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[PART2] TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA
TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA
2015-02-07&08 at SAITAMA SUPER ARENA


SEVEN DAYS WAR/BIRTH/LOUD/A DAY IN THE GIRL'S LIFE/CAROL (CAROL'S THEME I)/GIA CORM FILLIPPO DIA/IN THE FOREST/CAROL (CAROL'S THEME II)/JUST ONE VICTORY/STILL LOVE HER/LOOKING AT YOU/ALWAYS BE THERE/WE LOVE THE EARTH/GET WILD/I am/FOOL ON THE PLANET

物語をナビゲートするのは、ひとりの女性。その美しい顔には、過ぎ去った年月がチャーミングな皺として刻まれています。まさか、と思いました。かつての「CAROL」という物語は千夜一夜物語のように別の物語に含まれ、キャロルは一体何者だったのか、謎めいた存在になっていました。スクリーンの中で語る女性は、紛れもなくパニーラ。かつてアルバム『CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-』を軸にしたステージでキャロルを演じたその人です。彼女はキャロルとして言葉を発し、パニーラとしてメッセージを送る。TM NETWORKの30年を語る上で、そしてCAROLをフィーチャーするならば、パニーラの存在は欠かせません。

「STILL LOVE HER」が残した優しい雰囲気を継ぐように、木根さんがステージの真ん中に立ち、アコースティック・ギターを弾きながら歌います。曲は「LOOKING AT YOU」です。木根さんがTM NETWORKの作品の中で初めてリードボーカルを務めたバラードです。ツアーでは弾き語りでワンコーラスを歌いましたが、ここではギターとドラム&パーカッションのサポートを入れながら、フルコーラスを披露します。ウツと小室さんが戻り、「ALWAYS BE THERE」が演奏されます。心の中で響く曲であり、聴くたびに、その響きは大きくなっていきます。語りかけるような言葉は「ELECTRIC PROPHET」にも似ているかもしれません。

ずしりと響いてフロアを揺らす、腰の据わった四つ打ちのリズム。ダンス・ミュージックとして最適な、ゆったりとしたテンポ。会場の雰囲気が変わり、温度が上昇します。スクリーンには地球が映り、奏でる曲は「WE LOVE THE EARTH」です。TM NETWORKは地球のことを調査している宇宙人。そのコンセプトを明確に伝える、地球を俯瞰した曲です。ここから物語の終焉は始まります。

ステージでは小室さんがシンセサイザーに囲まれ、音を組み立て始めます。設置されたシンセサイザーの数はかなり少なく、6台が見えます。そのうちの3台は縦にならび、他の3台(RolandのFantom)にはそれぞれモニターが設置されています。Fantomはソフト・シンセをコントロールするために使われており、ソフトにはいろいろな音が登録されていたはずです。見た目には6台ですが、実際にはそれ以上の音を扱い、小室さんは思うままにサウンドを織り上げます。

小室さんが最もDUBSTEPに寄せた音を披露した瞬間に立ち会ったかもしれません。2013年からワブル・ベースを曲の端々に入れていましたが、ボーカルのことも考え、アクセントとしての役割に留めていた印象があります。このソロ・プレイでは、思いっきり音を歪ませ、DUBSTEPの世界を演出していました。2日目はソロの時間を長くして、DUBSTEP系の音の後にハウスやトランスといった音を続けて出していました。そして鳴り響く爆音。立ち上がる煙。「GET WILD」のサンプリング・フレーズに呼応して、特効が会場を沸かせます。
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「GET WILD」はTM NETWORKのライブに欠かすことのできない曲です。そうしたシンボリックな曲をライブの度に改造するのがTM NETWORKです。最もよく知られているサビの部分は確かに変わっていない。「GET WILD DECADE RUN」のように分解すると、楽しみ方は変わるのでしょう。ライブの中で盛り上がるポイントは変えずに、他の部分を大胆に取り外したり新たなパーツを組み込んだりすることで、TM NETWORKらしい変化、すなわち進化を遂げた「GET WILD」が姿を現わす。ライブの度に変わる、変わり続けるこの曲はTM NETWORKの心臓なのかもしれませんね。身体の隅々まで血を送り続ける。

小室さんはTwitterでこう書きました。「『I am』という曲は、なんか、特別な曲になりました」と。2012年に生まれ、シングルとして届けられた曲。あふれんばかりの言葉の奔流、そしてTM NETWORKの3人が構築するコーラスワークは、ライブの中でも重要な役割を果たします。観客にマイクを預けるウツ。僕らは力一杯コーラス・パートを歌います。特別な時間です。ただひたすらステージとつながっている時間ですね。歌詞の端々からさまざまな思いを読み取り、歌詞の間にいろいろなイメージを挟み込みます。ただ、ライブの中で「I am」を聴いているときは同じ時間を共有する人間どうしなんですよね。そしてウツは最後にマイク・スタンドの前に立ち、"We are human" という言葉を残します。

ライブは最後の曲である「FOOL ON THE PLANET」を迎えます。地球を俯瞰したり、地上で空を見上げたり、過去に思いを馳せたり、未来を夢見たりしている。柔らかく包み込むようなメロディと、身体に突き刺さる強烈なスネアが大きな落差を生み、魅力的な曲に仕上げています。「FOOL ON THE PLANET」の音の破片がループする中、TM NETWORKの姿は霞み、やがて見えなくなります。

記憶はどんどん巻き戻され、2012年に辿り着きます。最後に演奏された「FOOL ON THE PLANET」は「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」の冒頭で演奏された曲です。2012年のライブは3年先からやってきた3人、という設定。赤、青、紫という色をそれぞれまとった3人がここを旅立ち、2012年に向かう。

「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA」はアルバム『QUIT30』に関連したライブというよりも、もう少し大きな視点、俯瞰で見るべきなのかもしれません。QUIT30とは2012年から始まったプロジェクトのメイン・テーマとして提示されていたのではないか。2012年のライブ「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」から始まり、いくつものステージや作品によって縦に横に編まれた物語が、「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA」によって終焉を迎えたと捉えることができます。

それでは、3月に開催される予定のライブ「TM NETWORK 30th FINAL CONCERT」は、いったいどのような内容なのでしょうか。どのようなポジションにあって、何を語るのか。2012年から始まったTM NETWORKストーリーの幕は「TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA」によって降ろされたのか、それとも降ろされてはいないのか。3月のライブはエピローグのようなものを綴るのか、カーテンコールのようなものなのか。あるいは、どこか遠くの未来に向けたプロローグなのか。

[PART1] TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA

2015.02.18
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by mura-bito | 2015-02-18 19:34 | Music | Comments(0)
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