが凝縮されており、「CAROL」をステージに蘇らせる役割を果たします。

四つの曲をつないでみると、浮かび上がるのはキャロルという少女の姿です。物語の鍵を握る特殊な存在としてのキャロル、平凡な日常の中で日々を過ごすキャロル、まったく予期しなかった世界を駆け巡るキャロル、疲れ果ててその場に崩れ落ちそうなキャロル。ひとりの少女をさまざまなメロディやアレンジで多面的に表現する組曲。キャロルは聴き手の中に生まれ、躍動します。物語はステージや小説で補完され、それでも生じるいくつもの隙間からは受け取った人々のイメージが湧き出し、各々の記憶と混ざり合い、物語は各々の独自性をまといます。

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「CAROL」を思い浮かべるとき、人々の脳裏には何が映し出されるのでしょうか。ウツの歌が蘇るのか、小室さんが弾くピアノの音が蘇るのか、木根さんが宙を舞う姿が蘇るのか。あるいはしなやかに踊り、ステップを踏むパニーラの姿を思い出すのかもしれません。かつてリアルタイムで刻んだ記憶は、どのような形で2015年に呼び戻され、像を結んだのだろう?

オリジナルと2015年の「CAROL」が混ざり合い、記憶は刷新されます。オリジナルを体験した観客の数だけ、その記憶のピースの数だけ、記憶のマッシュアップは存在します。混ぜるための記憶を持ち合わせない人々は、2015年の「CAROL」を記憶の土台とします。リアルタイムで積み上がる記憶の中に、スクリーンに広がる記録が混ざっていく。TM NETWORKが2015年に「CAROL」を再び演奏することで、観客の記憶はそれぞれに刷新され、新たな時間が堆積します。


SEVEN DAYS WAR/QUIT30: Birth/LOUD
CAROL 2015 I
A DAY IN THE GIRL'S LIFE
CAROL (CAROL'S THEME I)

GIA CORM FILLIPPO DIA
CAROL 2015 II
IN THE FOREST
CAROL (CAROL'S THEME II)
JUST ONE VICTORY
STILL LOVE HER

LOOKING AT YOU/Always be there/WE LOVE THE EARTH
TETSUYA KOMURO SOLO -HUGE DATA-/GET WILD/I am/FOOL ON THE PLANET

2015.09.22
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by mura-bito | 2015-09-22 15:43 | Music | Comments(0)
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