inthecube
音楽と物語に関する文章を書いています。
ワイルドじゃなくてもいいからタフになりたい
OUR WORLD IS EXPRESSED BY IMPRESSIVE WORDS
[PART1] Rolling Stone Japan Edition Vol. 101 小室哲哉インタビュー
日本版『Rolling Stone』の2015年9月号の表紙を小室さんが飾っています。ネイビーに光るサテンのシャツを着て、RolandのシンセサイザーJD-XAとともに写っています。衝撃の恰好良さです。特集は1万字と銘打ったインタビューに加え、globeのマークやKEIKOの言葉も載せた、ボリュームのある企画です。あっ、木根さんが小室さんのことを愛を込めて語ったインタビューも掲載されていますよ。
小室さんのインタビューでは、globeのリミックス・アルバム『Remode 1』に絡めつつ、音楽に対する今の姿勢が明らかにされます。TM NETWORKの活動は区切りがついたので、globeを中心とした話が展開されます。KEIKOの状態が音楽活動をするには困難なので無理はできないと理解しつつも、その一方で彼女の声に乗せて今の言葉を届けたいという音楽家としての表現欲求を滲ませます。身体的な病気であれば時間がある程度は解決してくれますし、ライブは無理でもレコーディングならできる可能性はあります。しかし、本人に歌う意思がなかったり、歌い方の記憶を失くしていたりするそうです。夫として、音楽家として、さまざまな思いが錯綜していることが行間から読み取れます。思いの深さを外野から測ることはできませんが、決して浅くはないだろうということは容易に想像できます。
それまでの歌謡曲の大作家の先生の詞は、文芸から見たら素晴らしいけれど、演歌も含めて男目線というか、女性があまりにも可哀想だなという歌詞で、僕は納得していなくて。
小室哲哉
1万字インタヴュー 小室哲哉 – Rolling Stone Japan Edition Vol. 101
話は1990年代の音楽ブーム(CDブームであり、大規模コンサートの隆盛期)に及び、とりわけ小室さんが書いた詞にフォーカスします。読んでいて思い浮かんだのは「小室さんが歌を届けたかった人たちは、どのように受け取っていたのだろうか」ということです。みんなで盛り上がっていても、ひとりになると、ふと寂しさがやってくる。楽しいことは楽しいのだけど、その余韻は長く続かず、気づけば小さな孤独が目の前にぽつんと立っている。そんな気持ちを曲に乗せて届けていました。曲を聴き、歌詞の世界にダイレクトに触れていた方たちは、何を感じていたのでしょうか。層ではなく、個人として、何を思っていたのか、そして今は何を思うのか。
でも僕が書いてきたのは長い期間の孤独ではなく、"ここを出た後どうしよう" という切迫した孤独がテーマだったから。
小室哲哉
1万字インタヴュー 小室哲哉 – Rolling Stone Japan Edition Vol. 101
このロング・インタビューを読んだ後、ふと思い立って再生したのは『Remode 1』に収録されている「FACE」です。心に響くメロディだなあと思いながら、当時はほとんど意識していなかった歌詞に注目します。♪顔と顔を寄せ合い 慰め合ったらそれぞれ/玄関のドアを ひとりで開けよう♪という歌詞が心に残ります。見えない孤独とは、こういうことを言うのでしょうか。深いところにあるというより、すぐそこにあるのに捕らえきれない気持ち。小室さんが書いた詞の役割は、孤独を救うのではなく、孤独を「掬う」ことだったのかもしれません。
2015.08.16
by mura-bito
| 2015-08-16 22:18
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