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TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA (INTRO)
TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

TM NETWORK


2015年2月に行なわれたライブ「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA」のBD/DVDがリリースされました。1月まで続いたツアー「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30」の一部を踏襲するも、流れを汲むことはせず、曲目や演出を大きく変更したライブです。ツアーでつなぎ合わせた物語のピースをもとにして、時計の針を進めるように物語の続きを語ります。

2012年のライブ「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」から始まった物語のキーワードは「潜伏者」です。潜伏者は宇宙から地球に降り立ち、人間の営みを調査して報告するという任務を遂行しています。それは現代だけでなく過去も含まれており、人間として社会に溶け込んでいたり、時としてエキセントリックな存在として人間たちの思考や行動に影響を与えたりしました。「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30」では、多数の潜伏者が地球のあちこちに存在し、それぞれのミッションに沿って活動していることが語られました。

TM NETWORKも潜伏者として地球を調査してきました。人間の歴史でいえば1984年に地球にやってきて、その任期は三十年と定められていました。そのままミッションは終わるはずでしたが、終了を目前にして、ひとりが予期せぬ動きを見せます。「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA」では、2012年に始まって形を少しずつ変えながら続いてきた、潜伏者としてのTM NETWORKの物語を閉じます。

今回のライブにおいて重要なポジションを占めるのが「CAROL」という物語です。ロンドン、バース、そして異世界を舞台に、「キャロル」という名の少女が盗まれた音を取り戻すために戦います。記憶を巻き戻すと、この物語が生まれたのは1988年です。物語をコンセプトに据えたオリジナル・アルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』は、1988年にロンドンのスタジオで録音されました。大規模な全国ツアーも組まれ、「CAROL」は多くのファンの記憶に残る物語となりました。

『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』には物語に関連する曲と、その枠外の曲が収録されています。物語を構成する曲のうち、中心的なものを抽出して組み合わせたのが組曲「CAROL」であり、節目のライブで演奏されました。組曲「CAROL」は2014年の感性と技術で再構築され、オリジナル・アルバム『QUIT30』に収録されました。今回のライブでは、新たに録音された組曲を基にして、アルバムには収録されていない曲も組み込み、「CAROL」が描かれました。



TM NETWORK – QUIT30 (Sampler)

ステージ後方には巨大なLEDスクリーンが設置されています。スクリーンに映し出される映像のうち、とりわけ目を引くのがロンドンの街並みやその間を行き交う人々です。小室さんが自ら撮った映像も使われています。いつだったか、オリンピックの前後でロンドンの雰囲気は変わった、と小室さんは言いました。ビデオカメラでロンドンの姿を切り取りながら、アーティスティックな直感によって導き出したことなのでしょうか。

1988年の「CAROL」と2014年の「CAROL」の間には、二十五年という時間が横たわっています。テクノロジーの進化、ミュージシャンやプロデューサーとしての成熟といった、TM NETWORKを取り巻く変化は、「CAROL」という作品のテイストやクオリティに影響を与えています。1988年に生まれた「CAROL」を2014年にアップデートし、2015年にステージで表現する。これはもう単なる音源のリメイクではなく、異なる世界を生み出す行為です。

「CAROL」という物語は、2012年から始まった物語に組み込まれ、新たな役割を得ました。過去の記憶と記録がステージと観客席に渦巻く中、新たな記憶がインプットされ、そしてそれは新たな記録として残る。小室さんの言う、オリンピックによって変化したロンドンの空気に似ています。メロディは同じだけど、音や声の雰囲気は変わっている。それをノスタルジックに捉える人もいれば、ポジティブに捉える人もいます。

ストーリーテラーを務めるのは「キャロル」です。三年間の物語において、「キャロル」は異なる姿で登場し、異なる役割を割り振られました。「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」では、「CAROL」の記憶をサーチして呼び出すトリガー。「TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end」では、潜伏者を「生成」するプロセスを表現するための舞台装置。「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30」では、潜伏者の「役割」を伝えるためのガイド。

そして、「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA」では、ひとりの女性が物語を進めます。彼女は、「CAROL TOUR '88~'89」というツアーで、物語の主人公「キャロル」を演じました。彼女もまた潜伏者のひとりであり、物語の中で「キャロル」という役割を与えられました。潜伏者の物語は「CAROL」も含んでいたのです。それは物語が物語をくるむ、アラビアン・ナイトのような世界。かつて「キャロル」という役割を担ったパニーラ・ダルストランドが再び登場し、2015年の「キャロル」として、2012年に始まったTM NETWORKストーリーの終幕を告げます。

TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

SEVEN DAYS WAR/QUIT30: Birth/LOUD
CAROL 2015 I
A DAY IN THE GIRL'S LIFE
CAROL (CAROL'S THEME I)
GIA CORM FILLIPPO DIA
CAROL 2015 II
IN THE FOREST
CAROL (CAROL'S THEME II)
JUST ONE VICTORY
STILL LOVE HER

LOOKING AT YOU/Always be there/WE LOVE THE EARTH
TETSUYA KOMURO SOLO -HUGE DATA-/GET WILD/I am/FOOL ON THE PLANET

2015.08.26
by mura-bito | 2015-08-26 21:07 | Music
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