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QUIT30 HUGE DATA PART1
TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

TM NETWORK


ベースの音がゆるやかに流れ出て会場を満たし、シンセサイザーの音が身体に染み込むように響きます。流れ出すメロディは「SEVEN DAYS WAR」です。LEDスクリーンに映る男性はバトンを取り出し、放り投げます。潜伏者の一人がそれを拾い上げ、しばし眺めた後、どこかに向けて放ります。バトンは弧を描き、地球を巡って、潜伏者から潜伏者へと役割を伝えていきます。

光の束がTM NETWORKの三人を捕らえます。オープニングの映像とともに会場に流れていた「SEVEN DAYS WAR」は、ウツのボーカルを合図にして生演奏に切り替わります。ウツの左隣で木根さんがギターを弾き、反対側では、サングラスをかけた小室さんがショルダーキーボードを弾きます。

スクリーンの一部が開き、サポートのふたりが演奏している姿が見えます。ギターを弾く松尾和博(バンナ)さんは、2013年からTM NETWORKのサポートを務めており、『DRESS2』や『QUIT30』といったアルバムの録音にも加わっています。一方、ドラムとパーカッションを担当するRuyさんは2012年のライブ「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」から参加し、すべてのライブで演奏してきました。若手でありながら、回を重ねるにつれ、ベテランのミュージシャンに引けを取らないプレイを披露するようになりました。

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多くのファンの記憶に残る曲は、それだけ多くの場面とともにリプレイされます。「SEVEN DAYS WAR」を聴いて、映画のワンシーンが蘇る人もいれば、TMNが終了した1994年のライブを思い出す人もいます。人によっては、2004年のライブにおけるギタリストの共演(松本孝弘、北島健二、葛城哲哉)を思い浮かべるのかもしれません。25年近い時間の積み重ねは、多くの人の記憶の集積でもあります。いくつものピースが集まって、それは曲の一部になっているとも言えます。

「SEVEN DAYS WAR」がリリースされたのは1988年。TM NETWORKの活動が軌道に乗り、プロジェクトの規模が大きくなっていく、その渦中でした。「GET WILD」、「RESISTANCE」、「BEYOND THE TIME」というようにタイアップした曲が並び、「SEVEN DAYS WAR」も映画『ぼくらの七日間戦争』の主題歌として世に出ます。さらに、小室さんは映画の音楽、サウンドトラックを手がけました。

1988年の終わりには、物語を軸にしたコンセプト・アルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』がリリースされます。「CAROL」というプロジェクトのポイントは音楽と物語の融合です。物語を軸にしたステージはTM NETWORKの初期から取り組んでいたことですが、プロジェクトの規模が最大になったのは「CAROL」ですね。デビューの頃から試行錯誤してきたことが、いくつかの流れを生み、「CAROL」として結実しました。小室さんが映画音楽を制作したことも、少なからず『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』に影響したと考えられます。

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「QUIT30」と「HUGE DATA」を組み合わせたロゴがスクリーンに表示され、向こう側に吸い込まれるようにして消えます。闇がスクリーンと会場を包むと、わずかな間の中で緊張感が高まります。張り詰めた空気を破壊するように、爆発音が鳴ります。差し込む光と立ち込めるスモークの中に、三つのシルエットが浮かびます。小室さんと木根さんが歩を進め、それぞれのブースに立ちます。小室さんは客席から見て左側、木根さんは右側です。

微細に刻まれるハイハットの音。その音に導かれるようにピアノの音が鳴り、組曲「QUIT30」の最初のパート「Birth」の始まりが告げられます。「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30」ツアーのときから音が整理され、ぎゅっと引き締まった印象を受けます。

今回のライブでは、組曲「QUIT30」は「Birth」だけが演奏されました。「SEVEN DAYS WAR」とともに、ツアーの記憶と今回のライブをつなぐように披露されます。スクリーンにはジャカルタやロンドンの一角が映し出されます。街の雰囲気も、人々の表情も異なる都市。異なる記憶、異なる体験をつなげると、「Birth」はその役割を終えます。小室さんはソフト・シンセでアコースティック・ピアノの音を呼び出し、コントローラーとしてつないだFantom G6で弾きます。最後は、ピアノの音がバンド・サウンドの余韻を呑み込みます。

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鳴り響くアコースティック・ギターのカッティング。ソリッドな音、硬くてクールな音が広い会場に響き渡ります。装飾的かつノイジーに鳴るエレクトリック・ギターと、ストリングス系のシンセサイザー・サウンドを背景にして、木根さんがかき鳴らすアコースティック・ギターの音が響きます。ウツはリズミカルなハンドクラップで加わります。音は「LOUD」を形成します。

アコースティック・ギターの音が満ちたステージで、ウツは「LOUD」を歌い始めます。バラードと錯覚するような、静かな雰囲気が漂います。サビに入る直前、歌と音が静止し、小室さんが鳴らすシンセサイザーの音をきっかけにして、サビのボーカルと強烈なリズム、特にキックの音が飛び出します。それまで蓄積したエネルギーが一気に放出され、照明もダイナミックにステージを照らします。間奏パートでも木根さんのアコースティック・ギターを中心とした音が展開され、ボーカルが入るとスネアとキックが力強く鳴ります。メリハリのきいたアレンジは、エレクトロやカントリーの空気を漂わせながらも、骨太なロックを感じさせます。

ツアーで新たに加えられたアウトロは、今回のライブでも踏襲されました。テーマ・メロディのリフレインですが、繰り返せば繰り返すほどにその魅力を増すメロディです。ツアーではアウトロのソロをVirus Indigo 2 Redbackで弾いていましたが、今回はソフト・シンセに登録した音を使い、最後はVirus TI Polarで締めます。Virus TI Polarはベルのような音を出すことができます。柔らかい音ながら柔らかすぎず、硬さを含みながらも、受ける印象は優しい。音は余韻をかすかに残し、次の展開である「CAROL」の扉の前に観客を導いていきます。


SEVEN DAYS WAR/QUIT30: Birth/LOUD
CAROL 2015 I
A DAY IN THE GIRL'S LIFE
CAROL (CAROL'S THEME I)
GIA CORM FILLIPPO DIA
CAROL 2015 II
IN THE FOREST
CAROL (CAROL'S THEME II)
JUST ONE VICTORY
STILL LOVE HER

LOOKING AT YOU/Always be there/WE LOVE THE EARTH
TETSUYA KOMURO SOLO -HUGE DATA-/GET WILD/I am/FOOL ON THE PLANET

2015.08.31
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by mura-bito | 2015-08-31 21:44 | Music | Comments(0)
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