inthecube
音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
Want to become tough, not need to get wild.
ブログトップ
CAROL2015 PART1
TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

TM NETWORK


女性がカウチに座っています。やがて、男性が姿を現わし、カウチの後ろに立つ。女性の名前はパニーラ・ダルストランド。男性は小室さんです。違う角度から光を当ててみると、その光景は異なる意味を持ちます。潜伏者のひとりが別の潜伏者に会いに来た、というシーン。感情を見せない音が連鎖し、物語の扉を開きます。

ステージでは小室さんがソフト・シンセを弾き、1988年に生まれた物語「CAROL」を2015年に呼び寄せます。「キャロル」が異世界を旅して音を取り戻すファンタジーから、異なる意味を付与されて、潜伏者としての役割を果たす「キャロル」になるのが2015年の「CAROL」です。1988年の「CAROL」では、パニーラは物語の主人公という役割を与えられ、2015年の「CAROL」では潜伏者として、最後の任務を遂行します。

***

ロンドンの街並みが広がります。古都を象徴するような建物、ロンドン・アイと呼ばれる観覧車、二階建てのバス。ソフト・シンセの音が広がり、バンナさんのエレクトリック・ギターと木根さんのアコースティック・ギターが混ざり合い、ドラムの音が会場を包み込みます。物語の中に絡め取られていくようです。女性の声でポエトリー・リーディングのように言葉が流れ出ます。曲は「A DAY IN THE GIRL'S LIFE」。オリジナルでは男性の声にエフェクトをかけていましたが、2014年の再録では女性の声を使用しました。オリジナルで見られた地を這うような不気味な瘴気はなく、暗い森の奥から手を差し伸べるように導く声をイメージします。

ウツは白地に黒い線が入ったシャツにダークグレーのジャケットを着て、サングラスをかけて姿を現わします。「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30」のエンディングと同じ格好です。ウツの歌は言葉のひとつひとつを丁寧につなぎ、物語を紡ぎます。若い頃とは違う、タフな声です。技術的にも工夫しているはずですが、ボーカリストとしてステージで光を浴びて曲の中心となっていることの自信、芯が声に出ています。音で「CAROL」を表現するのが小室さんと木根さんの役割ですが、声だけで表現するのがウツの役割、ウツにしかできない役割です。

組曲「CAROL」の中で、「A DAY IN THE GIRL'S LIFE」と続く「CAROL (CAROL'S THEME I)」はセットで演奏されます。前者のアウトロから後者のイントロがゆるやかにつながっています。最初の構想では40分に渡る曲をつくることを考えていたそうですが、トラックの連結は、長大な曲にしようとしていた名残だったのかもしれません。「A DAY IN THE GIRL'S LIFE」でのロックを感じる演奏は、グラデーションを描いて「CAROL (CAROL'S THEME I)」にシフトします。

***

「CAROL (CAROL'S THEME I)」はバラード調に始まり、次第に激しく波打つドラマが展開します。春の訪れに、移ろう季節を感じる歌詞です。雪がとけてようやく春がやってきた街の中、少女はポスターを眺めています。誰かの手描きのポスター。それは誰かからのメッセージを発しています。行き交う人は誰も気に留めない中、彼女だけはそのシグナルを受信します。やがて彼女は、そのメッセージに導かれるようにして、『不思議の国のアリス』のように、この世界とは別の世界に潜り込むことになります。

夜の帳が下りようとしているロンドン。灯り始めた街の光を反射するテムズ川。濃紺に染まる空にシルエットを浮かべるビッグ・ベン。「CAROL (CAROL'S THEME I)」を演奏するTM NETWORKの背後で、ロンドンの風景が映っては消えます。ロンドンに生きる人々の姿、何気ない日常が切り取られ、スクリーンを彩ります。ロンドンで生まれた音楽はロンドンに還っていくのでしょうか。ロンドンの映像との親和性が高く、一体化しているとさえ思える曲です。

街にあふれる喧騒が響く中、ウツが腕を上げ、すっと手を横に動かします。その動作に合わせて音が消えます。ロンドンのストリートを歩く人々もまたぴたりと止まり、微動だにしません。ウツがステージを去ります。静寂は続きます。観客は息を潜め、ステージを凝視します。永遠のような、一瞬のような音の空白が会場を包みます。


SEVEN DAYS WAR/QUIT30: Birth/LOUD
CAROL 2015 I
A DAY IN THE GIRL'S LIFE
CAROL (CAROL'S THEME I)
GIA CORM FILLIPPO DIA
CAROL 2015 II
IN THE FOREST
CAROL (CAROL'S THEME II)
JUST ONE VICTORY
STILL LOVE HER

LOOKING AT YOU/Always be there/WE LOVE THE EARTH
TETSUYA KOMURO SOLO -HUGE DATA-/GET WILD/I am/FOOL ON THE PLANET

2015.09.02
[PR]
by mura-bito | 2015-09-02 22:09 | Music | Comments(0)
<< CAROL2015 PART2 QUIT30 HUGE DAT... >>

fujiokashinya (mura-bito)
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
最新の記事
[PART2] LINKIN..
at 2017-07-30 08:25
[PART1] LINKIN..
at 2017-07-29 09:39
ORESAMA「Trip T..
at 2017-07-26 22:10
Zedd & Liam Pa..
at 2017-07-20 21:58
藍井エイル「シリウス」:一等..
at 2017-06-04 21:19
[PART4] Sound ..
at 2017-05-31 21:53
[PART3] Sound ..
at 2017-05-29 22:13
以前の記事
記事ランキング
カテゴリ
タグ
ライフログ
TM NETWORK

























TETSUYA KOMURO




quasimode


Linkin Park


Paramore

Immigrant'sBossaBand

Ryu Miho

AVICII


Krewella

Zedd

藍井エイル






Gacharic Spin


梨木香歩

村上春樹



京極夏彦



Book





Comic






Music


ブログジャンル